有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1) 経営環境及び経営方針等
当社グループを取り巻く事業環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、第五次総合特別事業計画(以下、「五次総特」という。)に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要の増加に対応した安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。
福島への責任を果たしていくため、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
五次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、2028 年度以降のフリーキャッシュフローは黒字を確保する。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
福島第一原子力発電所の廃炉事業が燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面に入ること、GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりに伴い国内の電力需要の増加が見込まれること、小売事業の競争激化や物価高騰等に伴う投資・費用増により厳しい財務状況が続いていること等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。
このような事業環境変化への対応が、当社グループにとっての重点課題であり、福島責任の貫徹に向け、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組んでいく。
福島事業では、被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償や、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業や生活の再建・自立、農林水産業再生や風評払拭等に向けた取り組み等、福島復興に継続して取り組んでいく。福島第一原子力発電所の廃炉事業においては、今後より困難かつ複雑になる中でも安全かつ着実に廃炉作業を進めるため、廃炉の遂行主体の自主性・主体性を担保すべく、「福島最優先」の経営判断、廃炉事業遂行能力の向上、体制の構築の三本柱で抜本的に改革を進めていく。また、地域の皆さまとの双方向のコミュニケ―ション等を通じた地域との関係性の深化、廃炉事業を通じた地域の産業・経済基盤の創出への貢献等、「復興と廃炉の両立」に向けた取り組みを推進していく。
経済事業では、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加に対し安定供給責任を全うするとともに、事業機会を捉え、「迅速かつプッシュ型の電力供給」「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」「安定化等の多様なニーズに応じた料金メニューの提供」の3つの社会的価値をお届けする取り組みを進めていく。この成長戦略を進めていくにあたっては、投資の最適化や早期の価値提供の観点から、資産回転型の投資や、様々な場面で既存の枠組みにとらわれない共創や協業・連携の実現に取り組んでいく。
柏崎刈羽原子力発電所については、2025年12月に新潟県より6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月に6号機の原子炉を起動、2月には送電を再開し、4月には営業運転を開始した。電力供給のレジリエンス強化やカーボンニュートラルの実現、さらには足元の中東情勢を背景としたエネルギー安全保障等の観点から、原子力発電の重要性が一層高まるなか、福島第一原子力発電所事故の当事者として反省と教訓を活かし、安全を最優先に安定的な発電所の運営を行うとともに、地域や社会のみなさまからの信頼の醸成に向けた取り組みを継続していく。
また、第三者の知見も活用し、投資・費用計画を一から再検証した経営合理化策について確実に実行に移すとともに、中東情勢の影響による燃料・電力市場価格の高騰に伴う調達コストの増加等のリスクにも適切に対処し、足元の経営安定化を早期に実現していく。
さらには、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、自社の強みを活かしつつ、資金・技術・能力等を補完できるアライアンスが、当社の人財の活躍機会の拡大にもつながる最も有力かつ実効的な選択肢であり、その実現に向けて具体化を進めていく。アライアンス等を通じて成長戦略に基づく取り組みの具体化や拡大を進め、事業成長と企業価値の向上につなげ、福島責任貫徹のための資金確保を長期的に確実なものとしていく。
電力供給の面では、2025年度冬季は、比較的安定した気候となり、厳気象の想定を上回るような厳しい需要は見られなかったことに加え、皆さまの省エネ・節電への継続的なご協力により、安定供給を確保することができた。
2026年度夏季においては、東京エリアを含む広域ブロックにおける厳気象を想定した需要に対し、柏崎刈羽原子力発電所6号機の運転や夏季増加供給力公募の落札結果等の織り込みにより、最低限必要とされる3%の予備率は確保できる見通しである。一方で、電源の計画外停止や異常気象、燃料調達先の国際情勢の悪化等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況である。当社としては、引き続き、国や電力広域的運営推進機関とともに安定供給を継続するため、中東情勢等の影響も注視しながら、供給・需要の両面の対策に最大限取り組んでいく。
① 当年度の施策
[ホールディングス]
<福島事業>イ.福島復興に向けた取り組み
当社は、これまでの賠償に加え、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償等、引き続き被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償に努め、当年度末までに累計11兆6,827億円をお支払いしてきた。
また、住民の方々にご帰還いただくための基盤整備に向けた環境再生・復興推進活動や、風評払拭及び販路開拓に向けた福島県産品の流通促進活動に引き続き注力している。
ロ.福島第一原子力発電所の廃炉
燃料デブリの取り出しについては、2号機において、昨年4月に2回目の試験的取り出しに着手し、初回よりも原子炉格納容器の中心部に近い位置からの採取に成功した。また、3号機においては、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の提言を踏まえて大規模取り出しに向けた設計検討をすすめ、昨年7月に同委員会に対し、本格的な取り出し開始までの準備工程に12~15年程度を要すると評価したことを報告した。
使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、1号機において本年1月にガレキ撤去時のダスト飛散を抑制する大型カバーの設置を、2号機において本年3月に燃料取扱設備の設置をそれぞれ完了する等、取り出しに向けた準備を安全かつ着実にすすめてきた。
ALPS処理水の海洋放出については、当年度も全7回の放出を計画どおりに実施し、当社、国及び福島県等が行う海域モニタリングにより安全性が確保されていることを確認している。継続して国際原子力機関(以下、「IAEA」という。)によるレビューも受けており、当年度においても、国際的な安全基準に合致し、人及び環境に与える放射線の影響は無視できる程度との評価をいただいた。
また、昨年9月には、海洋放出に伴い使用しなくなったタンク12基の解体が完了し、燃料デブリの取り出し関連施設を設置する敷地を確保してきた。
一部の国や地域による国産水産品の輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には必要十分な賠償を迅速かつ適切に実施していく。
<経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み
柏崎刈羽原子力発電所では、原子力改革における取り組みを一過性のものとしないよう、継続的に改善をはかってきている。昨年10月にガバナンスの一層の強化を図る観点から、高い独立性と透明性をもって同発電所の運営を監督するとともに発電所運営に関する計画策定に社外の視点や知見を反映させるため、社外の様々な分野の専門家と社内の役員が一体となって議論を行う「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」を設置した。
原子力災害時の避難に関するご懸念の声に対しては、自治体が策定する避難計画の実効性を高めるため、新潟県との原子力防災に関する協力協定に基づき、自治体をはじめ関係機関と連携しながら、原子力防災訓練を積み重ねてきた。
また、地域のみなさまには、当社の改善活動や発電所の安全対策等についてご理解いただけるよう、コミュニケーションブース等による対話や様々な媒体を活用した広報等を県域全体で展開してきた。
こうしたなか、昨年12月に新潟県より、同発電所6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月、6号機の原子炉を起動した。また、2月には送電を再開し、4月に営業運転を開始した。引き続き安全最優先で着実な発電所運営を行っていく。
ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み
当社グループを取り巻く事業環境は、足元の小売電気事業における競争激化、GX・DXの進展等により増加が見込まれる電力需要へ対応していくための原子力・送配電事業投資の増加、物価の高騰等、大きく変化している。加えて、福島第一原子力発電所の廃炉工程が燃料デブリの本格的な取り出しに向けた新たな段階に移行するなか、福島事業と経済事業の双方を支える財務基盤の強化が一層重要となってきた。
こうした状況を踏まえ、当年度においては、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や投資の厳選、保有資産の売却を行うとともに、持続的なキャッシュフローの安定化と成長戦略の実現に向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で五次総特を策定した。同計画においては、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、アライアンスを通じた大胆な改革に取り組むこととしており、本年1月の国による同計画の認定後速やかに、アライアンスパートナーの募集等も行っている。
[フュエル&パワー]
・供給力確保とクリーンエネルギー供給基盤の構築
燃料調達の不確実性が世界的に増大し、安定供給の重要性が高まるなか、株式会社JERAに対して、燃料の価格高騰・調達リスクを踏まえた供給力の確保や、発電所の適切な維持管理を通じた安定的な運転、さらにはカーボンニュートラル達成に向けた再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤の構築を求め、同社を支援・監督してきた。
株式会社JERAは、米国からの新規調達に着手するなど、LNG調達戦略の見直しをすすめ、LNGポートフォリオの強靭化をはかるとともに、発電所の適切な維持管理に加え、知多火力発電所及び袖ケ浦火力発電所における発電設備のリプレース計画をすすめるなど、継続的な安定供給に向けた取り組みをすすめてきた。
また、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けて、昨年8月に、英国のbp社との間で両社の洋上風力発電事業を統合したJERA Nex bp社の設立を完了させるなど、再生可能エネルギー事業を推進するとともに、碧南火力発電所のアンモニア転換への挑戦など、水素・アンモニアへの燃料転換にも取り組んできた。
[パワーグリッド]
・送配電事業領域の基盤強化と高度化
電力の安定供給と強靭性を確保しながら、事業環境の変化に対応し、地域や社会のニーズに応えるための取り組みをすすめてきた。
具体的には、労務費・資材市況の上昇、施工力不足等の課題に対し、電力供給の信頼度確保や適正な価格転嫁等を前提に、優先度に応じた工事件名の精査,工事内容の合理化によるコストダウンや、工期調整・早期予報等による施工力の確保をはかった。また、GX・DXの進展等による電力需要の増加や高経年化設備の更新に対応するため、早期に電力供給が可能なエリアを示した大規模供給ポテンシャルマップを公開するとともに、新たな変電所建設スペースの情報を募集するなど、持続可能なネットワークの構築を通じた送配電事業基盤の強化をすすめた。
加えて、電力需給バランスの最適化に関する技術開発や実証を行うなど、次世代ネットワークの構築に向けた送配電事業領域における取り組みの高度化をすすめてきた。
[エナジーパートナー]
・お客さまのエネルギーコストの安定化に向けた取り組み
国際情勢の緊迫化等により燃料・市場価格が変動するなかで、お客さまのエネルギーコストの安定化に向けて、電気料金メニューの多様化や設備サービス、電力需給の状況に応じてお客さまに需要を調整していただくデマンドレスポンスを推進してきた。
法人分野では、スポット市場価格の変動を反映させる割合が異なる3つの電気料金メニューを新たに標準メニューとし、太陽光発電設備・蓄電池等の設備の導入やエネルギーマネジメントとあわせてご提案してきた。また、デマンドレスポンスの取り組みを拡大したことにより、電力需給の安定とお客さまの電気料金の低減をすすめてきた。
家庭分野では、太陽光発電設備等を定額でご利用いただける「エネカリプラス」等のサービスをご提案し、これまでにグループ全体で5.5万件のご成約をいただいている。また、お客さまが設置する蓄電池・エコキュートを遠隔制御することにより電力需給の安定と再生可能エネルギーの有効活用をすすめる「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」のキャンペーンを実施し、約1,000台分の機器についてご参加いただいている。
[リニューアブルパワー]
・再エネ電源の最大限活用に向けた取り組み
国内の水力発電事業においては、当年度は2箇所の既設水力発電所のリプレースを完了させるとともに、DXを活用した運用ロスの低減や設備トラブルの未然防止に努め、さらなる収益向上に取り組んできた。
また、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダム公募に応札し、昨年10月、東京電力リニューアブルパワー株式会社を含むコンソーシアムが栃木県湯西川ダムの事業候補者に特定された。
国内の洋上風力発電事業においては、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから得た知見を活かし、さらなる案件獲得に向けて、競争力強化をはかってきた。
海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことをめざし、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みをすすめてきた。
② 優先的に対処すべき課題
[ホールディングス]
<福島事業>イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み
当社は、「3つの誓い」として掲げた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」に基づき、引き続き、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償について、ご請求いただいていない方々へのご案内を実施する等、個々の被害者の方に丁寧に対応しながら迅速かつ適切な賠償をすすめていく。
また、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業の再建や、住民の方々のご帰還に向けた環境再生・復興推進活動を継続するとともに、福島県産品の販路開拓及びブランド価値向上に資する流通促進活動に取り組んでいく。加えて、廃炉関連産業への地元企業の参入促進や、浜通り地域等への新たな産業基盤の構築をめざす取り組みの推進等を通じて、福島の復興に貢献していく。
ロ.安全確保を最優先とした福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹
燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面を迎える福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実にすすめていくため、現場主義を第一に、廃炉遂行主体が合理的・主体的な判断の上で必要な経営リソースを投入できるよう、経営判断・実行能力・体制の三本柱で抜本的な廃炉事業の改革に取り組んでいく。
また、その実現に向けて原子力関連組織の体制を適切に見直すとともに、豊富な経験や専門的知識を有するパートナー企業の方々と一体的に協働する「ワンチーム」の体制構築を一層すすめていく。
福島第一原子力発電所での廃炉作業の主な取り組みについては、2号機の原子炉格納容器の内部調査及び燃料デブリの試験的取り出しについて、作業員及び周辺環境の安全を最優先にすすめていく。また、使用済燃料プールからの燃料取り出しについても安全を最優先とし、1号機においてオペレーティングフロア上のガレキ撤去等を着実にすすめ、2号機においては使用済燃料の取り出しを開始していく。
ALPS処理水の海洋放出については、引き続き、国際原子力機関のレビューや海域モニタリングを通じて客観性・透明性の確保に努めるとともに、定期的な設備の点検を行い、安全かつ安定的に実施していく。
また、一部の国や地域による輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には迅速かつ適切に賠償を実施していく。加えて、ALPS等で浄化処理を行った水のうち、安全に関する規制基準を満たしていない処理途上水の再浄化処理も実施していく。
<経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み
電力需要の大幅な増加が見込まれる状況下において、安定供給の責務を果たし、カーボンニュートラルの実現に貢献していくため原子力事業を推進していく。
柏崎刈羽原子力発電所においては、核物質防護に係る一連の不適切事案等を踏まえた原子力改革の取り組みを一過性のものとしないよう、改善を積み重ねてきている。また、営業運転を再開した同発電所6号機の安全かつ安定的な運転を継続するとともに、6・7号機の特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実にすすめ、発電所として長期にわたり安定した稼働を実現できる状態をめざしていく。引き続き同発電所の安全性について県民のみなさまへ丁寧な説明を行うとともに、みなさまからの信頼をいただけるよう地域との共生に向けた取り組みについてもより一層すすめていく。
加えて、福島第二原子力発電所の安全で着実な廃止措置、東通原子力発電所の建設再開、原子燃料サイクル事業の推進にも取り組み、建設・運転・廃止措置の原子力ライフサイクルに一貫して取り組むとともに、原子力の持続的活用推進に向けた検討を進めていく。
ニ.当社グループの収益力拡大に向けた取り組み
GX・DXの進展に伴うデータセンター需要の高まりがみられるなか、データセンター事業者にとって、早期の事業開始が可能となる電力供給やエネルギーコストの安定化脱炭素電源の確保といった観点は投資先・立地先を決める重要な要素となっている。当社グループの電力バリューチェーンの総合力を発揮するとともに、関連事業者とも連携しながら、適地の取得や誘致、お客さまとの協働による設備構築、脱炭素電源料金メニューの提供等、あらゆるソリューションを展開し、早期の電力供給をはじめとしたお客さまが求める価値を的確かつ迅速に提供することで、収益力の拡大につなげていく。
[フュエル&パワー]
国際情勢の悪化を受けた燃料価格の不安定化・高騰リスクや世界的な物価上昇など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が変化し続けるなか、同社は安定供給の確保に万全を尽くしていく。
具体的には、GX・DXの進展等に伴う追加需要への迅速な対応に欠かせないLNGのバリューチェーン強化や、燃料調達の分散化・多様化に向けた取り組みを重点的に行うとともに、火力発電所の計画外停止等を最大限抑制し、安定的な運転に努めていく。
加えて、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けた再生可能エネルギーの導入・開発や火力発電のゼロエミッション化に取り組んでいく。
東京電力フュエル&パワー株式会社は、株式会社JERAにおけるこのような課題への対策が、同社の施策に随時、柔軟に反映されるよう、事業計画の策定への関与とその進捗に対するモニタリング等による質の高いコミュニケーションを通じて、株主として支援・監督していく。
[パワーグリッド]
物価の高騰や工事の担い手不足といった事業環境の変化への対応に加え、GX・DXの進展等に伴う社会的ニーズへの対応、特にデータセンターを中心とした大規模需要に対し、早期に電力供給が可能となる供給体制の整備が求められている。
これらの課題に対応するため、引き続きコストダウンや施工力の確保に努めながら、分散型電源や蓄電池等のお客さま設備の最大活用によるエリア需給の最適化に向けて取り組んでいく。また、電力需要が増加する地域を的確に想定したプッシュ型の設備形成と、地域の自治体や企業と協働して送配電ネットワークを構築する参加型の設備形成を通じ、適地における効率的な系統整備と早期の電力供給を実現していく。加えて、これらの取り組みにおけるお客さまとの協働等を通じ、お客さまの電力設備の構築・保守サービスを提供すること等により、安定供給の確保と持続的な成長の実現につなげていく。
[エナジーパートナー]
地政学リスクの高まりや競争の激化等、外部環境が大きく変化するなか、販売と調達のポートフォリオの最適化により、収支変動リスクへの対応力を強化するとともに、お客さまとの長期にわたるパートナーシップの構築に取り組んでいく。
具体的には、販売側では、お客さまニーズに応じた電気料金メニューのご提案に加え、デマンドレスポンスにより創出される調整力・供給力を需給運用や市場供出に活用し、得られるメリットをお客さまへ還元していく。また、調達側では、需給運用サービスの提供によるバランシンググループの拡大やデリバティブ取引による価格ヘッジの活用等を通じて、収支変動リスクを低減していく。これらの取り組みにより、お客さまに選んでいただけるよう努めていく。加えて、エネルギーサービスやBCPサービス等のトータルソリューションの拡充により、今後新増設が期待されるデータセンター分野を含め、多様化・高度化するお客さまニーズへのさらなる対応をすすめていく。
[リニューアブルパワー]
水力発電事業については、国内における経年水力発電所のリプレースとDX推進による効率化に加え、需給バランスの調整のための揚水式発電所の活用、ハイブリッドダム事業の推進、コーポレートPPAの活用をはじめとする販売方法の多様化等により、安定供給と収益向上に取り組む。また、海外においては、これまで国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かして水力発電所のバリューアップをすすめ、事業の拡大に取り組んでいく。
洋上風力発電事業については、国内で着床式洋上風力発電の開発をすすめるとともに、海外ではフローテーション・エナジー社を通じた浮体式洋上風力発電の開発を引き続き推進していく。
また、これらの事業を中心に、資産回転型の事業モデルの導入を検討するなど、投資キャッシュフローの最適化を実現できるよう取り組んでいく。
(注)本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
当社グループを取り巻く事業環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、第五次総合特別事業計画(以下、「五次総特」という。)に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要の増加に対応した安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。
福島への責任を果たしていくため、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
五次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、2028 年度以降のフリーキャッシュフローは黒字を確保する。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
福島第一原子力発電所の廃炉事業が燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面に入ること、GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりに伴い国内の電力需要の増加が見込まれること、小売事業の競争激化や物価高騰等に伴う投資・費用増により厳しい財務状況が続いていること等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。
このような事業環境変化への対応が、当社グループにとっての重点課題であり、福島責任の貫徹に向け、五次総特のもと、福島事業・経済事業双方の改革に取り組んでいく。
福島事業では、被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償や、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業や生活の再建・自立、農林水産業再生や風評払拭等に向けた取り組み等、福島復興に継続して取り組んでいく。福島第一原子力発電所の廃炉事業においては、今後より困難かつ複雑になる中でも安全かつ着実に廃炉作業を進めるため、廃炉の遂行主体の自主性・主体性を担保すべく、「福島最優先」の経営判断、廃炉事業遂行能力の向上、体制の構築の三本柱で抜本的に改革を進めていく。また、地域の皆さまとの双方向のコミュニケ―ション等を通じた地域との関係性の深化、廃炉事業を通じた地域の産業・経済基盤の創出への貢献等、「復興と廃炉の両立」に向けた取り組みを推進していく。
経済事業では、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加に対し安定供給責任を全うするとともに、事業機会を捉え、「迅速かつプッシュ型の電力供給」「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」「安定化等の多様なニーズに応じた料金メニューの提供」の3つの社会的価値をお届けする取り組みを進めていく。この成長戦略を進めていくにあたっては、投資の最適化や早期の価値提供の観点から、資産回転型の投資や、様々な場面で既存の枠組みにとらわれない共創や協業・連携の実現に取り組んでいく。
柏崎刈羽原子力発電所については、2025年12月に新潟県より6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月に6号機の原子炉を起動、2月には送電を再開し、4月には営業運転を開始した。電力供給のレジリエンス強化やカーボンニュートラルの実現、さらには足元の中東情勢を背景としたエネルギー安全保障等の観点から、原子力発電の重要性が一層高まるなか、福島第一原子力発電所事故の当事者として反省と教訓を活かし、安全を最優先に安定的な発電所の運営を行うとともに、地域や社会のみなさまからの信頼の醸成に向けた取り組みを継続していく。
また、第三者の知見も活用し、投資・費用計画を一から再検証した経営合理化策について確実に実行に移すとともに、中東情勢の影響による燃料・電力市場価格の高騰に伴う調達コストの増加等のリスクにも適切に対処し、足元の経営安定化を早期に実現していく。
さらには、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、自社の強みを活かしつつ、資金・技術・能力等を補完できるアライアンスが、当社の人財の活躍機会の拡大にもつながる最も有力かつ実効的な選択肢であり、その実現に向けて具体化を進めていく。アライアンス等を通じて成長戦略に基づく取り組みの具体化や拡大を進め、事業成長と企業価値の向上につなげ、福島責任貫徹のための資金確保を長期的に確実なものとしていく。
電力供給の面では、2025年度冬季は、比較的安定した気候となり、厳気象の想定を上回るような厳しい需要は見られなかったことに加え、皆さまの省エネ・節電への継続的なご協力により、安定供給を確保することができた。
2026年度夏季においては、東京エリアを含む広域ブロックにおける厳気象を想定した需要に対し、柏崎刈羽原子力発電所6号機の運転や夏季増加供給力公募の落札結果等の織り込みにより、最低限必要とされる3%の予備率は確保できる見通しである。一方で、電源の計画外停止や異常気象、燃料調達先の国際情勢の悪化等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況である。当社としては、引き続き、国や電力広域的運営推進機関とともに安定供給を継続するため、中東情勢等の影響も注視しながら、供給・需要の両面の対策に最大限取り組んでいく。
① 当年度の施策
[ホールディングス]
<福島事業>イ.福島復興に向けた取り組み
当社は、これまでの賠償に加え、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償等、引き続き被害者の方々に寄り添った迅速かつきめ細やかな賠償に努め、当年度末までに累計11兆6,827億円をお支払いしてきた。
また、住民の方々にご帰還いただくための基盤整備に向けた環境再生・復興推進活動や、風評払拭及び販路開拓に向けた福島県産品の流通促進活動に引き続き注力している。
ロ.福島第一原子力発電所の廃炉
燃料デブリの取り出しについては、2号機において、昨年4月に2回目の試験的取り出しに着手し、初回よりも原子炉格納容器の中心部に近い位置からの採取に成功した。また、3号機においては、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の提言を踏まえて大規模取り出しに向けた設計検討をすすめ、昨年7月に同委員会に対し、本格的な取り出し開始までの準備工程に12~15年程度を要すると評価したことを報告した。
使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、1号機において本年1月にガレキ撤去時のダスト飛散を抑制する大型カバーの設置を、2号機において本年3月に燃料取扱設備の設置をそれぞれ完了する等、取り出しに向けた準備を安全かつ着実にすすめてきた。
ALPS処理水の海洋放出については、当年度も全7回の放出を計画どおりに実施し、当社、国及び福島県等が行う海域モニタリングにより安全性が確保されていることを確認している。継続して国際原子力機関(以下、「IAEA」という。)によるレビューも受けており、当年度においても、国際的な安全基準に合致し、人及び環境に与える放射線の影響は無視できる程度との評価をいただいた。
また、昨年9月には、海洋放出に伴い使用しなくなったタンク12基の解体が完了し、燃料デブリの取り出し関連施設を設置する敷地を確保してきた。
一部の国や地域による国産水産品の輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には必要十分な賠償を迅速かつ適切に実施していく。
<経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み
柏崎刈羽原子力発電所では、原子力改革における取り組みを一過性のものとしないよう、継続的に改善をはかってきている。昨年10月にガバナンスの一層の強化を図る観点から、高い独立性と透明性をもって同発電所の運営を監督するとともに発電所運営に関する計画策定に社外の視点や知見を反映させるため、社外の様々な分野の専門家と社内の役員が一体となって議論を行う「柏崎刈羽原子力発電所運営会議」を設置した。
原子力災害時の避難に関するご懸念の声に対しては、自治体が策定する避難計画の実効性を高めるため、新潟県との原子力防災に関する協力協定に基づき、自治体をはじめ関係機関と連携しながら、原子力防災訓練を積み重ねてきた。
また、地域のみなさまには、当社の改善活動や発電所の安全対策等についてご理解いただけるよう、コミュニケーションブース等による対話や様々な媒体を活用した広報等を県域全体で展開してきた。
こうしたなか、昨年12月に新潟県より、同発電所6・7号機の再稼働への了解をいただき、本年1月、6号機の原子炉を起動した。また、2月には送電を再開し、4月に営業運転を開始した。引き続き安全最優先で着実な発電所運営を行っていく。
ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み
当社グループを取り巻く事業環境は、足元の小売電気事業における競争激化、GX・DXの進展等により増加が見込まれる電力需要へ対応していくための原子力・送配電事業投資の増加、物価の高騰等、大きく変化している。加えて、福島第一原子力発電所の廃炉工程が燃料デブリの本格的な取り出しに向けた新たな段階に移行するなか、福島事業と経済事業の双方を支える財務基盤の強化が一層重要となってきた。
こうした状況を踏まえ、当年度においては、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や投資の厳選、保有資産の売却を行うとともに、持続的なキャッシュフローの安定化と成長戦略の実現に向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で五次総特を策定した。同計画においては、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向けて、アライアンスを通じた大胆な改革に取り組むこととしており、本年1月の国による同計画の認定後速やかに、アライアンスパートナーの募集等も行っている。
[フュエル&パワー]
・供給力確保とクリーンエネルギー供給基盤の構築
燃料調達の不確実性が世界的に増大し、安定供給の重要性が高まるなか、株式会社JERAに対して、燃料の価格高騰・調達リスクを踏まえた供給力の確保や、発電所の適切な維持管理を通じた安定的な運転、さらにはカーボンニュートラル達成に向けた再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤の構築を求め、同社を支援・監督してきた。
株式会社JERAは、米国からの新規調達に着手するなど、LNG調達戦略の見直しをすすめ、LNGポートフォリオの強靭化をはかるとともに、発電所の適切な維持管理に加え、知多火力発電所及び袖ケ浦火力発電所における発電設備のリプレース計画をすすめるなど、継続的な安定供給に向けた取り組みをすすめてきた。
また、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けて、昨年8月に、英国のbp社との間で両社の洋上風力発電事業を統合したJERA Nex bp社の設立を完了させるなど、再生可能エネルギー事業を推進するとともに、碧南火力発電所のアンモニア転換への挑戦など、水素・アンモニアへの燃料転換にも取り組んできた。
[パワーグリッド]
・送配電事業領域の基盤強化と高度化
電力の安定供給と強靭性を確保しながら、事業環境の変化に対応し、地域や社会のニーズに応えるための取り組みをすすめてきた。
具体的には、労務費・資材市況の上昇、施工力不足等の課題に対し、電力供給の信頼度確保や適正な価格転嫁等を前提に、優先度に応じた工事件名の精査,工事内容の合理化によるコストダウンや、工期調整・早期予報等による施工力の確保をはかった。また、GX・DXの進展等による電力需要の増加や高経年化設備の更新に対応するため、早期に電力供給が可能なエリアを示した大規模供給ポテンシャルマップを公開するとともに、新たな変電所建設スペースの情報を募集するなど、持続可能なネットワークの構築を通じた送配電事業基盤の強化をすすめた。
加えて、電力需給バランスの最適化に関する技術開発や実証を行うなど、次世代ネットワークの構築に向けた送配電事業領域における取り組みの高度化をすすめてきた。
[エナジーパートナー]
・お客さまのエネルギーコストの安定化に向けた取り組み
国際情勢の緊迫化等により燃料・市場価格が変動するなかで、お客さまのエネルギーコストの安定化に向けて、電気料金メニューの多様化や設備サービス、電力需給の状況に応じてお客さまに需要を調整していただくデマンドレスポンスを推進してきた。
法人分野では、スポット市場価格の変動を反映させる割合が異なる3つの電気料金メニューを新たに標準メニューとし、太陽光発電設備・蓄電池等の設備の導入やエネルギーマネジメントとあわせてご提案してきた。また、デマンドレスポンスの取り組みを拡大したことにより、電力需給の安定とお客さまの電気料金の低減をすすめてきた。
家庭分野では、太陽光発電設備等を定額でご利用いただける「エネカリプラス」等のサービスをご提案し、これまでにグループ全体で5.5万件のご成約をいただいている。また、お客さまが設置する蓄電池・エコキュートを遠隔制御することにより電力需給の安定と再生可能エネルギーの有効活用をすすめる「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」のキャンペーンを実施し、約1,000台分の機器についてご参加いただいている。
[リニューアブルパワー]
・再エネ電源の最大限活用に向けた取り組み
国内の水力発電事業においては、当年度は2箇所の既設水力発電所のリプレースを完了させるとともに、DXを活用した運用ロスの低減や設備トラブルの未然防止に努め、さらなる収益向上に取り組んできた。
また、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダム公募に応札し、昨年10月、東京電力リニューアブルパワー株式会社を含むコンソーシアムが栃木県湯西川ダムの事業候補者に特定された。
国内の洋上風力発電事業においては、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから得た知見を活かし、さらなる案件獲得に向けて、競争力強化をはかってきた。
海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことをめざし、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みをすすめてきた。
② 優先的に対処すべき課題
[ホールディングス]
<福島事業>イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み
当社は、「3つの誓い」として掲げた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」に基づき、引き続き、中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償について、ご請求いただいていない方々へのご案内を実施する等、個々の被害者の方に丁寧に対応しながら迅速かつ適切な賠償をすすめていく。
また、福島相双復興官民合同チームへの協力を通じた事業・生業の再建や、住民の方々のご帰還に向けた環境再生・復興推進活動を継続するとともに、福島県産品の販路開拓及びブランド価値向上に資する流通促進活動に取り組んでいく。加えて、廃炉関連産業への地元企業の参入促進や、浜通り地域等への新たな産業基盤の構築をめざす取り組みの推進等を通じて、福島の復興に貢献していく。
ロ.安全確保を最優先とした福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹
燃料デブリの本格的な取り出し等、最難関の局面を迎える福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実にすすめていくため、現場主義を第一に、廃炉遂行主体が合理的・主体的な判断の上で必要な経営リソースを投入できるよう、経営判断・実行能力・体制の三本柱で抜本的な廃炉事業の改革に取り組んでいく。
また、その実現に向けて原子力関連組織の体制を適切に見直すとともに、豊富な経験や専門的知識を有するパートナー企業の方々と一体的に協働する「ワンチーム」の体制構築を一層すすめていく。
福島第一原子力発電所での廃炉作業の主な取り組みについては、2号機の原子炉格納容器の内部調査及び燃料デブリの試験的取り出しについて、作業員及び周辺環境の安全を最優先にすすめていく。また、使用済燃料プールからの燃料取り出しについても安全を最優先とし、1号機においてオペレーティングフロア上のガレキ撤去等を着実にすすめ、2号機においては使用済燃料の取り出しを開始していく。
ALPS処理水の海洋放出については、引き続き、国際原子力機関のレビューや海域モニタリングを通じて客観性・透明性の確保に努めるとともに、定期的な設備の点検を行い、安全かつ安定的に実施していく。
また、一部の国や地域による輸入停止措置が継続しているため、引き続き、事業者の方々のニーズに応じた販路開拓支援等に全力で取り組んでいく。それでもなお被害が発生した場合には迅速かつ適切に賠償を実施していく。加えて、ALPS等で浄化処理を行った水のうち、安全に関する規制基準を満たしていない処理途上水の再浄化処理も実施していく。
<経済事業>ハ.原子力発電事業の取り組み
電力需要の大幅な増加が見込まれる状況下において、安定供給の責務を果たし、カーボンニュートラルの実現に貢献していくため原子力事業を推進していく。
柏崎刈羽原子力発電所においては、核物質防護に係る一連の不適切事案等を踏まえた原子力改革の取り組みを一過性のものとしないよう、改善を積み重ねてきている。また、営業運転を再開した同発電所6号機の安全かつ安定的な運転を継続するとともに、6・7号機の特定重大事故等対処施設の工事を安全最優先で一つひとつ着実にすすめ、発電所として長期にわたり安定した稼働を実現できる状態をめざしていく。引き続き同発電所の安全性について県民のみなさまへ丁寧な説明を行うとともに、みなさまからの信頼をいただけるよう地域との共生に向けた取り組みについてもより一層すすめていく。
加えて、福島第二原子力発電所の安全で着実な廃止措置、東通原子力発電所の建設再開、原子燃料サイクル事業の推進にも取り組み、建設・運転・廃止措置の原子力ライフサイクルに一貫して取り組むとともに、原子力の持続的活用推進に向けた検討を進めていく。
ニ.当社グループの収益力拡大に向けた取り組み
GX・DXの進展に伴うデータセンター需要の高まりがみられるなか、データセンター事業者にとって、早期の事業開始が可能となる電力供給やエネルギーコストの安定化脱炭素電源の確保といった観点は投資先・立地先を決める重要な要素となっている。当社グループの電力バリューチェーンの総合力を発揮するとともに、関連事業者とも連携しながら、適地の取得や誘致、お客さまとの協働による設備構築、脱炭素電源料金メニューの提供等、あらゆるソリューションを展開し、早期の電力供給をはじめとしたお客さまが求める価値を的確かつ迅速に提供することで、収益力の拡大につなげていく。
[フュエル&パワー]
国際情勢の悪化を受けた燃料価格の不安定化・高騰リスクや世界的な物価上昇など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が変化し続けるなか、同社は安定供給の確保に万全を尽くしていく。
具体的には、GX・DXの進展等に伴う追加需要への迅速な対応に欠かせないLNGのバリューチェーン強化や、燃料調達の分散化・多様化に向けた取り組みを重点的に行うとともに、火力発電所の計画外停止等を最大限抑制し、安定的な運転に努めていく。
加えて、「JERAゼロエミッション2050」の実現に向けた再生可能エネルギーの導入・開発や火力発電のゼロエミッション化に取り組んでいく。
東京電力フュエル&パワー株式会社は、株式会社JERAにおけるこのような課題への対策が、同社の施策に随時、柔軟に反映されるよう、事業計画の策定への関与とその進捗に対するモニタリング等による質の高いコミュニケーションを通じて、株主として支援・監督していく。
[パワーグリッド]
物価の高騰や工事の担い手不足といった事業環境の変化への対応に加え、GX・DXの進展等に伴う社会的ニーズへの対応、特にデータセンターを中心とした大規模需要に対し、早期に電力供給が可能となる供給体制の整備が求められている。
これらの課題に対応するため、引き続きコストダウンや施工力の確保に努めながら、分散型電源や蓄電池等のお客さま設備の最大活用によるエリア需給の最適化に向けて取り組んでいく。また、電力需要が増加する地域を的確に想定したプッシュ型の設備形成と、地域の自治体や企業と協働して送配電ネットワークを構築する参加型の設備形成を通じ、適地における効率的な系統整備と早期の電力供給を実現していく。加えて、これらの取り組みにおけるお客さまとの協働等を通じ、お客さまの電力設備の構築・保守サービスを提供すること等により、安定供給の確保と持続的な成長の実現につなげていく。
[エナジーパートナー]
地政学リスクの高まりや競争の激化等、外部環境が大きく変化するなか、販売と調達のポートフォリオの最適化により、収支変動リスクへの対応力を強化するとともに、お客さまとの長期にわたるパートナーシップの構築に取り組んでいく。
具体的には、販売側では、お客さまニーズに応じた電気料金メニューのご提案に加え、デマンドレスポンスにより創出される調整力・供給力を需給運用や市場供出に活用し、得られるメリットをお客さまへ還元していく。また、調達側では、需給運用サービスの提供によるバランシンググループの拡大やデリバティブ取引による価格ヘッジの活用等を通じて、収支変動リスクを低減していく。これらの取り組みにより、お客さまに選んでいただけるよう努めていく。加えて、エネルギーサービスやBCPサービス等のトータルソリューションの拡充により、今後新増設が期待されるデータセンター分野を含め、多様化・高度化するお客さまニーズへのさらなる対応をすすめていく。
[リニューアブルパワー]
水力発電事業については、国内における経年水力発電所のリプレースとDX推進による効率化に加え、需給バランスの調整のための揚水式発電所の活用、ハイブリッドダム事業の推進、コーポレートPPAの活用をはじめとする販売方法の多様化等により、安定供給と収益向上に取り組む。また、海外においては、これまで国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かして水力発電所のバリューアップをすすめ、事業の拡大に取り組んでいく。
洋上風力発電事業については、国内で着床式洋上風力発電の開発をすすめるとともに、海外ではフローテーション・エナジー社を通じた浮体式洋上風力発電の開発を引き続き推進していく。
また、これらの事業を中心に、資産回転型の事業モデルの導入を検討するなど、投資キャッシュフローの最適化を実現できるよう取り組んでいく。
(注)本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。