有価証券報告書-第22期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、停滞が長期化しております。ワクチンの普及により今後の経済正常化は期待されるものの、2021年4月には緊急事態宣言が再発出されており、今後の見通しは不透明なことから引き続き動向を注視する必要があります。また世界経済については、各国で大規模な財政支援や金融緩和等が継続されていることに加え、ワクチン接種が大幅に普及している国もあり、今後の回復が期待されるものの、今後の見通しは新型コロナウイルス感染症等の影響により依然として不透明な状況と言えます。
わが国の不動産市場は、3月時点の都心オフィスビル市場(都心5区:千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の平均賃料は21,541円(坪単価)と8カ月連続の下落(計1,473円)、平均空室率は5.42%と13カ月連続の悪化(計3.93%pt上昇)となり(民間調査機関調べ)、市況は厳しさを増しております。コロナ禍を背景に、一部企業によるリモートワーク定着に伴うオフィス縮小の動きは見られるものの、当社が得意領域とする中小型オフィスにおいては、この環境下においても業績を伸ばした企業の増床や、大規模オフィスを複数の中小型オフィスに分散させる動き等により実需は底堅く推移しております。一方、不動産投資市場は、東京のオフィス市場の先行きに一定程度の底入れの見通しが立ってきたこと、また低金利環境が継続していることから、機関投資家やJ-REIT等による投資意欲は強いものがあります。
こうした中、当社においては、昨年から掲げている「新型コロナウイルス感染拡大防止の徹底と事業の継続」、「財務の安定性を保つこと」、「本業である『不動産の再生と活用』に資源を集中」という3つの経営方針を継続し、現場の動向やお客様の声をいち早く掴み、取り組みを柔軟に変化させることでお客様のお困りごと解決力を磨き高めながら、事業を展開しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高59,632百万円(前期比18.6%減)、営業利益7,912百万円(同52.3%減)、経常利益7,524百万円(同53.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,274百万円(同59.9%減)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産再生事業)
不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業、③ホテル開発事業等を行っております。
①リプランニング事業では、ビルの仕入から企画・開発、テナント入居、そして販売とその後のサポートに至るまで、全てのプロセスを内製化しています。仕入は、コロナ禍においても市場の方向感を見定めながら慎重に物件を選別しております。商品化では、日々寄せられるテナント様の声などの現場の動きに対する感度を高め、街やオフィス、さらには働き方の変化をしっかり捉えながら、新しい価値観に基づいた新常態でも選ばれるオフィスづくりを目指しております。当期は、曜日単位でオフィスを利用して新しい働き方を追求する日本初となる曜日オフィス『WEEK』や、オフィスの壁面等にアートを施したArt Office『A YOTSUYA』、さらにはソーシャルディスタンス設計と最新鋭の機器によりウイルス感染対策を本格導入した『空気をデザインする』オフィス、『暮らしに近いワークスタイル』オフィス等、時代の変化に合わせてオフィスの在り方を社会に提案してまいりました。そのような当社の強みである再生企画力とテナント入居促進力をもって高収益かつ高付加価値の商品に仕上げることで、国内外の幅広いお客様の需要にお応えしております。販売面においてはさらに、当期は不動産小口所有商品の第2号案件(11.5億円)を完売させ、4月には第3号案件である新築認可保育園を運用対象とした商品の募集を開始しております。小口所有商品をきっかけにオフィスビルや分譲ホテルの販売につながるなど、本商品は当社グループ全体の顧客層拡充にも寄与しております。これらの結果、コロナ禍にあってもリプランニング事業の販売棟数は23件と一定の水準を確保したものの、前年同期の大型案件を含む43件の販売と比較し、売上高、利益ともに大幅に減少となりました。
②賃貸ビル事業においては、ストック事業として安定した収益基盤を構築することを目的に、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を活かしながら、リプランニング事業の賃貸ビル物件数を拡大しつつ、中長期的に賃料収入の増加を図っております。ホテル事業への賃料減免による収入減少等により、前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
③ホテル開発事業においては、沖縄県恩納村で開発を進め2020年12月に竣工した、分譲型コンドミニアムホテル「HIYORIオーシャンリゾート沖縄(203区画)」の販売が順調に進捗し、合計159区画の引き渡しが完了。また3月には、自社ブランド第1号ホテルとして2017年に開業した日和ホテル舞浜の売却が完了し、キャッシュフロー改善を図りつつ、結果、前年同期に比べ売上高、利益ともに大幅に増加いたしました。
以上の結果、不動産再生事業全体の売上高は48,398百万円(前年同期比19.4%減)となり、セグメント利益は11,261百万円(同40.3%減)となりました。
(不動産サービス事業)
不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業を行っております。これら各事業部門は、それぞれの現場で創意工夫を重ね培った専門性を持ち寄って協働し、連鎖的に付加価値を生み出すことで、リプランニング事業における高い収益性を創出する基盤にもなっております。
①プロパティマネジメント事業においては、きめ細やかなビル管理・メンテナンスによってテナント様の満足度を高めるとともに、地域に密着する当社の強みを活かしたテナント誘致、適正賃料への条件改定や、電力需給契約の見直しによる収益改善等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営を実現させております。コロナ禍の影響を受けるテナント様や不安を抱えるビルオーナー様に誠実に寄り添って正確かつ迅速な情報提供を行い、コロナウイルスの影響から生じる新たなご要望やお困りごとにも、これまで培ってきた経験と組織力を活かして解決しております。コロナ禍においても管理棟数は順調に伸長し、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに増加いたしました。
②ビルメンテナンス事業においては、ブランコによる外窓・外壁等の高所清掃、防水工事、外壁改修工事を強みに、プロパティマネジメント部門との協働を推進しております。さらに、当期においては同業の株式会社日本システムサービスの株式を100%取得し、これまで比較的手薄であった都心西側エリア(港区・渋谷区・新宿区)でのサービスを強化し、都心における清掃事業の基盤底上げを図っております。当期の業績は、RP事業に付随する収入が減少したものの、コロナウイルス除染消毒作業の需要を取り込めた結果、前年同期に比べ売上高、利益はともに増加いたしました。
③売買仲介事業においては、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からの相談案件に対してスピード対応で取り組んでおります。また、海外個人富裕層のお客様がコロナ禍の影響で来日が難しい中、保有されている日本の投資不動産の価値向上に努め、積み上げてきた信任により、当期においてリプランニング物件を複数棟ご購入いただき、グループ全体の業績に大きく貢献しております。業績は、前年同期に比べ売上高、利益ともに増加いたしました。
④賃貸仲介事業においては、都心5区を中心とした12拠点のサービス網を展開しております。現場におけるお客様との対話から、地域のビルオーナー様に寄り添う身近な相談窓口として機能しています。お客様のお困りごとを空室という現象の一面のみではなく、高齢化で苦慮する管理、建物の老朽化、相続といった不動産に関する様々な問題を掴み、多面的で長期的な視点をもってその解決に取り組んだ結果、リプランニング事業における仕入や販売、また工事受注や売買仲介等の機会を創出するなど、当社の事業全体の強化・伸張につなげております。また、テナントリーシングの現場においてテナント様のニーズをこと細かく把握、いち早く変化を先取りし、オフィス空間の最適活用を共に考え、研究や提案を繰り返すことで、お客様視点の新たな価値観の創出につなげております。業績は、コロナ禍の影響を受け、前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、不動産サービス事業全体の売上高は3,656百万円(前年同期比5.2%増)となり、セグメント利益は2,345百万円(同4.0%増)となりました。
(オペレーション事業)
オペレーション事業では、①ホテル運営事業、②貸会議室事業を行なっております。
①ホテル運営事業においては、HIYORIオーシャンリゾート沖縄(203室)を2月に開業し、16ホテル(2,295室)を運営しております。コロナ禍におけるインバウンド客の急激な減少、集客施設の閉鎖やイベントの中止、観光のみならず出張の自粛等の影響もあり、都市部ホテルを中心に稼働率は著しく低下いたしました。このため、経費削減に努めたものの、業績は前年同期に比べ売上高の減少が大きいため、損失を計上いたしました。
②貸会議室事業においては、コロナ禍により研修やセミナー、各種イベントのニーズが減少し、既存のビジネス・サービスでは成り立たない環境下に置かれたものの、オーダーメイドスペース等の時代の変化を捉えた新サービスの開発を進めることでお客様からのご要望に素早くお応えしてまいりました。同時に徹底したコスト削減を行なってきたものの、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、オペレーション事業全体の売上高は3,069百万円(前年同期比43.2%減)となり、セグメント損失は1,266百万円(前年同期はセグメント損失192百万円)となりました。
(その他)
その他では、①滞納賃料保証事業、②海外事業、③建設事業等を行っております。
①滞納賃料保証事業においては、保証契約時のテナント与信審査における実態調査を徹底し、またテナントの賃料滞納時には賃料保証のみならず、明け渡しまでを誠実にサポートしビル経営における負担感を和らげるなど、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しております。コロナ禍にあって、空室の増加やテナント様の信用懸念、また、民法改正による個人保証から機関保証への切り替え等によるビルオーナー様のご相談が増加した結果、新規保証・再保証ともに取り扱い件数が堅調に推移し、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに増加しました。
②海外事業においては、成長が期待できる東南アジアへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発を行い、アジアの方々に日本品質を体感いただくことに拘って事業を展開しております。ベトナム・ダナンにおいて高層分譲マンション「HIYORI Garden Tower」(306戸)が2019年12月に竣工、2020年9月までに引渡しが完了いたしました。業績は、2020年1月から9月までの引き渡し分は当期に会計上計上されたことから、前年同期に比べ売上高は減少したものの、利益は増加しました。
③建設事業においては、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事および電気通信工事等を行っております。当期において、業績は、前年同期の大型工事引き渡しの反動減により、売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、その他全体の売上高は5,294百万円(前年同期比6.4%減)となり、セグメント利益は1,489百万円(同4.9%増)となりました。
(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響について)
当連結会計年度における感染症拡大に伴う当社グループ事業への影響は、コアビジネスである不動産再生事業において、景気停滞によるオフィス市況の悪化と投資家の投資マインドの後退が一部みられました。また、ホテル運営事業においては、インバウンド観光需要の消失や国内観光需要の低迷により稼働率が著しく低下し、休業を余儀なくされ、さらに貸会議室事業においては、研修やセミナー等各種イベントニーズの減少等の影響がありました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)は、生産業務を定義することが困難であるため、生産実績の記載は省略しております。
② 受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 調整額はセグメント間の取引消去であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 前連結会計年度のSSTウエスト特定目的会社及び当連結会計年度の合同会社パシフィックファイブに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
4 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は127,485百万円(前期比2.2%減)、負債は57,712百万円(同11.9%減)、純資産は69,773百万円(同7.7%増)となりました。
総資産の減少の主な要因は、流動資産の販売用不動産の増加4,174百万円、現金及び預金の増加2,880百万円、受取手形及び売掛金の増加641百万円があったものの、一方で仕掛販売用不動産の減少9,421百万円、その他に含まれる未収消費税等の減少658百万円、仕掛工事の減少444百万円等があったことによるものであります。
負債の減少の主な要因は、1年以内返済予定の長期借入金の増加1,545百万円があったものの、一方で固定負債の長期借入金の減少2,915百万円、流動負債の未払法人税等の減少2,665百万円、その他に含まれる前受金の減少1,864百万円、買掛金の減少1,498百万円等があったことによるものであります。
純資産の増加の主な要因は、期末配当金の支払い2,047百万円等があったものの、一方で親会社株主に帰属する当期純利益の計上4,274百万円等の増加、非支配株主持分の増加2,952百万円等があったことによるものであります。なお、非支配株主持分の増加は、子会社での優先株式発行によるものであります。
この結果、自己資本比率は52.3%(同2.7ポイント増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金が4,733百万円増加、投資活動による資金が451百万円増加、財務活動による資金が1,150百万円減少した結果、期首残高に比べ3,924百万円増加し、当連結会計年度末残高は21,319百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フロー及びそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、4,733百万円(前期は2,697百万円の支出超過)の収入超過となりました。これは主に、法人税等の支払額5,964百万円、売上債権の増加による支出2,688百万円、仕入債務の減少による支出1,509百万円等があったものの、一方で税金等調整前当期純利益7,462百万円及び減価償却1,346百万円、棚卸資産の減少による収入4,377百万円等あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、451百万円(前期は4,441百万円の支出超過)の収入超過となりました。これは主に、定期預金の預入による支出530百万円、有形固定資産の取得による支出319百万円、差入保証金の差入による支出221百万円等があったものの、一方で定期預金の払戻による収入1,574百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、1,150百万円(前期は5,535百万円の収入超過)の支出超過となりました。これは主に、長期借入れによる収入19,990百万円、非支配株主持分の増加3,000百万円等があったものの、一方で長期借入金の返済による支出21,461百万円及び配当金の支払額2,046百万円等があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産再生事業に関するたな卸資産の仕入れであります。たな卸資産の仕入れは、個別のたな卸資産を担保とした金融機関からの長期借入金及び営業活動で獲得した資金によって行っております。当該たな卸資産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、たな卸資産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
(財務施策について)
当社グループにおける財政施策については、有利子負債に占める短期借入金の比率を下げ、長期借入金の比率を上げることによって加重平均借入期間を伸長させる負債構造を目指しております。加えて、現金及び預金を手厚く確保することを基本方針としており、強固な財務基盤の構築に取り組んでおります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、停滞が長期化しております。ワクチンの普及により今後の経済正常化は期待されるものの、2021年4月には緊急事態宣言が再発出されており、今後の見通しは不透明なことから引き続き動向を注視する必要があります。また世界経済については、各国で大規模な財政支援や金融緩和等が継続されていることに加え、ワクチン接種が大幅に普及している国もあり、今後の回復が期待されるものの、今後の見通しは新型コロナウイルス感染症等の影響により依然として不透明な状況と言えます。
わが国の不動産市場は、3月時点の都心オフィスビル市場(都心5区:千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の平均賃料は21,541円(坪単価)と8カ月連続の下落(計1,473円)、平均空室率は5.42%と13カ月連続の悪化(計3.93%pt上昇)となり(民間調査機関調べ)、市況は厳しさを増しております。コロナ禍を背景に、一部企業によるリモートワーク定着に伴うオフィス縮小の動きは見られるものの、当社が得意領域とする中小型オフィスにおいては、この環境下においても業績を伸ばした企業の増床や、大規模オフィスを複数の中小型オフィスに分散させる動き等により実需は底堅く推移しております。一方、不動産投資市場は、東京のオフィス市場の先行きに一定程度の底入れの見通しが立ってきたこと、また低金利環境が継続していることから、機関投資家やJ-REIT等による投資意欲は強いものがあります。
こうした中、当社においては、昨年から掲げている「新型コロナウイルス感染拡大防止の徹底と事業の継続」、「財務の安定性を保つこと」、「本業である『不動産の再生と活用』に資源を集中」という3つの経営方針を継続し、現場の動向やお客様の声をいち早く掴み、取り組みを柔軟に変化させることでお客様のお困りごと解決力を磨き高めながら、事業を展開しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高59,632百万円(前期比18.6%減)、営業利益7,912百万円(同52.3%減)、経常利益7,524百万円(同53.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,274百万円(同59.9%減)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産再生事業)
不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業、③ホテル開発事業等を行っております。
①リプランニング事業では、ビルの仕入から企画・開発、テナント入居、そして販売とその後のサポートに至るまで、全てのプロセスを内製化しています。仕入は、コロナ禍においても市場の方向感を見定めながら慎重に物件を選別しております。商品化では、日々寄せられるテナント様の声などの現場の動きに対する感度を高め、街やオフィス、さらには働き方の変化をしっかり捉えながら、新しい価値観に基づいた新常態でも選ばれるオフィスづくりを目指しております。当期は、曜日単位でオフィスを利用して新しい働き方を追求する日本初となる曜日オフィス『WEEK』や、オフィスの壁面等にアートを施したArt Office『A YOTSUYA』、さらにはソーシャルディスタンス設計と最新鋭の機器によりウイルス感染対策を本格導入した『空気をデザインする』オフィス、『暮らしに近いワークスタイル』オフィス等、時代の変化に合わせてオフィスの在り方を社会に提案してまいりました。そのような当社の強みである再生企画力とテナント入居促進力をもって高収益かつ高付加価値の商品に仕上げることで、国内外の幅広いお客様の需要にお応えしております。販売面においてはさらに、当期は不動産小口所有商品の第2号案件(11.5億円)を完売させ、4月には第3号案件である新築認可保育園を運用対象とした商品の募集を開始しております。小口所有商品をきっかけにオフィスビルや分譲ホテルの販売につながるなど、本商品は当社グループ全体の顧客層拡充にも寄与しております。これらの結果、コロナ禍にあってもリプランニング事業の販売棟数は23件と一定の水準を確保したものの、前年同期の大型案件を含む43件の販売と比較し、売上高、利益ともに大幅に減少となりました。
②賃貸ビル事業においては、ストック事業として安定した収益基盤を構築することを目的に、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を活かしながら、リプランニング事業の賃貸ビル物件数を拡大しつつ、中長期的に賃料収入の増加を図っております。ホテル事業への賃料減免による収入減少等により、前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
③ホテル開発事業においては、沖縄県恩納村で開発を進め2020年12月に竣工した、分譲型コンドミニアムホテル「HIYORIオーシャンリゾート沖縄(203区画)」の販売が順調に進捗し、合計159区画の引き渡しが完了。また3月には、自社ブランド第1号ホテルとして2017年に開業した日和ホテル舞浜の売却が完了し、キャッシュフロー改善を図りつつ、結果、前年同期に比べ売上高、利益ともに大幅に増加いたしました。
以上の結果、不動産再生事業全体の売上高は48,398百万円(前年同期比19.4%減)となり、セグメント利益は11,261百万円(同40.3%減)となりました。
(不動産サービス事業)
不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業を行っております。これら各事業部門は、それぞれの現場で創意工夫を重ね培った専門性を持ち寄って協働し、連鎖的に付加価値を生み出すことで、リプランニング事業における高い収益性を創出する基盤にもなっております。
①プロパティマネジメント事業においては、きめ細やかなビル管理・メンテナンスによってテナント様の満足度を高めるとともに、地域に密着する当社の強みを活かしたテナント誘致、適正賃料への条件改定や、電力需給契約の見直しによる収益改善等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営を実現させております。コロナ禍の影響を受けるテナント様や不安を抱えるビルオーナー様に誠実に寄り添って正確かつ迅速な情報提供を行い、コロナウイルスの影響から生じる新たなご要望やお困りごとにも、これまで培ってきた経験と組織力を活かして解決しております。コロナ禍においても管理棟数は順調に伸長し、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに増加いたしました。
| 2019年3月末 | 2020年3月末 | 2021年3月末 | |
| 受託棟数 | 373棟 | 392棟 | 397棟 |
| 稼 働 率 | 97.6% | 98.6% | 94.4% |
②ビルメンテナンス事業においては、ブランコによる外窓・外壁等の高所清掃、防水工事、外壁改修工事を強みに、プロパティマネジメント部門との協働を推進しております。さらに、当期においては同業の株式会社日本システムサービスの株式を100%取得し、これまで比較的手薄であった都心西側エリア(港区・渋谷区・新宿区)でのサービスを強化し、都心における清掃事業の基盤底上げを図っております。当期の業績は、RP事業に付随する収入が減少したものの、コロナウイルス除染消毒作業の需要を取り込めた結果、前年同期に比べ売上高、利益はともに増加いたしました。
③売買仲介事業においては、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からの相談案件に対してスピード対応で取り組んでおります。また、海外個人富裕層のお客様がコロナ禍の影響で来日が難しい中、保有されている日本の投資不動産の価値向上に努め、積み上げてきた信任により、当期においてリプランニング物件を複数棟ご購入いただき、グループ全体の業績に大きく貢献しております。業績は、前年同期に比べ売上高、利益ともに増加いたしました。
④賃貸仲介事業においては、都心5区を中心とした12拠点のサービス網を展開しております。現場におけるお客様との対話から、地域のビルオーナー様に寄り添う身近な相談窓口として機能しています。お客様のお困りごとを空室という現象の一面のみではなく、高齢化で苦慮する管理、建物の老朽化、相続といった不動産に関する様々な問題を掴み、多面的で長期的な視点をもってその解決に取り組んだ結果、リプランニング事業における仕入や販売、また工事受注や売買仲介等の機会を創出するなど、当社の事業全体の強化・伸張につなげております。また、テナントリーシングの現場においてテナント様のニーズをこと細かく把握、いち早く変化を先取りし、オフィス空間の最適活用を共に考え、研究や提案を繰り返すことで、お客様視点の新たな価値観の創出につなげております。業績は、コロナ禍の影響を受け、前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、不動産サービス事業全体の売上高は3,656百万円(前年同期比5.2%増)となり、セグメント利益は2,345百万円(同4.0%増)となりました。
(オペレーション事業)
オペレーション事業では、①ホテル運営事業、②貸会議室事業を行なっております。
①ホテル運営事業においては、HIYORIオーシャンリゾート沖縄(203室)を2月に開業し、16ホテル(2,295室)を運営しております。コロナ禍におけるインバウンド客の急激な減少、集客施設の閉鎖やイベントの中止、観光のみならず出張の自粛等の影響もあり、都市部ホテルを中心に稼働率は著しく低下いたしました。このため、経費削減に努めたものの、業績は前年同期に比べ売上高の減少が大きいため、損失を計上いたしました。
②貸会議室事業においては、コロナ禍により研修やセミナー、各種イベントのニーズが減少し、既存のビジネス・サービスでは成り立たない環境下に置かれたものの、オーダーメイドスペース等の時代の変化を捉えた新サービスの開発を進めることでお客様からのご要望に素早くお応えしてまいりました。同時に徹底したコスト削減を行なってきたものの、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、オペレーション事業全体の売上高は3,069百万円(前年同期比43.2%減)となり、セグメント損失は1,266百万円(前年同期はセグメント損失192百万円)となりました。
(その他)
その他では、①滞納賃料保証事業、②海外事業、③建設事業等を行っております。
①滞納賃料保証事業においては、保証契約時のテナント与信審査における実態調査を徹底し、またテナントの賃料滞納時には賃料保証のみならず、明け渡しまでを誠実にサポートしビル経営における負担感を和らげるなど、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しております。コロナ禍にあって、空室の増加やテナント様の信用懸念、また、民法改正による個人保証から機関保証への切り替え等によるビルオーナー様のご相談が増加した結果、新規保証・再保証ともに取り扱い件数が堅調に推移し、業績は前年同期に比べ売上高、利益ともに増加しました。
②海外事業においては、成長が期待できる東南アジアへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発を行い、アジアの方々に日本品質を体感いただくことに拘って事業を展開しております。ベトナム・ダナンにおいて高層分譲マンション「HIYORI Garden Tower」(306戸)が2019年12月に竣工、2020年9月までに引渡しが完了いたしました。業績は、2020年1月から9月までの引き渡し分は当期に会計上計上されたことから、前年同期に比べ売上高は減少したものの、利益は増加しました。
③建設事業においては、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事および電気通信工事等を行っております。当期において、業績は、前年同期の大型工事引き渡しの反動減により、売上高、利益ともに減少いたしました。
以上の結果、その他全体の売上高は5,294百万円(前年同期比6.4%減)となり、セグメント利益は1,489百万円(同4.9%増)となりました。
(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響について)
当連結会計年度における感染症拡大に伴う当社グループ事業への影響は、コアビジネスである不動産再生事業において、景気停滞によるオフィス市況の悪化と投資家の投資マインドの後退が一部みられました。また、ホテル運営事業においては、インバウンド観光需要の消失や国内観光需要の低迷により稼働率が著しく低下し、休業を余儀なくされ、さらに貸会議室事業においては、研修やセミナー等各種イベントニーズの減少等の影響がありました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)は、生産業務を定義することが困難であるため、生産実績の記載は省略しております。
② 受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 不動産再生事業 | 48,398 | △19.4 |
| 不動産サービス事業 | 3,656 | 5.2 |
| オペレーション事業 | 3,069 | △43.2 |
| その他 | 5,294 | △6.4 |
| 調整額 | △785 | ― |
| 合計 | 59,632 | △18.6 |
(注) 1 調整額はセグメント間の取引消去であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 合同会社パシフィックファイブ | 9,800 | 13.4 | - | - |
| SSTウエスト特定目的会社 | - | - | 8,510 | 14.3 |
3 前連結会計年度のSSTウエスト特定目的会社及び当連結会計年度の合同会社パシフィックファイブに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
4 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は127,485百万円(前期比2.2%減)、負債は57,712百万円(同11.9%減)、純資産は69,773百万円(同7.7%増)となりました。
総資産の減少の主な要因は、流動資産の販売用不動産の増加4,174百万円、現金及び預金の増加2,880百万円、受取手形及び売掛金の増加641百万円があったものの、一方で仕掛販売用不動産の減少9,421百万円、その他に含まれる未収消費税等の減少658百万円、仕掛工事の減少444百万円等があったことによるものであります。
負債の減少の主な要因は、1年以内返済予定の長期借入金の増加1,545百万円があったものの、一方で固定負債の長期借入金の減少2,915百万円、流動負債の未払法人税等の減少2,665百万円、その他に含まれる前受金の減少1,864百万円、買掛金の減少1,498百万円等があったことによるものであります。
純資産の増加の主な要因は、期末配当金の支払い2,047百万円等があったものの、一方で親会社株主に帰属する当期純利益の計上4,274百万円等の増加、非支配株主持分の増加2,952百万円等があったことによるものであります。なお、非支配株主持分の増加は、子会社での優先株式発行によるものであります。
この結果、自己資本比率は52.3%(同2.7ポイント増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金が4,733百万円増加、投資活動による資金が451百万円増加、財務活動による資金が1,150百万円減少した結果、期首残高に比べ3,924百万円増加し、当連結会計年度末残高は21,319百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フロー及びそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、4,733百万円(前期は2,697百万円の支出超過)の収入超過となりました。これは主に、法人税等の支払額5,964百万円、売上債権の増加による支出2,688百万円、仕入債務の減少による支出1,509百万円等があったものの、一方で税金等調整前当期純利益7,462百万円及び減価償却1,346百万円、棚卸資産の減少による収入4,377百万円等あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、451百万円(前期は4,441百万円の支出超過)の収入超過となりました。これは主に、定期預金の預入による支出530百万円、有形固定資産の取得による支出319百万円、差入保証金の差入による支出221百万円等があったものの、一方で定期預金の払戻による収入1,574百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、1,150百万円(前期は5,535百万円の収入超過)の支出超過となりました。これは主に、長期借入れによる収入19,990百万円、非支配株主持分の増加3,000百万円等があったものの、一方で長期借入金の返済による支出21,461百万円及び配当金の支払額2,046百万円等があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産再生事業に関するたな卸資産の仕入れであります。たな卸資産の仕入れは、個別のたな卸資産を担保とした金融機関からの長期借入金及び営業活動で獲得した資金によって行っております。当該たな卸資産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、たな卸資産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
(財務施策について)
当社グループにおける財政施策については、有利子負債に占める短期借入金の比率を下げ、長期借入金の比率を上げることによって加重平均借入期間を伸長させる負債構造を目指しております。加えて、現金及び預金を手厚く確保することを基本方針としており、強固な財務基盤の構築に取り組んでおります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。