有価証券報告書-第10期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/23 15:58
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108項目

有報資料

(1) 会社の経営の基本方針
衛星という社会性の高いインフラを保有し、かつ、有料多チャンネル事業を展開している当社グループは、日本における有料多チャンネル放送の市場拡大及び国内外の衛星インフラの発展を図るとともに、放送・通信の融合を見据えた総合的な事業の拡大と経営の効率化を通じて企業価値を最大限に高めることを目指しております。また、当社グループの理念として、①放送と通信という公共性の高いサービスを提供する企業グループとして、社会的責任を強く認識し、法令・倫理を遵守すること、②常にパイオニア精神を持ってサービスの向上を図り、豊かな社会生活の創造に貢献することを掲げております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、平成32年度を最終年度とする中期経営計画を定めております。この計画では、積極的な設備投資や事業投資による事業領域の拡大を含めた、新たな成長の基盤を構築することを目指しております。以下はその骨子となります。
<有料多チャンネル事業>・放送事業者と共にプラットフォーム全体でコンテンツの差別化を推進。
・加入者獲得の重点を、DTH(衛星による家庭への直接番組配信)からOTT(インターネット配信)やFTTH(光ファイバーケーブルによる家庭への直接番組配信)に移す一方、DTHでは4K・8K放送に対応した事業基盤を構築。
・海外コンテンツ事業を拡大することで国内市場に留まらない事業の成長を図る。
<宇宙・衛星事業>・グローバル・モバイル需要の拡大に対応するために、HTS等の新型衛星を投入することで、競争力を強化し成長の基盤を構築。
・宇宙基本計画に対応した宇宙事業の拡大や、非静止衛星をはじめとした新たな衛星利用の開拓を推進。
・衛星フリートを見直すことにより資産効率の改善を図る。
<事業領域拡大>・両事業ともにアジアを中心とした海外展開を加速し、確固たる事業基盤の構築を目指す。
・M&Aや事業提携を積極的に行なうことで事業領域の拡大や新たな競争環境へ対応する。
(3) 目標とする経営指標
上記の中期経営計画を推進することで、平成32年度において以下の業績目標を達成することを定めております。
<平成32年度の連結業績目標>営業収益 2,000億円以上
営業利益 300億円以上
EBITDA 600億円以上
有料多チャンネル加入件数 400万件以上(スカパー!オンデマンドサービスの有料商品契約者数を含む)
(4) 経営環境
国内では少子高齢化による人口減少を受け国内市場が徐々に縮小する一方で、有力な産業政策として訪日観光客の大幅な増加が想定されるなど、国内における市場環境が大きく変化するものとみております。
またこの期間においては2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、通信環境が大きく拡充するとともに、放送及び非放送エリアでも4K・8K利活用が期待されており、衛星放送関連では110度BS/CS左旋のインフラ拡大も実現するものと考えております。更に「宇宙基本計画」や「宇宙活動法」、「衛星リモートセンシング法」等の計画や制度の整備による宇宙産業拡大も期待されます。
当社を取り巻く環境変化のなかで、スマートフォンを核とした巨大ネット系企業による侵食と、IoTの進展、AIなどの技術の進化により、通信・放送・宇宙分野を含む様々な領域で新たなプレーヤー、新たなサービスが誕生し、既存事業領域での競争がより激化すると考えております。
(5) 対処すべき課題
有料多チャンネル事業及び宇宙・衛星事業において、衛星を軸とした国内の既存市場が成熟期を迎えていることを認識し、当社グループの各事業について、収支構造の改善及び海外での営業収益拡大を図ってまいります。また、グループ全体の事業領域を拡大すべくM&Aや事業提携に積極的に取り組んでまいります。
<有料多チャンネル事業>① 事業構造改革による収益性の改善
既存の有料放送市場が成熟し、インターネットを使った動画配信サービスが次々と誕生している中、コンテンツ獲得及び加入者獲得の両面で競争が激化しており、従来の延長線上にある各種施策だけでは加入者数の減少を免れない状況にあります。資金力の豊富な動画配信プラットフォームの登場により、従来とは異なる競争環境の中において、引き続き、日本における有料多チャンネル事業のメインプレーヤーとして生き残っていくために、これまでの事業構造を徹底的に見直し、コスト削減を進めることで収益性を高めながら、効率よく事業を運営していくとともに、新たなサービスや新規事業の開発を促進してまいります。
② コンテンツ・サービスの差別化
有料多チャンネル事業が競争の優位性を持続的に確保するためには、放送事業者と共に魅力的かつ差別化されたコンテンツを開発することが重要です。Jリーグの放映権喪失に代わる新たなスポーツコンテンツを開発していくとともに、「BSスカパー!」などを通じて、放送事業者の目玉コンテンツとの連携や、オリジナル番組の充実を図ってまいります。
スマートフォンやインターネット環境の拡大にあわせ、「スカパー!オンデマンド」では現在54チャンネルの配信を行っており、今後さらにチャンネル数を拡大してまいります。また、テレビ受像機向け放送連携IPサービスの提供を平成29年度より開始し、テレビ視聴の利便性を拡大してまいります。
また、既に「スカパー!プレミアムサービス」「スカパー!プレミアムサービス光」では、4K放送のサービスが提供されておりますが、新たに、平成30年12月より東経110度上にあるBS/CSにおいても4K実用放送が開始される予定です。当社グループの㈱スカパー・エンターテイメントが東経110度CSの左旋円偏波を使って8チャンネルの4K放送を開始することが決定しております。この左旋円偏波による電波の受信には新たな受信機や対応アンテナ等の交換が必要となります。当社グループは平成29年4月より4K・8K放送を含む国内のすべての衛星放送に対応するマルチアンテナの発売を開始し、今後の4K対応テレビの販売拡大に合わせた視聴環境の整備を進めてまいります。
これらの展開を着実に推進することによりコンテンツ、サービス両面での差別化による加入者の維持・拡大を図ってまいります。
③ 収益の多様化
これまでの有料多チャンネル放送プラットフォーム事業による売上に加え、新たな領域での収益源を育てることが課題と認識しております。既に㈱NTTドコモ、ソフトバンク㈱の光コラボレーションにより地上波・BS・CS再送信事業(フレッツ・テレビ等)を順調に拡大しているほか、平成27年5月に設立したWAKUWAKU JAPAN㈱においては、アジアを中心とした海外でのチャンネル事業を拡大しております。平成28年度においては、展開国数8ヶ国を実現するなど、日本コンテンツの海外展開に努めました。視聴料収入や広告収入などによる収益の拡大と、周辺ビジネスの開発を引き続き行ってまいります。
これらの活動に加え、「スカパー!」全体の加入者基盤や当社グループの強みを生かした新たな事業の開発に取り組んでまいります。
<宇宙・衛星事業>④ 衛星運用の安定性及び信頼性の確保と効率化
宇宙・衛星事業では、衛星運用の安定性及び信頼性を確保することが何よりも重要である一方で、資産効率を向上させることも同時に求められます。当社グループは平成28年度に新たな衛星3機(JCSAT-14、JCSAT-15、JCSAT-16)を打ち上げ、合計18機とすることで、放送・通信サービス体制を拡充致しました。JCSAT-14はアジア・太平洋域をカバーする既存衛星の後継機として国際通信に使用され、JCSAT-15は既存衛星の後継機であることに加え、平成29年4月1日より試験放送が開始された4K放送を担うこととなります。また、JCSAT-16は、当社グループの複数の衛星を1機でバックアップできる特別な予備衛星となっており、打ち上げが延期となったSuperbird-8の一時的な代替衛星としての役割を担うなど、衛星通信サービスの継続的な提供に寄与しております。今後は、予備衛星を効果的に活用し、資産効率を向上させていくことが課題となります。
衛星を制御する衛星管制センターやネットワーク設備に関しては、設備調達、保守管理、運用環境の最適化を図るとともに、重要通信設備としてセキュリティレベルの向上やバックアップ体制の構築など、安全性の確保についてもバランスよく投資していくことが課題となります。
⑤ 事業領域の拡大
宇宙・衛星事業の持続的な成長のためには、地上サービスに対し衛星サービスの優位な領域における新規顧客、提供エリアの開拓が必要不可欠と考えております。以下に示す分野での取り組みをこれまで以上に強化することで、事業の成長を図ってまいります。
ⅰ)国内衛星ビジネス
国内衛星ビジネスにおきましては、VSAT(小型地球局による衛星通信)サービスである「EsBird」や「ExBird」等を利用した災害医療対策向けのシステム提案活動や、機動力のあるニュース伝送システム「PortaLink」の次世代機導入に向けたマーケティングの推進、携帯電話基地局向けのバックホール回線提供等、新たな需要の開拓を図ってまいります。また、既存顧客に対する長期契約更新の提案に加え、新規システムの立ち上げや付加価値サービスの提供により、国内衛星通信市場の基盤を強化してまいります。
ⅱ)宇宙・防衛ビジネス
内閣府により平成28年4月に新たに策定された「宇宙基本計画」及び平成27年12月に改訂された「宇宙基本計画工程表」に基づき、宇宙利用サービスへの参入や、防衛分野を含む、政府主導のプロジェクトへの参画による事業拡大を目指してまいります。
ⅲ)国際衛星ビジネス
経済環境変化の影響はあるものの、今後も成長が期待されるアジア・オセアニア地域を広くカバーするJCSAT-14の打ち上げを契機にこの市場を重点的に開拓していくとともに、北米及びロシア地域での営業展開も引き続き進めてまいります。これらの地域における厳しい価格競争に勝ち抜くため、これまでの衛星デザインとは一線を画すHTSを2機調達することとし、HTS事業に参入致しました。今後は海外オペレーターとの提携も含め営業基盤の強化を図りつつ、新たな顧客の確保とグローバル市場での売上比率の増加を目指してまいります。
ⅳ)移動体衛星通信ビジネス
移動体向けサービスでは、インド洋や太平洋の船舶向けインターネット接続サービス「OceanBB」をさらに拡充することで、海運各社や政府機関へ拡販を進めます。また、導入機数が拡大している航空機内のインターネット接続用の衛星回線の受注拡大を図るとともに、機内向けに衛星を経由した番組配信を行う等、回線提供に新たなサービスを追加することにより、ビジネスの拡大を図ってまいります。
⑥ 成長への取り組み
宇宙・衛星事業においては、低軌道において小型衛星を活用した分野を新たな事業領域と認識し、低軌道衛星向けのゲートウェイを提供する地上局サービスに参入致しました。これは世界大手であるKSAT社との業務提携に基づくものであり、今後登場する数百機から数千機規模の低軌道衛星事業にも積極的に関与していきます。また、電気的に衛星を追尾可能なアンテナを開発するKymeta社に出資することで、衛星通信事業の拡大に努めるとともに、車両以外での活用も模索し、宇宙・衛星事業の新しい成長に繋げてまいります。
また、昨今、脚光を浴びているドローン事業にも参入し、産業用としての利用拡大を図るとともに、衛星通信と組み合わせたソリューション提供を模索してまいります。当社グループの成長に向けては、これら新規事業領域を開拓することが課題となります。

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