訂正有価証券報告書-第52期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 当社を取り巻く事業環境と対処すべき課題
デジタル社会の本格的な到来により、国内IT市場及び顧客動向、技術・トレンドは大きく変化し、ITサービス業界全体の構造変化が求められるものと認識しております。
2015年4月から2020年3月までの5年間の中期経営計画では、全グループをあげて、事業構造の転換に取り組み、目標とした高収益成長を実現いたしました。3つの基本戦略「サービス提供型ビジネスへのシフト」「戦略的事業の推進」「グローバル第2ステージ」は、いずれも、一定の成果が得られました。特に、サービス提供型ビジネスは、売上高20%を占めるまでに拡大し、戦略的事業である車載システム事業は、次世代モデルへの採用等、着実に実績を積み上げています。
しかしながら、こうした潮流の中で、当社グループが手掛ける事業が、従来の延長線のままでは、成長の限界がくるという危機感を有しております。その一方で、デジタル化による変化は、社会や顧客へ新たな価値を創出する大きな可能性でもあるとも捉えており、次なる成長の実現のためには、抜本的に当社グループの姿を変革する中長期戦略の実行が不可欠と考えております。
(2) 中長期的な経営戦略
<マテリアリティ>当社グループの事業・強み・社会に対して果たすべき役割から、以下7つのマテリアリティを策定しました。
<グランドデザイン2030>経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義とした上で、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」を実現します。
コア事業であるITサービスによる顧客企業や社会への価値提供を拡大するとともに、自らも主体的に社会への価値創出に取り組み、顧客や社会と共に成長していきます。また、2030年 売上高1兆円に挑戦します。
<中期経営計画(FY2020~2022)>「2030年 共創ITカンパニー」の実現に向けて、最初のステップとして、以下の3つの基本戦略と経営基盤強化により、グローバルベースでの事業拡大を目指します。
⦅基本戦略⦆
① 事業革新 - コア事業において、業務プロセスと顧客接点の革新で競争優位を確立
② DX事業化 - 顧客・異業種・グローバル共創により新たな事業を創出
③ 人財投資 - 高度化・多様化・拡充で事業成長を加速
⦅経営基盤強化⦆
① グループ総合力強化
② 人を活かす経営の推進
③ 共創の企業文化づくり
⦅投資⦆
将来の成長に繋げるべく、積極的な投資姿勢を継続(3年間合計:1,000億円レベル)
⦅経営指標⦆
持続的な事業の拡大と、さらなる大きな成長に向けた挑戦を通じ、企業価値の向上を目指すという観点から、以下を経営指標とします。
- 売上高 5,000億円以上
- 営業利益率 10.0~12.0%
- ROE 15.0%以上
※中期経営期間中のROIC維持目標レベル:10~12%
(3) 中期経営計画(FY2020~2022)への取り組み
<基本戦略>(ⅰ) 事業革新
当社グループの持続的成長に向けた、コア事業の継続的な高度化・拡大の必要性に加えて、「2025年の崖」で示された企業のシステム課題として挙げられる、レガシーシステム問題や個別最適システムによるデータ連携・利活用の停滞、技術者不足等に対して、ITサービスを提供する企業グループとして、その解決を強力に支援していく必要があります。当社グループでは、コア事業を以下2つの視点で革新し、業務プロセスと顧客接点を強化することで、そのニーズに応え、競争優位性を確立していきます。
① 「ものづくり革新」
2020年4月にリリースしました、自社開発のものづくり革新プラットフォーム「S-Cred+(Smart Co-work on Relationship , Engineering and Design Plus)」を核として、サービスの生産性・品質・柔軟性の向上に取り組み、ビジネス変化への対応スピードの向上やサービスモデルの多様化、SOE・SORシステムの最適化を推進しています。
② 「分室革新」 ※分室:顧客先の常駐拠点
現場重視を掲げる当社グループの大きな特徴でもあり、強みである「分室」のビジネスを、「常駐型」から、顧客のビジネス・IT戦略を支える「価値共創型」へ転換していきます。
顧客先には、戦略・ニーズを深耕する「サービスマネージャ」と、ビジネスの変化に迅速かつ最適なサービスを提供する「高度技術者」の配置を進め、顧客接点を強化しております。
分室と当社拠点との連携を強化しながら、顧客との共創ステージへの進化の実現に取り組んでおります。
(ⅱ) DX事業化
昨今のデジタル技術の革新を受け、顧客企業においては、従来の業務効率化を目的としたIT投資のみならず、これを活用した事業競争力の強化や、事業モデル変革を企図した攻めのIT投資需要が拡大基調にあります。また、デジタル技術をトリガーに、業界の壁を超えた企業間共創によって、従来の枠組みにとらわれず、新たな事業やサービスを生み出そうとする動きが活発化しております。このような市場変化を当社グループのさらなる成長への機会と捉え、コア事業の強みを活かしつつも、自らが主体となり、「共創」により、社会への新たな価値の創出を実現する事業に挑戦していきます。
DX事業化の実現に向けてのアプローチとして、「顧客との共創」「業界をターゲットとした異業種共創」「住友商事㈱等とのグローバル共創」の3つに着目して取り組んでおります。
現時点では、まず「モビリティ」「金融サービスプラットフォーム」「ヘルスケア」「カスタマーエクスペリエンス」の4領域を重点領域として、事業の創出を検討しております。各領域における社会課題に対して、当社グループのどのような強みを活かし、何と共創してアプローチすることで、新たな価値を生み出せるのかを、組織横断で検討し、事業創出力を高めていきます。
(ⅲ)人財投資
当社グループの最大の財産かつ、成長の原動力は「人/社員」です。人材の高度化・多様化・拡充の観点で、社員への投資を積極的に行い、事業成長を加速してまいります。
投資の観点としては、一人ひとりの社員が能力と個性を発揮できる制度の整備を始めとして、多様な人材の共創の促進に向けたダイバーシティ&インクルージョンの実践、国内外の人材拡充を中心に実行していきます。
なお、2020年7月1日付で、当社の人事制度を刷新し、能力・役割に見合った報酬水準への移行と、高い専門性を有する高度人材の獲得を目指し、ADV職掌(3,000万円プレイヤー)を新設いたします。
また、国内の人材拡充においては、地方拠点での採用をより積極的に拡大し、特に、ニアショア開発体制としては、1,000名体制を目指します。雇用創出や、UIターン促進、IT人材育成等により、地方創生にも力を注いでまいります。
<経営基盤強化>3つの基本戦略を推進する経営基盤の強化として、以下の3つに取り組んでおります。
①「グループ総合力強化」
当社グループがもつ多様なリソース・知見を組み合わせ、高い価値を生み出し、他社には真似のできない総合力を発揮していきます。
②「人を活かす経営の推進」
マテリアリティで掲げる「いきいきと活躍できる社会の実現」を当社グループでも実現します。これまでの健康経営や働きやすさの追求に加え、働きがいの推進やエンゲージメントの向上に取り組みます。
③「共創の企業文化づくり」
当社グループが主体的に「繋げる・融合する」ことを推進していく文化を築き「共創」による価値創出を実現する企業グループを目指します。
<新型コロナウィルス感染拡大による環境変容に対して>国内外における新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う影響は不透明ではありますが、足元の実績と判明している事実をもとに、事業計画に反映しております。
一方で、新型コロナウィルスは、国家・生命・生き方・仕事/働き方等に対する大きな価値観の転換をもたらすと認識しています。社会の基盤となるITサービスを提供する当社グループにおいては、中期経営計画で掲げる基本戦略を推進することが、社会・顧客の課題解決、価値提供に直結します。特に、働き方の抜本的な転換や、国・企業・個人における安心安全・持続性ある社会へのニーズに対して、リモートやニアショア等の分散運用によるITサービスの提供や、デジタル技術を活用した高度化・利便性の実現を通して、価値を提供してまいります。あわせて、当社グループの社員の健康・働きがいへの取り組み・整備も加速し、当社グループの総合力を最大限に発揮した「サステナビリティ経営」を推進することで、各ステークホルダーと共に、持続的な成長を目指します。
(1) 当社を取り巻く事業環境と対処すべき課題
デジタル社会の本格的な到来により、国内IT市場及び顧客動向、技術・トレンドは大きく変化し、ITサービス業界全体の構造変化が求められるものと認識しております。
2015年4月から2020年3月までの5年間の中期経営計画では、全グループをあげて、事業構造の転換に取り組み、目標とした高収益成長を実現いたしました。3つの基本戦略「サービス提供型ビジネスへのシフト」「戦略的事業の推進」「グローバル第2ステージ」は、いずれも、一定の成果が得られました。特に、サービス提供型ビジネスは、売上高20%を占めるまでに拡大し、戦略的事業である車載システム事業は、次世代モデルへの採用等、着実に実績を積み上げています。
しかしながら、こうした潮流の中で、当社グループが手掛ける事業が、従来の延長線のままでは、成長の限界がくるという危機感を有しております。その一方で、デジタル化による変化は、社会や顧客へ新たな価値を創出する大きな可能性でもあるとも捉えており、次なる成長の実現のためには、抜本的に当社グループの姿を変革する中長期戦略の実行が不可欠と考えております。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、成長戦略として、「サステナビリティ経営」を推進していきます。 今後、当社グループが持続的成長を果たしていくためには、様々なステークホルダーの価値観と、企業の社会的な影響力を踏まえ、長期的な視点を持つとともに、社会課題の解決に貢献する経営を行うことが重要となります。 長期的な成長ビジョンを掲げる上で、経営理念「夢ある未来を、共に創る」に立ち戻り、その経営理念を実践するためのマテリアリティを策定しました。そして、当該方向性を踏まえ、2030年の目指す姿としてのグランドデザインと、実現のステップとしての中期経営計画を策定しております。 |
<マテリアリティ>当社グループの事業・強み・社会に対して果たすべき役割から、以下7つのマテリアリティを策定しました。
社会課題解決を通じた持続的な事業成長 | 持続的な成長を支える基盤 | |
・ 豊かな未来社会の創造 ・ 安心・安全な社会の提供 ・ いきいきと活躍できる社会の実現 | ・ 地球環境への貢献 ・ 多様なプロフェッショナルの活躍 ・ 健全なバリューチェーンの確立 ・ 透明性の高いガバナンスの実践 |
<グランドデザイン2030>経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義とした上で、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」を実現します。
コア事業であるITサービスによる顧客企業や社会への価値提供を拡大するとともに、自らも主体的に社会への価値創出に取り組み、顧客や社会と共に成長していきます。また、2030年 売上高1兆円に挑戦します。
<中期経営計画(FY2020~2022)>「2030年 共創ITカンパニー」の実現に向けて、最初のステップとして、以下の3つの基本戦略と経営基盤強化により、グローバルベースでの事業拡大を目指します。
⦅基本戦略⦆
① 事業革新 - コア事業において、業務プロセスと顧客接点の革新で競争優位を確立
② DX事業化 - 顧客・異業種・グローバル共創により新たな事業を創出
③ 人財投資 - 高度化・多様化・拡充で事業成長を加速
⦅経営基盤強化⦆
① グループ総合力強化
② 人を活かす経営の推進
③ 共創の企業文化づくり
⦅投資⦆
将来の成長に繋げるべく、積極的な投資姿勢を継続(3年間合計:1,000億円レベル)
⦅経営指標⦆
持続的な事業の拡大と、さらなる大きな成長に向けた挑戦を通じ、企業価値の向上を目指すという観点から、以下を経営指標とします。
- 売上高 5,000億円以上
- 営業利益率 10.0~12.0%
- ROE 15.0%以上
※中期経営期間中のROIC維持目標レベル:10~12%
(3) 中期経営計画(FY2020~2022)への取り組み
<基本戦略>(ⅰ) 事業革新
当社グループの持続的成長に向けた、コア事業の継続的な高度化・拡大の必要性に加えて、「2025年の崖」で示された企業のシステム課題として挙げられる、レガシーシステム問題や個別最適システムによるデータ連携・利活用の停滞、技術者不足等に対して、ITサービスを提供する企業グループとして、その解決を強力に支援していく必要があります。当社グループでは、コア事業を以下2つの視点で革新し、業務プロセスと顧客接点を強化することで、そのニーズに応え、競争優位性を確立していきます。
① 「ものづくり革新」
2020年4月にリリースしました、自社開発のものづくり革新プラットフォーム「S-Cred+(Smart Co-work on Relationship , Engineering and Design Plus)」を核として、サービスの生産性・品質・柔軟性の向上に取り組み、ビジネス変化への対応スピードの向上やサービスモデルの多様化、SOE・SORシステムの最適化を推進しています。
② 「分室革新」 ※分室:顧客先の常駐拠点
現場重視を掲げる当社グループの大きな特徴でもあり、強みである「分室」のビジネスを、「常駐型」から、顧客のビジネス・IT戦略を支える「価値共創型」へ転換していきます。
顧客先には、戦略・ニーズを深耕する「サービスマネージャ」と、ビジネスの変化に迅速かつ最適なサービスを提供する「高度技術者」の配置を進め、顧客接点を強化しております。
分室と当社拠点との連携を強化しながら、顧客との共創ステージへの進化の実現に取り組んでおります。
(ⅱ) DX事業化
昨今のデジタル技術の革新を受け、顧客企業においては、従来の業務効率化を目的としたIT投資のみならず、これを活用した事業競争力の強化や、事業モデル変革を企図した攻めのIT投資需要が拡大基調にあります。また、デジタル技術をトリガーに、業界の壁を超えた企業間共創によって、従来の枠組みにとらわれず、新たな事業やサービスを生み出そうとする動きが活発化しております。このような市場変化を当社グループのさらなる成長への機会と捉え、コア事業の強みを活かしつつも、自らが主体となり、「共創」により、社会への新たな価値の創出を実現する事業に挑戦していきます。
DX事業化の実現に向けてのアプローチとして、「顧客との共創」「業界をターゲットとした異業種共創」「住友商事㈱等とのグローバル共創」の3つに着目して取り組んでおります。
現時点では、まず「モビリティ」「金融サービスプラットフォーム」「ヘルスケア」「カスタマーエクスペリエンス」の4領域を重点領域として、事業の創出を検討しております。各領域における社会課題に対して、当社グループのどのような強みを活かし、何と共創してアプローチすることで、新たな価値を生み出せるのかを、組織横断で検討し、事業創出力を高めていきます。
(ⅲ)人財投資
当社グループの最大の財産かつ、成長の原動力は「人/社員」です。人材の高度化・多様化・拡充の観点で、社員への投資を積極的に行い、事業成長を加速してまいります。
投資の観点としては、一人ひとりの社員が能力と個性を発揮できる制度の整備を始めとして、多様な人材の共創の促進に向けたダイバーシティ&インクルージョンの実践、国内外の人材拡充を中心に実行していきます。
なお、2020年7月1日付で、当社の人事制度を刷新し、能力・役割に見合った報酬水準への移行と、高い専門性を有する高度人材の獲得を目指し、ADV職掌(3,000万円プレイヤー)を新設いたします。
また、国内の人材拡充においては、地方拠点での採用をより積極的に拡大し、特に、ニアショア開発体制としては、1,000名体制を目指します。雇用創出や、UIターン促進、IT人材育成等により、地方創生にも力を注いでまいります。
<経営基盤強化>3つの基本戦略を推進する経営基盤の強化として、以下の3つに取り組んでおります。
①「グループ総合力強化」
当社グループがもつ多様なリソース・知見を組み合わせ、高い価値を生み出し、他社には真似のできない総合力を発揮していきます。
②「人を活かす経営の推進」
マテリアリティで掲げる「いきいきと活躍できる社会の実現」を当社グループでも実現します。これまでの健康経営や働きやすさの追求に加え、働きがいの推進やエンゲージメントの向上に取り組みます。
③「共創の企業文化づくり」
当社グループが主体的に「繋げる・融合する」ことを推進していく文化を築き「共創」による価値創出を実現する企業グループを目指します。
<新型コロナウィルス感染拡大による環境変容に対して>国内外における新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う影響は不透明ではありますが、足元の実績と判明している事実をもとに、事業計画に反映しております。
一方で、新型コロナウィルスは、国家・生命・生き方・仕事/働き方等に対する大きな価値観の転換をもたらすと認識しています。社会の基盤となるITサービスを提供する当社グループにおいては、中期経営計画で掲げる基本戦略を推進することが、社会・顧客の課題解決、価値提供に直結します。特に、働き方の抜本的な転換や、国・企業・個人における安心安全・持続性ある社会へのニーズに対して、リモートやニアショア等の分散運用によるITサービスの提供や、デジタル技術を活用した高度化・利便性の実現を通して、価値を提供してまいります。あわせて、当社グループの社員の健康・働きがいへの取り組み・整備も加速し、当社グループの総合力を最大限に発揮した「サステナビリティ経営」を推進することで、各ステークホルダーと共に、持続的な成長を目指します。