有価証券報告書-第171期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 9:52
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現在、エネルギーを取り巻く環境は大きな転換期を迎えております。東日本大震災以降、エネルギーに対する価値観は大きく変化し、省エネルギーが社会全体に浸透・定着するとともに、少子高齢化・人口減少といった社会構造の変化が急速に進んでおり、エネルギー需要は長期的に減少していく傾向にあると見ております。また、地球環境問題が深刻化する中、COP21における新たな国際ルール「パリ協定」が昨年11月に発効され、わが国においても「2030年までに2013年比で温室効果ガスの排出を26%削減」という目標に向けた取り組みが求められております。一方、昨年の電力小売り全面自由化に続き、本年4月からはガス小売り全面自由化が始まり、エネルギーの垣根を越えた競争がより一層本格化しております。
このような環境変化のもと、当社グループが持続的に成長していくためには、これまでにない、新たなビジネスモデルを展開する必要があります。このため、「総合エネルギーサービス事業」という新たな事業の展開に向けた諸施策に積極的に取り組んでいるところであります。
当社グループが目指す「総合エネルギーサービス事業」とは、積雪寒冷地に適した省エネルギーシステムを構築し、持続可能な社会を実現することであります。
具体的には、都市ガスの導管網を最大限活用し、ガスコージェネレーションシステムやガスマイホーム発電「コレモ」、「エネファーム」といった分散型エネルギーを普及拡大してまいります。これにより、事業所・家庭ごとに発電するとともに、排熱を有効利用することでエネルギー効率を向上させます。電源については、太陽光、風力、木質バイオマスなど地産地消の再生可能エネルギーを効果的に組み合わせることにより環境負荷を低減します。また、快適な省エネルギーを実現するため、当社独自のエネルギーマネジメントシステムを普及拡大し、エネルギーの見える化などにより、CO2削減を推進します。さらに、これらを繋ぐ情報ネットワークの構築により、効率的なエネルギーシステムの運用とお客さまへの多様なサービスを展開してまいります。
そして、将来的には、エネルギーマネジメントシステムを軸に北海道全域への事業展開を図り、2030年代には、お客さま件数100万件規模を達成したいと考えております。
当社グループでは、中期経営ビジョン「Progress2020」の最終目標年度である2020年度までの5ヶ年を対象とした「2016中期経営計画」を昨年度よりスタートし、本年度も引き続き取り組んでおります。本計画は「総合エネルギーサービス事業」の本格展開に向けた基盤整備を行うものであり、主な取り組みとして「ガス事業基盤の強化」、「電力事業の推進」、「北ガス版エネルギーマネジメントサービスの展開」を掲げ、当社グループの総力を結集して積極的に進めているところであります。
当社のガス普及率は約50%であり、拡大・成長の余地が大きいことから、まずは、事業の根幹であります、天然ガスの普及拡大をはじめとしたガス事業基盤の一層の強化に取り組んでおります。
家庭用分野では、エネルギー効率に優れた省エネ型給湯暖房システム「エコジョーズ」や省エネ・節電効果の高いガスマイホーム発電「コレモ」、「エネファーム」の普及拡大を進めております。非家庭用分野では、ガス空調システムやガスコージェネレーションシステムといった天然ガスの高度利用を進めております。
また、供給エリア内のガス導管未整備地区において、ガス導管を戦略的に整備・拡充するとともに、家庭用・業務用の燃料転換を積極的に進めております。昨年度は、札幌市内の22の地区において、約10キロメートルのガス導管を敷設し、150件を超えるガスと電気のお客さまを獲得することができました。2017年度は、30地区で20キロメートルのガス導管を敷設し、約480件のお客さまの獲得を目指し、積極的な活動を展開してまいります。
さらに、北海道全域における天然ガスの普及拡大を推進するため、「LNGサテライト供給」の営業活動を積極的に展開するとともに、北海道内のガス事業者や他エネルギー事業者を含めたアライアンスの強化を進めてまいります。
この他、昨年9月には、石狩LNG基地内に2号タンクが完成し運転を開始いたしました。今後も、石狩LNG基地のより安定した操業とLNG調達の柔軟性を高め、北海道の天然ガス需要に対応しながら、環境負荷の低減とエネルギーセキュリティーの向上に貢献する北海道の重要なエネルギー供給インフラとしての役割をしっかりと果たしてまいります。
昨年4月の電力小売り全面自由化により、一般家庭およびオフィス、飲食店などの業務用分野への電力販売をスタートしました。当社グループ一丸となって営業活動を展開した結果、昨年度は、当初計画を超えるお客さまを獲得し、3月末時点で約5万7千件のお客さまに電力を供給しております。また、本年4月からは、当社のガスをお使いでないお客さま向けの料金割引率を拡大し、北海道内のガス事業者との連携を図りながら、PR・巡回活動などを強化することにより、北海道全域に「北ガスの電気」を浸透させていきます。これらの取り組みにより、電気のお客さま件数を2017年度に10万件、2020年には20万件まで増大し、「総合エネルギーサービス事業」の本格展開に向けた顧客基盤づくりを着実に進めてまいります。
一方、電源の整備・調達につきましては、石狩LNG基地の敷地内に、世界最高クラスの発電効率を誇るガスエンジンを複数台設置した「石狩発電所」の建設を進めております。天然ガスで発電し、排熱をガス製造工程で有効利用することにより、環境負荷およびエネルギーコストの低減を目指します。また、当社が事業参画している「苫小牧バイオマス発電所」に加え、紋別のバイオマス発電からの電源調達を開始するなど、地産地消の環境負荷が少ない電源を最大限活用いたします。自社電源と外部からの電源調達の最適な組み合わせにより、高効率で環境にやさしい電源構成を目指してまいります。
「総合エネルギーサービス事業」の展開で鍵となるのが、当社独自のエネルギーマネジメントシステムの開発です。積雪寒冷地でエネルギー消費が多い地域特性に着目し、最先端の情報技術と行動科学を取り入れることにより、エネルギー使用状況の可視化だけでなく、お客さまの個々の住環境や生活・行動にあったエネルギーの使い方を促します。これにより、お客さまとともに、エネルギー消費量とCO2排出量を削減しながら、快適な暮らしを実現してまいります。
当社独自のエネルギーマネジメントシステムであります「北ガス版HEMS」の自社開発につきましては、環境省の「省エネサポートシステム実証事業」に採択されており、2018年度の市場投入に向けて、実証試験に鋭意取り組んでいるところであります。これまで一般的だった電気使用状況の見える化にとどまらず、熱(暖房)利用に着目したお客さまへの省エネアドバイスから暖房運転の自動制御までを行うのが「北ガス版HEMS」の特徴です。
このような当社独自のエネルギーマネジメントシステムを北海道全域に広く普及させ、地域のエネルギー利用の効率化を図ることにより、深刻化する地球環境問題にも貢献してまいります。
当社グループは、「総合エネルギーサービス事業」を展開することにより、北海道に適した新たなエネルギー社会をお客さまとともに創りあげ、地域社会の発展と環境負荷の低減に貢献し、地域に根差す企業としての社会的責任をしっかりと果たしながら、ともに成長する企業グループを目指してまいります。

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