有価証券報告書-第38期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/16 16:48
【資料】
PDFをみる
【項目】
195項目
イ.戦略
当社グループの人財戦略は、モビリティサービス分野を中心とした既存分野における事業の質を高めていく一方で、ライフデザイン分野の拡大をめざした取り組みを推進することで、同質性の高い人財で構成されるポートフォリオから、多様性のある人財で構成されるポートフォリオへの転換を図り、持続的に価値創造していく企業グループへの成長に挑戦していきます。
人財戦略の3本柱として「人財育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「ワークエンゲージメント」を掲げ、人財ポートフォリオの転換を実現すべく、各種取り組みを推進していきます。
(ア)人財育成
当社グループでは、社員が有する多様なスキルや経験がイノベーションの創出や変化対応力の向上につながると考えております。社員一人ひとりが積極的かつ自律的にキャリア開発に取り組むことができる制度の導入や環境整備を行うことで、モビリティサービス分野・ライフデザイン分野における専門性を深めるとともに、責任あるポストでの業務経験や他部門と連携した新たな価値創出の経験を通じて、スキル・経験の多様性を広げ、個の力と組織の力を最大化していきます。
自律的なキャリア開発機会の拡充・ポスト公募制度(注1)を通じた自律的なキャリア選択機会の拡充
・Off-JTメニューや資格取得支援の拡充
・副業の奨励やグループ外派遣を通じた幅広い社外経験の支援
・新たな事業創出支援、事業化機会の提供(イノベーション創出プログラム(注2))
・全社員対象のオンライン学習サービスの導入
(グループ経営人財候補対象)
キャリアディベロップメントプログラムの導入
・複数の事業、業務経験と戦略上重要な専門性の獲得を意図したジョブローテーション
・専門性獲得に向けたビジネスリテラシーの習得支援
(50歳以上の管理職対象)
ネクストキャリアプログラムの導入
・キャリア研修を通じた保有スキルの棚卸
・リスキリングメニューの整備やリカレント支援
・新たなキャリアへの挑戦を含むキャリア選択機会の提供

既存分野である鉄道の現場を支える人財の育成については、基幹事業である鉄道事業を将来にわたり安全・安定的に運営していくにあたっての基盤であり、非常に大切なものと考えております。日々の仕事を通じて知識や技術を学ぶOJT(On the Job Training)を基本に、社員研修センターなどで行われる集合研修や通信教育などの自己研鑽を通じて、引き続き社員一人ひとりの成長を支援していきます。
また、変化対応力の向上に重要な役割を担うDX・ITリテラシーの向上に向けた研修を全社的に実施しているほか、デジタルツールの積極的な利活用を通じた業務改革を主導する取り組みもあわせて推進しております。
(注)1 全社員を対象に新規事業やプロジェクトを担う人財を募集する制度。
2 当社グループの全社員を対象に、新規事業及び既存事業でのイノベーションの創出をめざすビジネスアイディア公募制度。
(イ)ダイバーシティ&インクルージョン
国籍、年齢、障がいの有無、性別や性指向、価値観、育児や介護、社内外での経験等を社員一人ひとりが有する大切な“個性”と捉え、多様な“個性”を認め合い、掛け合わせることにより、新たな価値創出につなげます。
女性活躍推進、仕事と家庭の両立支援、多様な経験を持つ人財の採用等の取り組みを加速し、多様性のある人財ポートフォリオの構築を推進します。
女性活躍推進
(成長支援・環境整備・キャリア開発)
・ライフステージに応じさまざまなキャリアを選択できる環境の整備
・各種制度、慣行及び働き方の見直しによるキャリアアップ意欲の向上
・メンター制やネットワーク構築によるフォロー体制の充実
社会人採用の拡充・雇用の流動化を踏まえた通年採用の実施
・入社時のスキルが一様でないことを前提とした初期教育の改革
・社会人としての経験を評価した採用時の処遇の決定
障がい者雇用の推進・特例子会社への業務委託の見直しによる雇用の場の創出
・特例子会社における新規事業の創出

(ウ)ワークエンゲージメント
人財は「心をもつ資本」であり、社員のパフォーマンスは会社やチームとの関係性によって大きく変化します。社員一人ひとりが高いワークエンゲージメントのもと、仕事を通じた成長を実感できるよう、共通の価値観である「私たちの志」を社員と会社が共有し、仕事を通じて理想とするキャリアを描きながら、いきいきと働ける組織風土や文化の醸成、定着を推進していきます。
中期健康経営計画2027(注)の実行・高ストレス者の低減と病気の未然防止、生活習慣の改善による健康経営の推進
・女性特有の健康課題に対するフォローを通じたキャリア継続支援(フェムテックの活用等)
リアルタイムでの問題把握とフォロー(パルスサーベイ)・エンゲージメントのタイムリーな把握と向上策への反映を行うPDCAの短サイクル化
社外との連携による箇所長のマネジメント支援・部外の専門家による低モチベーション職場の箇所長への面談
・好事例の水平展開

(注) 職場や社員個人による健康活動を支援する5ヶ年の行動目標。