四半期報告書-第50期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

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2019/11/14 15:46
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、主要国経済の減速で景気回復を牽引してきた輸出関連・製造業部門の不振が続いたことから、底堅くは推移していたものの、回復テンポは鈍く、米国に端を発する貿易摩擦問題、英国EU離脱問題、米国とロシアの対立、日韓関係の悪化といった世界情勢に対する懸念、国内では消費税率引き上げも企業・消費者マインドを押し下げました。
ラックランドグループを取りまく経済環境は、主に街角景気判断DI(内閣府)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリー・ベース平均残高(日本銀行)の動向等から判断しております。街角景気判断DIは、2018年以降は下向きに転じて50(好況・不況の分岐水準)を割り込み、短期の調整局面に入っております。非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数は緩やかな上昇傾向が続いていますが、2010年代後半の伸び率(前年比)は平均で+1%弱にとどまっており、近年、我々の主要顧客である飲食・小売業界では人手不足問題(人件費高騰)が顕著になっております。また、マネタリー・ベース平均残高は日銀の緩和政策により増加基調が継続していますが、伸び率(前年比)は2014年初期の+50%超から、足元は+3%前後に低下しており、景気押し上げ効果は薄れております。今後、マネタリー・ベース平均残高の伸び率(前年比)が名目GDP成長率(前年同期比)を下回り、さらにマイナスに低下すれば、実質的な量的引き締めになることから、注視してまいります。これら指標の動向から、当第3四半期連結累計期間の当社グループを取りまく経済環境は短期的には勢いが弱い状態が続きました。
長期サイクル(コンドラチェフ・サイクル 約50~60年)では、2010年代の日本経済・株式市場は1950年代あるいは1960年代当時に対応する局面にあります。経済の成熟化、人口減少・高齢化といった構造要因もあり、2010年代のGDP成長率は1950年代、1960年代当時の水準には及ばないものの、財務省 法人企業統計を見ますと、足元の企業の売上高経常利益率は依然として過去最高水準圏を維持しております。東京オリンピックを起爆剤とし、AIなどの新しいテクノロジーや産業を発展させ、インバウンド需要もうまく取り込む一方、TPP等の自由貿易協定を促進し、かつ金融経済の成長を促すことで、日本経済・株式市場は新たな成長・上昇局面に入るチャンスがあると見ております。また、国際商品市況は約30年サイクルが見られ、最初の10年が大幅低下局面、次の10年が横這い局面、最後の10年が大幅上昇局面で構成されており、2010年代は1950年代、1980年代当時に似た大幅低下局面から横這い局面への移行期にあります。原油(ガソリン)や原材料、食品等の価格が低位安定することで個人消費の下支えになると同時に、企業収益の拡大要因ともなり、設備投資の増加や賃金上昇の余地があると考えられます。
当社グループは、2016年から第二次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、2016年から2018年の3ヵ年は「進:開拓してきた幅広いマーケットの深掘りと利益基盤の構築」を目標に、①当社単体の業容拡大にとどまらず、様々な専門分野を持つグループ会社を増やしてシナジーを創出し、②経済成長率が日本より高く、日系企業の進出も多い東南アジア7ヵ国においても事業を展開し、さらには、③即戦力となる人材を確保すると同時に、将来の戦力となる人材育成を行い、内製化を進め、幅広いマーケットに対応できる間口を広げ、次なる領域へステップアップするための足場を固めてまいりました。
2019年から2021年からの3ヵ年の中期目標は「化:時代が求めている企業へ化ける」であり、社会や時代に適した企業に進化していかなければ、生き残れないと考えております。その第一歩である2019年は「化けたと結果を出す一年目」をスローガンとして、これまでに我々が作り出してきた企業群、すなわち、各種施設の企画・設計から建築・内装・設備等の施工、設備機器メンテナンスやビル管理まで総合的に請け負うという、他に見ないこのユニークなスタイルを当社グループ全26社で確立し、新たなるステージ(目標)に到達できるよう、いかなる環境下においても真摯に邁進してまいります。
本年度の売上傾向は下期偏重型であることに加え、第1四半期においては顧客が事業展開や設備投資に対してやや慎重になっていたことと、第2四半期においては当社及び当社連結子会社で受注している複数の大型案件の工期の変更が発生し、引渡しが下期に繰延べとなったことなどから、上期の売上高は伸び悩んでおりました。しかしながら、第3四半期以降は台風による風水害の影響が一部みられるものの想定どおり上向いており、消費税率引き上げのインパクトが一段落し、年末商戦が活発化する第4四半期に向けても多くの商業施設案件が動いております。利益面につきましては、売上高の伸び悩みと、営業外費用としてシンジケートローン手数料を計上したことなどもあり、上期は営業損失及び経常損失となりましたが、これまで積極的に行ってまいりました人材採用・人材育成の効果が顕在化し、売上総利益率は過去最高水準圏に上昇しており、第3四半期以降は売上の伸びに伴い、営業利益、経常利益ともに積み上がってきております。なお、特別利益として、保有株式の一部売却による投資有価証券売却益517百万円、また特別損失として、投資有価証券評価損56百万円を計上しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高258億3百万円(前年同四半期比6.9%減)、営業利益2億3千1百万円(前年同四半期比76.2%増)、経常利益1億7千9百万円(前年同四半期比24.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3億9百万円(前年同四半期比3343.9%増)となりました。
当社グループでは、事業内容を明確化するために事業分野を6つに区分しております。
事業分野別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。
《店舗施設の企画制作事業》
店舗施設の企画制作事業につきましては、長らく当社グループの中心事業であります。近年では「現場力の強化」というスローガンの下、企画・設計・施工に関する現場力(技術者)の内製化を進め、部門やグループ会社といった枠組みを超え、案件ごとに担当チームを組成し、各チーム一丸となって制作活動を行い、粗利率の向上に努めております。第3四半期以降、大型小売チェーン店の新装・改装工事など顧客の動きは活発になってきたものの、上期が慎重であったこともあり、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比では若干下回りました。しかしながら、従来からの顧客であるスーパーや小売店に加え、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアやホテルといった、当社としては比較的新しい業態の内装等の新装・改装工事案件も当該分野に貢献しており、今後も新たに開拓した分野・業態を伸ばしてまいります。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は121億8千9百万円(前年同四半期比3.2%減)となりました。
《商業施設の企画制作事業》
商業施設の企画制作事業につきましては、複数テナントを有する商業施設(テナント及び共用部工事を含む)と建築設備事業を基幹分野のひとつとして位置付けております。当該分野を一段と強化するとともに、大手デベロッパーや電鉄系の顧客開拓を進めており、受注数も増えつつあります。今後、グループ会社間のシナジー創出により、大きく発展する事業分野だと考えております。本年度は受注している商業施設の開業予定が下期に集中しており、第3四半期においては多くの案件が完工し、さらに年末商戦の盛り上がりが見込まれる第4四半期に向けても様々な商業施設案件が進んでおります。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は47億5千1百万円(前年同四半期比2.4%増)となりました。
《食品工場、物流倉庫の企画制作事業》
食品工場、物流倉庫の企画制作事業につきましては、当社設立時からの基幹技術である冷凍冷蔵技術を活かす重要分野で、またインターネットを介した通信販売の拡大に伴い、成長を見込んでいる分野でもあり、近年ではゼネコン、エンジニアリング会社からの受注獲得を目指し、営業活動を展開しております。同時に、これまでに培ってきた技術に甘んずることなく、常に新たな知識も取り入れながら、さらなる技術力向上を図っております。当第3四半期連結累計期間は大型案件の完工が少なかったこともあり、売上高は前年同四半期を下回りましたが、引き続き、大手新規顧客の開拓に向けて果敢に攻めてまいります。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は22億7千3百万円(前年同四半期比38.4%減)となりました。
《店舗メンテナンス事業》
店舗メンテナンス事業につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、お客様からの修理依頼に応えるだけではなく、お客様の満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。メンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続けたことにより、新規の保守メンテナンス店舗数は2018年末より3,000件弱増加し、総数では14,000件を突破しました。また、新事業として、昨年より食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスを開始しております。当社グループのメンテナンスの新分野であるビルメンテナンスは当該分野において主力の一角を担っております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は15億4千4百万円(前年同四半期比10.5%増)となりました。
《省エネ・CO2削減事業》
省エネ・CO2削減事業につきましては、2010年に開発した冷蔵ショーケース用棚下LED照明「棚子ちゃん」、及び同シリーズの累計出荷本数は約17万5千本となり、着実に実績を伸ばしてまいりました。今後は、当社グループの照明会社である日本ピー・アイ株式会社との協業体制を整え、さらなる発展を目指してまいります。また、エアコンレンタルから始まったレンタル事業(れん太くんシリーズ)は、食洗機、電気フライヤー、油ろ過機、業冷庫、製氷機、キュービクル(高圧受電設備)、GHP(ガスヒートポンプ)とラインナップを増やし、またこれらを組み合わせてレンタルできるカスタマイズレンタルも展開し、お客様のニーズに合わせて多様なレンタルパターンを提案しております。エアコン以外のレンタルの導入事例も徐々に増えてきており、引き続き、工事以外の分野でも営業攻勢をかけてまいります。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1億4千2百万円(前年同四半期比43.3%減)となりました。
《建築事業》
建築事業につきましては、これまで耐震診断及び補強工事が中心でありましたが、この数年間で培ってきた実績と技術力の積み上げにより、建物の躯体に関わる部分から、建物に付随する設備や建物内の内装に至るまで、当社グループですべて請け負うことが可能になったことから、新築・増改築の引き合いも増え、主力事業のひとつに成長いたしました。当該事業をさらに強靭な柱として発展させるべく、施工体制の充実を図ってまいります。当該事業分野においては、工期が長く、受注額の大きい案件も多いことから、四半期ごとの売上高や利益の振れが激しい傾向があります。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は49億1百万円(前年同四半期比4.8%減)となりました。
(参考資料)
部門別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。
《スーパーマーケット関連部門》
スーパーマーケット関連部門につきましては、主要顧客である中堅の小売店(中堅チェーン企業や複数店舗を有する企業)の経営環境は概ね底堅く推移しておりますが、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット3団体)を見ますと、食品部門の伸び率(前年比)は、2015年には平均で約5%ありましたが、日本経済全体の成長率が鈍化していることも影響して、2019年は平均で約0%に低下しております。経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かし、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事など、店舗内で対応できる事業領域を拡大しております。第2四半期累計期間までの売上高は前年同四半期比で減少しておりましたが、開店・改装の動きが活発化した第3四半期は想定どおり上向きました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は94億8千万円(前年同四半期比15.3%増)となりました。
《フードシステム関連部門》
フードシステム関連部門につきましては、中心顧客である飲食店の動向に関し、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)を参考にして見ますと、店舗の売上高の伸び率(前年比)は、2017年には3%前後で推移していましたが、2018年後半以降は若干勢いが弱まって、足元は2%程度に低下しております。当部門におけるターゲットとして、飲食店以外のホテル、食品工場、物流倉庫など、開拓余地の大きい商業施設に関しても、意欲的に営業活動を拡げております。当第3四半期連結累計期間は食品工場・物流倉庫分野の大型物件が少なかったことも影響して、前年同四半期の売上高を下回りましたが、年末商戦が活発化する第4四半期にかけて様々な商業施設案件が動いております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は145億6千1百万円(前年同四半期比18.5%減)となりました。
《保守メンテナンス部門》
保守メンテナンス部門につきましては、旧来からの店舗設備機器のメンテナンス体制を整えるとともに、メンテナンス要員の技術力向上を図り、加えて、各種の専門分野を持つグループ会社を増やし、顧客の依頼に迅速かつ的確に対応することができる保守点検網の拡充を進めております。また、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンス事業も当部門に寄与しております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は17億6千1百万円(前年同四半期比7.1%増)となりました。

(注)2018年12月期までは、部門別の売上高を主とし、事業分野別の売上高を参考情報としておりましたが、当社の事業内容が変化してきたことにより、事業分野別売上高の方が事業の実態をより表しているため、本年度から事業分野別売上高を主、部門別売上高を参考情報としております。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、320億2千8百万円と前連結会計年度末に比べ40億8千5百万円の増加となりました。
流動資産は、203億8千8百万円と前連結会計年度末に比べ46億8百万円の増加となりました。これは、主に現金及び預金が減少したものの、仕掛品及び未収還付消費税の増加が主な要因であります。
固定資産は、116億3千9百万円と前連結会計年度末に比べ5億2千3百万円の減少となりました。これは、レンタル資産としての有形固定資産が増加したものの、投資有価証券の売却による減少が主な要因であります。
(負債の部)
流動負債は、211億5千7百万円と前連結会計年度末に比べ27億5千6百万円の増加となりました。これは、短期借入金の返済による減少があったものの、買掛金の増加及び当第3四半期連結会計期間末以降に引渡予定の案件にかかる工事前受金の増加が主な要因であります。
固定負債は、45億2千4百万円と前連結会計年度末に比べ18億7千万円の増加となりました。これは、1年以内償還予定の社債への表示区分変更による減少があったものの、長期借入金の増加が主な要因であります。
以上の結果、負債の部は256億8千1百万円と前連結会計年度末に比べ46億2千7百万円の増加となりました。
(純資産の部)
純資産の部は63億4千7百万円と前連結会計年度末に比べ5億4千2百万円の減少となりました。これは、自己株式が増加したものの、その他有価証券評価差額金が減少したことが主な要因であります。
なお、自己資本比率は19.6%と前連結会計年度末より4.6ポイント減少しております。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
金額が僅少のため、記載を省略しております。なお、当社グループにおいて、研究開発活動は連結子会社であるマッハ機器株式会社のみが行っております。