有価証券報告書-第80期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/20 13:45
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1)概況
当社は、前連結会計年度より連結決算日を12月31日から3月31日に変更しております。これに伴い、前連結会計年度は平成28年1月1日から平成28年3月31日までの3ヶ月間となりましたので、前連結会計年度との比較は記載しておりません。
当連結会計年度のわが国経済は、緩やかな回復基調のもと、企業収益や雇用環境等に改善が見られましたが、先行きの不透明感もあり個人消費の回復には至りませんでした。
旅行業界におきましては、海外旅行は引き続きテロの不安が払しょくされず、ヨーロッパ方面を中心に低調に推移しました。国内旅行は4月に熊本地震に見舞われた九州地区のほか、東日本地域で台風被害が相次いだこともあり前年を下回る結果となりました。一方訪日旅行は、平成28年の訪日外国人数が2,403万人となるなど引き続き堅調に推移しました。
このような情勢のもと、当社グループは、昨年4月から近畿日本ツーリストの「ホリデイ」と「クラブツーリズムの旅」のヨーロッパ商品の造成を一元化するなど、両社の統合シナジーの最大化を図るとともに、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画に基づき、成長領域と位置付ける「スポーツ事業」、「訪日旅行事業」および「地域誘客交流事業」に注力し、事業シフトならびに新たな収益源の開発を推し進めました。
まず、スポーツ事業においては、近畿日本ツーリスト株式会社がリオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック大会の観戦ツアー国内取扱指定旅行会社として選手団、関係者のチャーター輸送等に携わったほか、パラリンピック選手の体調管理を支援する「ハイパフォーマンスセンター」の運営を受託するなど、オフィシャルパートナーを務める東京2020オリンピック・パラリンピック大会に繋がる営業活動を展開いたしました。訪日旅行事業においては、訪日旅行者向け旅行予約サイト「YOKOSO Japan Tour & Hotel」の販売商品を拡充したほか、海外OTA(Online Travel Agent、オンライン専門旅行会社)との連携を強化し、取扱額を拡大いたしました。また、地域誘客交流事業では、青森県弘前市と「ひろさき地方創生パートナー企業協定」を締結するなど、地方創生に向けた地域の取組みに積極的に参画いたしました。
しかしながら、これらの諸施策を含め各事業において鋭意積極的な営業活動に努めましたが、当連結会計年度の業績は海外におけるテロや熊本地震等の影響に加え、国内外OTAの事業拡大や民泊利用の広がりなどの大きな環境変化を受け、特に個人旅行事業が低調に推移したため、連結売上高は3,960億4百万円、連結営業利益は29億68百万円、連結経常利益は30億45百万円と厳しい結果となりました。これに伴い、個人旅行事業に関わるソフトウエア等の減損損失として38億45百万円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は13億29百万円となりました。
当社グループの個人旅行事業、団体旅行事業およびその他の区分別の販売の状況は、次のとおりです。
① 個人旅行事業
近畿日本ツーリスト個人旅行株式会社は、国内旅行商品「メイト」および海外旅行商品「ホリデイ」において、日本ならびに世界各国の歴史、伝統文化、自然に触れる旅など心地良さを追求した高品質な旅行を充実いたしました。また、総合旅行会社ならではのおすすめ旅行を拡充するため10月に「首都圏旅のおすすめ企画センター」を開設したほか、人気アニメとのコラボレーション企画など多様なお客さまニーズにお応えする商品を造成・販売いたしました。このほか店頭では、社員一人ひとりがお得意様を作っていくことを目指す「My個客」運動や、旅先の情報に詳しい専門スタッフがテレビ電話でお客さまに応対する「旅のコンシェルジュ」、旅のプロが作ったモデルコースを素早く検索できる「Qティ」等により、お客さまのリピート率向上を図りました。
クラブツーリズム株式会社は、日本最大のクルーズ客船である「飛鳥Ⅱ」のチャータークルーズをはじめとする高付加価値商品や、通常では乗車できない新幹線検査車両「ドクターイエロー」の見学ツアーなど企画力に富んだ旅行商品、さらには登山やハイキング、写真撮影等趣味に特化したテーマ性の高い旅行商品を展開し、他社との差別化を図りました。また、業界トップクラスのバス旅行事業では、昨年10月から最先端の安全機能と、洗面台付き化粧室、電動リクライニングシートなど様々な快適機能を併せ持つ「新型クラブツーリズム号」を8台導入し、今後も拡大の予定であります。
伸長が顕著な訪日旅行では、海外OTAとの連携強化や商品拡充、訪日外国人向けスマートフォンアプリの導入により販売を拡大いたしました。
しかしながら、海外におけるテロや熊本地震に加え、貸切バスの仕入料金の値上りによるバス旅行離れもあり、当連結会計年度の業績については、下記のとおりの結果となりました。
個人旅行事業連結売上高 2,200億68百万円
個人旅行事業連結営業利益 6億94百万円
② 団体旅行事業
近畿日本ツーリスト株式会社は、法人、団体等への提案型営業に注力し、MICE(Meeting、Incentive、Convention・Congress、Event・Exhibition)市場等の積極的な開拓に努めました。スポーツ事業では、リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック大会関連の送客のほか、東京マラソンやフィギュアスケートの国際大会等数々のスポーツイベントに海外現地法人と協力して多数の外国人参加者を招致いたしました。
また、地域誘客交流事業では、近畿日本ツーリスト株式会社が運営を受託した「信州上田真田丸大河ドラマ館」が好評を博しました。このほか、「全国名月サミット」への協賛等、地域が抱える様々な課題に「観光」の視点から積極的に参画し、ビジネスチャンスの拡大に努めました。
当連結会計年度の業績については、下記のとおりの結果となりました。
団体旅行事業連結売上高 994億14百万円
団体旅行事業連結営業利益 8億75百万円
③ その他
北海道、東北、中国四国、九州の各地域旅行会社におきましては、北海道では大型の台風に、九州では熊本地震に見舞われましたが、グループ内での連携強化とノウハウ共有により、優良顧客の獲得に努めてまいりました。また、地域密着のきめ細かな営業活動の推進により、地域のお客さまのニーズに応えてまいりました。
当連結会計年度の業績については、下記のとおりの結果となりました。
その他連結売上高 762億41百万円
その他連結営業利益 9億29百万円
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して6億33百万円増加し652億38百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は25億40百万円の増加(前連結会計年度は13億27百万円の減少)となりました。これは主に仕入債務の増加による影響で34億24百万円、旅行前受金の増加による影響で26億3百万円それぞれ増加したものの、売上債権の増加による影響で27億93百万円、旅行前払金の増加による影響で27億40百万円それぞれ減少したこと、また、税金等調整前当期純損失を5億95百万円計上したものの、減価償却費18億27百万円および減損損失38億45百万円等の非資金取引などにより資金の内部留保効果が働いたためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は21億25百万円の減少(前連結会計年度は2億56百万円の増加)となりました。これは主に固定資産の売却による収入で13億13百万円が増加したものの、固定資産の取得による支出で36億81百万円減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は2億52百万円の増加(前連結会計年度は1百万円の減少)となりました。これは主に株式の発行による収入で2億46百万円が増加したためであります。