有価証券報告書-第99期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 14:09
【資料】
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【項目】
117項目

事業等のリスク

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。なお、発生の回避及び発生した場合の対応を一部記載しておりますが、かかる対策が必ずしもリスク及びその影響を軽減するものではない可能性があることにご留意下さい。
本項につきましては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)経済情勢等
少子高齢化、沿線地域における雇用形態の多様化及び関西国際空港利用者数の動向等により、鉄道事業をはじめとする交通事業における旅客が減少すること、国内外の景気動向や消費動向により、物販、サービス事業等における売上高について影響を受けることがあります。このほか、原油価格の高騰及び原子力発電所の運転休止に伴う電力供給不足や電力料金の値上げが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、投資有価証券に係る株価変動、保有不動産の地価変動等により株式や低収益物件等の減損処理が必要になる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合
鉄道事業におきましては、大阪南部から和歌山県下及び関西国際空港への輸送において、西日本旅客鉄道株式会社と一部路線が競合しております。さらに、自家用車やバイク等の輸送手段への移行が今後も影響を及ぼす可能性があります。
バス事業におきましては、平成14年2月から乗合バス事業に係る需給調整規制が完全に撤廃され、新規路線参入については自由競争下にあるため、競争の激化により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
海運業におきましては、高速道路を含む道路網の整備や高速道路の料金体系見直しにより、自家用車やその他交通機関との競合関係が一層厳しくなる可能性があります。
また、当社の経営拠点であるなんばエリアにおいて経営する商業施設「なんばCITY」及び「なんばパークスShops&Diners」につきましては、大阪市内における他のエリア(梅田、天王寺等)の大型商業施設と競合関係にあります。
(3)法的規制
鉄道事業におきましては、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別毎に国土交通大臣の許可を受けなければならず(第3条)、さらに旅客又は貨物の運賃及び料金(上限)の設定・変更につき、国土交通大臣の認可を受けなければならない(第16条)こととされております。なお、これらの国土交通大臣の許可及び認可については、期間の定めはありません。
また、同法、同法に基づく命令、これらに基づく処分・許可・認可に付した条件への違反等に該当した場合には、国土交通大臣は期間を定めて事業の停止を命じ又は許可を取り消すことができる(第30条)こととされております。鉄道事業の廃止については、廃止日の1年前までに国土交通大臣に届出を行う(第28条の2)こととなっております。
現時点におきまして同法に抵触する事実等は存在せず、鉄道事業の継続に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、同法に抵触し、国土交通大臣より事業の停止や許可の取消を受けた場合には、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記のほか、当社グループが展開する各事業については、さまざまな法令、規則等の適用を受けており、これらの法的規制が強化された場合には、規制遵守のための費用が増加するなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)大規模販売用不動産
大規模販売用不動産につきましては、順次開発・商品化を進め、計画的な分譲を実施することにより、資金回収をはかっておりますが、主に郊外地域における土地価格の下落や住宅需要の都心回帰の傾向がさらに進んだこと等により、郊外型大規模住宅開発には厳しい状況が続いております。今後も計画的な開発・分譲を進め、魅力ある住宅環境の提供に努めてまいりますが、少子化による住宅需要減や都心回帰の顧客志向がますます強くなることも予想されますので、開発用地の保有リスクの拡大や、資金回収の遅れが生じるなどの影響が出る可能性があります。
(5)グループ会社に関する事項
当社連結子会社である南海辰村建設株式会社は、グループ会社で唯一の上場会社であり、またグループ内の中核会社であるため、当社ではこれまでに第三者割当増資の引受や支援金の提供等の経営支援を行っておりますが、同社において、想定外の受注環境の悪化等に見舞われた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)人事政策
鉄道事業を中心とした運輸業におきましては、労働集約型の産業構造であるため、費用に占める労務費が他産業に比して大きくなっております。そのため、労働組合(南海電気鉄道労働組合ほか)との労使協調を基本に経営合理化のための諸施策を実施しております。また、人材育成、従業員の高齢化及びそれに伴う若年者層への置換えや技能の伝承等が継続課題であり、対応が遅れれば、今後の事業、収支構造に影響を与えることが予想されます。
(7)投資
鉄道事業における投資につきましては、連続立体交差化工事や安全運行確保のための各種投資工事が長期にわたりかつ多額となるため、その資金調達や金利負担が当社グループの業績及び財務状況に影響を与えております。
(8)M&A
成長戦略としてのM&Aの実行に際しては、外部専門家等も交え、対象会社の財務内容等に関するデューディリジェンスを綿密に行いますが、当該デューディリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、M&A実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジー効果が実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)退職給付会計
退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債につきましては、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を計上しております。数理計算上の差異は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年から11年)による定額法により翌連結会計年度から費用処理することとしております。債務の計算における前提が変更された場合や、一層の割引率の低下又は運用利回りの悪化があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)有利子負債
当社は、その事業の特性上、借入金依存割合が高い状況にあり、設備投資やM&A実行資金を使途に多額の社債発行や銀行借入を行った場合、有利子負債残高がさらに増加することが考えられます。資金調達手段の多様化をはかり、財務健全性の維持に努めますが、金利変動により金利負担が増加した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、格付機関が当社の格付を引き下げた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)重要な訴訟
現在のところ、特に経営に重大な影響を及ぼすような重要な係争事件はありません。
今後の事業展開におきましても、あらゆる取引において契約内容の真摯な履行に努めてまいりますが、相手方の信義に反する行為に対しやむを得ず訴訟等を提起する場合や、相手方との認識の相違又は相手方悪意により、訴訟等を提起される可能性があります。さらに、訴訟等の結果によっては、当社グループの社会的信用の失墜や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)事故・システム障害の発生
安全輸送が至上使命である運輸業を基軸に事業展開をしている当社グループにおいて、事故が発生した場合には、社会的信用の失墜を招くばかりでなく、損害賠償請求等により業績に多大な影響を生じる可能性があります。
また、人的原因や機器の誤作動等により、システム障害が発生した場合、事業運営に支障を来すとともに、施設の復旧や振替輸送に係る費用の発生等により、当社グループの社会的信用の失墜や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。したがいまして、事故・システム障害の未然防止のため、保安諸施設や駅務システムの整備、更新や定期的なメンテナンスの実施、従業員教育の徹底等、さらなる対策に取り組んでまいります。
(13)第三者行為やテロ活動等
第三者行為による事故発生や国内で発生が懸念されているテロ活動及び不正アクセス等につきましても、不審物への警戒や施設内巡回の強化及び情報セキュリティの確保等の対策を行っておりますが、万一、テロ活動等が発生し、その影響を受けた場合には、事業活動に支障が出る可能性があります。
(14)自然災害等
高架橋柱をはじめとする鉄道施設やビル等の耐震補強を計画的に実施しておりますが、今後、数十年の間に起こり得る可能性が取りざたされている南海トラフ地震の発生により、当社の設備やインフラが多大な影響を受ける可能性があります。
なお、(12)、(13)の事故発生等を含め、地震等の大規模自然災害が発生した場合の対処として、災害対策規程等を制定し、被害を最小限にとどめる管理体制を強化するなどの対策を講じておりますが、発生の地域、規模、時期、時間等により、被害の範囲が大きくなる可能性があります。また、直接の被害がない場合であっても、大規模自然災害に伴い、電力供給が制限されたり、列車運行に必要な部品の調達が困難となった場合等には、鉄道輸送に大きな支障が出る可能性があります。
このほか、新型インフルエンザ等感染症の流行により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報資産の管理
当社グループでは、各事業においてお客さまや従業員の個人情報だけではなく、機密情報をはじめとする重要情報を保有しております。このため、リスクマネジメント強化を目的として、情報セキュリティポリシーを制定し、従業員に対する教育の実施等に取り組んでおります。しかしながら、何らかの原因により情報が流出した場合には、損害賠償責任が発生する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)保有資産及び商品等の瑕疵・欠陥
当社グループが保有する資産について、瑕疵や欠陥が発見された場合、又は健康や周辺環境に影響を与える可能性等が指摘された場合、その改善・原状復帰、補償等に要する費用が発生する可能性があります。また、当社グループが販売した商品、売却した不動産、受注した工事、提供したサービス等について、瑕疵や欠陥が発見された場合、その改善及び補償等に要する費用の発生や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。