有価証券報告書-第135期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 14:00
【資料】
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【項目】
180項目
(4) 戦略
シナリオ分析の実施
当社グループは、気候関連リスク・機会がもたらす海運業と不動産業への影響を把握するため、TCFD提言に基づき、「脱炭素シナリオ」と「成り行きシナリオ」について、それぞれの将来の世界観を踏まえ、各事業の重要なリスクと機会を抽出し、項目を特定しました。
各シナリオで想定される世界観
当社グループ事業(海運業、不動産業)で想定される世界観は以下のとおりです。

各シナリオで顕著となるリスクと機会
2つのシナリオで想定される世界観における重要なリスクと機会は以下のとおりです。

海運業における移行リスクと対応策及び機会

海運業における物理的リスクと対応策及び機会

リスクに対応するためのコスト
船舶の運航管理システムや海陸(船舶と陸上)間と船同士のコミュニケーションに使用する通信機器等のITシステムの利用により、年間約12百万円の費用が発生しました。
財務上の潜在的影響額
航路上に台風が発生した場合、船舶は台風を避けるために航路から離れて航行(離路)する必要があります。離路に伴い年間約1,100百万円の追加費用が発生する可能性があります。
不動産業における物理的リスクと対応策及び機会

リスクに対応するためのコスト
全ての国内所有オフィスビルにおいて災害に備えるために保険の加入が必要となり、一部のオフィスビルでは約11百万円の費用が発生します。
また、当社所有の一部のオフィスビルは、比較的海抜の低い場所に位置しており、雨水の浸入の可能性があります。このリスクに対処するため、1階防潮板、地下防水板を設置し、約81百万円の費用が発生します。
財務上の潜在的影響額
当社所有の一部オフィスビルのリスク調査をリスクコンサルティング会社が行った結果、水害リスクとして約3,700百万円の損害が発生する可能性があることが判明しています。この損害額については、加入している上記保険によりカバーされる予定です。
今後の対応戦略
海運業
シナリオ分析の実施により、脱炭素社会への移行が当社グループに及ぼす影響が明らかになりました。主要貨物である化石燃料の海上輸送需要は低下する一方、クリーンエネルギー燃料等、新たな輸送需要の発生も見込まれます。これらの輸送物資の変化に適切に対応することで、化石燃料輸送の減少による売上減少を上回る新たな事業機会からの売上増加が期待できると認識しています。
当社グループでは、脱炭素社会への移行を見据えて、環境負荷低減に貢献するクリーンエネルギーの輸送や次世代燃料船への投資を積極的に推進します。
不動産業
所有するビルに対し、非化石証書付電力の購入、カーボンオフセット都市ガスの導入、照明のLED化、太陽光パネルの設置、設備機器の省エネ運用等、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた取組みを既に進めています。
これからの脱炭素社会への移行に伴い、オフィスビルの更なる省エネルギー化と再生エネルギー化を検討していきます。
中期経営計画における各事業の具体的な戦略
2026年度~2030年度を対象期間とする当社グループの中期経営計画においては、上記の重要な気候関連リスク・機会の精査を踏まえて、2050年ネットゼロ達成の目標を掲げ、そのためのロードマップを以下のように取り纏めております。


人的資本経営における戦略
当社グループは、事業環境の変化を踏まえ、事業戦略の実現及び中長期的な企業価値向上に向け、人的資本を重要な経営資源としてその価値最大化を図る人的資本経営を推進しております。
人的資本経営戦略は事業戦略と連動し、「成長事業に導く経営資源配分」及び「稼ぐ力の底上げ」を人材面から支えることに重点を置いております。
具体的には、「成長事業への資源配分」、「攻めの稼ぐ力」、「守りの稼ぐ力」を人材戦略テーマとし、当社が目指す「価値創造人材(ありたい人材像)」を、「全体最適を見据えた俯瞰力」、「多様な専門性」、「価値創造を前に進める実行力」を備えた人材と定義し、計画的に育成・配置していくことを基本方針としております。
この方針のもと、人材・組織面の重点課題として、「全体最適の視点で意思決定を担える価値創造人材・専門人材の創出」、「役割・貢献に基づくメリハリのある人事制度」、「DX・組織最適化による生産性向上や人員の余力創出」、「成長・収益分野を見据えた人材配置・経験設計」の4点を設定しております。
これらの重点課題の解決を通じて、事業環境の変化に対応した組織・人材の変革を進め、人的資本の強化と中長期的な成長基盤の構築を図ってまいります。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針
当社グループは、企業価値の持続的向上のためには人的資本の質の向上及び最大活用が不可欠であるとの認識のもと、「価値創造人材」の育成を推進しております。
人材育成においては、画一的・年次中心の成長モデルから転換し、事業戦略と連動した「経験」を重視した育成を行います。成長・収益分野や新たな事業課題への挑戦機会を通じて俯瞰力及び実行力を養うとともに、個々の適性や志向に応じた専門性の深化を図り、多様な強みを持つ人材の育成を目指します。
また、人材の多様性については価値創造の源泉と位置づけ、性別・年齢・経験・バックグラウンド等にとらわれない人材の活躍を推進しております。キャリア人材の活用や、部門横断的な人材交流を通じて、多様な視点・知見を取り込み、意思決定の質及び価値創造力の向上につなげてまいります。
さらに、人材育成方針の実効性を高めるため、人的資本経営戦略と整合した人事制度の見直しを予定しております。役割及び期待される貢献をより明確化し、成果や挑戦、価値創造への貢献が評価・処遇に適切に反映される制度とすることで、社員の主体的な成長及び行動を促進いたします。
社内環境整備に関する方針
当社グループは、人的資本経営戦略の実行にあたり、社員一人ひとりが能力を発揮し、付加価値創出に主体的に取り組むことができる社内環境の整備が重要であると認識しております。
社内環境整備においては、働きやすさの向上にとどまらず、社員が事業全体を意識しながら専門性を発揮し、価値創造に注力できる状態の実現を目指しております。業務の標準化・効率化やDXの推進により生産性向上と人的余力の創出を図り、当該余力を成長分野・高付加価値領域へ再配分してまいります。
また、自己申告制度を通じて社員のキャリア志向及び能力発揮の方向性を把握し、本人の意向と事業ニーズを踏まえた配置・支援を行っております。
働き方の面では、在宅勤務制度や時差出勤制度の活用を進めるとともに育児休業取得促進を契機として業務の属人化解消やプロセス見直しを推進し、チームで業務を遂行する体制を構築しております。これにより多様な人材が継続的に能力を発揮できる環境の実現を図っております。今後は、人事制度の見直しと連動し、挑戦や価値創造への取組みが適切に評価・処遇に反映される仕組みを整備し、個々の主体的行動と組織の価値創造が好循環する環境を構築してまいります。

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