有価証券報告書-第131期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/27 13:44
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の清潔で、快適な生活空間づくりのために、たゆまぬ技術革新と感動を与えるサービスを提供し、社会に貢献する」ことを経営理念としており、個人向けの衣料クリーニングのみならず、家庭向けのハウスクリーニングや、法人向けのリネンサプライ・ユニフォームレンタル等、人々の清潔で快適な生活空間づくりに関連するサービス・事業を総合的に展開しております。1906年の創業から百十余年間、業界のリーディングカンパニーとして、たえず新しいサービスや技術に挑戦し、最先端を走り続けてまいりました。
2023年、当社グループは10 年後(2033 年)のあるべき姿として新たなビジョン「世界の人々の清潔で快適な空間づくりに貢献し、感動を与え続ける企業集団」を掲げ、このビジョンの実現に向けた行動計画として新たな中期経営計画(2024年~2026年)を策定いたしました。計画に基づいて構造改革の完遂と収益性の改善を着実に進めるとともに、コンプライアンスの徹底とコーポレートガバナンスの強化を通じて中長期的な企業価値の向上を図り、ステークホルダーの皆さまの期待と信頼に応えてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画(2024年~2026年)において、各経営指標に関する目標を以下の通り設定しております。
①連結ROE(自己資本利益率)
中期経営計画期間中(2024年~2026年)の各期における連結ROEの目標を、12%に設定しております。連結ROEの数値のみならず、ROEの構成要因である収益性(売上高当期利益率)を改善させるとともに、借入金依存度(財務レバレッジ)の低下を目指してまいります。
②ROIC(投下資本利益率)
2026/12月期の単体事業部門におけるROICの目標を、8%以上に設定しております。経営資源配分の見直しにより、クリーニング事業、リネンサプライ事業における資本収益性改善を目指します。
③PBR(株価純資産倍率)
PBRの目標を、1.25倍以上に設定しております。コロナ禍で毀損した自己資本比率の回復を図りつつ、上記①②の目標達成等により、PBRの水準を維持してまいります。
(3)会社の経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、自己資本を大きく毀損いたしましたが、前中期経営計画(2021~2023年)において進めてきた構造改革の効果等により、事業収益力の改善が着実に進み、成長軌道への回帰を果たすことができました。
新型コロナウイルスの5類移行後における我が国経済は、社会経済活動の正常化が進むと共に、物価上昇等に伴った賃上げの動きも強まることが見込まれる等、大きく変化する状況にあります。
こうした状況下、当社グループは、2024年~2026年の3ヶ年となる新たな中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画の骨子と各事業戦略は以下の①②の通りであります。
①中期経営計画における経営戦略の骨子
・構造改革の完遂とオペレーションの磨き上げ
-不採算店舗閉鎖、CLP(集配)生産性向上等、クリーニング事業の構造改革を完遂
-工場の自動化・経費率の適正管理等により、収益力の高い生産体制を確立
-高品質なサービス・付加価値を反映した価格戦略の遂行
・マーケティングによる収益力向上
-地域毎の市場環境に即した経営資源の選択と集中
-サステナブル商材による差別化戦略、付加価値の高い提案による営業力強化
・事業ポートフォリオの最適化
-マーケット環境を考慮した地域別事業展開など、経営資源配分の見直しにより、クリーニング事業・リネン
サプライ事業の資本収益性を改善
②各事業セグメントにおける市場環境と戦略
イ.クリーニング事業
個人向けのクリーニング事業は、服装のカジュアル化や在宅勤務の普及等を背景に、引き続き中長期的な需要低下が想定されます。競争力の源である品質をさらに磨くと共に、選択と集中により更なる収益向上を進めてまいります。具体的な取り組みは以下の通りです。
・商圏ポテンシャルや地域特性に即した機動的な出退店、他事業との融合戦略の推進
・当社の差別化要因で強みであるCLP(集配スタッフ)の活動スタイル変革とデジタルマーケティングによる
サービス力の向上
・工場技術者の更なるプロフェッショナル化と工場の自動化・省人化、拠点間の機動的な生産調整等による、
生産体制の効率化
ロ.レンタル事業(リネンサプライ事業)
主にホテル・レストラン等のリネン品を取り扱うリネンサプライ事業は、インバウンド需要の回復や国の観光立国化政策等を背景として、需要の拡大が見込まれる状況です。高収益体質への変革を進めると共に、拡大する市場に対応してまいります。具体的な取り組みは以下の通りです。
・品質・サービス・付加価値を反映した価格戦略による収益性の向上
・工場経費率の管理、資材調達額の削減等による収益性の高い生産体制の確立
・独自付加価値サービスの提案等、市場ポテンシャルを考慮した営業力の強化
ハ.レンタル事業(ユニフォームレンタル事業)
コンビニエンスストアや外食産業、食品工場等のユニフォームを取り扱うユニフォームレンタル事業は、HACCP(食品衛生管理の世界標準)の義務化等を背景に市況の活性化が進んでおります。新たな差別化戦略により営業力を強化し、業容を拡大してまいります。具体的な取り組みは以下の通りです。
・脱炭素社会に適合する独自サステナビリティ商品の提案による営業の差別化
・異業種との協業・提携拡大による新規営業ターゲット先の拡大
・自工場生産体制再構築による生産性の向上