有価証券報告書-第19期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/23 13:00
【資料】
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【項目】
170項目

対処すべき課題


本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)経営方針
○経営理念
1.お客さまのニーズに的確に応え、信頼される銀行を目指します。
2.社員一人一人が、技術革新の成果をスピーディーに取り入れ、自己変革に取り組んでいきます。
3.安全かつ効率的な決済インフラの提供を通じて、我が国の金融システムの安定と発展に貢献します。
○経営の基本方針
当社は、セブン‐イレブンをはじめとするグループの2万店以上の店舗インフラを活用し、原則24時間365日利用できるATMネットワークを構築することで、お客さまの暮らしに密着した「おサイフ」代わりの銀行サービスを「安全、確実、迅速」に提供することに努めます。
また、利便性の高い当社ATMネットワークを他の金融機関等に活用いただくことでお客さまサービスの向上や事業効率化に繋げていただく等、共存共栄の理念に基づいたサービスの実現を図ります。
さらに、グループのお客さまが求める金融に関するサービスを積極的に提供することにより、幅広いお客さまにより多くご来店いただくように努力するとともに、結果としてグループの収益力を向上させるという相乗効果を追求してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、持続的に企業価値を向上させるための経営指標として、連結経常収益及び連結経常利益を重視しております。しかしながら、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の更なる拡大や長期化、それに伴う各国政府の規制強化等も予想され、経済環境の先行きが不透明なことから、現時点では当社グループの適正かつ合理的な将来の見積もりが困難であるため、『新・中期経営計画』の公表を延期しております。
新型コロナウイルス感染症による業績への影響を慎重に見極め、詳細が明らかになり次第、速やかに公表いたします。
(3)経営環境
当社グループを取巻く事業環境は大きく変化しており、その変化のスピードも加速してきております。これまで以上に社会構造の変化、お客さまのニーズの多様化を敏感に捉え、技術革新の成果をスピーディーに取入れた柔軟な経営が必要な時代を迎えています。
国内においては、2019年10月の消費税率引上げに伴い開始された「キャッシュレス・消費者還元事業」等を契機に決済のデジタル化・キャッシュレス化が本格化してまいりました。変化する暮らしの中で、身近な金融接点としてお客さまがATMに求める価値も大きく変化してきております。また、ライフスタイルや価値観の多様化、外国人労働者に関する新制度が実施される等、新たな消費・労働マーケットが生じ、「より近くて便利」な金融サービスのニーズはますます拡大しつつあります。
一方、高度化・巧妙化が進む金融犯罪やセキュリティへの不安、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、地方都市における金融機関の窓口やATMの削減といった金融接点の減少等の社会課題は多様化し、その深刻さを増してきております。
このような昨今の環境変化に加え、新型コロナウイルス感染症は世界的な拡大をみせ、国内外の社会情勢に甚大な影響を与えております。更なる感染拡大や長期化、それに伴う各国政府の規制強化等による実体経済への影響や人々の行動様式、生活様式に与える影響は想像以上に大きく、当社グループを取巻く事業環境は不透明な状況となっております。このような環境の中、当社グループでは、政府・自治体の要請に基づいた形でテレワークやスライド勤務等を活用した感染防止策を徹底し、お取引先さまや従業員など 、関係者の安心・安全の確保を図り、社会インフラを担う企業として止めることなく業務を継続しお客さまの毎日の生活を支える役割を果たしております。
(4)中長期的な経営戦略
当社グループでは、創業から、お客さまの声・ニーズに寄り添いながら、安心・安全な金融サービスの提供を通じて、暮らしの利便性を高めてまいりました。引続き、様々な社会構造の変化を背景としたお客さまのニーズの変化に対応したサービスの絶対価値を追求することで顧客満足度向上と社会価値の最大化を目指してまいります。
(5)対処すべき課題
当社グループでは、
① 社会インフラである安心・安全な決済インフラの提供をはじめとする既存事業の安定運用
② 中長期的な成長を実現する「事業・サービスの多角化」とそれを具現化・加速する「構造改革」の着実な推進を今後の基本方針とし、足元の課題に着実に対応しながら、大きな環境変化から生み出される事業機会を的確に捉え、機動的に対応できる体制整備を推進してまいります。
<国内事業セグメント>・ATMプラットフォーム事業
より多くのお客さまに当社ATMサービスをご利用いただくため、従来の金融機関を中心とした提携先へのサービス提供に加え、交通系電子マネー、QRコード決済等へのチャージ等のサービスを提供し、変化するお客さまのニーズにお応えしてまいりました。今後も提携先事業者とご利用されるお客さまを増やすための施策を展開してまいります。
また、2019年9月に設置を開始した次世代ATMでは本体の環境負荷低減に加え、ATM内装填現金の管理運用精度の向上により補充・回収頻度を抑えることで、物流面でのCO2排出量削減に寄与することも期待されております。新たに実装した機能(高精度カメラ、スキャニング機能等)を活用したサービス等、社会構造、お客さまのニーズ・価値観の変化に柔軟に対応した現金入出金に捉われないサービスの開発・提供を通じ、ATMの新たな価値提供に向け邁進してまいります。
・決済口座事業
デジタル化、キャッシュレス化、自動化等が進む中、オンラインで簡単便利かつスピーディーに口座が開設できる仕組みを整えてきました。今後は外部との連携も視野に、ユニークな商品サービスを提供するプラットフォームとして拡大させてまいります。
・事業の多角化
当社グループのATM運営・口座運営で追求してきた安心・安全の知見に加え、外部企業との連携から得られる知見を高度に融合させ、お客さまの毎日の暮らしの中に新たな価値を提供してまいります。増加する外国人の方の日本での暮らしに不自由はないのか、また、新しい決済やサービスを誰もが安心・安全にご利用いただける上での脅威はないのか等、社会変化に伴い顕在化しつつある課題解決への貢献をビジネス機会と捉え、2019年6月には外国人の方向けの金融サービスを行う当社連結子会社の株式会社セブン・グローバルレミット(当社出資比率100%)を設立。2019年7月には当社のもつ金融犯罪対策のノウハウを活かしセキュリティ分野の事業を推進する当社連結子会社の株式会社ACSiON(当社出資比率60%)を株式会社電通国際情報サービス(以下、「ISID」という。)と共同で設立する等、柔軟かつ機動的に対応できる組織・体制作りを進めてまいります。
<海外事業セグメント>・米国
米国における当社連結子会社のFCTI, Inc.では、新型コロナウイルス感染症による規制強化等の影響下において、一部ATMの利用件数減少がみられるものの安定稼働を実現しております。中長期視点での更なる収益性の向上を目指し、米国セブン‐イレブンとのシナジー効果を追求した新サービスの準備を進めてまいります。
・アジア
インドネシアにおける当社連結子会社のPT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONALは、現地のパートナー企業とのシナジーを発揮しATM事業を堅実に推進してまいります。加えて、高い経済成長率からATMマーケットの拡大が期待できるフィリピンにおいては、当社連結子会社のPito AxM Platform, Inc.がATM事業開業に向けた準備を推進してまいります。
今般の新型コロナウイルス感染症により、人々の生活や価値観、社会構造は大きく変化することが予想されます。これまで以上に社会の変化、お客さまのニーズの多様化を敏感に捉え、技術革新の成果をスピーディーに取入れた柔軟な対応が必要な時代を迎えます。このため、新型コロナウイルス感染症との共存を前提にした働き方の改革にも積極的に取組み、当社グループのすべての事業領域において、「基本の徹底と変化への対応」、即ち、守るべき強みはしっかりと維持強化する一方、環境変化に対しては従来の発想に捉われることなく、大胆かつ柔軟に、そして機動的かつ積極的に対応することで進化を続けてまいります。