有価証券報告書-第103期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/17 16:25
【資料】
PDFをみる
【項目】
127項目

有報資料

「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「顧客中心主義」を企業理念として掲げ、「個人投資家にとって最高の取引環境を提供すること」を経営理念としております。「顧客中心主義」を実践するために、変化を恐れず、過去や業界の常識に執着せず、常に可能性を追求し、独自の発想に基づくイノベーティブな商品・サービスを先駆けて提供することに努め、顧客の期待に応えます。
(2) 目標とする経営指標
当社は、限られた経営資源を有効活用することで、利益の最大化・株主価値の極大化を図ることを経営目標として掲げており、目標とする経営指標としては、資本の効率性(経営資源の有効活用度)を示すROE(自己資本当期純利益率)が最適と考えております。また、当社は、ROEを持続的な株主価値の創造に関わる重要な指標と位置付けており、中長期的に株主資本コスト(現状8%)を上回るROEを達成することを経営目標としております。
当事業年度のROEは9.8%となり、株式等委託売買代金の減少等を背景に、前事業年度の13.4%から低下しましたが、上記の目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。
(3) 経営環境
当社は、経営資源をオンラインベースのブローキング事業に集中し、「選択と集中」を進めることにより、低コストで効率的なオペレーション体制を維持しております。その結果、当社の経常利益率は同業他社と比較して高い水準を維持しております。また、①オンライン証券会社のパイオニアとしてのブランド・知名度及びそれに基づく信頼性、②お得感のある分かりやすい手数料体系、③シンプルで使い勝手を追求した取引ツール、④店舗を有しないオペレーションの特殊性を踏まえて構築された充実のサポート体制を背景として、顧客からの安定した支持を受けていると考えております。
株式のオンライン取引サービスは、1998年に当社が国内で初めて開始しました。それ以降、個人の株式等委託売買代金に占めるオンライン証券会社顧客の比率は年々上昇を続け、現在では9割近くを占めております。一方、個人の株式保有額に占めるオンライン証券会社顧客の割合は、未だ2割程度に留まっておりますが、その比率は年々拡大しております。対面型の証券会社からオンライン証券会社への株式資産の流入は継続しており、今後も、オンライン証券会社を通じた個人株式等委託売買代金の拡大余地があるものと考えます。
オンライン証券業界においては、個人の株式等委託売買代金は当社を含む主要7社(当社、SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券、マネックス証券、GMOクリック証券、岡三オンライン証券)による寡占状態が続いております。現在、業界における取引手数料は、諸外国と比較して最低水準にまで低下しているため、この数年、顧客の争奪に係る取引手数料の引き下げ競争は落ちついております。個人の株式等委託売買代金における各社のシェアについても、取引手数料の水準に応じて固定化されつつありますが、そのような状況にあって、各社の業容の違いが明確になってきております。当社は、引き続き株式ブローキング事業をコア事業として注力しているため、それに係る収益が大半を占める一方、競合他社の一部においては、FX(外国為替証拠金取引)・投資信託等の株式以外の事業拡大に注力し、収益源の多様化が進められています。
業界における新たな潮流としては、近年、異業種やフィンテックベンチャーによる新規参入が相次いでおります。現在のオンライン証券会社のビジネスモデルは、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えるものの、取引頻度が高い一部の顧客に収益の大半を依存している状況にあります。新規参入の動きは、顧客ひとりひとりの資産規模は小さいながらも、数多くの顧客にアプローチすることで収益をあげるという、ロングテールのビジネスモデルを目指すものです。こうした新たなビジネスモデルへの挑戦は、新規参入業者に限らず、当社のような既存証券会社も含めた業界全体として取り組まれている共通の課題となっています。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
(a)株式ブローキング業務の強化
当社は、オンラインベースの株式ブローキング事業をコア事業として注力しております。オンライン証券業界における個人の株式等委託売買代金シェアを維持・拡大するため、今後も顧客満足度の向上に資する付加価値の高い商品・サービスの開発・提供に取り組み、顧客基盤の強化を図ります。
直近の取り組みとしては、PTS(私設取引システム)への注文の取次ぎを開始し、特に夜間の時間帯における取引機会の拡大を図るとともに、東証立会市場と比較して有利な価格での取引機会を提供する価格改善サービス「ベストマッチ」を開始しました。その他、「貸株サービス」の提供開始や、IPO(新規公開)、PO(公募・売出し)の申込手順の改善、入金サービスの拡充など、取引の利便性向上に努めました。
また、当事業年度においては、株式会社Smart Tradeとの業務・資本提携により、株式投資アルゴリズムプラットフォーム「QuantX(クオンテックス)」とのサービス連携を開始し、同サービスの利用を通じた当社顧客の取引活性化に努めました。当社にはない技術やノウハウを必要とする事業については、フィンテックベンチャー等の外部企業との提携を積極的に進める方針です。
(b)商品・サービスの拡充
当社の主たる収益源である株式ブローキング事業は、取引頻度が高い一部の顧客に依存しており、その結果、株式市況と業績との連動性が高い状況にあります。長期的な事業環境の変化に対応するためには、業容の広がりが不可欠となっており、低コストで効率的なオペレーション体制を維持しつつ、オンラインベースでの商品・サービスの拡充を積極的に進める方針です。
具体的には、2016年11月より投資信託事業を開始し、継続的にサービスの拡充に取り組んでおります。当事業年度においては、投資信託選びや保有する投資信託の見直しをサポートする新たなロボアドバイザー「投信提案ロボ」「投信見直しロボ」の提供を開始したほか、若年層の資産形成を後押しすることを目的に、株式会社MILIZEと共同開発したライフプランシミュレーションツール「松井FP」の提供を開始しました。また、投資未経験者に投資を身近に感じてもらい、将来に向けた資産形成を後押しすることを目的として、当社独自のポイントサービス「松井証券ポイント」を開始しました。投信事業への取り組みは、将来的なアセットサービス拡大に向けた布石と考えております。
またFX事業について、2017年5月に事業モデルを全面的に見直し、顧客の注文を全てカバーするブローキング・モデルから、当社が自己ポジションを持ちながら、直接インターバンク市場へアクセスしてカバー取引を行うトレーディング・モデルへ転換しました。それによって、カバーコストを削減し、収益性が大幅に改善しています。さらに、2019年4月には顧客向けサービスの全面的なリニューアルを行い、パソコン及びスマートフォンの取引チャネルを刷新すると共に、取引通貨ペアの拡大、取引通貨単位の引き下げ等を実施しました。今後も、取引規模の拡大に向けて、継続的に事業の強化を図ります。
(5) 会社の対処すべき課題
(a)顧客基盤の拡大
当社を含むオンライン証券会社は、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えますが、口座数全体に対する稼働口座数の比率は低く、取引頻度が高い一部の顧客に収益の大半を依存しております。そのため、顧客の裾野拡大に継続して取り組むことが今後の課題となっております。当事業年度においては、株主優待を切っ掛けとして株式取引を誘引する大規模なプロモーションやイベントの展開、WEBサイトにおいて新規顧客の獲得や潜在顧客を取引へつなげるための導線を改善するデジタルマーケティングの強化など、引き続き顧客の裾野拡大に取り組みました。
他方、対面型の証券会社に預けられている個人投資家の金融資産は継続的にオンライン証券業界に流入し、個人株式保有額に占めるオンライン証券会社顧客の割合は年々拡大しております。そこで当社としては、取引頻度が高い顧客向けのトレーディングサービスとして株式、先物、FXを継続して強化するとともに、取引頻度は低いものの将来に向けて資産形成を目指す顧客に向けたアセットサービスである投資信託にも注力します。投資信託の分野においても、株式と同様に、対面型の証券会社からオンライン証券会社への顧客及び資産の流入推進に取り組み、新たな顧客層の獲得を図ります。

(b)認知度の向上
当社のコアとなる顧客層は50歳以上の個人投資家であり、口座数全体の半数、顧客の預かり資産残高全体の7割を占めております。このような状況は、オンライン証券業界のみならず、個人向けの金融サービスを提供する業界全体に共通する傾向と考えておりますが、長期的な顧客層の維持・拡大のためには、特に現在の若年層における認知度の向上は重要な課題であり、継続的に当社のブランド・知名度の向上に取り組んでまいります。
当事業年度においては、就職、転職、結婚、出産、子育てといったライフイベントを迎える顧客層をターゲットとしたプロモーションを展開し、広告動画の配信、SNSを活用したキャンペーン等を実施しました。また、新たな顧客層へアプローチするための取り組みとして、女性の健康情報サービス『ルナルナ』アプリと連携し、女性向けのコラムの配信を開始しました。
(c)取引システムの安定性の確保及び取引ツールの拡充
取引システムの安定性の確保は、オンライン証券会社の生命線です。顧客が安心して取引することができるよう、システム障害やサイバー攻撃、自然災害といった想定されるリスクへの対策を講じるとともに、取引量の増加に備えたキャパシティを確保し、取引システムの安定的な稼働に努めます。また、個人投資家にとって最高の取引環境を提供することは当社の経営理念であり、顧客向け取引ツールについてもIT技術の進化・普及等を踏まえて拡充し、個人投資家の取引スタイルの変化に応じた取引環境の提供に努めます。
当事業年度においては、株式取引において全ての気配値を閲覧できる「フル板情報サービス」の提供を開始したほか、投資信託において、購入時の銘柄選びや保有する銘柄の見直しをサポートする新たなロボアドバイザー「投信提案ロボ」、「投信見直しロボ」の提供を開始しました。また、マーケットの変動通知や注文発注に対応したFX向けLINE公式アカウントの開設、音声による情報提供サービス「Amazon Alexa」に対応するスキルの提供開始など、新たな情報ツールや取引チャネルの拡充に注力しました。
(d)コンプライアンス体制の強化及び顧客サポート体制の充実
当社は、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス体制について、より一層の強化に努めます。また、商品・サービスの拡充に伴う業容拡大に対応するため、店舗を有しないオペレーションの特殊性を踏まえ、コールセンターを通じた顧客サポート体制についても更なる充実を図ります。
当事業年度においては、顧客のニーズに応じたサポートを強化することを目的に、顧客の興味・関心に応じて投資情報を提供するパーソナライズド動画の配信や、AIを活用したコールセンター支援サービスを導入するなど、顧客対応品質の向上に努めました。また、長期的な資産形成をサポートすることを目的としてコールセンターに「マネープランサポート」を設け、専門のオペレーターが対応する体制を整えております。なお、当社のコールセンターは、第三者評価機関であるHDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する「2018年度問合せ窓口格付け(証券業界)」において、最高評価の「三つ星」を8年連続で獲得しております。
(e)低コスト体制の維持
証券業の業績は、株式市場の動向に大きく左右されるため、当社の主たる収益源である株式等委託手数料収入や金利収入の振れ幅は比較的大きいといえます。また、業界における各種取引手数料は、諸外国と比較して最低水準にまで低下しております。この数年、顧客の争奪に係る手数料引き下げ競争は落ちついておりますが、米国においてフィンテックベンチャーの参入を契機にオンライン証券業界における手数料引き下げ競争が再燃していること、日本においても新規参入企業が相次いでいることを踏まえると、再び価格競争が生じる可能性は否定できません。そのような中で継続的に利益を生み出すためには、低コスト体制の維持が不可欠であり、引き続きコスト管理について厳格に取り組みます。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。