有価証券報告書-第46期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/24 14:03
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対処すべき課題

情報サービス業界におきましては、ビジネスの多様化やグローバル化に伴いクラウド型サービスの需要は継続して拡大し、マイナンバー制度の導入及び企業収益の改善等を背景に受託型システム開発にも回復が見込まれ、またスマートデバイスやビッグデータ等の新技術を活用した新たな需要も創出されつつあり、従来以上に顧客要望を的確に捉え、価値の高い製品・サービスを提供することが必須になっております。
このような経営環境のもと、当社グループは中期ビジョンとして「布石を成果に~成長は挑戦の先に~」を掲げ、これまで取組んできた様々な施策を成果として結実させるとともに、今後の成長に向け新たな布石を打ち、更なる成長の実現を目指しております。具体的には「事業基盤の拡充」「競争力の強化」「それらを支える人材の育成と確保」を中期経営方針として掲げ、中期ビジョンの実現に向け取組んでおります。しかしながら、当連結会計年度において金融システム事業における大型システム開発に関する技術的課題の発生、BPO事業におけるシステム開発の遅延等、技術力・開発力等の問題点が改めて認識されたため、成長加速策と併せ「変革(組織風土改革、意識改革)・実行(プロジェクト等の完遂、開発力・品質強化)・成長(グローバル展開、ストック型ビジネス拡大)」を次期のスローガンに掲げ、前述の中期経営方針「事業基盤の拡充」「競争力の強化」「それらを支える人材の育成と確保」について以下の見直しを行っております。当社グループは、これら見直し実施後の中期経営方針の推進及び実現を通して更なる成長を図り、お客様から選ばれるITベンダーとしての地位を確立してまいります。
(1) 事業基盤の拡充
金融システム事業及び流通サービスシステム事業においては、業種・業界を問わないシステムインテグレーション及びクラウドソリューションの拡大を図るため事業統合を行うとともに、既存顧客との取引の拡大深耕及び新規顧客の開拓を推進し、顧客ニーズやトレンドにマッチした新たなビジネスの創出に取組んでまいります。BPO事業では、システム開発の推進と併せ事業基盤の再構築に取組んでまいります。HULFT事業においては、国内外の潜在的なマーケットの開拓及び創出に注力し、ASEANを中心としたグローバル展開を推進してまいります。なお、当連結会計年度においてASEANマーケットへの拡販を狙いシンガポールに100%子会社「HULFT Pte.Ltd.」を設立いたしました。
(2) 競争力の強化
金融システム事業及び流通サービスシステム事業においては、前述のとおり事業統合のうえ「SAISOS」等のストック型ビジネスの拡大並びに新サービスの提供及び拡大に努めてまいります。また、開発ツールの活用による短納期・高品質なシステム開発を実現してまいります。HULFT事業においては、連結子会社である㈱アプレッソと連携した製品開発に取組むとともに、最新の技術トレンドや顧客ニーズに合致した新製品創出のための研究開発活動を積極的に推進してまいります。なお、当連結会計年度において、従来製品に比べ、転送速度、セキュリティ、ユーザビリティが向上し、かつグローバルにも対応した「HULFT8」の販売を開始するとともに、クラウド型のHULFTサービスである「HULFT-WebFT」等の新サービスの提供を開始いたしました。
(3) それらを支える人材の育成と確保
「事業基盤の拡充」及び「競争力の強化」を支える人材の育成と確保については、個々の成長ステージに合わせた育成計画の推進や技術研修等を実施するとともに、ITベンダーとして必要な資格取得に取組み技術レベルの向上を図ってまいります。また、事業のグローバル展開を見据えた人材登用、優秀な技術者の採用等も積極的に実施するとともに、当連結会計年度において発生した事象等を踏まえ、技術力・開発力等の問題点について改めて認識を行い、技術教育の強化、ミドルマネジメント力及びプロジェクトマネジメント力の強化に全社をあげて取組んでまいります。
なお、平成22年12月27日開催の取締役会にて当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
一 基本方針の内容の概要
当社取締役会は、当社株式の大規模買付行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。また、当社は、当社株式について大規模買付行為がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、大規模買付行為の中には、その目的等から企業価値ひいては株主共同の利益に対して明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大規模買付行為の内容等を検討し、代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、大規模買付者の提示した条件よりも有利な条件を引き出すために大規模買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
したがって、当社取締役会は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定に重大な影響を与える者として不適切であると考えております。そこで、当社は、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定に重大な悪影響が生じることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大規模買付行為を抑止するとともに、大規模買付行為が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる大規模買付行為に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保したりすること、株主の皆様のために交渉を行うこと等が必要であると考えております。
二 基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
情報サービス業界においては、クラウドサービス、スマートデバイス、セキュリティ対策、ビッグデータ対応等への関心が高まり新たな需要を生み出すとともに、従来からの受注ソフトウェアやシステム等管理運営受託も活性化しつつあり、業界全体は緩やかな回復傾向にあります。
当社は、こうした経営環境において継続的な成長を実現するべく、中期経営計画の達成に努めております。平成29年3月期を最終年度とする中期経営計画においては、中期経営ビジョンとして「布石を成果に~成長は挑戦の先に~」を掲げ、これまでに取組んできた施策を着実に成果にするとともに、これからの3年間で新たに布石を打つことで、継続的に成長できる企業となることを目標としています。この中期経営ビジョンを実現するための中期経営方針として、「事業基盤の拡充」、「競争力の強化」、「それらを支える人材の育成と確保」の3つを掲げています。すなわち、安定的な収益を確保するためのストックビジネスの拡大に加え、既存顧客の深耕や新規顧客の獲得を加速させることで「事業基盤の拡充」を図り、リリースした商品・サービスの市場価値向上や業務の生産性向上を図ることで「競争力の強化」に努めます。そして、これらの施策の実施を支える「人材の育成と確保」を行ってまいります。以上により、顧客や市場の変化に柔軟に対応するとともに、事業ごとの収益基盤を強化し、企業価値を高めるべく経営に取組んでまいります。
三 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
当社は、平成23年5月12日開催の取締役会において、企業価値及び株主共同の利益の維持・向上に向けた取組みとしての当社の大規模買付ルールを更新することを決議し、同年6月10日開催の当社第42期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきましたが(以下、更新前の大規模買付ルールを「旧ルール」といいます。)、旧ルールの有効期間が満了したため、平成26年6月12日開催の第45期定時株主総会における承認を得て当社の大規模買付ルール(以下、更新後の大規模買付ルールを「本ルール」といいます。)を更新いたしました。本ルールの概要は以下のとおりです。
当社の発行する株券等の買付行為を行おうとする者のうち、本ルールの対象となる者は、①当該買付者を含む株主グループの議決権割合を28%以上とすることを目的とする買付行為若しくはこれに類似する行為を行おうとする者、又は、②当該買付行為の結果、当該買付者を含む株主グループの議決権割合が28%以上となる買付行為若しくはこれに類似する行為を行おうとする者です。
大規模買付者には、大規模買付行為を開始する前に、当社宛に、本ルールに定められた手続を遵守することを約束する旨等を記載した意向表明書及び当社取締役会が大規模買付行為の内容を検討するために必要と考える情報(以下、「必要情報」といいます。)をご提出いただきます。
当社取締役会は、大規模買付者から必要情報の提供を受けた日から起算して60営業日以内の期間(30営業日を上限として延長することができます。)(以下、「分析検討期間」といいます。)、外部専門家の助言を受ける等しながら、必要情報の分析・検討を行い、当社取締役会としての意見を取りまとめ、公表します。当社取締役会は、分析検討期間中、必要に応じて、大規模買付者と交渉し、また、株主の皆様に対する代替案の提示を行うことがあります。なお、当社取締役会は、一定の場合には、大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関し、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認する場合があります。
大規模買付者は、当社取締役会が大規模買付行為に対する対抗措置の発動を行わない旨の決議を行い、又は当社株主総会において大規模買付行為に対する対抗措置の発動に係る議案が否決されるまでの間、大規模買付行為を開始することができないものとします。
大規模買付者が本ルールを遵守しなかった場合、当社取締役会は、法令及び定款の下で可能な対抗措置のうちから、状況に応じ最も適切と判断したものを発動することがあります。他方、当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守している場合には、原則として、大規模買付行為に対する対抗措置を発動する旨の決議を行いません。但し、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合であり、かつ、対抗措置を取ることが相当であると認められる場合には、対抗措置を発動することがあります。具体的な対抗措置として新株予約権無償割当てを行う場合、割当期日における株主に対し、その所有株式1株につき1個の割合で新株予約権が割当てられ、当該新株予約権には、大規模買付者等所定の要件に該当する者(以下、「非適格者」といいます。)は原則として行使できないとする行使条件、及び、非適格者以外の新株予約権者から、当社普通株式1株と引換えに当社が新株予約権を取得できる旨の取得条項等が付されることになります。また、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、差別的行使条件及び差別的取得条項等を設けることがあります。
当社取締役会は、大規模買付行為に対する当社取締役会としての意見の取りまとめ等を行うに当たり、その判断の公正性を確保するために、業務執行を行う経営陣から独立した者のみから構成される特別委員会に対抗措置の発動の是非その他大規模買付行為の是非等に関する諮問を行います。
特別委員会は、当該諮問を受けた場合、当社取締役会に対し、大規模買付行為に対する意見及びその根拠資料、代替案(もしあれば)その他特別委員会が必要と認める情報を提供するよう要求することができます。特別委員会は、外部専門家の助言を受ける等しながら、必要情報及び当社取締役会から提供を受けた情報等の分析・検討等を行い、当社取締役会からの諮問に基づき、特別委員会としての意見を取りまとめ、当社取締役会に対し、対抗措置の発動の是非その他大規模買付行為の是非等に関する勧告を行います。特別委員会は、勧告に際して対抗措置の発動に関して予め株主意思の確認を得るべき旨の留保を付すことができるものとし、また、その理由を付して、大規模買付行為等に関する株主意思の確認を行うことを勧告することもできるものとします。
当社取締役会は、特別委員会による勧告を最大限尊重して、対抗措置の発動や大規模買付行為等に関して決議を行います。また、当社取締役会は、①特別委員会が、対抗措置の発動に関して、予め株主総会の承認を得るべき旨の留保を付して勧告を行った場合、若しくは大規模買付行為に関する株主意思の確認を行うことを勧告した場合、又は、②大規模買付行為による当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する侵害が認められるか否かが問題となっており、かつ、当社取締役会が善管注意義務に照らし株主の意思を確認することが適切と判断する場合には、株主総会を招集し、対抗措置の発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。株主総会を開催する場合には、当社取締役会は、株主総会の決議に従い、対抗措置の発動等に関する決議を行うものとします。
本ルールの有効期間は、平成26年6月12日開催の当社第45期定時株主総会の終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。但し、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会で選任された取締役により構成される取締役会において、本ルールを廃止する旨の決議がなされた場合には、本ルールはその時点で廃止されるものとします。
四 当社取締役会の判断及び理由
上記二記載の中期経営計画は、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるために策定された取組みであり、まさに基本方針に沿うものです。また、本ルールは、当社株式の大規模買付行為が行われる際に、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するための枠組みを設定するものであり、基本方針に沿うものです。
本ルールは、「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足していること、平成26年6月12日開催の当社第45期定時株主総会の終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、当該株主総会において株主の皆様に本ルールの更新についてお諮りすることを予定していること、対抗措置を発動する一定の場合には、株主意思を確認できるようにしていること等株主意思を重視するものであること、対抗措置の発動に際しては、経営陣から独立した特別委員会に対して、発動の是非等に関して諮問を行うこととされていること等により、その公正性・客観性が確保されているため、当社は、本ルールは、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。