有価証券報告書-第214期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/19 13:06
【資料】
PDFをみる
【項目】
202項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」を経営の基本理念に掲げ、地域社会の発展に貢献していくことを何にもまして重要な社会的使命としてまいりました。
今後も、今日まで積み上げてきた地域社会との密接な繋がりを礎として、お客さまのニーズに的確かつ迅速にお応えできるようサービスの提供に努めてまいります。また、地域と共に歩む銀行として地域社会の発展に貢献していくとともに、株主ならびに投資家の皆さまにとって魅力ある企業集団を目指してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度の日本経済は、物価の高止まりや米国の関税政策による外部環境の不確実性が続く中にあっても、賃上げの進展や内需の底堅さに支えられ、緩やかな回復基調を維持しました。昨年後半には、インフレ率の鈍化や企業収益の改善がみられ、デフレ脱却に向けた経済の正常化が進展した1年となりました。しかし、今年2月に米国とイスラエルがイランに対して大規模な軍事攻撃を開始したことを受け、中東情勢が急速に不安定化し、世界経済におけるリスク要因が増大しました。
個人消費は、賃金上昇や物価高対策等による所得環境の改善を受けて、緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方、食料品を中心とした物価高の長期化に加え、中東情勢の不安定化に伴う原油価格の急騰を受け、燃料費や輸入品コストの上昇懸念が強まり、家計マインドの悪化リスクが新たに浮上しました。
企業部門では、デジタル化や脱炭素化に向けた投資に加え、サプライチェーンの強靱化や人手不足対応を目的とした設備投資が継続しました。また、AI関連需要の拡大を背景に、製造業を中心とした設備投資は堅調に推移しましたが、エネルギーコストの増大やサプライチェーン混乱への警戒感の高まりが、企業心理に下押し圧力を及ぼしました。
東海地方の経済においては、自動車産業が昨年前半に米国の関税強化の影響を受けましたが、生産調整やコスト管理の強化といった企業の対応が進むにつれて落ち着きを取り戻しました。一方、イランへの軍事攻撃以降、輸送コスト増加を通じて、自動車部品サプライヤーをはじめとする関連企業に、今後影響が及ぶ可能性が指摘されております。
金融市場を振り返りますと、日本銀行は昨年12月に政策金利を1995年以来の水準となる0.75%へ引き上げました。今後も段階的な利上げが見込まれており、本格的に「金利のある世界」へ移行しました。ドル円相場では、米国景気の減速観測や日本銀行の利上げ観測等を背景に、一時的に円高方向への揺り戻しがみられましたが、その後は原油高による貿易収支の悪化懸念や日本銀行の利上げ観測の後退等を背景に円安が進行しました。日経平均株価は、企業業績の向上とAI関連企業の成長期待を背景に好調に推移しました。しかし、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けて、国際エネルギー価格が急騰し、地政学リスクが一段と高まりました。
当社を取り巻く環境は、人口減少や後継者問題といった地域経済特有の課題に加え、AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展等により、急速かつ大きく変化しております。このような環境下においては、複雑化・高度化する変化を的確に捉え、柔軟かつ機動的に対応していく力、すなわち“変化への対応力”が重要となってきます。
当社は、地域経済を支える金融機関として、こうした課題に真正面から向き合い、「迅速」かつ「柔軟」な対応を積み重ねることで、持続可能な地域社会の実現に貢献する使命があると考えております。
このような課題認識のもと、2026年度は中期経営計画「Always ~変わらぬ想いで、明日を変える~」の最終年度として、“成長戦略”“人財戦略”“経営基盤強化”の3つの基本戦略及び“DX戦略”をさらに推し進めるとともに、次の時代を見据えた当社の方向性を明確にしながら、地域やお客さまが直面するさまざまな課題に真正面から向き合ってまいります。
環境変化の時代にあっても、“地域にとってなくてはならない存在”であり続けるため、お客さまの声に真摯に耳を傾け、期待を超える付加価値の提供を通じて、地域とともに成長してまいります。
また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けては、適切な株主還元の実施や政策保有株式の縮減に加え、収益構造の質的向上と経営効率の改善に取り組むことで、持続的な企業価値の向上とPBR(株価純資産倍率)の早期改善を図ってまいります。
①中小企業支援及び顧客接点の強化への取り組み
中小企業支援については、適切な資金供給にとどまらず、後継者問題やM&Aを含む経営課題への対応等、ソリューション業務の一層の強化に取り組んでまいります。
また、DX戦略の一環として、来店頻度が低い傾向にある若年層にも対応可能な非対面取引の強化を進めるとともに、相談体制の充実を図り、資産運用提案や各種相談業務等、対面取引の強化にも引き続き取り組んでまいります。
「金利のある世界」の進展により、資金利益の拡大が見込まれる中、非対面取引に加え、店舗という顧客接点を維持・活用することで預金獲得及び融資の増強に取り組むとともに、ソリューション業務や預り資産業務等のフィービジネスを両輪として推進してまいります。
②株主還元
当社は、株主還元方針として、下記のとおり掲げております。
当期におきましては、年間配当150円の実施及び自己株式取得35億円により、総還元性向は50.0%となりました。
引き続き、「自己資本の充実による健全性の維持」「持続的成長に向けた投資」「株主還元の充実」の3つの観点を踏まえ、バランスの取れた資本運営に努めてまいります。
株主還元方針
地域のお客さまの信頼にお応えすべく持続可能な経営基盤を確保するため、内部留保の充実に努めてまいります。それを前提としたうえで、安定配当を基本的な株主還元とし、今後の自己資本比率の水準や業績の見通し、外部環境などを総合的に判断し「配当拡大」や「自己株式の取得」による追加的な株主還元を実施し、総還元性向30%程度を目標とします。
③政策保有株式の縮減
当社は、今年2月に政策保有株式の縮減目標を、以下のとおり変更しております。
変更前2027年3月末までに政策保有株式(みなし保有株式除く)の連結純資産比率(時価ベース)20%を目途に削減する。
変更後2028年3月末までに政策保有株式(みなし保有株式含む)の連結純資産比率(時価ベース)を20%未満とする。

当期の政策保有株式(みなし保有株式含む)の連結純資産比率(時価ベース)は27.5%となりました。
引き続き、「2028年3月末までに連結純資産比率20%未満とする」縮減目標の達成に向けて、取引先との建設的な対話を行いながら、縮減を進めてまいります。
④ROE向上に向けた取り組み
当社は、昨年9月に財務目標として掲げている連結ROEの目標を、以下のとおり変更しております。
中期経営計画計数目標長期計数目標
変更前3.5%以上5.0%以上
変更後5.0%以上8.0%以上

当期の連結ROEは5.6%となり、中期経営計画における計数目標を上回る水準となりました。
今後も、資金利益の拡大とフィービジネスの成長を両輪として収益構造の高度化を進めるとともに、安定的かつ持続的な収益創出を通じて、ROEの一層の向上を目指してまいります。
(3)経営戦略及び目標とする経営指標と達成度
このような金融経済環境のもと、2025年度は中期経営計画「Always ~変わらぬ想いで、明日を変える~」(2024年度~2026年度)の2年目として、サステナビリティ基本方針の6つの重点課題(マテリアリティ)を土台とし、“成長戦略”“人財戦略”“経営基盤強化”の3つの基本戦略及び“DX戦略”を継続的に推進することで、経営計画の進捗を加速させ、企業価値の向上に取り組んでまいりました。また、地域のイノベーション支援にも積極的に取り組み、地域経済の成長に貢献してまいりました。
長期ビジョン「地域と社員を幸せにするOKBグループ」の実現に向けて、OKBグループ役職員が一体となって展開してまいりました施策は次のとおりであります。
①成長戦略 ~まち・ひと・しごとをつなぎ、新たな価値を創造~
限られた経営資源の最適な配分による収益性の向上を図るため、人的リソースを中小・中堅企業向けビジネスへ重点的に配分し、企業価値の向上に努めてまいりました。
法人部門においては、本格的に「金利のある世界」に移行する中、貸出金残高の増強とともに貸出金利の適切なプライシングと高採算アセットへの入れ替えを進め、貸出金残高、貸出金利回りがともに上昇しました。また、多様化・高度化するニーズに対応し、お客さまのステージに応じたソリューションの提案に努めました。
一昨年4月に岐阜大学内へ開設したオープンイノベーション創出支援拠点「OKB SCLAMB」においては、「OKB SCLAMBアクセラレーションプログラム」「産学連携交流会“Crouch!”」を引き続き開催する等、地域のオープンイノベーション創出における中核的な拠点となることを目指して取り組んでまいりました。
個人部門においては、投資ニーズの高まりに加え、お客さまのライフステージ・ライフプランに応じた最適な金融商品を提案するコンサルティング営業に注力し、その結果、個人預り資産残高は増加しました。
②人財戦略 ~人のつながりにより、社員の幸せと活力ある組織へ~
人的資本経営による「高活力・自律型組織」を実現するため、人的資本への投資を積極的に実施するとともに、社員の自律的な能力開発をサポートしました。
具体的には、社内公募に応募できる「ジョブリクエスト」やすべての配属先・役職に応募可能な「FA制度」の活用促進に加え、外部研修や資格取得等に係る費用のサポートを拡充することで、社員の自律的なキャリア形成の機会拡大を図りました。
また、全従業員が自律的にいきいきと働くことができる活力ある組織を目指すプロジェクトチーム「OKB TOIRO」を中心に、DE&I(ダイバーシティ[多様性]・エクイティ[公平性]&インクルージョン[受容])を推進しました。
③経営基盤強化 ~強固な経営基盤で未来へつなぐ~
時代の変遷によりお客さまのニーズに合致しなくなった商品・サービスについて見直しを進めるとともに、お客さまのニーズに即した次世代の商品・サービスの開発に再配分する取り組みとして、「OKBグループアイデアコンテスト」を実施しました。
また、営業店を「事務処理の場」から「営業推進の場」へ変革する施策を継続し、ローン業務のWEB化等、営業店事務の効率化や本部集約の拡充により、営業推進時間の創出に努めてまいりました。
店舗改革においては、点在する周辺店舗の経営資源を集約し、効率的な営業体制の構築を図るため、新たに各務原、岐阜南の2エリアでエリア制を導入するとともに、既存のエリアの見直しを行いました。その結果、エリア制の導入は2025年度末で計27エリアとなりました。今後も、営業体制の更なる効率化を図るため、エリア制の全店展開を進めてまいります。
④DX戦略
一昨年に掲げたDX戦略のもと、昨年7月に組織横断的なDX推進体制の確立及びDXによる企業価値向上に向けた取り組みを加速させるために組織改正を行いました。「デジタル統括部」及び同部内に「DXセンター」を設置するとともに、頭取を委員長とする「DX委員会」を新設し、経営戦略と連動したDX戦略の策定等を開始しました。
また、DX基本方針「デジタル技術の活用を通じて、地域の持続的な発展と企業価値の向上を実現する」に基づき、環境整備を進めております。具体的には、データ活用基盤へのデータの一元管理とともに、可視化、高度化によるデータ利活用による意思決定改革、ローコード開発・クラウド・API連携の活用による柔軟なシステム基盤・開発態勢へのシフト、生成AIの業務への活用を進めております。
デジタルによる顧客接点の変革としては、今年3月に公式アプリ「OKBアプリ」をリニューアルし、国際標準であるFIDOに基づくパスキー認証を採用した「OKBセキュリティパス」を新たに導入するとともに、「振込・振替」機能を追加し、より安心、便利にご利用いただけるアプリに刷新しました。
今後も、生成AIをはじめとするデジタル技術の活用による業務の自動化や効率化を通じて、創出された時間を「人」による質の高い提案や企画に充てることで、「デジタル」と「人」の融合によって新たな価値を提供し、“地域の持続的な発展と企業価値の向上の実現”に貢献してまいります。
⑤サステナビリティへの取り組み
サステナビリティを巡る地域課題への対応は、重要な経営課題と認識しております。地域課題の解決を通じて生み出される社会的価値は、地域経済の発展につながり、ひいては当社の経済的価値につながるとの考えのもと、中期経営計画において掲げた非財務目標についても取り組みを進めてまいりました。
カーボンニュートラルに向けたCO₂排出量削減目標については、2030年度までの削減目標(2013年度比)を「75%削減」としており、2025年度の達成率は「45.0%削減」の状況ですが、2026年4月には中部電力ミライズ株式会社から直接供給を受ける電気の全量を「CO₂フリー電気」に切り替えるとともに、今年12月には「OKBソーラーパーク養老」(太陽光発電所)が稼働予定であることから、「75%削減」の目標は2026年度に達成できる見込みです。引き続き、カーボンニュートラルを目指して取り組みを進めてまいります。
地域のカーボンニュートラル達成に向けたサポートとしては、当社はJ-クレジットの創出をサポートする株式会社バイウィルと連携をしており、2025年度末時点での同社との連携協定は計25件(地方公共団体23件、森林組合2件)となりました。2025年度のサステナブルファイナンス実行金額は8,296億円となり、中期経営計画にて掲げた累計実行金額1兆2,000億円の達成に向け、着実に進んでおります。
また、社会課題の解決を含む社員主導型のSDGs活動を通じ、社員の自己成長と当社の企業価値向上を目指すことを目的として、社員主導型サークル活動「OKBサステナブルサークル」を発足させました。社員の自主的な活動を会社が後押しする仕組みとすることで、自律型人財を育成するとともに失敗を恐れず挑戦する組織風土を醸成しながら、地域課題の解決にも努めてまいりました。
計数目標:次の計数目標を掲げており、各目標に対する達成度は次の通りであります。
[財務目標]基本戦略の実行度合いを評価する指標
項目計数目標
(2027年3月期)
実績
(2026年3月期)
[連結] ROE5.0%以上5.6%
[連結] 当期純利益180億円以上193億円
[連結] コアOHR65%以下71.9%
[連結] 自己資本比率9.0%以上(※1)9.82%

(※1)バーゼルⅢ最終化経過措置ベース
[非財務目標]地域課題の解決を通じ生み出される社会的価値の創出が将来の経済的価値につながるよう、重点的に取り組む指標
テーマ項目計数目標実績
(2026年3月期)
達成年度
Environment
環境
CO₂排出量削減(2013年度比)
・当社グループ目標(Scope1、2)
75%減45.0%減2030年度
Social
社会
サステナブルファイナンスの実行金額
・当社グループ目標
(2022年度~2030年度実行累計額)
1兆2,000億円8,296億円2030年度
M&A支援先数(年間)
事業承継支援先数(年間)
600件
1,300件
1,170件
1,471件
2026年度
Governance
ガバナンス
エンゲージメントスコア68以上712026年度
多様性向上
女性リーダー職(主任以上)比率
30%以上29.6%2030年度
投資家等との深度ある対話(年間)30回以上56回2030年度

中期経営計画「Always ~変わらぬ想いで、明日を変える~」の2年目である2025年度の財務目標の達成状況は、連結当期純利益などの財務指標について、最終年度の目標を上回る結果となりました。
当社は「地域に愛され、親しまれ、信頼されるOKBグループ」という経営理念のもと地域とともに歩み、2026年3月9日に創立130周年を迎えることができました。
130年にわたり受け継がれてきた“地域とともに”の想いをさらに深め、環境の変化に“迅速”かつ“柔軟”に対応し、適切な経営戦略を展開することで当社グループの企業価値向上をさらに加速させ、地域とともに持続的に成長することで、豊かな地域社会の発展に貢献できるよう、役職員が一体となって努力してまいります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。