有価証券報告書-第21期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/22 15:50
【資料】
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【項目】
221項目
(4)リスク管理
① リスクアペタイト・フレームワーク/トップリスク
当社グループは、収益拡大のために取る、あるいは許容するリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確にし、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みとして、「リスクアペタイト・フレームワーク」を導入しております。
当社グループのリスクアペタイト・フレームワークは、業務戦略とともに経営管理の両輪と位置付けられており、経営陣がグループを取り巻く環境やリスク認識を共有した上で、適切なリスクテイクを行う経営管理の枠組みです。このフレームワークに則り、業務戦略・業務運営方針の策定にあたって、経営上特に重大なリスクを「トップリスク」として選定しております。そのうえで、リスクシナリオに基づくストレステストによるリスク分析を実施することで、リスクが顕在化した場合の影響も踏まえながら、リスクアペタイトを決定しております。
当社グループでは、気候変動や自然資本、人権に関するリスクをトップリスクとして位置付けております。特に、気候変動に係るリスクについては、業務計画を達成するためのリスクテイクやリスク管理に係る姿勢を示したリスクアペタイト・ステートメントにおいて、ネットゼロ目標の達成に向け、エンゲージメント促進やポートフォリオコントロール等を通じ気候変動リスクの増加を抑制していく旨を記載しております。
<リスクアペタイト・フレームワーク>
② デューデリジェンス
当社グループは、グループ与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範等を明示した「グループクレジットポリシー」に、公共性・社会性の観点から問題となる与信を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある与信を行わないことを謳っております。
グループの与信業務の中核を担う株式会社三井住友銀行では、以下のとおり、お客さまの非財務情報の把握による与信への定性的な活用、また個別案件に対する環境社会リスク評価等を通じて、環境・社会リスクを適切に把握し、定期的なモニタリングによる管理を実施しております。
また、サプライヤーとの取引に関して、「持続可能な調達方針」(サプライヤー行動指針)を制定し、サプライヤーに対し、事業を行う各国において適用される法令諸規則の遵守はもとより、当社グループが考える適切な基準への理解と協力を求めております。
イ.非財務情報の把握
株式会社三井住友銀行では、お客さまとの対話を通して、財務情報に加え、ESGに代表される非財務情報を把握することにより、お客さまの事業活動による環境や社会への影響を認識しております。環境・社会リスクに影響を与える可能性が高いセクター・事業を対象として、温室効果ガスの排出量や気候変動リスクなどの環境社会リスクへの対応状況を把握し、与信における定性的な判断要素として活用しております。これらの非財務情報は、モニタリングを通して定期的に更新しております。
この取組を、「エクエーター原則」に基づく環境社会リスク評価とともに実施することで、より高度かつ広範なデューデリジェンスを実施しております。
非財務情報の収集を通して、ESGリスクに関するお客さまとのエンゲージメントの質を深め、環境・社会への配慮に向けた取組を積極的に支援しつつ、懸念されるリスクについてはお客さまとともに改善に努めてまいります。
ロ.環境社会リスク評価
株式会社三井住友銀行では、環境・社会に多大な影響を与える可能性がある大規模プロジェクトへの融資においては、民間金融機関の環境・社会配慮基準である「エクエーター原則」を採択し、サステナビリティ企画部において、デューデリジェンスを通した環境社会リスク評価を実施しております。
また、プロジェクト事業者に対して、TCFD提言への対応や、地域住民等へのFPIC(Free, Prior and Informed Consent/自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)の尊重など、気候変動や人権をはじめとする環境社会配慮への取組を求めてまいります。
ハ.人権デューデリジェンス
株式会社三井住友銀行では、融資などの事業活動を通じた人権侵害の助長や人権侵害への直接的な関与を防止・軽減する観点で、発生可能性の観点からリスクの高い事業活動について、定期的なモニタリングを実施しております。
モニタリング対象先について、人権侵害に関する情報の有無を確認し、人権侵害を行っている事実、またそれにより制裁を受けていることが判明した場合、新規の取引を行いません。既に融資取引のあるお客さまも、人権侵害の影響の軽減を促し、改善が見られない場合、与信を減退していく慎重な方針をとっております。その他の先に対しても、日々の取引の中で人権侵害に関する情報を入手した場合、同様の対応を行っております。
また、当社グループでは、サプライチェーン上で労働問題など、様々な人権に関する負の影響が発生することを防止・軽減するため「持続可能な調達方針」への理解と協力を求めるほか、サプライヤーの人権も含めた取組状況を定期的に確認しております。当社グループは、「持続可能な調達方針」の策定に伴い、2022年11月、外部業者取引管理の枠組みにて、外部業者における従業員からの人権侵害等の各種相談を受け付ける社内相談窓口の設置状況の確認を導入しております。
加えて、外部業者に対して「持続可能な調達方針」を案内し、当社グループが考える適切な基準への理解と協力を求めております。その他にも、当社グループは、外部業者取引管理において、人権課題への取組をめぐる会社方針や人権侵害に関するネガティブ情報の有無を定期的に確認しており、サプライチェーン全体での人権配慮に取り組んでおります。
③ セクター方針
当社グループは、以下に示した、環境・社会に影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する方針をそれぞれ明確化しております。この方針は、株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、SMBC日興証券株式会社において、それぞれのビジネスに沿う形で導入し、更なるリスク管理体制の強化を図っております。