有価証券報告書-第95期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:47
【資料】
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【項目】
163項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在において判断したものである。
(1) 会社の経営の基本方針
「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン」を掲げております。
エネルギー事業を取り巻く環境の急激な変化に加えて,我が国における人口減少や経済成長の鈍化,それに起因する様々な社会課題が深刻化する状況を踏まえ,2018年3月に経営ビジョンを改定いたしました。この改定した経営ビジョンでは,発販分離型の事業モデルに移行してエネルギー事業の収益を拡大すること,また,これまでの事業領域を超え,お客さま・社会をむすぶ新しいコミュニティの形を提供することで新たな成長分野を確立して収益の柱に育てることを掲げております。これらの取り組みによって,成長を積極的に追及し,「2020年代後半には連結経常利益2,500億円以上」の企業グループを目指すこととしております。
当社グループは,この経営ビジョンのもと,地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に努めてまいります。同時に,これを礎として,時代の変化を見据えた「新たな価値の創出」に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。
そして,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。
また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。
今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
(2) 目標とする経営指標
2019年3月,中期目標として「2021年度に連結経常利益1,700億円以上を実現できる企業グループを目指す」ことを設定いたしました。当社グループは,この目標の実現に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題
エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,2020年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつあります。一方,原子力発電については,他の電力会社において,新規制基準への適合性確認審査を経て再稼働した発電所もあるものの,依然としてわが国の原子力発電所の多くは運転停止が継続しております。
しかし,いかなる事業環境においても,「地球環境に配慮した,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」というエネルギー事業者としての使命は,これまでと変わるものではありません。
中部電力グループは,この変わらぬ使命の完遂に努めると同時に,新しい成長分野の事業化を加速し,時代の変化を見据えた新たな価値の創出に挑戦し続けることで,期待を超えるサービスを先駆けてお客さまへお届けするリーディングカンパニーとして,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指してまいります。
具体的には,次の4つの重点的な取り組みをグループ一丸となって実施してまいります。
① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上
② 新たな時代の安定供給
③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現
④ 新しい成長分野の事業化加速

① 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上
浜岡原子力発電所3・4号機については,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を着実に進めるとともに,同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めてまいります。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,適合性確認審査の申請に向けた準備を進めてまいります。
また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を一層強化してまいります。
今後も新規制基準への対応にとどまることなく,浜岡原子力発電所の安全性をより一層高める取り組みを継続的に行い,浜岡原子力発電所を重要な電源として引き続き活用するための準備を進めてまいります。
当社は,これらの取り組みについて,地域をはじめ社会のみなさまに丁寧にご説明するとともに,不安や疑問にしっかりと向き合うことで,一人でも多くの方にご理解をいただけるよう努めてまいります。
② 新たな時代の安定供給
電気事業法で定められている2020年の送配電事業の法的分離にあたっては,発電と送配電が分社化することによって安定供給が損なわれることのないよう,発電側と送配電側が協調するルールが必要です。
当社では,本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合により,発電と送配電が既に分社化しており,両者が協調するルールを策定し運用を始めております。今後の送配電事業の法的分離に際しても,引き続き安定供給を果たすことができるよう万全を期してまいります。
電力ネットワークカンパニーにおいては,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力を確保するとともに,中立性・公平性を確保しつつ,高い電力品質と低廉な託送料金が両立できるよう努めてまいります。また,再生可能エネルギーの接続可能量の増大に努めるとともに,天候等による発電出力の変動に適切に対応してまいります。
販売カンパニーにおいては,供給力を安定的に確保し,お客さまに良質なエネルギーサービスを確実にお届けしてまいります。
さらに,当社は,供給に関するレジリエンス(強靭性,回復力)を高める取り組みを着実に実施し,自然災害への備えを引き続き強化してまいります。
③ 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現
本年4月の既存火力発電事業のJERAへの統合に続き,2020年の送配電事業の法的分離,販売事業の分社化により「発販分離型の事業モデル」へ移行し,各事業会社が,それぞれの市場と向き合い自律的な取り組みを進めることで,より強靭な企業グループへの成長とエネルギー分野における収益拡大を目指してまいります。
販売カンパニーにおいては,競争力ある料金メニューや新たなサービスの創出,電力・ガスをワンストップでお届けするガス&パワーを積極的に展開してまいります。また,これまで築き上げてきたサービスや技術を根幹としつつ,さまざまなパートナーとの連携を通じ,そのノウハウや顧客基盤も活かしながら多様化するお客さまのニーズに応えてまいります。
再生可能エネルギーカンパニーにおいては,新たな目標として掲げた「2030年頃までに200万kW以上の新規開発」の達成に向けて開発を加速してまいります。
なお,JERAにおいては,国際エネルギー市場で競合他社と互角に戦うことができるグローバルなエネルギー企業体として,国際競争力のある電力・ガス等のエネルギー供給を安定的に行うとともに,中部電力グループの企業価値向上に貢献してまいります。
④新しい成長分野の事業化加速
当社は,さまざまなデータを活用し,個人の生活の質の向上を図るサービスや,複数の社会インフラをつなぎ進化させることによる地域へのサービスなど,先端技術を活用した「コミュニティサポートインフラ」の提供を新たな成長分野として確立し,お客さまにお届けできる「新たな価値の創出」に取り組んでまいります。
なお,本年4月には,事業創造本部を設置し,新たなビジネスモデルの実践を通じて事業化を加速してまいります。
当社は,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,良き企業市民としての社会的責任(CSR)を完遂してまいります。
また,中長期的な企業価値向上に向け,再生可能エネルギーの拡大等による低炭素社会の実現や,「新しいコミュニティの形」の提供による社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させてまいります。
今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。