有価証券報告書-第100期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/20 15:52
【資料】
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【項目】
81項目

対処すべき課題

(1) 顧客基盤の拡大
当社を含むオンライン証券会社は、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えますが、口座数全体に対する稼働口座数の比率は低く、取引頻度が高い一部の顧客に収益の大半を依存している状況にあります。また、こうした顧客の争奪に係る手数料引き下げの過当競争により、オンライン証券会社の収益力は低下しております。そのため、顧客層の裾野拡大に継続して取り組むことが今後の課題となっております。他方、個人株式保有額に占めるオンライン証券5社の割合は年々拡大しており、対面証券に預けられている個人投資家の金融資産は継続的にオンライン証券業界に流入しております。そこで当社としては、取引頻度が高い顧客向けのサービスを継続して強化していくとともに、取引頻度は低いものの預かり資産の多い顧客や将来に向けて資産形成を目指す顧客等のニーズをくみ上げ、商品・サービスとして具現化することにより、顧客基盤の拡大に努めます。
(2) 取引システムの安定性の確保及び取引ツールの拡充
取引システムの安定性の確保は、オンライン証券会社の生命線です。顧客が安心して取引することができるよう、システム障害や自然災害といった想定されるリスクへの対策を講じるとともに、取引量の増加に備えたキャパシティを確保し、取引システムの安定的な稼働に努めます。また、個人投資家にとって最高の取引環境を提供することが他社との差別化に資するため、顧客向け取引ツールについてもIT技術の進化・普及等を踏まえて拡充し、個人投資家の取引スタイルの変化に応じた取引環境の提供に努めます。
(3) コンプライアンス体制の強化及び顧客サポート体制の充実
当社では、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス(法令遵守)体制について、より一層の強化に努めます。また、新商品や新サービス提供等の業容範囲の拡大に対応するため、店舗を有しないオペレーションの特殊性を踏まえ、コールセンターを通じた顧客サポート体制についてもさらなる充実を図ります。
(4) 低コスト体制の維持
証券業の業績は、株式市況の動向に大きく左右され、当社の主たる収益源である株式等委託手数料収入や金利収入の振れ幅は比較的大きいといえます。また、業界における各種取引手数料は、諸外国と比較して最低水準にまで低下しております。その中で継続的に利益を生み出し、株主還元を実施していくためには、低コスト体制の維持が不可欠となっています。効率的な事業オペレーションは、当社の競争優位性にも資するものと考えています。引き続きコスト管理について厳格に取り組むことで、低コスト体制を維持していきます。