有価証券報告書-第91期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/27 11:02
【資料】
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【項目】
119項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営方針・経営戦略等
中期経営計画(BEYOND南海)を推進する。「現状維持や過去の前例に甘んじることなく、常に問題意識を抱き続け、先にある夢や理想郷、希望を掴むため、さらに成長していこう」というスローガンの中、『情報欲に寄り添うコンテンツ創出』、『徹底した地域密着の実現』、『個人の意識改革と企業の風土改革』の3つの目標達成を目指す。「収益改革」によって経営基盤を強化し、地域に密着した制作力・営業・技術力を発揮しうる企業像を追い求めていく。放送業では、個人とコアターゲットを強く意識した編成力・制作力・広報力を発揮するとともに、高品質なコンテンツを創出し、最も信頼される放送局として飛躍を図る。また、スポンサーニーズを敏感に読み取りながら、地域に根差した満足度の高い番組・イベント制作を行う。
一方で健康経営をさらに推し進め、地域のリーディングメディアグループであり続けるために、グループ全役員・従業員が一体となって新たな企業ブランドの創造と事業の展開に取り組む。
(2)経営環境
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症に伴う急激な売上の落ち込みから徐々に回復しつつあるが、特に中国をはじめとした日本の基幹産業を支えるサプライヤー諸国の感染状況は収まることがなく、国内の景気動向に与える影響は予断を許さない状況にある。また、特に国内の観光・飲食・娯楽といった感染リスクを伴う業種は深刻な打撃を受けている。
当社グループにおいて、放送事業は幅広い業態の企業・団体・官公庁からの広告収入により経営が成り立っており、感染対策に最大限留意しながら営業活動や番組取材活動に取り組んだがコロナ前の水準には戻っていない。機器販売業は、コロナ禍で落ち込んでいた大型物件が第4四半期に計上できたことや諸口案件を積極的に取り込んだことなど営業利益重視で取り組んだ。その結果、当社グループの売上高は6,109,160千円(前年同期比7.3%増)となった。
放送事業のうち、個人視聴率調査は2年目に入ったが、2021年度個人全体視聴率で2年連続3冠を獲得した。自社制作番組では、夕方ローカルニュース番組「NEWS CH.4」がコアターゲット層(13歳~49歳)で県内民放4局ニュース番組の中でトップを獲得、「もぎたてテレビ」は県内全ての自社制作番組の個人年度平均視聴率でトップとなった。そのほか「Beans」、「和牛のA4ランクを召し上がれ!」も幅広い層から支持されている。受賞関係では、日本民間放送連盟賞特別表彰部門「青少年向け番組」で『書道ガールズ 証 ~蟻高書道部2020夏~』が全国優秀賞を受賞した。
ラジオでは、日本民間放送連盟賞番組部門ラジオ生ワイド番組で、『井坂彰のサタデーライブ JAにしうわプレゼンツ まだまだ終わらないオレたちの西宇和みかん-中晩柑SP-』、特別表彰部門「放送と公共性」では、『故郷と生きる。南海放送36本のラジオドラマが伝えてきたもの』がそれぞれ全国優秀賞を受賞した。
また、番組20周年を記念して2021年7月に『夏井いつきの一句一遊』特別番組を放送した。6つのラジオ局へ放送エリアが拡大し、俳都松山から俳句の魅力を全国の幅広い年齢層に向けて発信している。
その他、“より愛媛の情報発信に努め、選ばれる放送局”を目指し、地域連携協定「PAL協定」を県内各市町や団体と締結し、地域情報の発信に力を入れている。
コンテンツ制作およびネットへの展開では、ニュース専門のYouTubeチャンネル「南海放送NEWS(チャン4)」を開設、最新ニュースや特集・オリジナルコンテンツの配信を始めた。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症による急激な売上の落ち込みを吸収するため、支社支局の縮小など固定費を中心とした営業経費の削減を押し進め、財務基盤の安定化を図る。放送事業においては広告収入が収入の柱であるが、新型コロナウイルス感染症の影響で急激に縮小した広告市場など厳しい経営環境に対応するため経費削減を徹底する。ラジオ・テレビとも収益率の高いスポット重視の営業展開や良質な放送外事業を手掛けるなど、売上の増収に引き続き全力を挙げて取り組む。一方で、新型コロナウイルス対応については、恒常的に注視しながら、感染防止を徹底しながら企業活動を展開していく。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
放送事業においては、県内民放売上1位を堅持する。特にテレビの売上高に大きく関わる個人とコアターゲットをの視聴率を重視し、夕方ニュースやその他の自社制作番組の県内視聴率トップを目指す。そのために、ラジオ・テレビともに、地域社会や業界にアピールする意欲的なコンテンツを積極的に制作・展開していく。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
放送事業においては、コロナ禍からの回復基調にはあるが、日本民間放送連盟からは2023年度以降も厳しい放送収入予測が出ている。放送からネットへのシフトが増加する中、テレビ・ラジオという既存の放送事業を基軸としながら、ネットへの動画コンテンツの制作や新規事業の放送外収入にも積極的に取り組む「両利き経営」で、徹底した地域貢献を貫き「愛媛主義」の実現を果たす。また、機器販売業においては、近年病院や介護施設、商業施設等の大型新築案件が少ない状況にあるので、官公庁の元請案件にいっそう注力し、受注増を目指す。
〇利益創出体制の構築
放送事業のテレビにおいては、個人とコアターゲットの視聴率年度三冠達成を至上命題と強く意識し、データに基づく編成力・制作力・広報力を発揮し、地域ナンバーワン放送局の地位をキープし続ける。ラジオにおいては、県内自治体や企業間で締結を進めている「PAL協定」のネットワークを広げ、ラジオのすそ野拡大に努める。放送収入の減少が予測される中、社外との連携を通じて放送外収入のビジネスモデルを構築する。機器販売業においても引き続き利益重視での営業活動に注力し、グループ全体での利益創出にこだわる。
〇“愛媛主義”の実現
地域貢献は放送局の責務であり、「愛媛マラソン」「書道パフォーマンス甲子園」「南海放送賞」など、安心して喜びや楽しさを県民が享受できる放送やイベントを充実させる。自治体や企業等未開拓の県内クライアントとの絆を深めてイベント等に繋げるとともに、指定管理事業の運営などSDGs理念に合致した活動の実践を通して県民から信頼感・親近感を深化させる。
〇個人の意識改革と企業風土改革
社会情勢や経営環境がめまぐるしく変遷する中、時代のニーズや価値観から逸脱した部分の是正および公平性の理念を柱に掲げ、会社の根幹となる新しい人事制度の策定に取り組む。
グループ各社の経営の独立性・自主性を尊重しながら、グループ資産の流動化と交流、相互活用を進め、「ONE 南海」という新しいスタイルでグループ全体の収益最大化と生き残りを図る。
中期経営計画のスローガンである「BEYOND 南海」(ビヨンド南海)の下、視聴率・営業収入・制作力の地域ナンバーワンとネットを基軸としたコンテンツ力のさらなる向上を目指し、南海放送グループ全役員・社員が一丸となって企業ブランドの創造と事業展開に取り組んでいく。