有価証券報告書-第178期(2025/04/01-2026/03/31)
②戦略
気候変動に関する分析
当社グループの事業に気候変動が与える影響について、複数の気候シナリオ(「1.5℃シナリオ」、「4℃シナリオ」)を用い、シナリオ分析を実施しております。バリューチェーン上で発生する気候変動の影響に関する想定をふまえ、リスク・機会の特定や分析・評価、対応策の検討をすることで、短期・中長期的な事業戦略に反映し、施策の推進をより効果的なものにしてまいります。
[1.5℃シナリオ]
2050年カーボンニュートラル実現のための政策・規制が強化され、炭素税等が導入される。また、消費者が脱炭素の動きを企業に対してより求めるようになり、B to B企業においてもCO2排出量削減等の気候変動への対応がより一層迫られる。
[4℃シナリオ]
炭素税等の導入はされず、自然災害が激甚化することで、より防災・BCPの対応が重視される。消費者の動向は現状と大きく変化せず、企業における気候変動対応についても現状の水準にとどまる。
気候関連のリスク・機会と財務影響
●:リスク 〇:機会
[凡例]
大・中・小: 財務影響試算の結果をもとに定量及び定性評価
- : 潜在リスクはあるが、現在の情報では2030年時点で顕在化可能性が高くないもの
短期 : 1~3年程度
中期 : 2030年
長期 : 2050年以降
それぞれのシナリオにおいてバリューチェーン上で発生する気候変動の影響を「消費者」、「顧客」、「当社グループ」、当社グループのサプライヤーである「委託先企業」のそれぞれについて検討し、リスク・機会の発現時期と定量・定性的な影響の試算を実施いたしました。
今回行った定量的な試算において、当社グループにとって最も影響が大きいのは1.5℃シナリオにおけるカーボンプライシング(炭素税の導入)ですが、総じて、気候変動による当社グループへの財務影響は小さく、当社グループは気候変動に対しレジリエントであると考えます。
なお、カーボンプライシング(炭素税の導入)の影響が顕在化することへの対応策としては、自社での排出量削減施策に加え、顧客や委託先企業と協働した排出量削減施策が有効であるため、今後はこれらの施策を推進してまいります。また、定量分析項目だけでなく、定性分析項目についても情報のアップデート・モニタリングを実施し、事業への影響を確認してまいります。
自然資本に関する分析
TNFD提言が推奨するLEAPアプローチ ※1 を用いて当社グループの主要なバリューチェーンにおける自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の分析・評価・特定を行っています。
(1)自然関連の依存・インパクトの概要
バリューチェーン ※2 の直接操業・上流・下流ごとに自然への依存・インパクトを整理し、その重要性を5段階で評価しました。評価にあたってはまずバリューチェーンを通じて当社に関連する主なセクターを特定した上で、国連環境計画世界自然保護モニタリング・センター(UNEP-WCMC)等が開発したツールである「ENCORE」を参考に評価付けしました。
直接操業においては、自然への依存は総じて低い傾向にありますが、「港湾運送」は、港湾施設が高潮・津波等による直接的な物理的被害を受けるリスクに晒されており、生態系サービスが提供する「洪水・暴風緩和」の洪水制御機能に高く依存していることが確認されました。また、自然へのインパクトも総じて低い傾向にありますが、国際的な輸送である「海上輸送フォワーディング」及び「航空輸送フォワーディング」は、意図せず「侵略的外来種」を非自生地へ運搬・拡散させてしまう主要な経路となっているため、自然に高いインパクトを与える可能性があります。
※1 LEAPアプローチ:TNFDが開発した、事業における自然との接点や自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など自然関連課題を評価するための統合的なアプローチ。「Locate:発見」「Evaluate:診断」「Assess:評価」「Prepare:準備」から構成される。
※2 当社グループにおけるバリューチェーン
• 直接操業…保管、港湾運送、フォワーディング、陸上貨物輸送、不動産賃貸
• 上流の事業活動…陸/海/空等の輸送関連、荷役機器等その他の調達関連、不動産建設関連
• 下流の事業活動…主要な顧客の業界関連(ヘルスケア、自動車、家電、精密機器・機械、食料・飲料、化学品 等)、不動産解体関連
直接操業における自然関連の依存・インパクト
(2)リスクと機会及び対応策
依存・インパクトの分析・評価結果を踏まえ、現時点で考えられる自然関連のリスク・機会を、国際的な政策動向などの外部要因も加味して特定し、リスク・機会それぞれへの対応の方向性を整理しました。
本内容をふまえ、従来の取り組みと合わせて各施策の推進に取り組んでまいります。
リスク・機会と対応策一覧
気候変動に関する分析
当社グループの事業に気候変動が与える影響について、複数の気候シナリオ(「1.5℃シナリオ」、「4℃シナリオ」)を用い、シナリオ分析を実施しております。バリューチェーン上で発生する気候変動の影響に関する想定をふまえ、リスク・機会の特定や分析・評価、対応策の検討をすることで、短期・中長期的な事業戦略に反映し、施策の推進をより効果的なものにしてまいります。
[1.5℃シナリオ]
2050年カーボンニュートラル実現のための政策・規制が強化され、炭素税等が導入される。また、消費者が脱炭素の動きを企業に対してより求めるようになり、B to B企業においてもCO2排出量削減等の気候変動への対応がより一層迫られる。
[4℃シナリオ]
炭素税等の導入はされず、自然災害が激甚化することで、より防災・BCPの対応が重視される。消費者の動向は現状と大きく変化せず、企業における気候変動対応についても現状の水準にとどまる。
気候関連のリスク・機会と財務影響
●:リスク 〇:機会
| 移行リスク・機会 | 財務影響 | 発現時期 | 対応策 | |||
| 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 政策・ 法規制 | ● | CO2排出量削減に関する税等規制・ カーボンプライシングの導入・強化による費用負担増加 - 輸送・物流施設の燃料・電気使用等(委託先含む) | 小-中 | - | 中期 | ・ 輸送の効率化 ・ 車両のZEV化 ・ 省エネ設備、施策の推進 ・ 使用電力を抑えるオペレーションの推進 ・ 再生可能エネルギーの導入促進 ・ 委託先企業の選定 |
| ● | 冷媒規制・ 代替フロン等冷媒規制の強化による設備投資額増加 - 物流施設の冷凍設備対応 | 小 | 小 | 中期 | ||
| ● | その他規制 ・ 省エネ規制等の導入・強化による費用負担増加 - EV導入やガソリン車両販売禁止等、車両に関する規制 - 建築物への断熱等省エネ基準 - 再エネ調達・導入比率目標に関する規制 等 | - | - | 長期 | ||
| 市場・評判 | ● | 委託先運送会社のエネルギー転換・ 低炭素燃料や脱炭素燃料への転換等の進展による運送委託費用増加 - SAF等の環境負荷の少ない燃料の導入 | 小 | 小 | 短中期 | |
| ● 〇 | 顧客動向(条件)・ 環境配慮対応の拡大 - CO2排出量把握・削減等が契約・発注条件 | 大 | 小 | 短期 | ・ 既存顧客・潜在顧客の気候変動に係るニーズを捉え、SustainaLinkをはじめとした社会課題起点の物流ソリューションサービスの開発・推進 | |
| ● 〇 | 顧客動向(取り扱い商品)・ 顧客取り扱い商品の特性変化 - 生産量・産地、部品構成等の変化 - 新たなサステナブル商材の登場 | 大 | 大 | 中長期 | ||
| 物理リスク | 財務影響 | 発現時期 | 対応策 | |||
| 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 急性 | ● | 風水害激甚化(直接影響)・ 激甚災害の頻発化・大規模化による保有資産への損害発生、保険料・修繕費用増加 | 小 | 小 | 中期 | ・風水害激甚化等の気候変動影響をリスクマネジメント項目に組み込み ・BCP、BCM対応の継続実施 ・安全な労働環境の実現 |
| ● | 評判(間接影響)・ 風水害の影響把握やBCP対応が不十分であることによる信頼喪失 | 小 | 大 | 短中期 | ||
| 慢性 | ● | 海面上昇・ 浸水被害の増加による保有資産への損害発生、保険料・修繕費用増加 | 小 | 小 | 長期 | |
| ● | 気温上昇・ 熱中症罹患リスクの上昇 - 従業員の健康被害増加 - 就業可能時間の減少 ・ 平均気温上昇による空調費用増加 | 小 | 小 | 中期 | ||
[凡例]
大・中・小: 財務影響試算の結果をもとに定量及び定性評価
- : 潜在リスクはあるが、現在の情報では2030年時点で顕在化可能性が高くないもの
短期 : 1~3年程度
中期 : 2030年
長期 : 2050年以降
それぞれのシナリオにおいてバリューチェーン上で発生する気候変動の影響を「消費者」、「顧客」、「当社グループ」、当社グループのサプライヤーである「委託先企業」のそれぞれについて検討し、リスク・機会の発現時期と定量・定性的な影響の試算を実施いたしました。
今回行った定量的な試算において、当社グループにとって最も影響が大きいのは1.5℃シナリオにおけるカーボンプライシング(炭素税の導入)ですが、総じて、気候変動による当社グループへの財務影響は小さく、当社グループは気候変動に対しレジリエントであると考えます。
なお、カーボンプライシング(炭素税の導入)の影響が顕在化することへの対応策としては、自社での排出量削減施策に加え、顧客や委託先企業と協働した排出量削減施策が有効であるため、今後はこれらの施策を推進してまいります。また、定量分析項目だけでなく、定性分析項目についても情報のアップデート・モニタリングを実施し、事業への影響を確認してまいります。
自然資本に関する分析
TNFD提言が推奨するLEAPアプローチ ※1 を用いて当社グループの主要なバリューチェーンにおける自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の分析・評価・特定を行っています。
(1)自然関連の依存・インパクトの概要
バリューチェーン ※2 の直接操業・上流・下流ごとに自然への依存・インパクトを整理し、その重要性を5段階で評価しました。評価にあたってはまずバリューチェーンを通じて当社に関連する主なセクターを特定した上で、国連環境計画世界自然保護モニタリング・センター(UNEP-WCMC)等が開発したツールである「ENCORE」を参考に評価付けしました。
直接操業においては、自然への依存は総じて低い傾向にありますが、「港湾運送」は、港湾施設が高潮・津波等による直接的な物理的被害を受けるリスクに晒されており、生態系サービスが提供する「洪水・暴風緩和」の洪水制御機能に高く依存していることが確認されました。また、自然へのインパクトも総じて低い傾向にありますが、国際的な輸送である「海上輸送フォワーディング」及び「航空輸送フォワーディング」は、意図せず「侵略的外来種」を非自生地へ運搬・拡散させてしまう主要な経路となっているため、自然に高いインパクトを与える可能性があります。
※1 LEAPアプローチ:TNFDが開発した、事業における自然との接点や自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など自然関連課題を評価するための統合的なアプローチ。「Locate:発見」「Evaluate:診断」「Assess:評価」「Prepare:準備」から構成される。
※2 当社グループにおけるバリューチェーン
• 直接操業…保管、港湾運送、フォワーディング、陸上貨物輸送、不動産賃貸
• 上流の事業活動…陸/海/空等の輸送関連、荷役機器等その他の調達関連、不動産建設関連
• 下流の事業活動…主要な顧客の業界関連(ヘルスケア、自動車、家電、精密機器・機械、食料・飲料、化学品 等)、不動産解体関連
直接操業における自然関連の依存・インパクト
| 当社グループの 主な事業活動 | 自然への依存 | 自然へのインパクト | ||||||||||||
| 供給サービス | 維持・調整サービス | |||||||||||||
| 水資源 | その他資源 | 汚染 浄化 | 水流 調整 | 気候 調整 | 洪水・暴風緩和 | 土壌・堆積物保持 | 生物学的制御 | 土地・淡水域・海洋利用変化 | 気候 変動 | 資源利用/回復 | 汚染/汚染除去 | 侵略的外来種 | ||
| 物流事業 | 倉庫保管 | VL | - | VL | VL | L | L | M | VL | L | M | L | L | VL |
| 港湾運送 | L | - | VL | M | L | H | L | VL | M | M | L | M | - | |
| 海上輸送 フォワー ディング | VL | - | VL | VL | L | L | L | VL | L | M | L | L | H | |
| 航空輸送 フォワー ディング | VL | - | VL | VL | L | L | L | VL | L | M | L | L | H | |
| 陸上貨物 輸送 (自社) | VL | M | VL | L | M | M | L | - | M | M | L | M | L | |
| 陸上貨物 輸送 (委託) | VL | - | VL | VL | L | L | L | VL | L | M | L | L | L | |
| 不動産事業 | 不動産 賃貸 | VL | - | VL | VL | L | L | M | - | L | VL | VL | L | - |
| 依存・インパクトの度合い | H | :High(高い) | M | :Medium(中程度) | L | :Low(低い) | VL | :Very Low(とても低い) |
(2)リスクと機会及び対応策
依存・インパクトの分析・評価結果を踏まえ、現時点で考えられる自然関連のリスク・機会を、国際的な政策動向などの外部要因も加味して特定し、リスク・機会それぞれへの対応の方向性を整理しました。
本内容をふまえ、従来の取り組みと合わせて各施策の推進に取り組んでまいります。
リスク・機会と対応策一覧
| リスク/機会 | 分類 | 主な依存・インパクト | 依存・インパクトによる環境変化 | 対応策 | ||
| ・当社グループにもたらしうる影響 | ||||||
| リ ス ク | 物理 リスク | 急性 | 水資源、水流調整、降雨パターンの調整 | 降雨・気象パターンの変化による水不足 | ・サプライチェーンに対する自然関連影響についての定期的なモニタリング ・物流量やリードタイム変更に柔軟に対応可能な物流ソリューションサービスの構築 ・GHG削減目標に向けた取り組み推進 ・熱中症対策の検討、推進 ・BCP・BCM対策の強化 | |
| ・海運等物流全体の停滞や、水資源に依存する顧客商品の物流量不安定化に伴う収益の低下 | ||||||
| ・サプライヤーの価格上昇に伴う支払輸送費の増加 | ||||||
| 気候調整、暴風雨緩和、気候変動 | 気候変動による異常気象の頻度や強度の増加 | |||||
| ・物流全体の停滞や自然災害被災による顧客商品の物流量不安定化に伴う収益の低下 | ||||||
| ・修繕費用や保険料の増加 | ||||||
| 慢性 | 気候調整、気候変動 | 慢性的な気温上昇・海流等の変化 | ||||
| ・顧客商品の収量や栽培適地の減少による収益の低下 | ||||||
| ・空調設備導入による設備の維持管理費の増加 | ||||||
| ・従業員の被災 | ||||||
| 移行 リスク | 政策 | 土地・海洋利用、資源利用、汚染/汚染除去 | 国際、各国及び国内規制の強化 | ・国際動向やサプライチェーンに対する自然関連影響についての定期的なモニタリング ・物流量やリードタイム変更に柔軟に対応可能な物流ソリューションサービスの構築 ・SustainaLinkをはじめとしたサステナブルな物流サービスの展開 ・サステナブル基準を満たした施設の建設 ・ステークホルダー(投資家・地域社会・サプライヤー等)との建設的な対話 | ||
| ・海運航行ルート変更等による物流全体の停滞や、規制強化による顧客商品の物流量不安定化に伴う収益の低下 | ||||||
| ・規制対応費用の増加 | ||||||
| 市場 | 全般 | 顧客・市場の選好の変化 | ||||
| ・顧客ニーズに対応できないことによる収益の低下 | ||||||
| ・未対応なことによる資金調達環境の悪化 | ||||||
| 技術 | 全般 | 脱炭素や節水等の技術進化 | ||||
| ・対応費用の増加 | ||||||
| 評判/賠償責任 | 外来種の導入、汚染/汚染除去 | 輸送に伴う外来種の流入、事故発生時の環境汚染 | ||||
| ・レピュテーションリスクによる機会損失、資金調達環境の悪化 | ||||||
| ・防止策・事故発生時対応費用の増加、損害賠償の発生 | ||||||
| 機 会 | ビジネス・サステナビリティパフォーマンス | 市場/資源効率/製品とサービス/資金フローと資金調達/評判資本 | 全般 | 貨物需給地や貨物自体の変化 | ・サプライチェーンに対する自然関連影響についての定期的なモニタリング ・SustainaLinkをはじめとしたサステナブルな物流サービスの展開 ・環境配慮型不動産への置き換え・更新、認証取得 | |
| ・新たな事業機会の獲得や競争力向上に伴う収益の増加 | ||||||
| ネイチャーポジティブな事業活動に対する顧客・市場の選好の変化、評判の向上 | ||||||
| ・高効率なサービス提供による炭素税等の環境コストの低減 | ||||||
| ・企業イメージ向上に伴う市場競争力強化、資金調達・人材確保環境の向上 | ||||||
| 自然資源の持続可能な利用 | 資源利用、回復 | 建物のリノベーションや再利用の推進による資源利用の削減 | ||||
| ・所有設備の資産価値向上 | ||||||
| ・企業イメージ向上に伴う市場競争力強化、資金調達環境の向上 | ||||||