有価証券報告書-第91期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 気候変動問題に関する重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
気候変動や温暖化対策などの政策動向による事業環境の変化を想定し、当社の事業や経営に与える影響を検討しました。TCFD提言が推奨する複数の気候シナリオでの分析として、主要事業の放送事業を行う日本テレビ放送網㈱に加え、㈱日テレ アックスオン、 ㈱日テレ・テクニカル・リソーシズ(以下、「NiTRo」)、㈱日本テレビアート、㈱日テレイベンツ、㈱日本テレビサービス、㈱ティップネスのグループ7社を対象に、1.5℃シナリオと4℃シナリオで想定されるリスクと機会を検討しました。
<対象>メディア・コンテンツ事業:日本テレビ放送網、日テレ アックスオン、 NiTRo 、日本テレビアート、
日テレイベンツ、日本テレビサービス
生活・健康関連事業:ティップネス
■1.5℃シナリオ(低炭素社会が急速に進展)
温室効果ガス排出量の削減に向けた厳しい規制措置が取られ、今世紀末の時点で、世界の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に収まる想定。低炭素社会が急速に進展し、法規制や社会的要請への対応を迫られるシナリオ。
※IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP1-1.9シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)の NZE2050シナリオを参照
(メディア・コンテンツ事業)
(生活・健康関連事業)
※1:◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響
※2:短期:3年以内、中期:2030年ごろ、長期:2050年ごろ
1.5℃シナリオでは、温室効果ガスの削減に向けて企業はより厳格な対応を迫られ、炭素税導入や再生可能エネルギーの需要増加によるコストの上昇が見込まれます。政府により規制が強化されれば、設備投資の増加は避けられません。さらに、CO2削減の取り組みの遅れは企業イメージの悪化に直結します。
一方、気候変動に関する社会の関心が高まり、正確な情報を発信するというメディアの役割はますます重要になります。役割が不十分だと判断されれば、視聴者やスポンサーからの信頼が低下することは避けられません。また、番組制作においては、サステナビリティ、カーボンニュートラル実現に向けたコンテンツの需要が高まることが予想されます。メディア・コンテンツ事業を軸とする当社グループとしては、自社のCO2削減を進めることはもとより、気候変動の一層の深刻化を食い止めるため、社会に訴えかけていくことも大きな責務であると認識しています。
生活・健康関連事業においても、CO2削減に向けた規制強化の影響、エネルギー調達コストの増加が事業リスクとして予想されます。操業コスト増加による価格転嫁を抑えつつ、DX化の進展やリモートワークの拡大など、ライフスタイルの変化や健康意識の高まりをとらえる施策が必要になると考えています。
■4℃シナリオ(地球温暖化が深刻に)
温暖化対策が徹底されず、今世紀末の時点で、世界の平均気温が産業革命前と比べて4℃程度上昇する想定。異常気象の増加や自然災害の激甚化など気候変動の物理的影響が顕著となるシナリオ。
※IPCCのSSP5-8.5シナリオ、IEAのSTEPSシナリオを参照
(メディア・コンテンツ事業)
(生活・健康関連事業)
※1:◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響
※2:短期:3年以内、中期:2030年ごろ、長期:2050年ごろ
4℃シナリオでは、異常気象が慢性化し、台風や豪雨による水害の激甚化、干ばつ被害の増加などが予想されます。気温上昇は熱中症患者の増加をもたらし、新たな感染症を発生させる恐れもあります。日本テレビ放送網は公共性を有する放送を担っており、防災や災害に関する報道機関の役割が一層求められることになります。一方で、高温下での屋外撮影によって、番組制作が制約を受ける恐れが生じるほか、放送機材に不具合が発生するリスクが高まります。放送を継続して報道機関としての責務を果たすためには、従業員の被災リスクを低減しつつ、放送機材の強靱化を進めていく必要があります。平均気温の上昇により、社会活動全体が制約を受け変容を迫られることも予想されます。そうした変化に対応し、新たなビジネス、新たな需要を生み出せるかも問われることになります。
・温室効果ガス削減に向けた取り組み
■再生可能エネルギーの利用促進とCO2排出量の開示拡大
当社は「サステナビリティポリシー」(2021年11月策定)において、日本テレビ放送網におけるすべての電力の再生可能エネルギー比率を2030年度までに100%とすることを表明しています。これを実現するために、再生可能エネルギーの調達に加えて、生田スタジオの屋上に太陽光パネルを設置するなど自社内での発電にも力を入れていきます。2050年の日本テレビグループ全体でのカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量等を開示する範囲を他のグループ会社にも拡大するとともに、今後も年度ごとに排出量を当社HPにて開示します。
■省エネ機器の利用拡大により消費電力を削減
2031年までに汐留本社の照明はすべてLED化することを計画しています。空調機やポンプ類などを資源効率性の高い機器に更新することで、消費電力自体を削減します。
■日本列島ブルーカーボンプロジェクト
日本テレビが開局70年を迎えた2023年、「海の森を守ろう!日本列島ブルーカーボンプロジェクト」をスタートさせました。生長する際に吸収固定するアマモや海藻を育てる取り組みで、グループ各社の社員やその家族らがアマモ場を再生させる活動を定期的に行っています。
日本テレビはブルーカーボンの可能性に着目し、「news every.」「真相報道バンキシャ!」などで特集を放送しました。2023年10月からは海洋環境の保全を学ぶ旅番組「ウミコイ-今 海に出来ること-」を放送しています。「ウミコイ」を制作する過程では、取材ロケの効率化・最小化とハイブリッドカーでの移動などにより、通常の番組に比べてCO2排出量を約63%(※)削減しました。番組の趣旨に賛同したパートナー企業とともに情報発信しているほか、東京湾にアマモ場を造成するプロジェクトを推進するため、2023年10月に三浦半島の5市町(横須賀市/三浦市/鎌倉市/逗子市/葉山町)と包括連携協定を結びました。
※Earth hacks株式会社による集計 (2024年3月末現在)
① 戦略
気候変動や温暖化対策などの政策動向による事業環境の変化を想定し、当社の事業や経営に与える影響を検討しました。TCFD提言が推奨する複数の気候シナリオでの分析として、主要事業の放送事業を行う日本テレビ放送網㈱に加え、㈱日テレ アックスオン、 ㈱日テレ・テクニカル・リソーシズ(以下、「NiTRo」)、㈱日本テレビアート、㈱日テレイベンツ、㈱日本テレビサービス、㈱ティップネスのグループ7社を対象に、1.5℃シナリオと4℃シナリオで想定されるリスクと機会を検討しました。
<対象>メディア・コンテンツ事業:日本テレビ放送網、日テレ アックスオン、 NiTRo 、日本テレビアート、
日テレイベンツ、日本テレビサービス
生活・健康関連事業:ティップネス
■1.5℃シナリオ(低炭素社会が急速に進展)
温室効果ガス排出量の削減に向けた厳しい規制措置が取られ、今世紀末の時点で、世界の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に収まる想定。低炭素社会が急速に進展し、法規制や社会的要請への対応を迫られるシナリオ。
※IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP1-1.9シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)の NZE2050シナリオを参照
(メディア・コンテンツ事業)
| 項目 | 想定されるシナリオ | リスク ※1 | 機会 ※1 | 発生時期 ※2 |
| 温室効果ガス規制強化 | ・再生可能エネルギー価格の上昇、炭素税や排出権取引などによる事業コスト増加 | ◎ | 短・中期 | |
| ・規制強化や炭素税などコスト増加による価格転嫁 (番組等の制作コストの増加) | ○ | 短・中期 | ||
| 設備投資の増加 | ・規制強化による設備の省電力化でコスト増加 | ○ | 短・中期 | |
| 評判 | ・CO2削減に向けた取り組みが遅れ、企業イメージが悪化 | ○ | 短・中期 | |
| ・災害報道、温暖化対策キャンペーンの展開によるブラ ンドイメージの向上 | ○ | 短・中期 | ||
| 視聴者の嗜好 スポンサーニーズが 変化 | ・「24時間テレビ」「Good For the Planet」「カラダWEEK」キャンペーンなど、地球温暖化やサステナビリティ関連コンテンツの需要が一層高まる ・スポンサー企業とコラボした環境啓発番組・イベント の増加 | ◎ | 短・中期 | |
| ライフスタイルの変化 | ・DX化の進展・リモートワークのさらなる活用など、従業員の働き方の変化によって事業所面積の縮小が可能に | ○ | 短・中・長期 |
(生活・健康関連事業)
| 項目 | 想定されるシナリオ | リスク ※1 | 機会 ※1 | 発生時期 ※2 |
| 温室効果ガス規制強化 | ・再生可能エネルギー価格の上昇、炭素税や排出権取引などによる事業コスト増加 | ◎ | 短・中期 | |
| ・規制強化や炭素税などコスト増加による価格転嫁 | ○ | 短・中期 | ||
| 設備投資の増加 | ・規制強化による設備の省電力化でコスト増加 | ○ | 短・中期 | |
| 評判 | ・CO2削減に向けた取り組みが遅れ、企業イメージが悪化 | ○ | 短・中期 | |
| ・CO2削減に向けた取り組みが進展し、企業イメージがアップ | ○ | 短・中期 | ||
| ライフスタイルの変化 | ・健康や体調管理に対する意識が向上し、フィットネス事業の需要が高まる | ◎ | 中・長期 |
※1:◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響
※2:短期:3年以内、中期:2030年ごろ、長期:2050年ごろ
1.5℃シナリオでは、温室効果ガスの削減に向けて企業はより厳格な対応を迫られ、炭素税導入や再生可能エネルギーの需要増加によるコストの上昇が見込まれます。政府により規制が強化されれば、設備投資の増加は避けられません。さらに、CO2削減の取り組みの遅れは企業イメージの悪化に直結します。
一方、気候変動に関する社会の関心が高まり、正確な情報を発信するというメディアの役割はますます重要になります。役割が不十分だと判断されれば、視聴者やスポンサーからの信頼が低下することは避けられません。また、番組制作においては、サステナビリティ、カーボンニュートラル実現に向けたコンテンツの需要が高まることが予想されます。メディア・コンテンツ事業を軸とする当社グループとしては、自社のCO2削減を進めることはもとより、気候変動の一層の深刻化を食い止めるため、社会に訴えかけていくことも大きな責務であると認識しています。
生活・健康関連事業においても、CO2削減に向けた規制強化の影響、エネルギー調達コストの増加が事業リスクとして予想されます。操業コスト増加による価格転嫁を抑えつつ、DX化の進展やリモートワークの拡大など、ライフスタイルの変化や健康意識の高まりをとらえる施策が必要になると考えています。
■4℃シナリオ(地球温暖化が深刻に)
温暖化対策が徹底されず、今世紀末の時点で、世界の平均気温が産業革命前と比べて4℃程度上昇する想定。異常気象の増加や自然災害の激甚化など気候変動の物理的影響が顕著となるシナリオ。
※IPCCのSSP5-8.5シナリオ、IEAのSTEPSシナリオを参照
(メディア・コンテンツ事業)
| 項目 | 想定されるシナリオ | リスク ※1 | 機会 ※1 | 発生時期 ※2 |
| 平均気温上昇 | ・機材の強靱化に向けた設備投資のコストが増加 ・メンテナンスコストが増加 | ◎ | 中・長期 | |
| ・夏季の取材・撮影に制約 | ○ | 中・長期 | ||
| ・気象情報や生活情報に視聴者の関心が高まる | ○ | 中・長期 | ||
| ・空調コスト等が増加 | ○ | 中・長期 | ||
| ・在宅時間の増加(夏季の外出時間が減少) ・イベント開催や集客等に悪影響 | ○ | 中・長期 | ||
| ・在宅時間の増加(夏季の外出時間が減少) ・映像コンテンツの需要が高まる・テレビ通販部門の収益拡大 | ○ | 中・長期 | ||
| 気象災害の増加・激甚化(台風・洪水・干ばつなど) | ・防災情報・災害報道のニーズが高まる | ◎ | 中・長期 | |
| ・従業員の被災リスク上昇、災害報道の困難化 | ○ | 中・長期 | ||
| 海水面の上昇 | ・高潮による汐留本社の浸水リスクが高まる | ○ | 中・長期 | |
| 健康リスクが増大 | ・健康番組・キャンペーンへの関心が高まる | ○ | 中・長期 | |
| ・従業員に熱中症の頻発や新たな感染症の発生の恐れ | △ | 中・長期 |
(生活・健康関連事業)
| 項目 | 想定されるシナリオ | リスク ※1 | 機会 ※1 | 発生時期 ※2 |
| 平均気温上昇 | ・機材の強靱化に向けた設備投資のコストが増加 ・メンテナンスコストが増加 | ○ | 中・長期 | |
| ・空調コスト等が増加 | ◎ | 中・長期 | ||
| ・在宅時間の増加(夏季の外出時間が減少) ・オンラインフィットネスの需要増 | ○ | 中・長期 | ||
| 気象災害の増加・激甚化(台風・洪水・干ばつなど) | ・従業員・施設の被災リスク上昇 | ○ | 中・長期 | |
| 海水面の上昇 | ・高潮による施設の浸水リスクが高まる | △ | 中・長期 | |
| 健康リスクが増大 | ・健康関連のキャンペーンへの関心が高まる | ◎ | 中・長期 | |
| ・従業員に熱中症の頻発や新たな感染症の発生の恐れ | △ | 中・長期 |
※1:◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響
※2:短期:3年以内、中期:2030年ごろ、長期:2050年ごろ
4℃シナリオでは、異常気象が慢性化し、台風や豪雨による水害の激甚化、干ばつ被害の増加などが予想されます。気温上昇は熱中症患者の増加をもたらし、新たな感染症を発生させる恐れもあります。日本テレビ放送網は公共性を有する放送を担っており、防災や災害に関する報道機関の役割が一層求められることになります。一方で、高温下での屋外撮影によって、番組制作が制約を受ける恐れが生じるほか、放送機材に不具合が発生するリスクが高まります。放送を継続して報道機関としての責務を果たすためには、従業員の被災リスクを低減しつつ、放送機材の強靱化を進めていく必要があります。平均気温の上昇により、社会活動全体が制約を受け変容を迫られることも予想されます。そうした変化に対応し、新たなビジネス、新たな需要を生み出せるかも問われることになります。
・温室効果ガス削減に向けた取り組み
■再生可能エネルギーの利用促進とCO2排出量の開示拡大
当社は「サステナビリティポリシー」(2021年11月策定)において、日本テレビ放送網におけるすべての電力の再生可能エネルギー比率を2030年度までに100%とすることを表明しています。これを実現するために、再生可能エネルギーの調達に加えて、生田スタジオの屋上に太陽光パネルを設置するなど自社内での発電にも力を入れていきます。2050年の日本テレビグループ全体でのカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量等を開示する範囲を他のグループ会社にも拡大するとともに、今後も年度ごとに排出量を当社HPにて開示します。
■省エネ機器の利用拡大により消費電力を削減
2031年までに汐留本社の照明はすべてLED化することを計画しています。空調機やポンプ類などを資源効率性の高い機器に更新することで、消費電力自体を削減します。
■日本列島ブルーカーボンプロジェクト
日本テレビが開局70年を迎えた2023年、「海の森を守ろう!日本列島ブルーカーボンプロジェクト」をスタートさせました。生長する際に吸収固定するアマモや海藻を育てる取り組みで、グループ各社の社員やその家族らがアマモ場を再生させる活動を定期的に行っています。
日本テレビはブルーカーボンの可能性に着目し、「news every.」「真相報道バンキシャ!」などで特集を放送しました。2023年10月からは海洋環境の保全を学ぶ旅番組「ウミコイ-今 海に出来ること-」を放送しています。「ウミコイ」を制作する過程では、取材ロケの効率化・最小化とハイブリッドカーでの移動などにより、通常の番組に比べてCO2排出量を約63%(※)削減しました。番組の趣旨に賛同したパートナー企業とともに情報発信しているほか、東京湾にアマモ場を造成するプロジェクトを推進するため、2023年10月に三浦半島の5市町(横須賀市/三浦市/鎌倉市/逗子市/葉山町)と包括連携協定を結びました。
※Earth hacks株式会社による集計 (2024年3月末現在)