有価証券報告書-第73期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/09/27 9:19
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは『品質』、すなわち「安全で良質な輸送・サービス」をお客様に提供すると共に、「お客様の期待以上のサービスを創造することにより、豊かな社会の発展に貢献する。」という企業理念を掲げており、様々なお客様のニーズに対応したあらゆるサービスの質の向上を活動の基本としております。
また、物流業界における確固たるポジションを築くため、既存ビジネスの拡大とともに新規事業や新サービスを創出し、M&Aもひとつの選択肢として、新しい事業領域への展開を推し進めてまいります。持続的な成長・発展を通し、企業価値を増大させ、社会、お客様、株主の皆様から継続的に信頼を得られる企業グループになることを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
グループ1,000億円の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標とし、さまざまな施策を展開し、目標達成に向け邁進してまいります。
(3) 当社グループが置かれている環境について
当社グループの主たる事業であります自動車関連事業は、消費税や自動車取得及び保有時などの関係諸税の税制に影響を受けやすい自動車販売市場の動向に連動しております。国内の新車市場は90年代の700万台をピークに、それ以降は停滞が続き、近年の新車販売台数は500万台前後を推移しております。人口減少などによる運転免許保有者の減少や自動車の所有形態が変化してくるなど、長期的に見れば市場は減少傾向にあります。
また、物流業界においては中長期的な原油価格の高騰リスクやSOx規制強化に伴う海上運賃上昇リスクに加え、コンプライアンスへの対応、日本国内における労働力不足、特に乗務員の不足への対応、さらには働き方改革関連法への対応など引き続き厳しい事業環境が続くものと考えております。
このような中で、当社グループは以下のような課題に取組み、力強い成長戦略を実現するための活動を展開いたします。
(4) 対処すべき課題
① 輸送改革の推進
自動車生産工場や中古車オークション会場の所在する地域は、多くの商品車を輸送するための戦力を配置する重要な拠点となり、販売店までの新車輸送やオークション開催日前後の搬入搬出によって商品車が集中します。しかしながら、販売店からの復荷の有無によって積載率が変動したり、オークション開催日とそれ以外では繁閑差があるため、輸送情報の事前入手と計画的な配車により不経済な回送や運休が生じないように努めてまいります。
事業基盤の再構築の一環として地域ブロック化を完了させ、既存の輸送戦力を最大活用できる最適な配置を進めるとともに、新規輸送協力会社の開拓などにより輸送戦力の拡充を図ってまいります。また顧客エリアの開拓や料金体系の包括的な見直しを進め、収益向上につなげてまいります。
② 働き方改革の推進
少子高齢化の加速により、若年層の人口そのものが減少していることに加えて、若年層の運転免許保有率が減少しつつあり、また自動車整備士の資格取得を目指す若年層も減少しております。その結果として、乗務員や整備士が減少し、労働力が不足することで業務量や労働時間の超過が慢性化し、従業員の健康への被害や業務効率の悪化を招くことを避けなければなりません。
乗務員や整備士の採用を進め、法令順守に努めるとともに、総労働時間の短縮を推進するため、仕事の簡素化及び自動化、システム化によって負荷軽減に努めてまいります。業務プロセスをシンプルにすることや、アウトソースの併用によって、業務量の削減を図り、労働環境や諸条件の改善を進めてまいります。これにより、業界ダントツの魅力ある会社、働きがいのある職場をつくり上げることで、乗務員や整備士の採用と定着を促進します。
③ 自動車周辺事業の拡大
車両輸送事業に依存しない事業ポートフォリオを構築するため、名義変更や登録代行、車両保管、整備、板金、塗装、オークション、中古車輸出などの既存周辺事業の再構築を進め、新規需要の発掘による新規事業や新サービスを創出してまいります。また、M&Aや業種を問わないアライアンスの推進による新しい事業領域への展開によって、当社グループの成長を推し進め、事業基盤をさらに強固なものとしてまいります。
④ 車両輸送以外の業務の拡大
ヒューマンリソース事業においては、さまざまな送迎に関わる企業のアウトソース需要を獲得し、戦略的な営業活動及び営業体制の強化により、積極的に地方都市への展開を行なっております。従来の「ドライバー」を軸とした人材の確保、教育、社会への供給、サービスの提供に加えて、中長期的には、空港、福祉、介護、国際人材といった分野への事業展開を取り組んでまいります。
一般貨物事業においては、港湾荷役事業、運輸事業、倉庫事業などがあり、お客様の要望を的確に捉えて事業の拡大を進めております。グループ内での協業を推進し、グループ内のインフラやリソースの最大活用を進めてまいります。
⑤ 海外事業の拡大
当社グループが自動車関連事業で長年培ってきたサービス技術、ノウハウを海外の成長市場で展開しております。中国では、2004年の創業以来、順調に事業を拡大し収益を上げておりますが、一部の自動車メーカーに売上高の大半を依存しており、三年毎に行われる入札により業績が左右されることに留意する必要があります。
アセアン諸国では、タンチョンインターナショナルリミテッドと相互に協力し事業展開を進めております。
海外事業におけるビジネスパートナーとの連携強化を図るとともに新規顧客の開拓によって事業規模を拡大してまいります。