有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において判断したものである。
(1) 会社の経営の基本方針
浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案につきましては,現在も独立した外部専門家のみで構成される調査委員会(以下,「調査委員会」という。)による調査が継続しておりますが,ステークホルダーのみなさまから再び信頼される企業へと生まれ変わるため,先行して改善すべき事項として,「意識・行動の変革」,「組織・組織風土の変革」,「ルール・仕組みの強化」を柱とする取り組みを着実に進めております。
今後,調査委員会による調査結果も踏まえ,このような不適切事案を二度と生じさせることがないよう,さらなる改善策・対応策を検討・立案し,全社を挙げて取り組んでまいります。
当社は,「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」という企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいりました。
当社を取り巻く事業環境として,燃料価格につきましては,中東情勢の影響などにより,不確実性がさらに高まっております。また,物価・労務単価・金利のさらなる上昇に加え円安も進行するなど,国内外における投資環境の不透明性がこれまで以上に増しております。さらに,人口減少などに伴う社会課題が顕在化しております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しが増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素の同時実現に向けた制度設計の検討が進められております。
当社は,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでまいりました。
また,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
2025年度は,中期経営計画の最終年度であり,中期経営目標として掲げた「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」を達成いたしました。
2026年4月には,「中部電力グループ 新中期経営計画の骨子」を公表いたしました。新たな中期経営計画につきましては,調査委員会による調査結果を踏まえ,必要な事項を反映のうえ公表いたします。
(3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題
「選択と集中」を進め,エネルギー事業をコアとした成長の実現に向けて,多角化から転換し,エネルギーとシナジーが発揮できる事業に集中することで,中期的にROE(自己資本利益率)8%以上の達成を目指してまいります。
具体的には,中部地域に根差した顧客基盤・ブランド力や面的拠点,エネルギー事業で培った知見・人財,挑戦を続ける開拓者精神といった当社グループの強みを活かし,需要造成・安定供給,低・脱炭素価値提供,シナジー事業の展開,グループ経営の深化を成長戦略の4つの柱と位置づけ,これらを着実に推進することで,持続的な成長を実現してまいります。
また,これらの柱を実現するための基盤として,AI等の先端技術を実装し,業務変革(生産性の向上)や事業・サービスの高度化を推進してまいります。
「選択と集中」の方向性については,エネルギー事業とのシナジーの発揮を前提に,成長性・資本効率の観点から事業の選択を進めるとともに,持続的な成長に向けた経営資源の適切な配分を通じて,事業ポートフォリオの見直しを図ってまいります。
資本政策につきましては,自己資本比率30%半ばから後半を目安とした最適資本構成の考え方は堅持し,中期的なROE8%以上実現の観点も踏まえた資本政策を検討・実施してまいります。
このような経営戦略のもと,以下の課題への対応を通じて,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。
(S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組んでまいります。
供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電につきましては,その担い手であるJERAにおいて,短期的には,中東情勢の影響などを踏まえ,政府の方針にもとづいた石炭火力の活用や設備の確実な運用,トレーディングも活用した燃料の安定的な確保に取り組んでまいります。中長期的には,安定供給と低炭素化の両立に資するLNG火力発電の活用等に取り組むとともに,長期安定的な燃料の確保に努めてまいります。また,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求など,着実な脱炭素化にも取り組んでまいります。
再生可能エネルギーにつきましては,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」の拡大を目指し,投資環境・制度動向を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。
さらに,中長期的な電力需要の見通しが増加傾向にある中,経済合理的な設備形成やウェルカムゾーンの公表を通じた大規模需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組むとともに,系統の次世代化も進めてまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアに加え全国の安定供給の維持に寄与してまいります。
(浜岡原子力発電所の状況)
浜岡原子力発電所につきましては,新規制基準を踏まえたさらなる安全性向上対策や原子力発電の理解向上に向けた取り組みを進めるとともに,3・4号機の新規制基準適合性審査を受けておりましたが,2026年1月に公表した基準地震動策定に係る不適切事案を受け,いずれも中断しております。当社は,調査委員会による調査に全面的に協力するとともに,地域のみなさまなどに対し,本事案の概要や現在の発電所の状況をご説明するなどしております。
(エネルギー領域の成長に向けた取り組み)
当社は,DXやAX(AIトランスフォーメーション)を推進する中核組織として,2026年4月にデジタル変革推進本部を設置いたしました。同本部のもと,先端技術の実装などを通じて生産性向上やビジネスモデル変革を進め,グループ全体の収益力の向上を目指してまいります。
また,産業集積地である中部エリアの特性を踏まえ,産業プロセスの電化や地域産業のDX化に資するソリューションを提供し,電力需要の拡大につながる取り組みを推進してまいります。
さらに,DER(分散型エネルギー資源)を活用した高度なエネルギーマネジメントを実現し,最適なエネルギー利用と多様な価値の創出を進めてまいります。
(エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域の取り組み)
中部電力グループは,DXやAXを推進し,事業活動で得られた情報やデータの連携・利活用を進めるとともに,エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域で事業を展開し,新たな価値を創出してまいります。
2026年4月には,社内外との連携・協業を加速し,サーキュラーエコノミーの実現に貢献する事業・サービスを機動的に展開するため,マルチユーティリティ本部を設置いたしました。同本部のもと,上下水道・資源循環事業などに取り組み,社会課題の解決に貢献してまいります。
また,不動産事業につきましては,不動産事業本部が中心となり,エネルギーに加え,社会課題の解決に資する事業とのシナジーを発揮できるよう,グループ一体となってまちづくりを推進してまいります。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。
資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別ROICの目標化などを進めるほか,安全・安定供給に関わる投資は着実に実施したうえで成長投資とのバランスを踏まえ,自己株取得の実施余地や時期・規模の考え方を整理するなど資本政策の検討も含め,ROE8%以上の達成を目指してまいります。
また,資本市場の皆さまとの対話を継続し,定量的な情報の開示充実を進め,企業価値向上に努めてまいります。
なお,これらの取り組みについては,新たな中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。
中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESGの観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGsの達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案につきましては,現在も独立した外部専門家のみで構成される調査委員会(以下,「調査委員会」という。)による調査が継続しておりますが,ステークホルダーのみなさまから再び信頼される企業へと生まれ変わるため,先行して改善すべき事項として,「意識・行動の変革」,「組織・組織風土の変革」,「ルール・仕組みの強化」を柱とする取り組みを着実に進めております。
今後,調査委員会による調査結果も踏まえ,このような不適切事案を二度と生じさせることがないよう,さらなる改善策・対応策を検討・立案し,全社を挙げて取り組んでまいります。
当社は,「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」という企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいりました。
当社を取り巻く事業環境として,燃料価格につきましては,中東情勢の影響などにより,不確実性がさらに高まっております。また,物価・労務単価・金利のさらなる上昇に加え円安も進行するなど,国内外における投資環境の不透明性がこれまで以上に増しております。さらに,人口減少などに伴う社会課題が顕在化しております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しが増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素の同時実現に向けた制度設計の検討が進められております。
当社は,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでまいりました。
また,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
2025年度は,中期経営計画の最終年度であり,中期経営目標として掲げた「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」を達成いたしました。
2026年4月には,「中部電力グループ 新中期経営計画の骨子」を公表いたしました。新たな中期経営計画につきましては,調査委員会による調査結果を踏まえ,必要な事項を反映のうえ公表いたします。
(3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題
「選択と集中」を進め,エネルギー事業をコアとした成長の実現に向けて,多角化から転換し,エネルギーとシナジーが発揮できる事業に集中することで,中期的にROE(自己資本利益率)8%以上の達成を目指してまいります。
具体的には,中部地域に根差した顧客基盤・ブランド力や面的拠点,エネルギー事業で培った知見・人財,挑戦を続ける開拓者精神といった当社グループの強みを活かし,需要造成・安定供給,低・脱炭素価値提供,シナジー事業の展開,グループ経営の深化を成長戦略の4つの柱と位置づけ,これらを着実に推進することで,持続的な成長を実現してまいります。
また,これらの柱を実現するための基盤として,AI等の先端技術を実装し,業務変革(生産性の向上)や事業・サービスの高度化を推進してまいります。
「選択と集中」の方向性については,エネルギー事業とのシナジーの発揮を前提に,成長性・資本効率の観点から事業の選択を進めるとともに,持続的な成長に向けた経営資源の適切な配分を通じて,事業ポートフォリオの見直しを図ってまいります。
資本政策につきましては,自己資本比率30%半ばから後半を目安とした最適資本構成の考え方は堅持し,中期的なROE8%以上実現の観点も踏まえた資本政策を検討・実施してまいります。
このような経営戦略のもと,以下の課題への対応を通じて,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。
(S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組んでまいります。
供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電につきましては,その担い手であるJERAにおいて,短期的には,中東情勢の影響などを踏まえ,政府の方針にもとづいた石炭火力の活用や設備の確実な運用,トレーディングも活用した燃料の安定的な確保に取り組んでまいります。中長期的には,安定供給と低炭素化の両立に資するLNG火力発電の活用等に取り組むとともに,長期安定的な燃料の確保に努めてまいります。また,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求など,着実な脱炭素化にも取り組んでまいります。
再生可能エネルギーにつきましては,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」の拡大を目指し,投資環境・制度動向を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。
さらに,中長期的な電力需要の見通しが増加傾向にある中,経済合理的な設備形成やウェルカムゾーンの公表を通じた大規模需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組むとともに,系統の次世代化も進めてまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアに加え全国の安定供給の維持に寄与してまいります。
(浜岡原子力発電所の状況)
浜岡原子力発電所につきましては,新規制基準を踏まえたさらなる安全性向上対策や原子力発電の理解向上に向けた取り組みを進めるとともに,3・4号機の新規制基準適合性審査を受けておりましたが,2026年1月に公表した基準地震動策定に係る不適切事案を受け,いずれも中断しております。当社は,調査委員会による調査に全面的に協力するとともに,地域のみなさまなどに対し,本事案の概要や現在の発電所の状況をご説明するなどしております。
(エネルギー領域の成長に向けた取り組み)
当社は,DXやAX(AIトランスフォーメーション)を推進する中核組織として,2026年4月にデジタル変革推進本部を設置いたしました。同本部のもと,先端技術の実装などを通じて生産性向上やビジネスモデル変革を進め,グループ全体の収益力の向上を目指してまいります。
また,産業集積地である中部エリアの特性を踏まえ,産業プロセスの電化や地域産業のDX化に資するソリューションを提供し,電力需要の拡大につながる取り組みを推進してまいります。
さらに,DER(分散型エネルギー資源)を活用した高度なエネルギーマネジメントを実現し,最適なエネルギー利用と多様な価値の創出を進めてまいります。
(エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域の取り組み)
中部電力グループは,DXやAXを推進し,事業活動で得られた情報やデータの連携・利活用を進めるとともに,エネルギー事業とのシナジーが見込まれる領域で事業を展開し,新たな価値を創出してまいります。
2026年4月には,社内外との連携・協業を加速し,サーキュラーエコノミーの実現に貢献する事業・サービスを機動的に展開するため,マルチユーティリティ本部を設置いたしました。同本部のもと,上下水道・資源循環事業などに取り組み,社会課題の解決に貢献してまいります。
また,不動産事業につきましては,不動産事業本部が中心となり,エネルギーに加え,社会課題の解決に資する事業とのシナジーを発揮できるよう,グループ一体となってまちづくりを推進してまいります。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。
資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別ROICの目標化などを進めるほか,安全・安定供給に関わる投資は着実に実施したうえで成長投資とのバランスを踏まえ,自己株取得の実施余地や時期・規模の考え方を整理するなど資本政策の検討も含め,ROE8%以上の達成を目指してまいります。
また,資本市場の皆さまとの対話を継続し,定量的な情報の開示充実を進め,企業価値向上に努めてまいります。
なお,これらの取り組みについては,新たな中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。
中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESGの観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGsの達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。