有価証券報告書-第98期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 15:00
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
なお、「第2 事業の状況」から「第5 経理の状況」まで、特に記載のない限り、消費税等抜きで記載しております。
1.経営方針
京阪グループでは、21世紀にも輝き、繁栄を続ける企業グループを目指して、「京阪グループ経営理念」を掲げ、経営理念実現のための基本的な取り組み姿勢を具体的に示した「経営方針」のもと、運輸業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業などの分野で積極的な事業展開を図っております。「京阪グループ経営理念」及び「経営方針」は以下のとおりです。
<京阪グループ経営理念>京阪グループは、人の暮らしに夢と希望と信頼のネットワークを築いて、快適な生活環境を創造し、社会に貢献します。
<経営方針>○経営姿勢
・地域社会、顧客、株主、社員を大切にします。
・法令および社会規範を遵守し、企業の社会的責任を果たします。
・自然環境にやさしい企業運営を目指し、環境の保全や資源の保護に配慮します。
・常に新しいことに取り組み、自己改革を実現します。
・顧客第一主義のもと、鉄道事業を基幹としたライフステージネットワークを展開し、快適な生活環境を
創造します。

2.中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループでは、激変する将来の経営環境においても、当社グループが持続的な成長を続けるために、「価値創造」と「グローバル展開」に挑戦する、2050年を見据えた経営ビジョン「美しい京阪沿線、世界とつながる京阪グループへ」を策定しております。 当社グループは、この経営ビジョンのもと、京阪沿線が、もっと多くの人から「住みたい、訪れたい沿線」として選ばれるよう、まちや観光の価値を創造し世界へ発信するとともに、持続可能な社会の実現に寄与するライフスタイルを創造し世界に共感の輪を拡げ、沿線を基盤にアジア・ワイドで事業を展開することに挑戦いたします。
また、経営ビジョン実現に向け、2026年度を目標年次とした長期経営戦略を定め、持続的に成長する企業グループとしての基盤を築くことをめざしております。
一方、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、国内では外出自粛要請がなされたほか、インバウンドが激減したことなどにより、景気は急速に悪化しており、その収束の見通しも不透明であります。加えて、ホテル事業におきましては、大阪や京都などを中心に競争が激化するなど、当社グループを取り巻く経営環境は非常に厳しい状況にあります。
このような情勢のもと、当社グループでは、まずはお客さまや従業員への感染拡大防止に努めるとともに、事業の継続が求められている輸送サービスや生活必需品の小売などのサービスの提供を継続することに注力するほか、業務の更なる効率化を推進して、同感染症による影響を最小限に抑えることをめざしてまいります。
そして、新型コロナウイルス感染症が収束した際には、市況の変化や、消費・需要動向に応じた施策を推進できるよう先んじて打ち手を講じるとともに、長期経営戦略に基づく取組みについて、情勢の変化に応じて適宜最適化を図りながら、着実に推進してまいります。
長期経営戦略及び各事業の基本戦略の概略は、次のとおりであります。
1.基本方針
主軸戦略として、「沿線再耕」「観光共創」「共感コンテンツ創造」の3つの取組みを進めます。また、経営ビジョンに向けた布石として、エリアポートフォリオの構築と次世代を見据えたイノベーションの推進にも取り組みます。
2.主軸戦略
(a)「沿線再耕」 駅を拠点とする都市再生で美しい京阪沿線へ 駅を拠点として地域の歴史・文化・産業などの特色を活かした都市開発を推進し、これらを交通ネットワークで結ぶことで、魅力あふれる美しい沿線を再生し、沿線の居住・来訪者の拡大を図ります。「大阪東西軸復権とえきから始まるまちづくり」を重点施策に掲げ、淀屋橋、京橋、中之島、天満橋といった大阪市内東西軸の拠点開発を推進いたします。また、枚方市や大阪東西軸に連なるエリアを中心に、駅と周辺部を地域特性に応じて再生し、都心部のまちづくりと相乗効果をめざします。
(b)「観光共創」 地域と当社グループで観光を共創、グローバル交流を促進
成長する観光市場で、当社グループの総合力を発揮して地域と観光を共創し、京都を中心に魅力ある観光体験を提供・発信して、国内外からの来訪者増加を図ります。「京都を中心とした観光・インバウンド事業強化」を重点施策に掲げ、京都駅前・四条河原町・三条といった京都市内の拠点開発のほか、洛北~東山~伏見・宇治エリアを中心に観光ルート拡大に向けた取組みを推進いたします。あわせて比叡山・びわ湖から京都
みち
を経て大阪につながる「水の路」とも連動させながら、京都観光の魅力を高める観光ルートや観光コンテンツ
を創造してまいります。
(c)「共感コンテンツ創造」 お客さまに共感いただける商品・サービス・事業を創造
お客さまのくらしの価値を高めると同時に、環境をはじめとする社会課題の解決にも寄与する商品・サービ
ビ オ ス タ イ ル
ス・事業の創造に取り組み、共感され、選ばれる京阪グループをめざします。「BIOSTYLE-選ばれる
京阪をめざして-」を重点施策に掲げ、新たなライフスタイルとして提案する「BIOSTYLE」の発信拠
グ ッ ド ネ イ チ ャ ー ス テ ー シ ョ ン
点として、四条河原町に開業したフラッグシップ施設「GOOD NATURE STATION」をはじめ、順次コンテンツを拡大展開し、当社グループの新たなブランドを確立いたします。また、グループ各事業の商品・サービスにも「BIOSTYLE」を取り入れ、お客さまに共感いただける商品・サービスを展開してまいります。
3.経営ビジョンに向けた布石
(a)エリアポートフォリオの構築
観光事業にとどまらず、京都での事業展開を重視し、当社グループの事業機会の拡大を図ります。また、主軸戦略を最優先に取り組みつつ、沿線で培ったノウハウを活用し、沿線外や海外成長市場への事業展開を進めることで、当社グループの事業エリアを拡大します。
(b)次世代を見据えたイノベーションの推進
ICT技術の革新をはじめとする環境変化を見据え、商品・サービス・事業のイノベーションを進め、生産性が高く創造性豊かな企業グループへ進化することをめざします。
4.各事業戦略
(a)運輸業
将来予想される沿線人口や労働人口の減少に備え、新たな需要創造や交通ネットワーク強化による収益力の向上と事業の効率化による経営基盤の強化を図り、当社グループの礎である、安全・安心ブランドの価値をさらに高める役割を担います。
(b)不動産業
短期回転型・長期保有型いずれの事業においても、開発メニューやコンテンツの多角化を進め、多様な不動産活用による収益機会の拡大を図ります。また、沿線内外や海外において当社グループ各事業の展開基盤となる不動産の調達・開発を進め、グループの成長ドライバーとしての役割を果たします。
(c)流通業
消費者の価値観が変化する中、お客さまに共感いただけるライフスタイルを提案するため、新業態の開発や商品・サービス・店舗のバリューアップを推進します。あわせて、主軸戦略に寄与する商業コンテンツを供給することで、収益を拡大します。また、既存事業の体質強化を進め、利益率の改善を図ります。
(d)レジャー・サービス業
当社グループ各ホテルが持つ立地の優位性を最大限に活かし、競争力の強化に努めてまいります。加えて、IoTやAIなどの技術導入や、施設内・施設間における徹底した業務連携により、効率化を一層推進してまいります。また、当社グループ横断で取り組む観光商品のセールス・マーケティングの中心機能を担い、沿線エリアへの誘客や観光コンテンツの強化を図ります。
3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画及び2027年3月期を目標年次とする長期経営戦略において「EBITDA」、「ネット有利子負債/EBITDA倍率」、「ROE」及び「営業利益」を重要な指標として位置付けております。
しかしながら、ライフスタイルの変化やインバウンドの激減といった新型コロナウイルス感染症拡大による影響を、現段階では合理的に算出することが困難なことから、2021年3月期の予想につきましては、未定としております。
経営指標翌連結会計年度予想
(2021年3月期)
中期経営計画数値目標
(2021年3月期)
長期経営戦略数値目標
(2027年3月期)
EBITDA ※未定57,000百万円72,000百万円以上
ネット有利子負債/EBITDA倍率未定6倍台6倍台
ROE-8%以上8%以上
営業利益未定33,500百万円43,000百万円以上

※営業利益+減価償却費