有価証券報告書-第218期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:04
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大によるリスクが懸念されるものの、米国で着実な持ち直しが続き、中国では緩やかな回復が続くことが期待されます。またわが国経済は、同感染症拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されます。
こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、倉庫及び港湾運送等物流業界においては、荷動きの回復が期待されるものの、競争の激化、人手不足等を背景としたコストの増加により極めて厳しい状況が続き、また不動産業界においては、同感染症の影響による商業施設の売上低下に加え、賃貸オフィスビル需給の緩み等により、業況の停滞が懸念されます。
このような事業環境の下、当社グループは、2030年に目指す姿として「MLC2030ビジョン」を掲げ、「お客様の価値向上に貢献する」を第一に、お客様のパートナーとして調達から流通・販売までのサプライチェーンを一貫で担うロジスティクス企業として、国内外のお客様から選ばれ続ける企業グループとなることを目指します。
具体的には、
(1) 「医療・ヘルスケア」「食品・飲料」「機械・電機」を重点分野として、お客様起点のサポート体制を確立し、お客様のパートナーとしてサプライチェーン全体の課題に対応することにより、事業領域及びシェアの拡大を図ります。
(2) 海外においては、東南アジア(ASEAN)等において増加が見込まれる高品質なコールドチェーン需要を狙い、「医療・ヘルスケア」「食品・飲料」分野におけるお客様のサプライチェーンのサポート体制拡充とフォワーディング事業の強化を進めます。
(3) 港運事業においては、世界トップレベルの評価を受ける荷役能率等を武器に競争力を更に高めていくことにより、また、不動産事業においては、複合施設等の開発と運営力強化により、安定した利益を確保します。
(4)全事業の業務プロセスを見直すとともに、IoT、AI、ロボット等の新技術を活用した効率的なオペレーションにより、サービス品質及び生産性の向上を実現します。
(5) 当社・グループ会社一体となった組織運営によるコスト競争力強化と重点分野等の人材確保・育成による成長を目指します。
併せて、2019年度から2021年度の3ヵ年を「MLC2030ビジョン」の実現に向けた飛躍のための第1ステージと位置付ける中期経営計画[2019-2021]に沿い、当社グループの更なる成長のため、また、お客様、グループ社員、株主・投資家等ステークホルダーの期待に応えるため、以下の施策に確実に取り組み、「MLC2030ビジョン」の実現に向けて邁進していきます。
(1) 重点分野における事業基盤の整備
(2) 新技術活用体制の構築
(3) 港運事業の競争力維持
(4) 不動産事業の複合施設等の開発と運営力強化のための体制整備
(5) 業務プロセス効率化等による生産性の向上
(6) 働き方改革とイノベーション創出のための環境整備
(7) 株主還元の強化
(8) CSR経営の推進
さらに、企業理念、MLC2030ビジョン、経営計画[2019-2021]の基本方針及びこれまでのCSR活動等を踏まえ、価値創造ストーリーを策定したほか、取り組むべき社会課題を踏まえた6つの重要テーマ(①安全・安心、災害対応、②環境対応、③先端技術、イノベーション、④パートナーシップ、⑤人材育成・社員満足度向上、⑥コンプライアンス、人権・ジェンダー)及び各テーマにおける施策・評価指標・目標値を設定し、ESG経営の実現及びSDGsの目標達成への貢献に向けた取り組みを推進していきます。
物流、不動産という社会基盤を担う当社グループの事業は、まさにSDGsの精神である「持続可能な」社会づくりに貢献するものであり、当社グループは、環境対応等、社会課題の解決に取組むなかで事業の成長機会を見出し、グループの持続的な成長を目指します。
なお、当社グループは中期経営計画[2019-2021]における最終年度の業績目標として、営業収益2,400億円、営業利益145億円、経常利益171億円、EBITDA(=営業利益+減価償却費)301億円を掲げておりますが、最終年度である2022年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の拡大や足元の業績動向を勘案し、営業収益2,270億円、営業利益126億円、経常利益162億円、EBITDA283億円を見込んでおります。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。