訂正有価証券報告書-第31期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/07/08 11:13
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による景気対策や日銀主導の金融緩和などにより企業業績が回復基調にあるものの、世界経済の下振れリスクなど懸念材料もあることから景気の先行き不透明感が強まっております。
当社グループを取り巻く事業環境について説明いたします。ブロードバンド接続サービス市場につきましては、スマートデバイス普及による場所を選ばないインターネット利用への移行という顧客ニーズの変化およびNTT東西による光コラボレーションモデルの開始という外部事業環境の変化に直面しております。そうした中、移動系超高速ブロードバンド接続サービスの契約数はLTEなどが急拡大したことから、2015年12月末で11,363万契約(2015年3月末比30.2%増)と引き続き大幅に増加しております。一方、固定系ブロードバンド接続サービスは、主力のFTTH接続サービス契約数が2,758万契約(同3.2%増)と伸び率が鈍化したことから、3,761万契約(同2.2%増)となりました(出典:総務省)。パブリッククラウドサービス市場につきましては、エンターテイメント分野に加え、一般企業の事業本体での活用にまで利用用途が広がりつつあることから、拡大しております。
このような環境の下、当社は、「中期的な成長に必要な顧客基盤の再構築を目指す」を目標に、IoT時代に向けてネットサービスを通じた暮らしやすい社会の実現のため、既存領域および新規事業領域において他社との連携を積極的に推進するなど事業展開を図ってまいりました。
次に事業別状況について説明いたします。
(ISP事業)
ISP事業は採算性を考慮しつつ、光コラボレーションモデルへの展開と、MVNOサービス「NifMo(ニフモ)」の拡販に注力いたしました。
チャネル別では、FTTH接続サービスにおいては、NTT東日本、NTT西日本が提供するフレッツ光の卸サービス「光コラボレーションモデル」を活用した新しい光インターネットサービス「@nifty光」に注力し、上期を中心に拡販費を投入して自社接続会員の転用に加え新規会員獲得にも積極的に取り組みましたが、想定ほどの自社接続会員の転用や獲得となりませんでした。
LTE高速データ通信・音声通話対応のMVNOサービス「NifMo」においては、2015年10月に富士通株式会社のSIMフリースマートフォン「arrows M02」の提供を開始したほか、2016年3月にプラスワン・マーケティング株式会社のSIMフリースマートフォン「FREETEL SAMURAI KIWAMI」を追加するなどスマートフォンラインアップの充実に努めました。また、2015年4月には専用アプリ利用などにより利用料金を節約できる「NifMo バリュープログラム」iOS版を提供開始したことに続き、同10月にはMVNOとしては初の月額定額電話“かけ放題”サービス「NifMo でんわ」を、そして2016年2月には「NifMo」利用に役立つ情報や機能を集約したアプリ「My NifMo」をそれぞれ提供開始するなど利用者の利便性向上に注力いたしました。法人向けとして、同3月には「NifMo法人サービス」にてM2M(Machine to Machine)やIoTに適した「スタートプラン」や「1.1GBプラン」を提供開始いたしました。また、2015年12月には「NifMo」はオリコン株式会社がサービス・商品に対する顧客満足度の認知拡大と価値向上を目的にして年に一度表彰を行っている「オリコン日本顧客満足度ランキング MVNO(スマホ)」部門にて総合第1位を受賞いたしました。
サポートサービスにつきましては、PC、スマートフォン、モバイル端末、ゲーム機、家電などをウイルスやフィッシングサイトといったインターネットの脅威から保護する「常時安全セキュリティ24プラス」の導入を接続会員向けに推進いたしました。
この結果、2016年3月末のモバイルブロードバンド接続会員数は、15万人(2015年3月末比3万人増)に増加いたしました。一方、FTTH接続サービスでは「@nifty光」への自社接続会員転用および新規会員獲得が想定ほど進まず、会員数は96万人(同4万人減)となりました。また一部のCATV局へのサービス提供が終了したことからCATV契約者数は8万人(同3万人減)となりました。これらにより、2016年3月末のCATVを含むブロードバンド接続会員数は134万人(同5万人減)となりました。
以上の結果、ISP事業の売上高は、従来の固定系接続会員数の減少などにより47,086百万円(前年度比3.4%減)となりました。営業利益は、FTTH接続会員など従来の固定系接続会員数減少による利益減少に加え、「@nifty光」転用費用や「NifMo」会員獲得のための費用など拡販費の大幅増加により、1,500百万円(同64.8%減)となりました。
(Webサービス事業)
マーケットプレイス型事業拡大および顧客接点拡大のため、サービス開発とスマートデバイス向けサービスへのシフトを推進いたしました。
マーケットプレイス型事業につきましては、スマートデバイスからのアクセス数が大きな割合を占めるようになったことから、アプリ開発に注力し、サービスへの誘導を推進いたしました。2015年6月に全国の温浴施設を検索できる「温泉検索」iOS版、同12月には年度末の引っ越しシーズンに向けて11の大手不動産サイトの賃貸物件情報をまとめて検索できるスマートフォン向けアプリ「賃貸物件検索」iOS版に検索結果を間取り図で比較できる機能を追加、2016年3月には入会費、月会費がなく1回毎にスポーツクラブが利用できるサービス「TSU-DO」Android版の提供を開始いたしました。また、顧客接点拡大を図るため、“働くママ”のためのプリント整理アプリ「おたよりBOX」(iOS版/Android版)を2015年4月および7月に、そして同7月には共有機能を備えたメモアプリ「Frognote」iOS版を提供開始しました。さらに、主婦向け無料サービス「シュフモ」では、お買い物をより便利にする機能を追加するなど大幅リニューアルした「シュフモ」アプリ(Android版/iOS版)を2015年9月および11月に提供開始しました。この結果、マーケットプレイス型事業において2016年3月末のサービスサイト訪問者数に占めるスマートデバイス比率は77%にまで上昇いたしました。
広告につきましては、検索連動型広告の売上高が減少したものの、マーケットプレイス型事業でのスマートデバイス利用が引き続き拡大したことにより成果報酬型広告売上高が伸長したこと、およびPC主体の運用型ディスプレイ広告でのアドテクノロジーを活用した広告取引が堅調に推移したことなどから増収となりました。
コマースにつきましては、クリニック・動物病院向けに各種医療材料を販売するグループ会社の株式会社プロミクロスの売上高が堅調に推移するとともに、事業基盤を強化するために同業企業を買収した効果などにより増収となりました。しかし、デジタルコンテンツでは、ビジネス、占いなどの利用者が減少したことから減収となりました。
以上の結果、Webサービス事業の売上高はマーケットプレイス型事業拡大に伴い広告およびコマース売上高が増加したことなどにより13,500百万円(前年度比3.8%増)となりました。営業利益は検索連動型広告の利益減少を成果報酬型広告の売上高に伴う利益増加などでカバーし、1,445百万円(同14.5%増)となりました。
(クラウド事業)
パブリッククラウドサービスである「ニフティクラウド」の拡販に積極的に取り組みました。
2015年10月にはIoT/M2M展「秋」に出展して、セミナーやブースにてパートナー企業の提供事例を紹介するとともに、「ニフティクラウド」のコアバリューである「高性能・高信頼・柔軟性・使いやすさ」を訴求いたしました。2016年1月には丸紅株式会社とクラウドサービスにおいて協業し、「ニフティクラウド」のOEM提供を開始するなど販路拡大に注力いたしました。さらに、大手顧客からの要望が多いプライベートクラウド構築にも対応いたしました。また、同3月にはスマートフォンで固定電話番号が使える法人向け通話サービス「ShaMo! by NIFTY Cloud」の提供を発表いたしました。
海外展開については、2015年4月には株式会社クララオンラインが中国で展開するパブリッククラウドサービス「鴻図雲(ホンツーユン)」に共同提供社として参画したことに加え、同9月には「ニフティクラウド」として初の海外リージョンとなる「北米リージョン」を提供開始いたしました。2016年1月には「鴻図雲」にてこれまでの日本語版、英語版に加えて中国語版のコントロールパネルを、「ニフティクラウド」でも英語版、中国語版のコントロールパネルの提供を開始し、多言語化対応を強化いたしました。
これらの結果、2016年3月末の「ニフティクラウド」の利用件数は4,500件を超えました(2015年3月末比21.9%増)。
また、IoT時代に向けた新たな取り組みとして、2015年7月にはIoTを活用したビジネス革新を目指す企業をネットワーク技術やシステム開発に精通した専属エンジニアが支援するサービス「ニフティIoTデザインセンター」を開設し想定を超える多数のお問い合わせや要望に積極的に対応いたしました。同11月には東急グループのイッツ・コミュニケーションズ株式会社とIoTを活用したスマートライフ事業に関する新会社「Connected Design(コネクティッド デザイン)株式会社」を設立いたしました。さらに、同11月には「ニフティクラウドIoTプラットフォーム」を活用したシステム構築支援サービス強化の一環として、富士通株式会社、株式会社富士通研究所と共同で、来場者参加型の競技場サービスを実現するシステムを構築し、川崎市営等々力陸上競技場で開催された川崎フロンターレのJ1リーグ公式戦にて来場者の協力のもと「Frontaleスタジアムサービス(実験)」の実証実験を行いました。そして2016年3月には富士通デザイン株式会社と共同でプロジェクションマッピングや3DCG(3Dコンピューターグラフィックス)を活用した体験型オーダーメイドシステムを開発いたしました。
この結果、クラウド事業の売上高は「ニフティクラウド」の売上高が増加したことにより6,247百万円(前年度比25.7%増)となりました。営業利益は「ニフティクラウド」の売上高増加に伴う利益増加などにより、932百万円(同43.9%増)となりました。
(調整額)
調整額は新規事業創出のための費用やセグメント横断的なIoT関連の営業費用、全社のITの企画費用、全社の事業をサポートするコーポレート部門の費用負担等の各報告セグメントに配分していない全社費用であり、予定通りの費用水準で推移しております。
以上の結果、当連結会計年度における業績につきましては、売上高は66,833百万円(前年度比0.2%増)となりました。営業利益は主にISP事業の利益減少により、1,196百万円(同65.6%減)となり、経常利益は991百万円(同70.1%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、648百万円(同70.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて3,376百万円減少して14,941百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,773百万円の収入(前年度は6,129百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益1,079百万円(前年度は税金等調整前当期純利益3,446百万円)に現金支出を伴わない減価償却費3,348百万円を戻した収入に対して、法人税等の支払額913百万円および仕入債務の減少1,087百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,216百万円の支出(前年度は3,062百万円の支出)となりました。
これは主に、情報基盤整備と当社グループのサービス向上のための投資を実施したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、933百万円の支出(前年度は1,036百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金912百万円の支払いによるものです。