有価証券報告書-第101期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)戦略
当社グループは、サステナビリティに関する取組が当社グループの事業活動に与える影響について、その重要性が相対的に高いと考えられるサステナビリティ課題から順次影響度を評価し、事業戦略に組み込むべきと考えております。
こうした考えのもと、当社グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、重要度の高い課題の中から特に優先して取り組むべきものを、マテリアリティとして特定しております。

当連結会計年度の終了時点においては、当社グループが掲げるマテリアリティのうちE(環境)、S(社会)に関するものとして「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する取組を、特に重要性が高いものとして事業戦略に組み込んでおり、その内容については以下のとおりであります。
① 気候変動に対するレジリエンス強化
気候変動がもたらす当社グループへの財務的影響を評価し、当社グループの中長期的な事業戦略に組み込むため、TCFDが提言するフレームワークに沿って、シナリオ分析を行いました。
(イ)シナリオ分析の対象とした範囲
当社グループの事業活動全体を分析の対象としております。当社グループはオフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設、物流倉庫等の賃貸事業と、それに付随するビル管理事業等を行っております。
(ロ)主に参照したシナリオ
TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することが推奨されております。当社グループは主に以下のシナリオを参照しました。

(ハ)財務的影響度の評価手法
シナリオ分析を通じて特定したそれぞれのリスクと機会に対して、2030年までを「中期」、2050年までを「長期」と定義し、各時間軸における財務的影響度を下記の評価基準に基づき「高、中、低」の3段階で評価しました。併せて、累積的な影響についても検証を行っておりますが、現時点で大きな影響があるものは無いと判断しております。また、発生可能性についても「高、中、低」の3段階で評価しております。

財務的影響度の具体的な評価額の開示については、今後検討してまいります。
(ニ)1.5℃シナリオに基づく分析
(a)1.5℃シナリオにおいて特定した主要なリスクと機会
1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルに向けて事業の脱炭素化が強く求められると想定されます。当社が1.5℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりであります。

(b)リスクと機会を踏まえた取組
・省エネ機器への更新
1.5℃シナリオで想定される省エネ規制の強化に伴う対応コストを低減することを目的のひとつとして、設備の更新時期の到来やテナントの入れ替えといったタイミングに合わせて、照明や空調の省エネ機器への切り替えを順次進めております。これまでにオフィスビルを中心に照明のLED化を進めたほか、データセンタービルでは受変電設備、空調設備の省エネ機器への更新も順次行っております。
・グリーンビル認証の取得
環境性能の高いビルへの入居ニーズのさらなる拡大を見込み、外部評価を通じて保有するビルの状態を客観的に把握すると同時に、さらなる改善・向上のための参考とすべく、CASBEE不動産評価認証やBELS評価認証などのグリーンビル認証の取得を推進しております。
2024年3月期末におけるグリーンビル認証の取得実績につきましては、「指標及び目標」をご参照ください。
(ホ)4℃シナリオに基づく分析
(a)4℃シナリオにおいて特定した主なリスクと機会
4℃シナリオでは、気温上昇を抑えるための脱炭素化が1.5℃シナリオほど強く求められない一方で災害の激甚化が進み、防災・減災に対する社会からの要請が一層強まると想定されます。当社グループが4℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりであります。

(b)リスクと機会を踏まえた取組
・風水害対策への投資
4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減を図るため、保有物件において防潮板の設置のほか、予防保全の考えに則り、外部から引き込んだ電力を建物内に供給するための設備である、特別高圧受変電設備の上層階への移設や、屋上防水工事を実施するなど、浸水リスクの発生可能性低減に努めております。
・パートナー企業との協働訓練
4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減と、BCP性能の高いビルへの入居ニーズによる収益機会の拡大を目的のひとつに、ソフト面でのレジリエンス強化の取組として、ビルの管理・運営を担うパートナー企業と協働で定期的に訓練を実施しております。訓練では、水害を想定した防潮板の設置や外部からの電力供給遮断に備えた非常用発電機の稼働といったフローを実際に行っており、ハード・ソフト両面からのレジリエンス強化によって、テナント企業にとって信頼性の高い事業空間の提供に努めております。
② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がそれぞれの能力を最大化することが多様化・複雑化する社会において当社グループが持続的な成長を実現するための基盤になると考えており、斯かる認識のもと、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下のとおり定めております。
(イ)人材育成方針
(a)京阪神ビルディングは、「革新と効率を尊び、活力ある企業風土」を築くことを経営理念に定め、今後の持続的な成長の実現に向けて、企業風土の根幹をなす人材育成に注力してまいります。
(b)「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、多様な人材の確保と従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に積極的に取り組んでまいります。
(c)新卒・経験者採用の別、性別、年齢を問わず、多様な人材が適材適所で自律的に成長することを促します。
(人材育成に関する取組み)
・継続的な新卒採用と、経験者採用やシニア世代の積極的な活用等により、多様な人材の確保に努めます。
・従業員の職務・階層別研修、自己研鑽の機会提供を目的とした資格取得支援制度等によって一人一人のスキルアップを図ります。
(ロ)社内環境整備方針
(a)少人数で効率的な経営を実現するため、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がお互いを尊重し、全ての従業員が能力に応じて活躍できる職場環境を整備してまいります。
(b)生産性の向上と業務の効率化を図るとともに、従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりに努めます。
(社内環境整備に関する取組み)
・従業員が多様性を受容し、差別のない健全な職場環境を維持するために、人権研修等の社内啓蒙活動を推進しております。
・従業員を取り巻く環境の変化に拘らず、従業員一人一人が活き活きと働き、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、育児・介護休業等の支援制度の充実に取り組むほか、書類の電子化や各種システムの導入を通じて、リモートワーク等の多様な働き方を可能とする体制の整備に努めております。
当社グループは、サステナビリティに関する取組が当社グループの事業活動に与える影響について、その重要性が相対的に高いと考えられるサステナビリティ課題から順次影響度を評価し、事業戦略に組み込むべきと考えております。
こうした考えのもと、当社グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、重要度の高い課題の中から特に優先して取り組むべきものを、マテリアリティとして特定しております。

当連結会計年度の終了時点においては、当社グループが掲げるマテリアリティのうちE(環境)、S(社会)に関するものとして「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する取組を、特に重要性が高いものとして事業戦略に組み込んでおり、その内容については以下のとおりであります。
① 気候変動に対するレジリエンス強化
気候変動がもたらす当社グループへの財務的影響を評価し、当社グループの中長期的な事業戦略に組み込むため、TCFDが提言するフレームワークに沿って、シナリオ分析を行いました。
(イ)シナリオ分析の対象とした範囲
当社グループの事業活動全体を分析の対象としております。当社グループはオフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設、物流倉庫等の賃貸事業と、それに付随するビル管理事業等を行っております。
(ロ)主に参照したシナリオ
TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することが推奨されております。当社グループは主に以下のシナリオを参照しました。

(ハ)財務的影響度の評価手法
シナリオ分析を通じて特定したそれぞれのリスクと機会に対して、2030年までを「中期」、2050年までを「長期」と定義し、各時間軸における財務的影響度を下記の評価基準に基づき「高、中、低」の3段階で評価しました。併せて、累積的な影響についても検証を行っておりますが、現時点で大きな影響があるものは無いと判断しております。また、発生可能性についても「高、中、低」の3段階で評価しております。

財務的影響度の具体的な評価額の開示については、今後検討してまいります。
(ニ)1.5℃シナリオに基づく分析
(a)1.5℃シナリオにおいて特定した主要なリスクと機会
1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルに向けて事業の脱炭素化が強く求められると想定されます。当社が1.5℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりであります。

(b)リスクと機会を踏まえた取組
・省エネ機器への更新
1.5℃シナリオで想定される省エネ規制の強化に伴う対応コストを低減することを目的のひとつとして、設備の更新時期の到来やテナントの入れ替えといったタイミングに合わせて、照明や空調の省エネ機器への切り替えを順次進めております。これまでにオフィスビルを中心に照明のLED化を進めたほか、データセンタービルでは受変電設備、空調設備の省エネ機器への更新も順次行っております。
・グリーンビル認証の取得
環境性能の高いビルへの入居ニーズのさらなる拡大を見込み、外部評価を通じて保有するビルの状態を客観的に把握すると同時に、さらなる改善・向上のための参考とすべく、CASBEE不動産評価認証やBELS評価認証などのグリーンビル認証の取得を推進しております。
2024年3月期末におけるグリーンビル認証の取得実績につきましては、「指標及び目標」をご参照ください。
(ホ)4℃シナリオに基づく分析
(a)4℃シナリオにおいて特定した主なリスクと機会
4℃シナリオでは、気温上昇を抑えるための脱炭素化が1.5℃シナリオほど強く求められない一方で災害の激甚化が進み、防災・減災に対する社会からの要請が一層強まると想定されます。当社グループが4℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりであります。

(b)リスクと機会を踏まえた取組
・風水害対策への投資
4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減を図るため、保有物件において防潮板の設置のほか、予防保全の考えに則り、外部から引き込んだ電力を建物内に供給するための設備である、特別高圧受変電設備の上層階への移設や、屋上防水工事を実施するなど、浸水リスクの発生可能性低減に努めております。
・パートナー企業との協働訓練
4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減と、BCP性能の高いビルへの入居ニーズによる収益機会の拡大を目的のひとつに、ソフト面でのレジリエンス強化の取組として、ビルの管理・運営を担うパートナー企業と協働で定期的に訓練を実施しております。訓練では、水害を想定した防潮板の設置や外部からの電力供給遮断に備えた非常用発電機の稼働といったフローを実際に行っており、ハード・ソフト両面からのレジリエンス強化によって、テナント企業にとって信頼性の高い事業空間の提供に努めております。
② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がそれぞれの能力を最大化することが多様化・複雑化する社会において当社グループが持続的な成長を実現するための基盤になると考えており、斯かる認識のもと、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下のとおり定めております。
(イ)人材育成方針
(a)京阪神ビルディングは、「革新と効率を尊び、活力ある企業風土」を築くことを経営理念に定め、今後の持続的な成長の実現に向けて、企業風土の根幹をなす人材育成に注力してまいります。
(b)「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、多様な人材の確保と従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に積極的に取り組んでまいります。
(c)新卒・経験者採用の別、性別、年齢を問わず、多様な人材が適材適所で自律的に成長することを促します。
(人材育成に関する取組み)
・継続的な新卒採用と、経験者採用やシニア世代の積極的な活用等により、多様な人材の確保に努めます。
・従業員の職務・階層別研修、自己研鑽の機会提供を目的とした資格取得支援制度等によって一人一人のスキルアップを図ります。
(ロ)社内環境整備方針
(a)少人数で効率的な経営を実現するため、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がお互いを尊重し、全ての従業員が能力に応じて活躍できる職場環境を整備してまいります。
(b)生産性の向上と業務の効率化を図るとともに、従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりに努めます。
(社内環境整備に関する取組み)
・従業員が多様性を受容し、差別のない健全な職場環境を維持するために、人権研修等の社内啓蒙活動を推進しております。
・従業員を取り巻く環境の変化に拘らず、従業員一人一人が活き活きと働き、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、育児・介護休業等の支援制度の充実に取り組むほか、書類の電子化や各種システムの導入を通じて、リモートワーク等の多様な働き方を可能とする体制の整備に努めております。