有価証券報告書-第17期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 11:59
【資料】
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【項目】
134項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針 当社はオンライン金融事業を営むマネックス証券株式会社(日本)及びTradeStation Group, Inc.(米国)並びに暗号資産交換業を営むコインチェック株式会社(日本)を中核子会社として、その他国内外に金融関連の子会社及び持分法適用会社を有する持株会社です。当社グループは、次に掲げる企業理念および行動指針を基に、個人投資家の日々の生活及び資産形成に必要な総合金融サービスの提供を目指していきます。
① 企業理念
MONEXとはMONEYのYを一歩進め、一足先の未来における人の活動を表しています。
常に変化し続ける未来に向けてマネックスグループは、最先端のIT技術と、グローバルで普遍的な価値観とプロフェッショナリズムを備え、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインすると共に、個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化することを目指します。
② 行動指針
・お客さまと社員の多様性を尊重します。
・最先端のIT技術と金融知識の追究を惜しみません。
・新しい価値を創造しステークホルダーに貢献します。
(2) 目標とする経営指標及び現状の経営環境 当社グループは連結における年度の業績予算を策定していますが、当社グループがオンライン証券ビジネスやクリプトアセットビジネスなどをグローバルに展開しており、経済環境や相場環境等の影響を大きく受けるため、業績予想を行うことが困難な状況にあります。当社の業績予想および収益計画は、投資家に対して誤った情報を提供する可能性があることから適切でないと考えているため、開示しておりません。一方、資本効率に関する目標としてROEが妥当と考えており、10%を達成すべき水準と考えております。
2021年3月期は、2010年に掲げた「グローバル・ヴィジョン」によるオンライン証券業の海外展開と、2017年の「第二の創業」による暗号資産関連事業への参入という、かねて当社グループが掲げてきたビジョンがついに実を結び、株価上昇にみられるように、大きな企業価値向上を実現した1年となりました。当社は、過去に掲げたビジョンが業績に結実した2021年3月期に続き、2022年3月期も企業理念の実現に向けた経営施策を実行します。昨今、新型コロナウイルス感染拡大による新たな生活様式の広まり等を背景に、様々な環境変化の中でも事業機会を逃さない、機動的かつ先見的な経営の重要性が高まっています。このような中、当社は、個人の生活・経済活動をを支える企業体として、そのミッションも進化させるべきとの認識の下、このたび企業理念を改定しました。今後、マネックスグループおよび各セグメントは、この新たな理念の実現を通して持続的な企業価値向上を目指していきます。
(3) 対処すべき課題
当社グループは、安定したコア事業であるオンライン証券事業や暗号資産販売所事業以外の収益ドライバーの構築を課題と認識しており、新たなビジネスモデルへの転換に長期的な観点で取り組んでいます。日本セグメントにおいてはブローカーモデルからアセマネモデルへの移行、米国セグメントについては顧客基盤の多様化および強化、クリプトアセット事業セグメントについては新事業展開を進めていきます。
1)日本セグメント
日本セグメントは、日本株売買にかかる委託手数料依存度の軽減および収益構造の変革が重要な課題であり、アセマネモデル推進を継続して取組みます。お客様の資産増加に資する商品・サービスの提供およびグループ各社の運用力を活かした運用アドバイスの提供により、預かり資産を増やすとともに日本株市況に依存しない安定的な収益を積み上げていきます。
例えば、米国株取引は、時間外取引、豊富な注文方法、スマホアプリおよび銘柄スカウター米国株などの機能やアナリストによるきめ細やかな情報提供が評価され、2021年度で大きく伸ばしました。また、投信つみたておよび貸株などのストック型ビジネスを拡充させました。更に、独立系フィナンシャルアドバイザーとの協業により富裕層との取引を仲介する「IFAサービス」や、若年層から注目度の高い暗号資産サービス「マネックスビットコイン(暗号資産CFD)」の提供により、従来の顧客層とは異なる投資家層へのアクセスが可能となりました。これらの施策を着実に実施することで、預かり資産の増加を見込んでいます。
また、新たなプラットフォームビジネスとして、マネックス証券の証券取引システム上で新生銀行グループのお客様の資産管理が可能となる包括的業務提携を進めています。新生銀行グループのお客様の多様なニーズに適した金融サービスを提供することができ、さらなる預かり資産の増加を見込んでいます。この提携を機に他の金融機関との提携も視野に入れた業務拡大を図り、収益拡大を目指します。
更に、アセマネモデル推進における中核的な商品である「マネックス・アクティビスト・ファンド」は、日本の株式市場の活性化を目指し、企業の実質的な価値を高めるためのエンゲージメント活動に取組んでいます。中長期的な成長分野である本ファンドの運用残高拡大が個人投資家の資産増大および日本株の株価向上につながると考えます。
2)米国セグメント
米国のTradeStationは、長年にわたり高評価を得ている自社開発の取引プラットフォームを強みとし、取引数の多いアクティブトレーダーを中心とした顧客から高い支持を受けています。近年は、ゼロ手数料化に加え、コロナ禍を自宅で過ごす人々の増大、世界的な金融緩和を背景とした株式相場の上昇等を背景に、アクティブトレーダー層やよりカジュアルなトレーダー層が増大しており、稼働口座数や預かり資産は過去最高を記録しています。 米国セグメントは、TradeStationに対する認知度が高くないことが課題であると認識しており、マーケティングを強化すること等により、顧客基盤を強化し更なる成長を目指します。
戦略的成長ドライバーとしては、クリプトアセットビジネス(暗号資産取引および貸暗号資産)に期待しています。例えば、投資家の保有暗号資産に付利する「Crypto Earn」は、超低金利の環境下において投資家に安定的な金利収入を得る機会を提供するサービスとして、収益の柱となる商品に成長してきました。TradeStationは引き続き暗号資産市場の活況に伴うアップサイドを狙っていきます。
顧客基盤の多様化と強化については、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携を通じたパートナー数が74社(2021年3月末現在)に達し、パートナー企業の顧客からの取引などが着実に増大しています。また、トレーディングコミュニティサービス「YouCanTrade」は、投資スキルおよび投資成績を高めたいと希望するユーザーに対して熟練のコーチがトレーディングに関する教育を実施して報酬を得るサービスです。YouCanTradeによってよりカジュアルなトレーダー層や投資経験の浅い層にも金融商品取引サービスを訴求してさらなる新たな顧客層を獲得し、成長加速に努めていきます。
3)クリプトアセット事業セグメント
暗号資産交換業を営むコインチェック株式会社(以下、「コインチェック」とする)は、ミレニアル世代を中心とした資産運用未経験層が主な顧客層であり、BTCを含む16種類の暗号資産を取引できる国内No.1販売所の売買価格スプレッドを主な収益源としています。また、口座開設から暗号資産のウォレット管理までの全ての暗号資産取引に関する処理を内製化したシステム内で管理できる高い技術力が強みです。
取引ボリュームは暗号資産市場のボラティリティなどにより増減し、販売所からの収益は市況の影響を大きく受けるため、暗号資産取引量に大きく依存する収益構造からの変革が喫緊の課題です。
具体的には、バーチャル株主総会運営支援サービス「Sharely」のサービス提供、代替不可能トークンであるNFT(Non Fungible Token)マーケットプレイス事業、およびトークン発行による資金調達とマーケティングを暗号資産取引所が支援するIEO(Initial Exchange Offering)などの取組みを通じて、コインチェックの強みである高い商品開発力、技術力を活用して新たな価値創造に取り組みます。NFTマーケットプレイス事業は、コインチェックに口座をお持ちの方であればワンストップでNFTの出品・購入・保管ができる「Coincheck NFT」と、オンチェーン(ブロックチェーンに直接取引データを記録する取引形態)でのNFTマーケットプレイス(miime)の提供により、NFTの取引市場拡大に貢献していきます。
更に、個人投資家の投資の選択肢を広げるために安心して取引できる新たな暗号資産の取扱の追加にも引き続き取り組んでいます(2021年3月期はBasic Attention Token、IOST、Enjin Coinの取扱を開始、うちIOSTとEnjin Coinは国内初の取扱)。
4)アジア・パシフィックセグメント
アジア・パシフィックセグメントについては、中核であるマネックスBoom証券の収支は安定する規模に成長しているものの、2018年よりオンライン証券事業を開始したマネックスオーストラリア証券と合わせたアジア・パシフィックセグメントとして、継続的に利益を計上する構造の構築が喫緊の課題です。中国大陸からの顧客獲得や、マネックスBoom証券とマネックスオーストラリア証券が協力してマーケティング手法の長所を相互に活用したり、共通コストの削減等を通じて、安定的に利益が上がるようにシナジーを追求していきます。
5)投資事業セグメント
投資セグメントにおける投資件数は、マネックスベンチャーズが設立したMV1号投資事業有限責任組合を含め、セグメント全体で95件(2021年3月末現在)となりました。うち、マネックスベンチャーズが設立したMV1号投資事業有限責任組合では、デジタルテクノロジーを活用した先進的、革新的なサービスを提供する有望なスタートアップへの投資活動は順調に進んでおります。今後は、投資先管理の強化およびEXIT実績を積み上げて実現益を獲得していくことが課題です。少数精鋭チームで効率的なファンド運営を心掛けるとともに、IPO等の出口戦略を意識してEXIT機会の創出にも注力していきます。また、MV1号投資事業有限責任組合は投資組入れが終了したため、次号ファンドの設立により有望な投資先への投資活動を継続していきます。
6)その他
昨年から継続する新型コロナウイルス感染拡大による影響は現時点において僅少と認識しておりますが、今後の事業環境の変化および市況の悪化による取引量の大幅減少など影響が生じる可能性があります。

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