有価証券報告書-第85期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 9:25
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調に推移する企業業績、雇用情勢等を背景に景気回復基調にありましたが、年初からの中国経済不安に端を発し、海外経済は不透明感が強まり、国内では株安、円高が急速に進んだことで企業業績への悪化懸念、個人消費の足踏みが続き、予断を許さない状況が続いております。
このような中、当社グループは当年度を初年度とする新中期3カ年経営計画「ACT-Σ(アクト・シグマ)」がスタートいたしました。前中期経営計画「ACT11(アクトイレブン)」で掲げました中長期ビジョン「日本を代表する先進的なコンシューマーファイナンスカンパニー」を継承し、「グループシナジー」、「先進性」、「CSR」を重点方針とする経営戦略の実行により、6年越しとなるビジョンの実現を目指してまいりました。
初年度については、営業収益は堅調に増加したものの、営業費用が想定より増加し、また、海外事業ではインドネシア事業における業績の下ぶれ等があり、当初業績予想を下回る結果となりました。その中で、営業費用増加の抑制を喫緊の課題と捉え、コスト構造改革に着手、推進いたしました。
クレジット事業は、呉服、時計・宝石・貴金属が好調に推移し、住関連(リフォーム分野)は下期より反転拡大し、取扱高、営業収益が増加いたしました。また、オートローンは輸入車の取扱いが好調に推移し、取扱高、営業収益が増加いたしました。
カード事業は、ポイント還元率の高いクレジットカードの収益性改善のため、還元率の見直しを行ったことで取扱高の伸びが鈍化しましたが、効率的な顧客データ分析、各種プロモーションの継続的な実施によりカードショッピング全体の取扱高が増加いたしました。キャッシングにつきましては、各種プロモーションを実施してまいりましたが、取扱高及び残高は減少いたしました。
ファイナンス事業は、証書貸付やカードローン等、株式会社三菱東京UFJ銀行、地方銀行等との金融機関個人ローン保証が好調に推移し、取扱高、残高が増加いたしました。
新事業は、連結子会社ジャックス・ペイメント・ソリューションズ株式会社が提供する後払い決済サービス「ATODENE(アトディーネ)」の提携先が拡大し、取扱件数及び取扱高が増加いたしました。
海外事業は、連結子会社であるベトナムの現地法人JACCS International Vietnam Finance Co.,Ltd.については、当年度より四輪車及び家電の販売金融事業を開始しました。取扱高は、二輪車を中心に着実に増加いたしました。また、カード事業を開始し、会員獲得基盤を整備、拡充してまいりました。持分法適用関連会社であるインドネシアのファイナンス会社PT Mitra Pinasthika Mustika Financeは、マクロ経済の低迷の影響を受け、二輪車・四輪車販売金融事業の取扱高は減少しました。また、未収債権が増加し、貸倒関連費用が増加いたしました。
なお、当社グループの営業費用につきましては、カードポイント等販促関連、システム投資、貸倒関連等の費用が増加いたしました。一方、金融費用は、低金利の良好な調達環境により減少いたしました。
以上の結果、当社グループの業績は、連結取扱高3兆4,045億10百万円(前期比11.2%増)、連結営業収益1,136億73百万円(前期比5.0%増)、連結経常利益120億91百万円(前期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益75億69百万円(前期比6.5%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
当社グループは信販事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。主な部門別の状況は以下のとおりです。
(2)部門別の状況
(包括信用購入あっせん)
カードショッピングにつきましては、ジャックスロイヤルメンバーズプログラム(前年度の利用金額に応じてさまざまな特典が受けられるサービス)をはじめとする利用促進のプロモーションやキャンペーンの実施、各方面での提携カード推進及び新規会員の拡大などから取扱高が増加いたしました。 また、新商品として、株式会社ジェーシービーが展開する非接触型IC決済サービスを搭載した「ジャックスカードJ/Speedy TM」の発行を開始しました。専用端末にかざすだけでスピーディーに決済が行われ利便性が飛躍的にアップすると共によりセキュリティレベルの高いIC決済が可能となりました。今後、国内のキャッシュレス化の推進及びアジア諸国での拡大が見込まれます。 また、地域に根ざしたスーパーやガソリンスタンドをはじめ、さまざまな分野と提携し、新しいカードを発行してまいりました。
当部門の連結取扱高は、1兆1,272億44百万円(前期比9.8%増)となりました。
(個別信用購入あっせん)
ショッピングクレジットにつきましては、主要業種である呉服、時計・宝石・貴金属及び情報・通信分野が順調に推移したことから取扱高が前年を上回りました。
また、利便性の観点から推進を強化しているWeb関連では、「WeBBy店頭かんたんクレジット」の新機能追加や専用タブレット端末の導入拡大などからWeb経由での申込み比率が順調に増加いたしました。
オートローン(オートローン保証を含む)につきましては、一部国産新車ディーラーの取扱いが伸び悩んだものの、中古車販売店を中心とした各販売チャネルへの施策の実施及び取引深耕に努めたことから、国産車の取扱高が順調に推移いたしました。
一方、輸入車におきましては、インポーターとの新規取引の拡大や、キャプティブファイナンス(※)としての取り組み強化、またディーラーの低金利施策に伴うクレジット利用の増加などから取扱高は前年を大幅に上回りました。
当部門の連結取扱高は、4,461億53百万円(前期比45.0%増)となりました。
(信用保証)
金融機関個人ローン保証につきましては、株式会社三菱東京UFJ銀行のWeb商品及び地方銀行等との取引が拡大し、証書貸付、カードローンなど取扱高が前年を大きく上回りました。
また、新商品として「相続支援ローン」「空き家等活用ローン」をリリースし、保証提携を進めてまいりました。
投資用マンション向け住宅ローン保証につきましては、不動産取引が活発化し期を通して好調な販売が続くなか、取引拡大に向け営業を強化したことから過去最高の取扱高となりました。
住宅関連商品につきましては、ソーラーローンの取扱高が減少いたしました。一方、ハウスメーカーを中心としたリフォームローンは順調に推移したことから全体の取扱高は前年を上回りました。
当部門の連結取扱高は、7,515億80百万円(前期比3.7%増)となりました。
(融資)
カードキャッシングにつきましては、既存会員及び未稼働会員に対するプロモーション等を実施したものの、取扱高の減少の歯止めとなるまでには至りませんでした。
当部門の連結取扱高は、773億48百万円(前期比2.4%減)となりました。
(その他)
集金代行業務につきましては、家賃関連及びスポーツクラブの会費等順調な取扱いとなりました。また、集金代行サービス専用のWebサイトをリリースし、委託者向けのサービス向上に努めてまいりました。
連結子会社につきましては、ジャックスリース株式会社におけるリース事業が順調に拡大し、取扱高を伸ばしました。
そのほか、福利厚生サ―ビスの大手である株式会社ベネフィット・ワンと提携し、Visaプリペイド機能を付与した福利厚生会員証を参加企業・団体の福利厚生会員に向け発行するなど新たな取り組みを実施してまいりました。
当部門の連結取扱高は、1兆21億82百万円(前期比8.6%増)となりました。
(※)メーカーと連携した自動車販売金融事業
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ14億18百万円減少し、840億73百万円となりました。
各事業活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は1,444億53百万円(前連結会計年度は866億83百万円の使用)となりました。
収入の主な内訳は、仕入債務の増加額1,138億33百万円、税金等調整前当期純利益119億77百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額2,803億68百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は88億59百万円(前連結会計年度は139億42百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出89億4百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,518億97百万円(前連結会計年度は1,151億97百万円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、長期借入れによる収入1,425億18百万円、コマーシャル・ペーパーの増加額675億円、短期借入金の増加額443億74百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,080億円であります。
(4)提出会社の事業の種類
当社の事業は、包括信用購入あっせん、個別信用購入あっせん、信用保証、融資の4部門を主力とし、この他に集金代行業務などを行っております。
主要な業務の内容は次のとおりであります。
① 包括信用購入あっせん
消費者からカード申込みを受け、当社が信用調査の上、クレジットカードを発行します。カード会員が、当社の加盟店でカードを提示して署名あるいは、暗証番号を入力(サインレスの場合もあり)し、1回払いまたは分割払い・リボルビング払いで商品やサービスを購入すると、当社がカード会員に代わって代金を加盟店に立替払いし、カード会員から約定に基づいて回収を行います。
クレジットカードには当社プロパーのカードと加盟店との提携カードがあります。
② 個別信用購入あっせん
消費者が当社の加盟店から商品の購入やサービスの提供を受け、分割払い等を希望する場合、当社が信用調査の上、承認した顧客に対して加盟店に利用代金を立替払いし、顧客から分割払い等にて回収を行います。
③ 信用保証
消費者が不動産や自動車等の購入資金を金融機関等から借り受けるにあたり、当社が信用調査のうえ、その債務を保証するものです。投資用マンションに特化した住宅ローンやリフォームローン、オートローンなどがあります。
④ 融資
主として、カード会員に対して行うキャッシングサービスです。カードにはクレジットカードと融資専用のローンカードなどがあります。
⑤ 集金代行
提携先が顧客から定期的にお支払いを受ける代金を、当社の口座振替のネットワークを利用してその提携先に代わり集金を行います。