有価証券報告書-第22期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社の企業理念に沿った経営を実践するためには、ステークホルダーによる当社の企業理念・企業活動への理解が重要と考えています。したがって、当社は、ステークホルダーが当社を理解し、当社への信頼性を高めることができるよう(イ)企業理念・社会的使命、(ロ)市場運営、(ハ)企業価値向上、(ニ)コーポレート・ガバナンスの実効性という4つの観点から、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めています。
イ.企業理念・社会的使命
当社グループが運営する市場は、公共の財産であり、当社の社会的使命は、その持続的発展を図ることにあります。
ロ.市場運営
当社グループは、その開設する市場に対する支持と信頼こそが、投資者を始めとするすべての市場利用者に共通する利益であり、その維持・向上こそが市場の持続的発展の基礎であるという考え方で市場を運営します。
ハ.企業価値向上
当社が、市場の持続的発展を図るに当たっては、株主を始めとする多様なステークホルダーの期待に応え続けることが必要であり、それによって、当社の中長期的な企業価値の向上を実現します。
ニ.コーポレート・ガバナンスの実効性
当社は、市場の持続的発展を支えるため、そのコーポレート・ガバナンスについて、より実効性が高く適切に機能するものとなるよう、常に改善を図っていきます。
② 会社の機関の内容
当社は、経営の監視・監督機能と業務執行機能を制度上明確に分離し、経営監視・監督機能の強化及び経営の透明性の向上を図るために指名委員会等設置会社形態を採用し、構成メンバーの過半数が社外取締役からなる法定の指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を設置するとともに、業務執行を担当する執行役を置き、経営の監督機能と業務執行機能を分離しております。
当社の各機関の概要は以下のとおりです。なお、取締役会、指名委員会、報酬委員会、リスクポリシー委員会の活動状況等につきましては、⑪取締役会等の活動状況に記載しています。また、監査委員会の活動状況等につきましては、(3)監査の状況に記載しております。
イ.取締役会
当社は、株主を始めとするステークホルダーに対するより一層のアカウンタビリティの確保が必要になるものと認識しており、経営の監視・監督機能と業務執行機能を制度上明確に分離し、経営監視・監督機能の強化及び経営の透明性の向上を図ることが当社のコーポレート・ガバナンス充実により資するものと考え、指名委員会等設置会社を採用しています。取締役会は、経営の基本方針・重要事項の決定を行うとともに、経営の透明性及びアカウンタビリティの向上を図り業務執行の妥当性を監督する機能を強化する観点から過半を社外取締役で構成しています。
提出日現在、当社取締役会は、女性2名を含む13名で構成されており、そのうち9名が独立社外取締役です。当社独立社外取締役9名の内訳は、企業経営者3名、法律専門家1名、公認会計士1名、研究者・行政機関出身者4名で、それぞれの分野で高い見識を認められており、当社の経営に多面的な社外の視点を積極的に取り入れることができる充実した体制となっています。(2023年6月16日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「取締役16名選任の件」を提案しており、当該議案が承認可決されますと、当社の取締役の状況は、取締役16名、うち10名が独立社外取締役となる予定です。)
提出日現在の取締役は以下のとおりです。
津田廣喜氏(取締役会議長)、山道裕己氏(代表執行役グループCEO)、岩永守幸氏(代表執行役グループCOO)、清田瞭氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、鈴木康史氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏
(注)1.津田廣喜氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏は、社外取締役です。
2.津田廣喜氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏は、株式会社東京証券取引所が一般株主保護のため確保を義務付けている独立役員です。
なお、当社の非常勤独立社外取締役が、情報交換や認識共有を図ることで、経営の監督機能をより発揮するとともに、取締役会を更に活性化させることを目的として、非常勤独立社外取締役のみによる会議体「独立社外取締役委員会」を設置しております。委員会が必要と認める場合には、委員会での議論の内容について、委員長が取締役会議長やCEO以下の経営陣にフィードバックし、円滑なコミュニケーションを図ります。
提出日現在の委員は、以下のとおりです。
荻田伍氏(委員長)、遠藤信博氏、大田弘子氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏
ロ.指名・報酬・監査委員会
役員人事に関する透明性・適時性・客観性を確保することを目的とした指名委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としています。指名委員会においては、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容の決定等を行います。
役員報酬に関する透明性・客観性を確保することを目的とした報酬委員会は、5名の取締役で構成され、うち3名を社外取締役としています。報酬委員会においては、取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容を決定します。
監査機能を担う監査委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としています。監査委員会においては、執行役及び取締役の職務の執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行います。
提出日現在における各委員会の委員は、以下のとおりです。
指名委員会:荻田伍氏(委員長)、清田瞭氏、遠藤信博氏、小林栄三氏、米田壯氏
報酬委員会:小林栄三氏(委員長)、清田瞭氏、山道裕己氏、大田弘子氏、森公高氏
監査委員会:森公高氏(委員長)、大田弘子氏、幸田真音氏、鈴木康史氏、竹野康造氏
ハ. リスクポリシー委員会
リスクポリシー委員会は、取締役4名及び執行役1名の計5名で構成され、取締役のうち3名を社外取締役としています。リスクポリシー委員会は、取締役会が当社グループのリスク管理体制を監督することを補佐することにより、当社グループの適切なリスク管理体制の構築に資することを目的として、当社グループにおける適切なリスク管理の構築、運営について協議を行い、取締役会に対してリスクに係る提言等を行うこととしています。
提出日現在の委員は、以下のとおりです。
米田壯氏(委員長)、清田瞭氏、幸田真音氏、竹野康造氏、長谷川勲氏(執行役)
ニ. 執行役会
執行役会は、執行役全員をもって構成し、取締役会付議事項及び取締役会の決議によってCEOが委任を受けた事項のうち業務執行に関する重要事項について協議します。

③ 内部統制システムの整備の状況
内部統制システム構築の基本方針は以下のとおりです。
イ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項
監査委員会の職務を補助する社員に関する事項を定めるために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員は、監査委員会の職務を補助するものとし、監査委員会の指揮命令に服する。
(ⅱ)監査委員会室に所属する社員は、室長1名を含む4名以上とする。
ロ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人の当社の執行役からの独立性に関する事項
監査委員会室に所属する社員の独立性を確保するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員の採用、異動、人事考課、給与及び懲戒については、あらかじめ、監査委員会(監査委員会が特定の監査委員を指名した場合には、当該監査委員)の同意を得るものとする。
(ⅱ)執行役及び社員は、監査委員会室に所属する社員の業務遂行に対して不当な制約を行うことにより、その独立性を阻害することのないよう留意するものとする。
ハ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に対する監査委員会の指示の実効性の確保に関する事項
監査委員会の監査委員会室に所属する社員に対する指示の実効性を確保するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員は、監査委員会の職務を補助するものとし、監査委員会の指揮命令に服する。
(ⅱ)監査委員会室長は監査委員会の職務を補佐し、監査委員会監査の円滑な遂行のために監査委員会室に所属する他の社員を指揮して所管業務を統括する。
ニ.次に掲げる体制その他の当社の監査委員会への報告に関する体制
(ⅰ)当社の取締役(監査委員である取締役を除く。)、執行役及び使用人が当社の監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制
監査委員会に対する報告体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
a.取締役(監査委員である取締役を除く。)、執行役及び社員は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員からその職務の執行に関する事項について報告を求められたときは、速やかに適切な報告を行うものとする。
b.執行役及び社員は、当社、当社の子会社又は関連会社の業務又は財務の状況に重大な影響を及ぼすおそれのある事項を発見したときは、その内容について直ちに監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告しなければならない。
(ⅱ)当社の子会社の取締役、監査役、執行役その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者(以下この号において「子会社取締役等」という。)が当社の監査委員会に報告をするための体制
監査委員会に対する報告体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
a.子会社取締役等又は当社の執行役及び社員は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員から子会社に関する事項について報告を求められたときは、速やかに適切な報告を行うものとする。
b.子会社取締役等又は当社の執行役及び社員は、子会社の業務又は財務の状況に重大な影響を及ぼすおそれのある事項を発見したときは、その内容について直ちに監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告しなければならない。
ホ.前ニ.の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
監査委員会に報告した者が当該報告したことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保する体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告した者は、当社並びに執行役及び社員等から、当該報告をしたことを理由としたいかなる不利益も受けないものとする。
(ⅱ)当社並びに執行役及び社員等は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告した者に対して、当該報告したことを理由としたいかなる不利益も加えてはならない。
ヘ.当社の監査委員の職務の執行(監査委員会の職務の執行に関するものに限る。)について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
監査委員の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関して、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)執行役及び社員は、監査委員又は監査委員会が監査の実施のために弁護士、公認会計士その他の社外の専門家に対して助言を求める又は調査、鑑定その他の事務を委託するなど所要の費用を請求するときは、当該請求に係る費用が監査委員又は監査委員会の職務の執行に必要でないと認められる場合を除き、これを拒むことができない。
(ⅱ)前号の規定は、着手金等の前払、及び事後的に発生した費用等の償還その他の監査委員会の職務の執行に係る費用についても同様とする。
ト.その他当社の監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査委員会による監査の実効性を確保するために、社内規則として、次の事項を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)代表執行役は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員と定期的に会合を持ち、経営方針、当社が対処すべき課題、当社を取り巻く重大なリスク、監査委員会監査の環境整備、監査上の重要課題等について意見交換を行う。
(ⅱ)執行役及び社員は、監査委員会が指名した監査委員が、執行役会その他の重要な会議に出席して意見を述べ、又は説明を求めた場合には、誠実かつ適切に対応するものとする。
チ.当社の執行役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
社内規則において定められた職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する。
コンプライアンス・プログラムを導入し、次の施策を実施する。
(ⅰ)役員及び社員が企業倫理の観点から準拠すべき普遍的価値観を示した「企業行動憲章」や社員の具体的な行動規範を示した行動規範をはじめ、コンプライアンスに関連した社内規則(情報管理に係るものを含む。)の制定及び遵守
(ⅱ)コンプライアンスに係る社内体制として、コンプライアンス責任者(CEO)、コンプライアンス担当役員(総務担当執行役)及びコンプライアンス関連業務事務局(総務部内)を設置
(ⅲ)公益通報制度として、コンプライアンス・ホットラインを設置し運用
(ⅳ)継続的な周知・教育活動として、コンプライアンス担当者との連絡会議の開催やイントラネットを利用したコンプライアンス関連の情報配信、e-ラーニングによる研修の実施
反社会的勢力の排除に向けて、「企業行動憲章」に基づき、次のとおり毅然たる対応を行う。
(ⅰ)市民社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力には断固とした姿勢で臨み、一切の関係遮断に努める。
(ⅱ)反社会的勢力による市場への介入を防止し、健全で公正な市場の構築に努める。
CEO及びCOO直轄の内部監査室を設置して内部監査を実施する。
リ.当社の執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
社内規則において明確化された情報セキュリティ対策基準において、執行役会議事録をはじめとした執行役の職務の執行に係る文書の保管等の取扱いについて規定し、適切に運用する。
ヌ.当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
社内規則において明確化された職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、取締役、執行役及び社員それぞれが自己の職務分掌及び権限に応じ、責任を持ってリスク管理を行うとの認識の下で業務を行うことを基本とする。
当社及びその子会社からなる企業集団(以下「日本取引所グループ各社」という。)のリスクに関して、未然防止の観点からリスク事象の認識と適切な対応策の整備、運用を行うとともに、定期的にその状況が報告される体制を整備するため、次のとおり社外取締役を委員長とするリスクポリシー委員会及びCEOを委員長とするリスク管理委員会を設置するとともに、「リスク管理方針」を制定し、適切に運用することとする。
リスクポリシー委員会は、「リスク管理方針」に定める包括的リスク管理フレームワークに基づく日本取引所グループ各社における重要リスク管理に係る諸事項を協議し、取締役会に提言及び報告を行うものとする。
リスク管理委員会は、日本取引所グループ各社における日々のリスク管理状況及びリスクが顕在化した場合又はそのおそれが生じた場合の状況の総括的な把握、事態の早期解決のための対応等を協議し、取締役会に報告を行うものとする。
特に、市場利用者が安心して取引できる機会を安定的に提供することが市場開設者としての日本取引所グループ各社の責務の根幹であることを強く認識し、システムの安定的稼動に係るリスクについては、その開発及び運用体制において、開発手法の標準化や十分な稼動確認テストの実施、詳細な運用マニュアルの整備とその遵守、更には専門部署の設置による開発及び運用業務に係る品質管理の徹底など、必要十分な対応を図る。
そのうえで、万一の天災地変やテロ行為等により市場開設に係る業務の継続が困難となる状況については、「事業継続基本計画書」を策定し、関係者に対する影響を最小化し、一刻も早い業務の再開を行うために必要な体制、手順等をあらかじめ定めておくことにより、適切な対応を図る。
また、市場開設者である日本取引所グループ各社にとっての自主規制機能の重要性及び社会一般からの日本取引所グループ各社の自主規制機能に対する期待の大きさに鑑み、自主規制機能の適切な発揮に係るリスク(自主規制業務の遂行が不適切であった場合のレピュテーションリスクをはじめとした各種リスクをいう。)については、自主規制業務の独立性確保のための組織上の措置をはじめ、公正性確保のための施策を講じるとともに、積極的に経営資源を投入のうえ、詳細な業務マニュアルの整備とその遵守、教育研修の充実等による自主規制業務の質的向上を追求することにより、万全の対応を図る。
ル.当社の執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
社内規則において明確化された職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、分業体制による業務の専門化・高度化を図る。また、そうした体制の中で、重要度に応じて職務権限を委任できることとし意思決定手続きの機動性向上を図る。
経営層からのトップダウンと事業部門等からのボトムアップを適切に組み合わせながら中期経営計画及び年度予算を策定するとともに、適切な進捗管理等を実施することを通じて職務執行の効率化を図る。
ヲ.当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
(ⅰ)当社の子会社の取締役、執行役その他これらの者に相当する者(以下「子会社の取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づく各種報告を求める。
(ⅱ)当社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づきリスク管理状況に係る報告を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
(ⅲ)当社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
子会社に対し、経営管理契約又は「関係会社管理規則」に基づき、各社の位置付けや規模に応じた適切な子会社管理及び支援等を行うことにより、日本取引所グループ各社における職務執行の効率化を図る。
(ⅳ)当社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
子会社に対し、継続的な周知・教育活動として、日本取引所グループ各社のコンプライアンス担当者との連絡会議の開催やコンプライアンス関連の情報配信を行う。
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づき公益通報制度としてコンプライアンス・ホットラインの導入を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
子会社に対し、経営管理契約又は「関係会社管理規則」に基づき、当社の内部監査室が内部監査を実施し又は子会社自らが内部監査を実施した内容につき報告を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
(ⅴ)その他当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
日本取引所グループ各社の役員及び社員が企業倫理の観点から準拠すべき普遍的価値観を示した「企業行動憲章」を制定する。
④ リスク管理体制の整備の状況
当社では、当社グループの事業活動に関わるリスク管理の方針として、「リスク管理方針」を制定しております。リスク管理方針のもと、当社グループのリスク管理強化を目的として、社外取締役を委員長とするリスクポリシー委員会及びCEOを委員長とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理方針、リスクポリシー委員会の体制・機能及びリスク管理委員会の体制・機能については以下のとおりです(併せて「第2 事業の状況 3事業等のリスク [リスク管理への基本方針]」をご覧ください)。
イ.リスク管理方針
当社グループの事業目的の達成を阻害する要因への適切な対応を行い、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供を図り、もって企業価値の最大化を図ることをリスク管理の目的として定め、当社グループが抱えるリスクを特定したうえで分類し、当該分類ごとにリスク管理の所管部室を定めて管理しております。
ロ.リスクポリシー委員会の体制
リスクポリシー委員会の体制につきましては、②会社の機関の内容 - ハ.リスクポリシー委員会に記載しています。
ハ.リスクポリシー委員会の機能
当社グループでは、社外取締役を中心にしたリスクポリシー委員会を活用することで、当社グループのリスク管理に外部の視点を取り込み、リスク管理におけるガバナンスを強化しております。
リスクポリシー委員会では、当社グループにおいて重点的に対応すべきリスクである「重要リスク」等を検討し、その結果を「包括的リスク管理ステートメント」にとりまとめ、取締役会に提言します。「包括的リスク管理ステートメント」を踏まえ、未然に「重要リスク」等への対応を行うことで、リスクの発現可能性を低減させるとともに、リスクが顕在化した際には機動的な対応を行います。
ニ.リスク管理委員会の体制
リスク管理委員会は委員長、コアメンバー、プロジェクトメンバーより構成されます。委員長はCEOとし、コアメンバーはCEO、COO、総務担当執行役及び総務部長としております。
また、委員長は個別の事案に応じ、コアメンバー以外の執行役及び部長、株式会社東京証券取引所、株式会社大阪取引所、株式会社東京商品取引所、株式会社JPX総研及び株式会社日本証券クリアリング機構の執行役員及び部長並びに日本取引所自主規制法人の常務に従事する理事及び部長からプロジェクトメンバーを指名します。
ホ.リスク管理委員会の機能
リスク管理委員会ではリスク管理に係る基本方針の策定やリスク管理に必要な各種の規則・手順書等の策定やリスクが顕在化した際におけるグループ横断的な指揮・命令、対外処理を行います。
リスク管理委員会で策定された各種規則・手順書等については、定期的にその運用状況等を確認し、必要に応じて運用の改善を命令し、当該規則・手順書等の見直しを実施します。また、リスクが顕在化した際には事故の状況を統括的に把握し、事態の早期収拾のための指揮・命令を行うとともに対外処理(広報、行政対応、訴訟対応等)の統括を行います。
なお、当社グループでは、市場開設者という社会インフラとしての責務を果たすべく、様々なリスクが発現した場合においても、事業を可能な限り継続し、止むを得ず中断する場合においても可能な限り早期に再開できるよう、BCP(緊急時事業継続計画)を策定しており、堅実かつ安定的な事業継続体制の整備に努めております。
⑤ 責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役及び執行役が徒に萎縮することなく職務に専念し、期待される職務を適切に行えるよう、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)及び執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
また、同様の趣旨から、当社と取締役(会社法第427条第1項の業務執行取締役等であるものを除きます。以下「非業務執行取締役」といいます。)は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が規定する額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該非業務執行取締役が責任の原因となった職務を行うにつき善意かつ無重過失であるときに限られます。
⑥ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社グループの取締役、執行役、執行役員、監査役、理事、監事を被保険者とする、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結し、被保険者が当社グループ役員としての業務につき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用等を補償することとしております。なお、保険料は全額当社が負担しております。
⑦ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨を定款に定めております。
⑧ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。
また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
⑨ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を目的として、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
⑩ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、資本政策の機動的な実行等を目的として、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
⑪ 取締役会等の活動状況
イ.取締役会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
(注)取締役静正樹氏は、2023年3月31日付で当社取締役を退任しました。
中期経営計画2024の計画1年目にあたる2022年度においては、3つのFocus「企業のイノベーション・成長と資産形成の循環促進」「マーケット・トランスフォーメーション(MX)の実現」「社会と経済をつなぐサステナビリティの推進」に掲げる各施策についてその進捗状況をモニタリングするとともに、今後の取り組み方針について審議を行いました。特に、戦略的な事業展開の中心となる組織体として設立した㈱JPX総研による上場会社の情報発信・企業価値向上を支援するサービスの拡充に関して、M&Aや出資も含めたパートナーシップの取り組みや今後の成長戦略等について審議を行いました。
また、上記のほか、予算等に関する定例的な議題についても審議を行っています。
ロ.指名委員会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
2022年度は、CEOのサクセッションプランに基づき、CEOの後継候補者に関する審議や今後の社外取締役候補者に関する審議を中心に行いました。
ハ.報酬委員会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
2022年度は、当社グループにおける役員報酬に関し、個人別の基本報酬、年次インセンティブ及び中長期インセンティブ等について審議を行いました。
ニ.リスクポリシー委員会
リスクポリシー委員会は、原則として年2回以上開催することとしており、2022年度は2回開催(全委員が出席)し、当社グループにおいて重点的に対応すべきリスクである「重要リスク」等についての協議を行い、「包括的リスク管理ステートメント」としてとりまとめたうえで、取締役会に提言しております。
なお、監査委員会の2022年度の具体的な活動状況等は、(3)監査の状況に記載しております。
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社の企業理念に沿った経営を実践するためには、ステークホルダーによる当社の企業理念・企業活動への理解が重要と考えています。したがって、当社は、ステークホルダーが当社を理解し、当社への信頼性を高めることができるよう(イ)企業理念・社会的使命、(ロ)市場運営、(ハ)企業価値向上、(ニ)コーポレート・ガバナンスの実効性という4つの観点から、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めています。
イ.企業理念・社会的使命
当社グループが運営する市場は、公共の財産であり、当社の社会的使命は、その持続的発展を図ることにあります。
ロ.市場運営
当社グループは、その開設する市場に対する支持と信頼こそが、投資者を始めとするすべての市場利用者に共通する利益であり、その維持・向上こそが市場の持続的発展の基礎であるという考え方で市場を運営します。
ハ.企業価値向上
当社が、市場の持続的発展を図るに当たっては、株主を始めとする多様なステークホルダーの期待に応え続けることが必要であり、それによって、当社の中長期的な企業価値の向上を実現します。
ニ.コーポレート・ガバナンスの実効性
当社は、市場の持続的発展を支えるため、そのコーポレート・ガバナンスについて、より実効性が高く適切に機能するものとなるよう、常に改善を図っていきます。
② 会社の機関の内容
当社は、経営の監視・監督機能と業務執行機能を制度上明確に分離し、経営監視・監督機能の強化及び経営の透明性の向上を図るために指名委員会等設置会社形態を採用し、構成メンバーの過半数が社外取締役からなる法定の指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を設置するとともに、業務執行を担当する執行役を置き、経営の監督機能と業務執行機能を分離しております。
当社の各機関の概要は以下のとおりです。なお、取締役会、指名委員会、報酬委員会、リスクポリシー委員会の活動状況等につきましては、⑪取締役会等の活動状況に記載しています。また、監査委員会の活動状況等につきましては、(3)監査の状況に記載しております。
イ.取締役会
当社は、株主を始めとするステークホルダーに対するより一層のアカウンタビリティの確保が必要になるものと認識しており、経営の監視・監督機能と業務執行機能を制度上明確に分離し、経営監視・監督機能の強化及び経営の透明性の向上を図ることが当社のコーポレート・ガバナンス充実により資するものと考え、指名委員会等設置会社を採用しています。取締役会は、経営の基本方針・重要事項の決定を行うとともに、経営の透明性及びアカウンタビリティの向上を図り業務執行の妥当性を監督する機能を強化する観点から過半を社外取締役で構成しています。
提出日現在、当社取締役会は、女性2名を含む13名で構成されており、そのうち9名が独立社外取締役です。当社独立社外取締役9名の内訳は、企業経営者3名、法律専門家1名、公認会計士1名、研究者・行政機関出身者4名で、それぞれの分野で高い見識を認められており、当社の経営に多面的な社外の視点を積極的に取り入れることができる充実した体制となっています。(2023年6月16日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「取締役16名選任の件」を提案しており、当該議案が承認可決されますと、当社の取締役の状況は、取締役16名、うち10名が独立社外取締役となる予定です。)
提出日現在の取締役は以下のとおりです。
津田廣喜氏(取締役会議長)、山道裕己氏(代表執行役グループCEO)、岩永守幸氏(代表執行役グループCOO)、清田瞭氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、鈴木康史氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏
(注)1.津田廣喜氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏は、社外取締役です。
2.津田廣喜氏、遠藤信博氏、大田弘子氏、荻田伍氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏は、株式会社東京証券取引所が一般株主保護のため確保を義務付けている独立役員です。
なお、当社の非常勤独立社外取締役が、情報交換や認識共有を図ることで、経営の監督機能をより発揮するとともに、取締役会を更に活性化させることを目的として、非常勤独立社外取締役のみによる会議体「独立社外取締役委員会」を設置しております。委員会が必要と認める場合には、委員会での議論の内容について、委員長が取締役会議長やCEO以下の経営陣にフィードバックし、円滑なコミュニケーションを図ります。
提出日現在の委員は、以下のとおりです。
荻田伍氏(委員長)、遠藤信博氏、大田弘子氏、幸田真音氏、小林栄三氏、竹野康造氏、森公高氏、米田壯氏
ロ.指名・報酬・監査委員会
役員人事に関する透明性・適時性・客観性を確保することを目的とした指名委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としています。指名委員会においては、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容の決定等を行います。
役員報酬に関する透明性・客観性を確保することを目的とした報酬委員会は、5名の取締役で構成され、うち3名を社外取締役としています。報酬委員会においては、取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容を決定します。
監査機能を担う監査委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としています。監査委員会においては、執行役及び取締役の職務の執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行います。
提出日現在における各委員会の委員は、以下のとおりです。
指名委員会:荻田伍氏(委員長)、清田瞭氏、遠藤信博氏、小林栄三氏、米田壯氏
報酬委員会:小林栄三氏(委員長)、清田瞭氏、山道裕己氏、大田弘子氏、森公高氏
監査委員会:森公高氏(委員長)、大田弘子氏、幸田真音氏、鈴木康史氏、竹野康造氏
ハ. リスクポリシー委員会
リスクポリシー委員会は、取締役4名及び執行役1名の計5名で構成され、取締役のうち3名を社外取締役としています。リスクポリシー委員会は、取締役会が当社グループのリスク管理体制を監督することを補佐することにより、当社グループの適切なリスク管理体制の構築に資することを目的として、当社グループにおける適切なリスク管理の構築、運営について協議を行い、取締役会に対してリスクに係る提言等を行うこととしています。
提出日現在の委員は、以下のとおりです。
米田壯氏(委員長)、清田瞭氏、幸田真音氏、竹野康造氏、長谷川勲氏(執行役)
ニ. 執行役会
執行役会は、執行役全員をもって構成し、取締役会付議事項及び取締役会の決議によってCEOが委任を受けた事項のうち業務執行に関する重要事項について協議します。

③ 内部統制システムの整備の状況
内部統制システム構築の基本方針は以下のとおりです。
イ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項
監査委員会の職務を補助する社員に関する事項を定めるために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員は、監査委員会の職務を補助するものとし、監査委員会の指揮命令に服する。
(ⅱ)監査委員会室に所属する社員は、室長1名を含む4名以上とする。
ロ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人の当社の執行役からの独立性に関する事項
監査委員会室に所属する社員の独立性を確保するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員の採用、異動、人事考課、給与及び懲戒については、あらかじめ、監査委員会(監査委員会が特定の監査委員を指名した場合には、当該監査委員)の同意を得るものとする。
(ⅱ)執行役及び社員は、監査委員会室に所属する社員の業務遂行に対して不当な制約を行うことにより、その独立性を阻害することのないよう留意するものとする。
ハ.当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に対する監査委員会の指示の実効性の確保に関する事項
監査委員会の監査委員会室に所属する社員に対する指示の実効性を確保するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会の職務を補助する社員に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会室に所属する社員は、監査委員会の職務を補助するものとし、監査委員会の指揮命令に服する。
(ⅱ)監査委員会室長は監査委員会の職務を補佐し、監査委員会監査の円滑な遂行のために監査委員会室に所属する他の社員を指揮して所管業務を統括する。
ニ.次に掲げる体制その他の当社の監査委員会への報告に関する体制
(ⅰ)当社の取締役(監査委員である取締役を除く。)、執行役及び使用人が当社の監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制
監査委員会に対する報告体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
a.取締役(監査委員である取締役を除く。)、執行役及び社員は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員からその職務の執行に関する事項について報告を求められたときは、速やかに適切な報告を行うものとする。
b.執行役及び社員は、当社、当社の子会社又は関連会社の業務又は財務の状況に重大な影響を及ぼすおそれのある事項を発見したときは、その内容について直ちに監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告しなければならない。
(ⅱ)当社の子会社の取締役、監査役、執行役その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者(以下この号において「子会社取締役等」という。)が当社の監査委員会に報告をするための体制
監査委員会に対する報告体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
a.子会社取締役等又は当社の執行役及び社員は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員から子会社に関する事項について報告を求められたときは、速やかに適切な報告を行うものとする。
b.子会社取締役等又は当社の執行役及び社員は、子会社の業務又は財務の状況に重大な影響を及ぼすおそれのある事項を発見したときは、その内容について直ちに監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告しなければならない。
ホ.前ニ.の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
監査委員会に報告した者が当該報告したことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保する体制を整備するために、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告した者は、当社並びに執行役及び社員等から、当該報告をしたことを理由としたいかなる不利益も受けないものとする。
(ⅱ)当社並びに執行役及び社員等は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員に報告した者に対して、当該報告したことを理由としたいかなる不利益も加えてはならない。
ヘ.当社の監査委員の職務の執行(監査委員会の職務の執行に関するものに限る。)について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
監査委員の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関して、社内規則として、次の内容を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)執行役及び社員は、監査委員又は監査委員会が監査の実施のために弁護士、公認会計士その他の社外の専門家に対して助言を求める又は調査、鑑定その他の事務を委託するなど所要の費用を請求するときは、当該請求に係る費用が監査委員又は監査委員会の職務の執行に必要でないと認められる場合を除き、これを拒むことができない。
(ⅱ)前号の規定は、着手金等の前払、及び事後的に発生した費用等の償還その他の監査委員会の職務の執行に係る費用についても同様とする。
ト.その他当社の監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査委員会による監査の実効性を確保するために、社内規則として、次の事項を含む「監査委員会への報告等に関する規則」を制定し、適切に運用することとする。
(ⅰ)代表執行役は、監査委員会又は監査委員会が指名した監査委員と定期的に会合を持ち、経営方針、当社が対処すべき課題、当社を取り巻く重大なリスク、監査委員会監査の環境整備、監査上の重要課題等について意見交換を行う。
(ⅱ)執行役及び社員は、監査委員会が指名した監査委員が、執行役会その他の重要な会議に出席して意見を述べ、又は説明を求めた場合には、誠実かつ適切に対応するものとする。
チ.当社の執行役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
社内規則において定められた職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する。
コンプライアンス・プログラムを導入し、次の施策を実施する。
(ⅰ)役員及び社員が企業倫理の観点から準拠すべき普遍的価値観を示した「企業行動憲章」や社員の具体的な行動規範を示した行動規範をはじめ、コンプライアンスに関連した社内規則(情報管理に係るものを含む。)の制定及び遵守
(ⅱ)コンプライアンスに係る社内体制として、コンプライアンス責任者(CEO)、コンプライアンス担当役員(総務担当執行役)及びコンプライアンス関連業務事務局(総務部内)を設置
(ⅲ)公益通報制度として、コンプライアンス・ホットラインを設置し運用
(ⅳ)継続的な周知・教育活動として、コンプライアンス担当者との連絡会議の開催やイントラネットを利用したコンプライアンス関連の情報配信、e-ラーニングによる研修の実施
反社会的勢力の排除に向けて、「企業行動憲章」に基づき、次のとおり毅然たる対応を行う。
(ⅰ)市民社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力には断固とした姿勢で臨み、一切の関係遮断に努める。
(ⅱ)反社会的勢力による市場への介入を防止し、健全で公正な市場の構築に努める。
CEO及びCOO直轄の内部監査室を設置して内部監査を実施する。
リ.当社の執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
社内規則において明確化された情報セキュリティ対策基準において、執行役会議事録をはじめとした執行役の職務の執行に係る文書の保管等の取扱いについて規定し、適切に運用する。
ヌ.当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
社内規則において明確化された職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、取締役、執行役及び社員それぞれが自己の職務分掌及び権限に応じ、責任を持ってリスク管理を行うとの認識の下で業務を行うことを基本とする。
当社及びその子会社からなる企業集団(以下「日本取引所グループ各社」という。)のリスクに関して、未然防止の観点からリスク事象の認識と適切な対応策の整備、運用を行うとともに、定期的にその状況が報告される体制を整備するため、次のとおり社外取締役を委員長とするリスクポリシー委員会及びCEOを委員長とするリスク管理委員会を設置するとともに、「リスク管理方針」を制定し、適切に運用することとする。
リスクポリシー委員会は、「リスク管理方針」に定める包括的リスク管理フレームワークに基づく日本取引所グループ各社における重要リスク管理に係る諸事項を協議し、取締役会に提言及び報告を行うものとする。
リスク管理委員会は、日本取引所グループ各社における日々のリスク管理状況及びリスクが顕在化した場合又はそのおそれが生じた場合の状況の総括的な把握、事態の早期解決のための対応等を協議し、取締役会に報告を行うものとする。
特に、市場利用者が安心して取引できる機会を安定的に提供することが市場開設者としての日本取引所グループ各社の責務の根幹であることを強く認識し、システムの安定的稼動に係るリスクについては、その開発及び運用体制において、開発手法の標準化や十分な稼動確認テストの実施、詳細な運用マニュアルの整備とその遵守、更には専門部署の設置による開発及び運用業務に係る品質管理の徹底など、必要十分な対応を図る。
そのうえで、万一の天災地変やテロ行為等により市場開設に係る業務の継続が困難となる状況については、「事業継続基本計画書」を策定し、関係者に対する影響を最小化し、一刻も早い業務の再開を行うために必要な体制、手順等をあらかじめ定めておくことにより、適切な対応を図る。
また、市場開設者である日本取引所グループ各社にとっての自主規制機能の重要性及び社会一般からの日本取引所グループ各社の自主規制機能に対する期待の大きさに鑑み、自主規制機能の適切な発揮に係るリスク(自主規制業務の遂行が不適切であった場合のレピュテーションリスクをはじめとした各種リスクをいう。)については、自主規制業務の独立性確保のための組織上の措置をはじめ、公正性確保のための施策を講じるとともに、積極的に経営資源を投入のうえ、詳細な業務マニュアルの整備とその遵守、教育研修の充実等による自主規制業務の質的向上を追求することにより、万全の対応を図る。
ル.当社の執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
社内規則において明確化された職務分掌及び権限に基づいて業務運営を行う体制とし、分業体制による業務の専門化・高度化を図る。また、そうした体制の中で、重要度に応じて職務権限を委任できることとし意思決定手続きの機動性向上を図る。
経営層からのトップダウンと事業部門等からのボトムアップを適切に組み合わせながら中期経営計画及び年度予算を策定するとともに、適切な進捗管理等を実施することを通じて職務執行の効率化を図る。
ヲ.当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
(ⅰ)当社の子会社の取締役、執行役その他これらの者に相当する者(以下「子会社の取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づく各種報告を求める。
(ⅱ)当社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づきリスク管理状況に係る報告を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
(ⅲ)当社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
子会社に対し、経営管理契約又は「関係会社管理規則」に基づき、各社の位置付けや規模に応じた適切な子会社管理及び支援等を行うことにより、日本取引所グループ各社における職務執行の効率化を図る。
(ⅳ)当社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
子会社に対し、継続的な周知・教育活動として、日本取引所グループ各社のコンプライアンス担当者との連絡会議の開催やコンプライアンス関連の情報配信を行う。
子会社に対し、経営管理契約に基づく経営管理を行い又は「関係会社管理規則」に基づき公益通報制度としてコンプライアンス・ホットラインの導入を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
子会社に対し、経営管理契約又は「関係会社管理規則」に基づき、当社の内部監査室が内部監査を実施し又は子会社自らが内部監査を実施した内容につき報告を求めるとともに必要に応じて助言等を行う。
(ⅴ)その他当社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
日本取引所グループ各社の役員及び社員が企業倫理の観点から準拠すべき普遍的価値観を示した「企業行動憲章」を制定する。
④ リスク管理体制の整備の状況
当社では、当社グループの事業活動に関わるリスク管理の方針として、「リスク管理方針」を制定しております。リスク管理方針のもと、当社グループのリスク管理強化を目的として、社外取締役を委員長とするリスクポリシー委員会及びCEOを委員長とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理方針、リスクポリシー委員会の体制・機能及びリスク管理委員会の体制・機能については以下のとおりです(併せて「第2 事業の状況 3事業等のリスク [リスク管理への基本方針]」をご覧ください)。
イ.リスク管理方針
当社グループの事業目的の達成を阻害する要因への適切な対応を行い、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供を図り、もって企業価値の最大化を図ることをリスク管理の目的として定め、当社グループが抱えるリスクを特定したうえで分類し、当該分類ごとにリスク管理の所管部室を定めて管理しております。
ロ.リスクポリシー委員会の体制
リスクポリシー委員会の体制につきましては、②会社の機関の内容 - ハ.リスクポリシー委員会に記載しています。
ハ.リスクポリシー委員会の機能
当社グループでは、社外取締役を中心にしたリスクポリシー委員会を活用することで、当社グループのリスク管理に外部の視点を取り込み、リスク管理におけるガバナンスを強化しております。
リスクポリシー委員会では、当社グループにおいて重点的に対応すべきリスクである「重要リスク」等を検討し、その結果を「包括的リスク管理ステートメント」にとりまとめ、取締役会に提言します。「包括的リスク管理ステートメント」を踏まえ、未然に「重要リスク」等への対応を行うことで、リスクの発現可能性を低減させるとともに、リスクが顕在化した際には機動的な対応を行います。
ニ.リスク管理委員会の体制
リスク管理委員会は委員長、コアメンバー、プロジェクトメンバーより構成されます。委員長はCEOとし、コアメンバーはCEO、COO、総務担当執行役及び総務部長としております。
また、委員長は個別の事案に応じ、コアメンバー以外の執行役及び部長、株式会社東京証券取引所、株式会社大阪取引所、株式会社東京商品取引所、株式会社JPX総研及び株式会社日本証券クリアリング機構の執行役員及び部長並びに日本取引所自主規制法人の常務に従事する理事及び部長からプロジェクトメンバーを指名します。
ホ.リスク管理委員会の機能
リスク管理委員会ではリスク管理に係る基本方針の策定やリスク管理に必要な各種の規則・手順書等の策定やリスクが顕在化した際におけるグループ横断的な指揮・命令、対外処理を行います。
リスク管理委員会で策定された各種規則・手順書等については、定期的にその運用状況等を確認し、必要に応じて運用の改善を命令し、当該規則・手順書等の見直しを実施します。また、リスクが顕在化した際には事故の状況を統括的に把握し、事態の早期収拾のための指揮・命令を行うとともに対外処理(広報、行政対応、訴訟対応等)の統括を行います。
なお、当社グループでは、市場開設者という社会インフラとしての責務を果たすべく、様々なリスクが発現した場合においても、事業を可能な限り継続し、止むを得ず中断する場合においても可能な限り早期に再開できるよう、BCP(緊急時事業継続計画)を策定しており、堅実かつ安定的な事業継続体制の整備に努めております。
⑤ 責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役及び執行役が徒に萎縮することなく職務に専念し、期待される職務を適切に行えるよう、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)及び執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
また、同様の趣旨から、当社と取締役(会社法第427条第1項の業務執行取締役等であるものを除きます。以下「非業務執行取締役」といいます。)は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が規定する額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該非業務執行取締役が責任の原因となった職務を行うにつき善意かつ無重過失であるときに限られます。
⑥ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社グループの取締役、執行役、執行役員、監査役、理事、監事を被保険者とする、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結し、被保険者が当社グループ役員としての業務につき行った行為(不作為を含む。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用等を補償することとしております。なお、保険料は全額当社が負担しております。
⑦ 取締役の定数
当社の取締役は15名以内とする旨を定款に定めております。
⑧ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。
また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
⑨ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を目的として、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
⑩ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、資本政策の機動的な実行等を目的として、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
⑪ 取締役会等の活動状況
イ.取締役会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
地位 | 氏名 | 出席状況 |
社外取締役(取締役会議長) | 津田廣喜 | 100%(11回/11回) |
取締役兼代表執行役グループCEO | 清田 瞭 | 100%(11回/11回) |
取締役兼代表執行役グループCOO | 山道裕己 | 100%(11回/11回) |
取締役兼執行役 | 岩永守幸 | 100%(11回/11回) |
取締役兼執行役 | 静 正樹 | 100%(11回/11回) |
社外取締役 | 遠藤信博 | 91%(10回/11回) |
社外取締役 | 大田弘子 | 100%(9回/9回) |
社外取締役 | 荻田 伍 | 100%(11回/11回) |
社外取締役 | 幸田真音 | 100%(11回/11回) |
社外取締役 | 小林栄三 | 100%(11回/11回) |
取締役 | 鈴木康史 | 100%(9回/9回) |
社外取締役 | 竹野康造 | 100%(11回/11回) |
社外取締役 | 森 公高 | 100%(11回/11回) |
社外取締役 | 米田 壯 | 100%(11回/11回) |
(注)取締役静正樹氏は、2023年3月31日付で当社取締役を退任しました。
中期経営計画2024の計画1年目にあたる2022年度においては、3つのFocus「企業のイノベーション・成長と資産形成の循環促進」「マーケット・トランスフォーメーション(MX)の実現」「社会と経済をつなぐサステナビリティの推進」に掲げる各施策についてその進捗状況をモニタリングするとともに、今後の取り組み方針について審議を行いました。特に、戦略的な事業展開の中心となる組織体として設立した㈱JPX総研による上場会社の情報発信・企業価値向上を支援するサービスの拡充に関して、M&Aや出資も含めたパートナーシップの取り組みや今後の成長戦略等について審議を行いました。
また、上記のほか、予算等に関する定例的な議題についても審議を行っています。
ロ.指名委員会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
地位 | 氏名 | 出席状況 |
委員長 | 荻田 伍 | 100%(12回/12回) |
委員 | 清田 瞭 | 100%(12回/12回) |
委員 | 遠藤信博 | 92%(11回/12回) |
委員 | 小林栄三 | 100%(12回/12回) |
委員 | 米田 壯 | 100%(12回/12回) |
2022年度は、CEOのサクセッションプランに基づき、CEOの後継候補者に関する審議や今後の社外取締役候補者に関する審議を中心に行いました。
ハ.報酬委員会
2022年度における活動状況は次のとおりです。
地位 | 氏名 | 出席状況 |
委員長 | 小林栄三 | 100%(4回/4回) |
委員 | 清田 瞭 | 100%(4回/4回) |
委員 | 山道裕己 | 100%(4回/4回) |
委員 | 大田弘子 | 100%(2回/2回) |
委員 | 森 公高 | 100%(4回/4回) |
2022年度は、当社グループにおける役員報酬に関し、個人別の基本報酬、年次インセンティブ及び中長期インセンティブ等について審議を行いました。
ニ.リスクポリシー委員会
リスクポリシー委員会は、原則として年2回以上開催することとしており、2022年度は2回開催(全委員が出席)し、当社グループにおいて重点的に対応すべきリスクである「重要リスク」等についての協議を行い、「包括的リスク管理ステートメント」としてとりまとめたうえで、取締役会に提言しております。
なお、監査委員会の2022年度の具体的な活動状況等は、(3)監査の状況に記載しております。