有価証券報告書-第99期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 14:09
【資料】
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【項目】
117項目

対処すべき課題

(1)対処すべき課題
当社グループをとりまく経営環境は、関西国際空港への就航便数やインバウンド旅客の増加等の明るい材料があるものの、少子高齢化やこれに伴う市場規模の縮小等により競争が一段と激化するなど、今後も厳しい状況が続くものと予想されます。
このような状況の下、当社グループでは、量的成長(収益拡大)と質的向上(財務健全性向上)により、事業基盤を一層強固なものとするために、平成27年度から平成29年度までを対象期間とする中期経営計画「深展133計画」を策定し、推進しております。本計画では、これまで築いてきた事業基盤を「さらに深耕し展げていく3年間」と位置付け、次の3項目を基本方針(最重点項目)として、引き続き諸施策に取り組んでまいります。
ア、泉北関連事業の強化
泉北高速鉄道株式会社の子会社化による効果を確実に実現させるために、当社グループ内での戦略的連携を強化し、泉北エリアにおける輸送サービスの利便性・快適性の向上をはかるとともに、事業の効率化に努めてまいります。また、泉北エリア全体の活性化の起爆剤として、エリアの中心となる泉ケ丘駅及び駅前商業施設のリニューアルを計画的に推進するなど、エリア人口の流出抑制と流入促進、集客力の向上をはかり、当社グループの収益向上を実現させてまいりたいと存じます。さらに、東大阪及び北大阪の流通センターにおいて、施設の再編・高度利用計画を策定・推進するなど、当社グループ内の物流事業の業容拡大をはかってまいります。
イ、関空・インバウンド事業の拡大
増大するインバウンド需要を確実に取り込むため、関空アクセスを中心に旅客需要に即した商品の拡充とインターネット直販強化に注力するとともに、駅施設・車両等における多言語対応をはじめ、ハード・ソフト両面において、より快適な利用環境の整備を加速させてまいります。このほか、自治体等との連携により、関西全体の魅力向上と情報発信に努めるなど、大阪がインバウンドゲートシティとしての地位を確立できるよう率先して取り組むことを通じて、当社グループの事業エリアへのインバウンド旅客の来訪を促進し、収益機会の拡大をはかってまいります。また、本年4月1日から関西国際空港の運営権が当社も出資する民間事業者へ移管されたことを受けて、今後の同空港の運営の変化を注視するとともに、当社グループをあげて同空港関連収益基盤のさらなる拡大をはかってまいりたいと存じます。
ウ、なんばエリアの求心力向上
国内外へのアクセスに優れたなんばターミナル直結の利便性を活かし、なんばエリアの可能性を最大限に引き出すことをめざして、南海会館ビル建替計画を推進してまいります。新南海会館ビル(仮称)が、最高水準のBCP(事業継続計画)に対応したビジネスセンター機能をはじめ、インバウンド対応、MICE(※)及び先進・予防医療等、多様なニーズに応える各種サービス機能を具備したなんばエリアの新たな核となるよう、平成30年9月の完成をめざし、建設工事とテナント誘致を着実に進めてまいります。このほか、なんばCITY及びなんばパークスのリニューアルやエリア連携によるまちづくり活動の推進等を通じて、なんばエリアのさらなる魅力向上と競合エリアとの差別化に取り組んでまいります。
以上の基本方針に沿い、スピード感をもって諸施策を推進する一方、当社グループ及び事業エリアのブランドイメージ向上策を積極的に展開するなど、引き続き「沿線エリアの魅力創造」に注力し、インバウンド需要のみに依存しない確固たる事業基盤の確立に努めるとともに、事業・財務・人材等のあらゆる側面において「グループ経営基盤の強化」をはかってまいります。
また、当社グループの普遍的な経営課題である「安全・安心の徹底」、「環境重視」、「コンプライアンスの徹底」及び「顧客志向の追求」をグループ経営方針として定め、これらを確実に実践するとともに、災害対策をはじめ危機管理体制をより一層強化することで、すべてのステークホルダーからの信頼に応え、健全で良好な関係の構築・維持に努めてまいります。
これらの取組みにより、企業の持続的な成長をはかるため、ビジネス機会の確実な結実によって収益の拡大を実現するとともに、有利子負債とキャッシュ・フローのバランスを重視した財務体質の改善を両立させ、当社グループが一丸となって、揺るぎない経営基盤の確立と企業価値の最大化をめざしてまいりたいと存じます。
※MICE(マイス):多くの集客交流が見込まれるビジネスイベント等の総称
(2)会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆さまの共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づいて行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値や株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
特に、当社が企業価値を確保・向上させるためには、沿線住民を核とする顧客及び地域社会との良好な信頼関係を維持・強化していくことが必要であり、また、鉄道事業者としての最大の使命である安全輸送を確保することが何よりも重要であります。当社株式の大量買付を行う者が、当社グループの財務及び事業の内容を理解するのはもちろんのこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解したうえで、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
ア、基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループでは、企業価値向上に向けた取組みといたしまして、量的成長(収益拡大)と質的向上(財務健全性向上)により、事業基盤を一層強固なものとするために、平成27年度から平成29年度までを対象期間とする中期経営計画「深展133計画」を策定し、推進しております。この「深展133計画」では、これまで築いてきた事業基盤を「さらに深耕し展げていく3年間」と位置付け、上記(1)「対処すべき課題」に記載のとおり、次の3項目を基本方針(最重点項目)として、さまざまな企業価値の向上策に取り組んでおります。
(ア)泉北関連事業の強化
(イ)関空・インバウンド事業の拡大
(ウ)なんばエリアの求心力向上
イ、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、平成28年6月24日開催の第99期定時株主総会において、当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)の内容を更新することについてご承認をいただいております。本プランの内容の概要は、次のとおりであります。
(ア)目的
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合に、株主の皆さまが適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保すること等を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益に反する買収を抑止し、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としております。
(イ)手続の設定
本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求めるなど、上記の目的を実現するために必要な手続を定めております。なお、買収者は、本プランに係る手続が開始された場合には、当社取締役会又は株主総会において本プランの発動をしない旨の決議がなされるまでの間、買収を実行してはならないものとされております。
買収者は、買付等の開始又は実行に先立ち、買付等の内容等の検討に必要な情報等を当社に提出することが求められます。当社取締役会は、買収者から情報等が提出された場合、外部専門家からの助言又は意見を得たうえで、買付等の内容等の検討、買収者の提示する経営計画・事業計画等の検討、代替案の検討、買収者との協議・交渉等を行い、買付等の内容に対する意見をとりまとめ、株主の皆さまに対して提示します。
当社取締役会は、上記の手続に従い検討を行った結果、新株予約権の無償割当てを実施しない旨決定した場合を除き、原則として、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する株主の皆さまの意思を確認するものとします。但し、本プランに定められた手続に従わない買付等であり、かつ、新株予約権の無償割当てを実施することが相当である場合には、株主総会を招集せずに、取締役会において新株予約権の無償割当ての実施についての決議をすることができるものとします。
上記のほか、当社取締役会は、買付等について、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を害するおそれがあると判断する場合には、株主総会を開催し、買収者の買付等に関する株主の皆さまの意思を確認することができるものとします。
(ウ)新株予約権の無償割当てによる本プランの発動
買付等が本プランに定められた手続に従わないものであったり、当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合等であって本プランに定める要件に該当する場合には、当社は、買収者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が買収者等以外の者から当社株式等と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項等が付された新株予約権を、その時点の当社を除くすべての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。
本プランに従って新株予約権の無償割当てがなされ、その行使又は当社による取得に伴って買収者等以外の株主の皆さまに当社株式が交付された場合には、買収者等の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。
(エ)本プランの有効期間及び廃止
本プランの有効期間は、平成28年6月24日開催の第99期定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。但し、有効期間の満了前であっても、(ⅰ)当社の株主総会において、本プランに係る新株予約権の無償割当てに関する事項の決定についての取締役会への委任を撤回する旨の決議が行われた場合、又は、(ⅱ)当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランは当該決議に従い廃止されるものとします。
③ 上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
ア、基本方針の実現に資する特別な取組み(上記②のアの取組み)について
上記②のアに記載した中期経営計画「深展133計画」は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定したものであり、まさに基本方針の実現に資するものであります。
したがって、これらの取組みや各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
イ、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(上記②のイの取組み)について
上記②のイに記載のとおり、本プランは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであり、基本方針に沿うものであります。特に、本プランは、株主総会において株主の皆さまの承認を得て更新されたものであること、株主総会又は取締役会の決議によりいつでも廃止できるとされていること、発動の是非についても、一定の場合を除き、株主総会において株主の皆さまの意思を確認することとしていること等、株主意思を重視するものであり、また、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されていること、本プランの運用に際して外部専門家の助言又は意見を取得することとしていること等により、その公正性・客観性が担保されており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。