有価証券報告書-第42期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 15:30
【資料】
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【項目】
171項目
②戦略
シナリオ分析
急速な脱炭素化や異常気象による被害の激甚化といった、気候関連の変化、進展、不確実性に対応するために、当社グループでは、事業のエクスポージャー及び利用可能なスキル・能力・資源を踏まえて、主に通信サービス事業を対象として、短期・中期・長期の時間軸でのシナリオ分析を行いました。
(シナリオ分析の前提とした主要な仮定)
IEA「World Energy Outlook 2024」のNZEシナリオ及びIPCC AR5の「RCP8.5シナリオ」を用い、移行リスクが最大化すると想定される1.5℃シナリオ、物理的リスクが最大化すると想定される4℃シナリオにより、気候関連リスクの評価を行いました。
NZEシナリオでは、気候関連の強力な政策導入や、再生可能エネルギーの大幅な拡大など、急速に脱炭素社会が実現すること(1.5℃シナリオ)を前提としており、RCP8.5シナリオでは、気候変動対策が何らされず化石燃料依存が続き、温室効果ガス濃度が大幅に上昇、物理的影響が顕在化すること(4℃シナリオ)を前提としています。
このうち、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃未満)は、最新の国際協定(パリ協定)に基づく目標と整合しています。
(シナリオ分析の手法及び実施時期)
■気候関連の強力な政策導入や、再生可能エネルギーの大幅な拡大など、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ
対象:移行リスク分析
参照:IEA World Energy Outlook 2024, NZE Scenario
移行リスク分析当社グループとしての
リスク内容
当社グループの対応
政策・法規制
(短期・中期戦略)
都条例
排出規制
削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク2020年度~2024年度の第三計画期間に発生が予想される未達CO2排出量19万t-CO2に相当する排出権(第二計画期間に発生したCO2排出権)を2020年度に4万t-CO2、2023年1月に15万t-CO2をあらかじめ購入した。この排出権は、2020年度~2024年度の第三計画期間の実績により2026年度に充当を予定。
消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入(中期戦略)通信量の増加に伴い発生する通信設備の消費電力の増加リスク脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を用いたサーバー冷却のための消費される電力を94%削減する三菱重工社とNECネッツエスアイ社との共同研究開発中。また、基地局スリープ機能(トラフィックの少ない夜間帯にスリープさせる)を導入し消費電力の削減を推進。ミリ波無線機1機種に対応する機能を内製開発し、ノウハウの蓄積と課題の洗い出し実施中。無線機1台あたり年間約100kWhの電力消費の削減が可能となる見込み。
市場・評判
(長期戦略)
カーボンニュートラル目標未達や再生可能エネルギー化の取組遅れによる当社企業評価低下及び加入者減のリスク化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを推進。当社の事業運営で消費する電力27億kWhを2030年度までに再生可能エネルギー由来のメニューに切り替え予定。また、グループ会社としてauリニューアブルエナジーが太陽光発電など追加性のある再生可能エネルギー発電事業を運営。

■気候変動対策が何らされず化石燃料依存が続き、温室効果ガス濃度が大幅に上昇、物理的影響が顕在化する4℃シナリオ
対象:物理的リスク分析
参照:IPCC AR5 RCP8.5 Scenario
物理的リスク分析
(物理的シナリオ「RCP8.5」を用いて分析)
当社グループとしてのリスク内容当社グループの対応
急性(台風や洪水などの)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費などのコスト増加リスクBCP※の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え
慢性平均気温上昇お客さまからお預かりしたサーバーを冷却するための、当社データセンターの空調電力使用量の増加リスク高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換

※ Business Continuity Plan(事業継続計画)
気候関連のシナリオ分析は、「KDDI GREEN PLAN」に基づく計画サイクルにそって、2024年度に実施したものです。今後も、定期的にシナリオ分析を更新していきます。
気候関連のリスク及び機会
当社グループは、気候関連のシナリオ分析の結果を活用して気候関連のリスクを識別するとともに、「IFRS S2号の適用に関する産業別ガイダンス(通信サービス等)」を考慮した上で、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会として、次のものを識別しています。
(気候関連のリスク・機会の内容とビジネスモデル・バリューチェーンに与える影響)
分類内容バリューチェーンにおいてリスク・機会が集中している部分ビジネスモデル・バリューチェーンに与える影響時間軸
上流中流下流現在将来
移行
リスク
電力コスト(再生可能エネルギー)の上昇-自社-当社グループでは、2030年度までにScope1+2の実質ゼロを目指し、追加性のある再生可能エネルギーを中心に、再生可能エネルギーへの切替えを進めています。
現在は、系統電力と比較して、再生可能エネルギーは調達コストが高く、再生可能エネルギーの調達によるコストの増加が発生しています。
当社グループでは、通信需要やデータセンターの需要増加に対応、通信基地局やデータセンターの増設を進めています。
これに伴い、当社グループの電力消費量が増加することが想定されます。
短期~長期
物理的リスク災害時の復旧コスト、現有設備(基地局等)の被害-自社-台風・豪雨・洪水など自然災害の増加により、自社の基地局等の設備損壊や復旧コストの増加リスクが顕在化しています。気候変動の影響により、自然災害の頻度や被害が高まる可能性があり、設備損壊や復旧コストの増加リスクは今後も継続すると見込んでいます。短期~長期
機会エネルギー効率向上(基地局スリープ機能等)によるコスト削減、利益率向上-自社-サーバー冷却の効率化や基地局スリープ機能の導入により、自社の電力使用効率が向上し、利益率向上の機会となります。今後も、最新技術の導入による電力使用効率向上の取組を加速させることで、コスト削減効果の拡大を見込んでいます。短期~長期

当社グループは、これらのリスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸を次のように定義しています。
短期:3年以内*
中期:2030年
長期:2050年
*上記の時間軸のうち、「短期」が中期経営戦略期間(2026~2028年度)と整合しており、戦略的意思決定にも同一の時間軸を用いています。
財務的影響の開示
(財務的影響)
分類内容財務的影響
当期将来詳細
短期中期長期
移行
リスク
電力コスト(再生可能エネルギー)の上昇電力コスト:
約1,060億円
[当期の財務的影響]
電力消費量は、気候変動に適応するための電化の影響や、事業活動の拡大など複数の要因によって生じるため、気候変動による電力コストの上昇に起因する影響額のみを区別することは困難です。事業活動の拡大など、気候変動以外の要因も考慮した当期の(再生可能エネルギー含む)電力コストは約1,060億円です。
[将来の財務的影響]
リスクが顕在化する場合には、連結財務諸表上の売上原価・販売費及び一般管理費に影響を及ぼすと考えられます。
財務影響を見積もるにあたり、将来の電力消費量の増加はシミュレーションしているものの、電力単価の予測において測定の不確実性が高いため、測定した定量情報は有用ではないと判断しています。
物理的
リスク
災害時の復旧コスト、現有設備(基地局等)の被害-[当期の財務的影響]
当報告期間に発生した自然災害について、自社に重大な財務的影響を及ぼす被害は発生していません。​一部、災害復旧に要した費用等が発生していますが、その影響は軽微であり、当該災害に起因する影響額のみを区分することは困難であることから、連結財務諸表上の売上原価・販売費及び一般管理費に含めて処理しています。
[将来の財務的影響]
重大な影響が生じた場合には、連結財務諸表上の営業利益に影響を及ぼすと考えられます。
財務影響を見積もるにあたり、発生が想定される災害の規模及び被害設備の予測は、測定の不確実性が高いため、測定した定量情報は有用ではないと判断しています。​

分類内容財務的影響
当期将来詳細
短期中期長期
機会エネルギー効率向上(基地局スリープ機能等)によるコスト削減、利益率向上-[当期の財務的影響]
事業規模の拡大により必要なエネルギー需要は増加しているため、エネルギー効率向上の取組に起因するコスト削減効果(影響額)のみを区分することは困難です。
上記影響は、連結財務諸表上の売上原価・販売費及び一般管理費に対して、一定程度のコスト削減効果を及ぼしているものの、その影響は重大なものではありません。
[将来の財務的影響]
機会が顕在化する場合には、連結財務諸表上の営業利益に影響を及ぼすと考えられます。
財務影響を見積もるにあたり、将来の電力消費量の削減はシミュレーションしているものの、電力単価の予測において測定の不確実性が高いため、測定した定量情報は有用ではないと判断しています。​

上記の当期の財務影響に関し、翌年度の財務諸表に重要な影響を与える可能性がある重大なリスクは、現時点では想定されていません。
上記の将来の財務的影響に関し、いずれのリスク・機会も短期~長期にわたり影響が生じると見込んでいます。また、検討にあたっては、中期経営戦略(投資計画及び処分計画を含む)を考慮しています。
戦略及び意思決定に与える影響
(気候関連の移行計画)
脱炭素社会の実現に向けて、当社グループは中長期の環境保全計画である「KDDI GREEN PLAN」に基づき、気候変動の緩和・適応に向けた取組を推進しています。
(「KDDI GREEN PLAN」における目標)
●2040年度末までに、Scope1+2に加え、Scope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロとする「グループネットゼロ」の達成
●2030年度末までに、当社グループの事業活動に係るScope1+2排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成
Scope1,2の削減に向けて、省エネルギー施策と再生可能エネルギーの活用を継続的に進めていくとともに、Scope3の削減に向けては、サステナブルなサプライチェーンの実現を目指し、取引先にCO2排出量の見える化や削減に向けた取組を依頼・支援しています。
当社グループは、こうした計画の遂行にあたり、識別した気候関連のリスク及び機会のトレードオフを考慮して次のとおり資源配分と具体的な対策を進めています。なお、報告期間末日時点において、リスク及び機会の対処に向けた移行計画に関する進捗は概ね順調であり、ビジネスモデルの変更はありません。
(当社グループのネットゼロに向けた計画)
0102010_008.png
(再生可能エネルギーの導入計画(2025年度~2030年度))
0102010_009.png
(リスク・機会の対応策と資源配分)
分類内容対応策対応策の資源配分
移行
リスク
電力コスト(再生可能エネルギー)の上昇①バーチャルPPAによる長期安定的な再生可能エネルギー確保
②自社グループ内での取組(auリニューアブルエナジー)
auリニューアブルエナジーでの太陽光発電事業において設備投資を行うための資金については、auリニューアブルエナジーの事業による利益から拠出しています。
物理的リスク災害時の復旧コスト、現有設備(基地局等)の被害①被災後の迅速なサービス復旧と復旧コスト抑制を目的とした、事業継続計画(BCP)の整備及びBCP訓練※の実施
②通信設備の災害対策強化(耐災害性を高めた通信局舎、非常用電源の確実な確保)による被害抑制
③災害時も太陽光パネルを用いて発電可能な基地局の設置
※災害被害の激甚化に対応するため、毎年、代表取締役社長を災害対策本部長とするBCP訓練(社内取締役、各事業責任者及び関連部門長延べ500名程度に加えて災害対策に関わる従業員が参加)を実施しています。
また定期的に行政機関・自治体などの関係機関と連携した大規模な訓練の実施、通信事業者間の被災地支援に関する情報連携や避難所支援のエリア分担及び情報発信の共通化、通信インフラの早期復旧に向けた共同訓練を実施し、大規模災害が発生した際にも迅速な対応が取れるよう平時から準備をしています。
災害対策の詳細は以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/anti-disaster/
災害対策については、BCPに関する財務計画に含めて管理を行っており、既に対応策を実行しています。気候変動への適応策として、追加的に資源を確保することは予定していません。
機会エネルギー効率向上(基地局スリープ機能等)によるコスト削減、利益率向上①データセンターの空調制御の高度化
②サーバーの水冷・液浸技術導入
③設備共用(ソフトバンク社との共用)、設備更改
④基地局スリープ機能導入
機会に関する対応策については、通常の事業活動における財務計画の枠内で管理しています。追加的な資金調達は現時点では想定していません。

気候レジリエンスの評価
気候レジリエンスの評価において、前記のシナリオ分析の結果と自社の戦略、ビジネスモデルとの関係性を踏まえ、報告期間末日時点において、以下の重大な不確実性の領域を考慮しました。
- 再生可能エネルギーの将来価格
- 災害の発生頻度・規模、資産に生じうる被害額
報告期間の末日における気候レジリエンス評価による「KDDI GREEN PLAN」やビジネスモデルの見直しはありません。なお、今後、気候関連の変化、進展又は不確実性により、対応策に必要な資金が増加した場合、その金額の増加の程度に応じて、既存の金融資源の割当や、調達額の見直しを検討いたします。

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