有価証券報告書-第39期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/22 15:00
【資料】
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【項目】
168項目
②戦略
当社は、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action」を2020年5月に発表し、その中で地球環境の保全を社会課題の一つとして考え、エネルギー効率の向上と2050年までにCO2排出量実質ゼロの達成を目指すことを公表しました。具体的には、COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃未満)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析を行いました。その結果、2017年3月に策定したKDDI環境保全計画「KDDI GREEN PLAN 2017-2030」を「KDDI GREEN PLAN 2030」に改称し、「KDDI環境憲章」のもと、「気候変動対策」「循環型社会の形成」「生物多様性保全」を推進し、地球環境保全により一層貢献することを発表しました。
さらに2022年4月、より積極的なカーボンニュートラルの実現に向けた検討を行った結果、従来の目標を20年前倒しし、2030年度までに自社の事業活動におけるCO2排出量実質ゼロ実現を目指すことを発表しました。
シナリオ分析結果
・急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満とする目標が達成される未来)
参照:IEA(International Energy Agency)World Energy Outlook 2018 Sustainable
Development Scenario(SDS)、IEA Energy Technology Perspectives 2017 Beyond 2℃ Scenario(B2DS)、ETP(Energy Technology Perspectives)2017、2020
移行リスク分析KDDIとしてのリスク内容KDDIの対応
政策・
法規制
炭素税炭素税課税リスク※1化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中
都条例
排出規制
削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク第三計画期間の削減未達見込み排出量(約5万t-CO2)への対応として、第二計画期間排出権を購入
消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入基地局におけるAI技術や各種設備における省エネ化新技術の開発、CCUS※2開発等のコスト増加リスク各種技術開発への投資
市場・評判KDDI GREEN PLAN 2030目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中

※1 2030年度のCO2排出量見込みは約50万t-CO2 のため、炭素税7,700円/t-CO2の場合、年間約38.5億円の課税を想定
※2 Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2回収・貯留技術)
・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)
物理的リスク分析KDDIとしてのリスク内容KDDIの対応
急性(台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスクBCP※3の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え
慢性平均気温上昇お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換

※3 Business Continuity Plan(事業継続計画)
参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書