有価証券報告書-第100期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 13:07
【資料】
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【項目】
161項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および経営環境
当社グループは、放送という公共性の高い事業を中核としており、「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループとして地域社会の経済や文化の発展に寄与し続ける」ことを経営の基本理念としております。
テクノロジーの進展、メディア・デバイスの多様化、広告市場の変化、少子高齢化と人口の減少、新型コロナウイルス感染症の影響などで、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変わってきております。これまで、主力である放送事業は、高成長・高収益をもたらしてきましたが、視聴者や聴取者はいまや、時間、空間、デバイスを問わず、コンテンツを取捨選択するようになりました。放送は絶対的に優位なメディアではなくなっていることは事実です。しかし、その一方で、大規模な災害や感染症拡大などの緊急時において、信頼ある情報を発信するメディアの存在価値は改めて見直され、とりわけ地域に根差したローカル放送局が果たす役割の重要性は、ますます高まってきております。こうした環境変化を踏まえ、当社グループはこれからも、地域を代表するメディア、そして報道機関として、地域にとって有益な情報、魅力あるコンテンツ、そして生活者のライフスタイルにふさわしいサービスを提供し続けてまいります。
当社グループの中核をなす放送事業は、広告市場から大きな影響を受けるという特殊性を持っております。ウクライナや中東などの世界情勢や、アメリカの政策動向による不安定な経済情勢は、広告市況の停滞につながり、当社グループの業績にも影響を及ぼします。これから先、いかなる状況下にあっても、地域住民の生命、財産を守るという放送事業者としての使命を全うするためには、様々な環境変化に柔軟に対応し、安定した経営基盤を確保し続けていくことが重要であると考えております。
(2)対処すべき課題
中部日本放送は、1950年12月の創立から2025年12月に75周年を迎え、9月1日には民間放送第一声となるラジオ放送開始から75年、そしてテレビ放送開始からは70年という節目を迎えています。1951年に日本初の民間放送として第一歩を記して以来、私たちは一貫して自らの足で取材を行い、地域の皆さまの喜怒哀楽に寄り添いながら、正確で誠実な情報・コンテンツを一日も休むことなく届けてまいりました。
私たちの歩みは、常に時代を切り拓く挑戦の連続でもありました。1959年の伊勢湾台風においては、未曾有の災害を前に不眠不休で命を守る防災報道を行い、民間放送の公共性を体現しました。1974年には在京キー局に先駆けて夕方のローカルワイドニュース番組『CBCニュースワイド』を立ち上げ、日本のニュース放送のあり方に一石を投じました。そのチャレンジ精神は、名古屋発の情報番組『ゴゴスマ』の全国展開の成功にもつながっています。
現在、社会のデジタル化は加速度的に進み、生成AIの普及が利便性をもたらす一方で、フェイクニュースの拡散や「アテンション・エコノミー」に起因する情報の質の低下が顕在化しています。既存のメディアは時に「オールドメディア」と称され、その存在意義が厳しく問われています。加えて、近年わが国を襲う記録的な猛暑や、甚大な被害が想定される南海トラフ地震など、私たちは予測困難な自然災害の脅威にも直面しています。生活の安全が脅かされ、情報の真偽が不透明な時代だからこそ、伊勢湾台風以来私たちが積み重ねてきた「信頼性」という価値が、社会からかつてないほど求められています。
75周年という節目は、地域の皆さまへの深い感謝を体現する契機にほかなりません。これまで以上に視聴者・聴取者の皆さまに寄り添い、地元の企業や自治体、研究機関などとの連携を強め、グループ各社の総力を結集して、地域社会の発展に貢献し続けるという役割を果たしてまいります。そして、放送のパイオニアとして、長年培ってきた「信頼」を礎として、デジタル社会における新たな情報発信の可能性を追求してまいります。
「中期経営計画2024-2026」~フェアな姿勢でデジタル化社会に「信頼」を~
当社は「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループとして地域社会の経済や文化の発展に寄与し続ける」という普遍的な経営方針を掲げ、現在、3か年の「中期経営計画2024-2026」の最終年度を迎えております。
本計画においては、「放送ビジネスの再価値化」、「新たな収益の柱」の構築、そしてテクノロジーを力に変える「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の3点を軸に、事業構造の変革を進めています。
激変するデジタル社会において計画を進める源泉は、独創と共創を発揮する「人財」にあります。人財こそが企業価値を創出する最大の財産であるとの認識のもと、積極的なコンテンツ制作や新たな価値を生み出し続ける企業文化の醸成に注力しています。その一環として、従業員の心身の健康促進を経営的視点から戦略的に実践し、3月には当社および㈱CBCテレビは「健康経営優良法人」の認定を受けました。
そして、地域に根差し、その期待に応え続けるために私たちが最も大切にしているのは「フェア(公正)であること」です。ルールを守るだけがフェアではありません。時代とともに移り変わる社会の規範の先にある多様性や人権など決して変わることのない価値観を大切にして、「フェアな姿勢でデジタル化社会に『信頼』を」確立してまいります。
〈メディアコンテンツ関連事業〉
「中期経営計画2024-2026」で力を入れる「放送ビジネスの再価値化」は最重要の強みである「信頼性」をバックボーンとしたコンテンツ力と営業力を活かし、これまで着実に進捗しています。イラン周辺を中心とした中東情勢の緊迫化や米国政策の変動性といった国際情勢の不透明感は国内経済に予断を許さない影響を与えていますが、地上波放送が持つ公共性や安全性は広告市場であらためて評価をされており、広告価値の適正化、すなわち「CMのカロリーアップ」は着実に実を結んでいます。
同時に、持続的な成長に向けた「新たな収益の柱」の構築においては、アニメコンテンツを核とした「知的財産(IP)事業」および、放送枠を超えた価値を提供する「ビジネスプロデュース(BP)事業」の両輪を成長させ、収益ポートフォリオの強化を加速させています。
IP事業においては、放送エリアを越え、グローバル市場を見据えたビジネス展開を推進しています。その象徴として、日曜日夜の『アガルアニメ』枠(日曜23:30~24:00)で放送した『ガチアクタ』は、北米をはじめとする海外配信プラットフォームにおいて高い評価を獲得しました。さらに1月から同枠で放送した『火喰鳥』で、㈱CBCテレビが製作委員会の共同幹事を務めています。引き続き、良質な作品を国内外のプラットフォームへ発信し続けてまいります。
また、スポンサー企業の多種多様な課題に対し、イベント、配信、コンテンツなどグループが有する総合リソースを最適に組み合わせ、解決を提示する「BP事業」も順調に成長をしています。久屋大通公園を会場に、2年連続で実施した大規模イベント『5チャン春祭り』(3月)は、地域社会との深い繋がりを具現化したくさんの皆さまに足を運んでいただき、多くの企業からの協賛を得ました。
そして私たちの事業の進化を支えるのが、デジタル領域の取り組みです。生成AIをはじめとする最新テクノロジーを積極的に活用して業務の効率化を追求するとともに、『5チャン春祭り』ではGPSデータを活用した来場者属性の把握や人流分析を実施しました。今後もこうしたデータマーケティングの実践により、スポンサーへの提案力を高め競争優位性を高めてまいります。
CBCグループの創業事業でもある㈱CBCラジオは開局75周年を迎える中、様々なチャレンジを行っています。今シーズンから47年ぶりに神宮球場からのプロ野球中継を復活し、中日ドラゴンズの全試合を完全中継しています。また、新たなメディア、ポッドキャストでも積極的にコンテンツを配信し、『大久保佳代子・森本晋太郎のどうぞご自由に』は、大手音声アプリ「Spotify」において2025年開始の新番組として、最も高い再生数を獲得したことで業界内でも話題となりました。
『アジア・アジアパラ競技大会』への取り組み
中期経営計画の最終年度を象徴する大型事業は、地元愛知・名古屋を中心に開催される『アジア・アジアパラ競技大会』への取り組みです。アジア競技大会は当社が放送を開始した1951年に初めて開催され、1954年の『第2回アジア競技大会(フィリピン・マニラ開催)』の際には、当社は日本の民放で初めてラジオ海外中継を行いました。32年ぶりに国内での開催となるアジア最大のスポーツの祭典の興奮や感動を、地域に根差すメディアグループとして、放送を通じて地域の皆さまと分かち合います。また、各番組を通じたアスリートの魅力発信や機運醸成に努め、一人でも多くの方が会場へ足を運べるよう総力を挙げて盛り上げます。加えて、国際映像制作の受託やライブサイト運営への参画などを通じ、地域と一体となって大会の成功を支え、大会後も次代を切り拓く新たな活力へとつなげていきます。
〈不動産関連〉
保有資産の「選択と集中」戦略に基づき、新たなポートフォリオの構築を行った不動産関連事業は、安定的な収益をもたらしています。引き続き、保有資産の収益率向上のため、高度利用を見据えた再開発を積極的に検討し、グループを支える収益基盤の強化を図ります。
〈その他〉
その他の各社における事業に関しては、メディアグループの一員として放送事業を支える機能を強化するとともに、CBCのブランド力を活かしたさらなる連携、協業を推進し、グループ外売上の拡大を図ります。
メディアコンテンツグループとしての使命、SDGs達成への貢献
当社は、当地域でいち早く「SDGメディア・コンパクト」に加盟し、テレビやラジオなどを通じて啓蒙活動に注力してきました。CBCグループはSDGs宣言をし、地域に根差したメディアコンテンツグループとして、SDGs達成に貢献していきます。
メディアとしての責任
当社は1950年の創立にあたり、その趣意として「自由なる報道、健全娯楽、文化的教養の高揚」を掲げました。以来、わが国初の民間放送としての誇りを胸に、自ら取材現場に立ち、地域の皆さまの知る権利に応え、常に弱者に寄り添うジャーナリズムの精神を貫いてまいりました。
私たちの使命は、正確な地域情報を発信し続けることで民主主義の発展に寄与し、大規模な自然災害や予期せぬ社会的危機の際、地域の皆さまの生命と財産を守るための「情報の命綱」として機能し続けることです。こうした社会的責任をいかなる困難な状況下においても完遂するためには、強固な財務基盤の維持が必要です。
「社会の公器」としての役割を全うし、地域社会とともに持続的な成長を遂げていくためには、この健全な経営基盤こそが不可欠となります。

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