訂正有価証券報告書-第26期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
1. 経営の基本方針
当社グループは、情報技術の力で全ての人に無限の可能性を提供する「UPDATE THE WORLD」をミッションに掲げ、『人類は、「自由自在」になれる』というビジョンの実現を目指しています。
情報技術の発展により、人々はインターネットを介してあらゆる知識・情報の取得と、世界中に向けた情報発信が可能になりました。今後も人々は情報技術の活用によって様々な制約から解放されるとともに、新たな未来を創っていくと当社グループは考えます。
常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上に努め、人々や社会の課題を解決することに貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。
2. 目標とする経営指標
当社グループは主要財務指標として、全社の売上収益、調整後EBITDA(注1)を重視しています。これらの指標を設定した理由としては以下の通りです。
売上収益:すべての利益の源泉となるものであり、成長性及び収益性、並びに事業規模も表すことができる指標として採用しました。 調整後EBITDA:減価償却費及び償却費、並びに減損損失及び企業結合に伴う再測定損益などの一過性の損益などの非現金収益及び費用を除外することにより、経常的な収益性を把握できる指標であることから当該指標を採用しました。
サービス毎の指標として、コマース事業ではeコマース取扱高、クレジットカード取扱高、「PayPay」決済回数等を設定しています。メディア事業では広告関連売上収益、月間ログインユーザーID数、スマートフォンログインユーザー利用時間等を指標としています。
(注1)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±EBITDA調整項目
※EBITDA調整項目:営業収益・費用の内、非経常かつ非現金の取引損益(固定資産除却損、減損損失、株式報酬費用、段階取得差損益、その他現金の流出が未確定な取引(一時的な引当金等)等)
なお、調整後EBITDAは、IFRSにおいて定義された財務指標ではありませんが、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として当該指標を採用しています。そのため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。
3. 中長期的な会社の経営戦略
(1)経営環境
近年、情報技術が発達し社会のあらゆる領域でオンラインとオフラインの境目は急速に失われています。インターネットの可能性が飛躍的に広がる中で、期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、かつてない大きな変革期を迎えています。オンラインとオフラインの融合により、ビッグデータの価値が加速度的に高まっています。日本政府が提唱する「Society5.0」にあるとおり、データを用いて経済発展と社会課題の解決を両立するサービスや事業を創り出す企業が求められています。
さらに世界中でキャッシュレスやIoT、ビッグデータ等、インターネットを介し、革新的で高い利便性を持つサービスが次々と生み出され、生活の新しいスタンダードになりつつあります。加えて、海外のIT企業が日本に進出し、その存在感は年々高まっています。他方、国内でもベンチャー企業が次々と現れており、激しい競争が続くインターネット市場では今後もめまぐるしい環境変化が予想されます。
当社グループの展開する事業はコマース事業とメディア事業に大別されます。コマース事業では、経済産業省の調査によると、2019年のBtoC-EC市場規模は19.0兆円、物販系分野におけるEC化率は、6.76%となりました。日本のEC化率は年々右肩上がりに上昇しており、さらなる上昇余地があると考えられます。特に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請を契機にeコマースの利用が拡大し、日本のEC化率がさらに上昇することが予想されます。今後の拡大が期待されるキャッシュレス決済の領域に関しては、経済産業省のキャッシュレス・ビジョン「支払い方改革宣言」において、日本のキャッシュレス決済比率は約2割と海外に比べて低い水準にあることから、2025年にキャッシュレス決済比率を4割にまで引き上げることを目標としています。このようにコマース事業の市場は拡大するとともに、ビッグデータやテクノロジーの活用、モバイルペイメントといった決済手段により、オンラインとオフラインの融合が進むことが予想されます。
また、当社グループが創業期から事業を展開しているメディア事業では、㈱電通の発表によると、2020年における日本の総広告費は通年で6兆1,594億円となりました。そのうちインターネット広告費は、テレビメディア広告費を上回り、初めて2兆円を超える2兆2,290億円となりました。そこから「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、1兆7,567億円と成長を続けています。広告種別では、検索広告とディスプレイ広告の2種で全体の約7割を超え、ビデオ(動画)広告は前年から伸長し全体の約2割を占めました。
(2)経営戦略
当社グループは創業以来、「ユーザーファースト」を信念としてサービスを展開してきました。規模や組織が変化したいまも、サービスの利便性をさらに高め、人々の生活を豊かにしていきたいという想いは変わりません。その実現にはユーザーへのより多角的かつ深い理解が不可欠との考えから、「データの蓄積・活用を通じて利用者を最も理解する存在」、ひいては「日本の利用者を最も理解する国産プラットフォーマー」となるべく取り組んでいます。日本に住む人々を最も理解し、最高の体験を提供することで社会課題を解決し、未来を創り出すための中核となるのが「横断的なマルチビッグデータの利活用」です。2018年度から「第三の創業期」と位置付け、マルチビッグデータを活かした事業モデルを展開する「データドリブンカンパニー」への変革を目指し、積極的に成長投資を行ってきました。
当社グループは、コマースとメディアという異なる事業において、eコマース、メディア、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供する、世界的にもユニークな企業グループです。当社グループの提供する多様なサービスから得られる豊富なデータは、当社グループならではのサービスを創り出すための重要な競争優位性となります。各サービスから得られるデータを横断的に活用することで、利用者一人ひとりに最適化されたサービスを提供し、さらに質の高い利用者体験の提供を目指します。
その実現に向けた施策の1つが、ソフトバンク㈱との連携強化です。従来からeコマースやモバイルペイメント事業等の分野で事業連携を進めてきましたが、2019年6月に当社グループはソフトバンク㈱の連結子会社になりました。世界的にも類を見ない規模の「情報通信グループ」として、両者の多様なサービス群と国内最大級の顧客基盤、およびそこから得られる膨大な量と種類のマルチビッグデータを活用し、さらなる成長と企業価値の向上を目指します。
さらに、この取り組みを強力に推進し日本・アジアを代表する企業グループになるべく、当社グループは2021年3月1日にLINE㈱との経営統合を完了しました。当社グループはLINE㈱との統合により、サービスを提供する国と地域は230にまで広がりました。またLINEのアジア主要国と地域における1億6700万人の利用者基盤を活かし、各事業でのシナジー創出に向け取り組み、当社グループにしか創れない未来を力強く創造していきます。
また、このように多様なサービス・グループ会社を展開する経営を進めることは、安定的な収益創出にもつながります。新型コロナウイルスの感染拡大など有事の際でも収益源やビジネスモデルが多様性に富むことで影響を分散化できるため、経営基盤の安定に寄与すると考えています。
これらの競争優位性や強みを活かし、利用者のニーズに合致したより質の高いサービスから、新たな利用者体験を創り出していきます。こうした取り組みを通じ、2023年度に売上収益2兆円、調整後EBITDA3,900億円の達成を中期目標として掲げています。
豊富なデータ量と多様性あふれるデータ資産を持ち合わせた国内最大級のデータ所有者として、その能力を最大限に引き出し、日本全体の価値を向上させる企業を目指します。
(3)主要セグメントの基本方針
コマース事業
コマース事業では、eコマース関連サービスや会員向けサービス、決済金融関連サービス等を提供しています。ソフトバンク㈱、PayPay㈱、㈱ZOZO等との連携が奏功し、ショッピング事業取扱高は6年連続で前年度比20%以上の高い成長率を維持しています。2019年度にサービスを開始したプレミアムなオンラインショッピングモールである「PayPayモール」では実店舗の在庫をオンライン上で購入できる「X(クロス)ショッピング」を開始しており、約140兆円規模のオフライン消費市場でのシェア獲得を目指します。加えて、LINE㈱との統合による短期的な取り組みとして、各社のロイヤリティプログラムを統合し、ヤフー、PayPay、LINEの3つの起点を活用させることで、サービス間のクロスユースを促し、経済圏を一層拡大していきます。中・長期的な取り組みとして、LINEのコミュニケーション機能を活用した「ソーシャルコマース」を展開していきます。その実現のための施策の一つが、NAVER Corporationの知見を活かした「Smart Store Project」の展開です。この取り組みを通じ、企業のECサイト構築から売上最大化までを支援するサービスを2021年度に開始する予定です。今後も2020年3月に発表したヤマトホールディングス㈱との物流・配送の強化に関する業務提携による物流サービスの改善、ロイヤリティプログラムの強化、及びソーシャルコマース等の我々の強みやグループ全体のアセットを活かした便利でお得なサービスを展開することにより、eコマース取扱高の持続的な成長を実現してまいります。
また、決済事業に関しては「PayPay」と「LINE Pay」の国内のQR・バーコード決済事業について2022年4月を目標に「PayPay」に統合すべく協議を開始しています。今後もPayPay㈱、LINE㈱との連携により、「PayPay」「LINE Pay」を起点とする決済を中心としたオフライン上での生活における様々なデータの蓄積と残高拡大により、O2O(Online to Offline / 送客)ビジネスや金融サービス等、多様な収益事業へと成長させてまいります。
メディア事業
メディア事業では、日常に欠かせない多様なメディアサービスを提供することで多くの利用者を集め、広告により収益を上げています。特に新型コロナウイルスの感染拡大のような有事の際には、求められている情報やサービスを適切かつ迅速に提供することが重要です。我々が創業以来掲げてきた「ユーザーファースト」の理念に基づき、必要とされるサービスを適切なタイミングで提供することがメディアとしての信頼性を高め、結果として中長期的なユーザー数の拡大、ひいては広告売上収益の拡大につながると考えています。
サービス利用に関する重要指標である月間ログインユーザーID数は当期末時点で5,200万人と順調に拡大を続けており、2020年度の第三者機関による国内トータルデジタルリーチにおいてYahoo! JAPANが1位となりました。またLINE㈱との統合により、競合他社にはないユニークなアセットが拡充されました。今後はNAVER CorporationのAI技術やLINE㈱のアセットを活用しながら、認知から興味・関心といった「新規顧客獲得のためのファネル」に加えて、購入からCRMの「優良顧客化のためのファネル」まで一気通貫で支援する、新たなマーケティングソリューションを実現していきます。さらに、蓄積されたデータをPayPay、LINE公式アカウント等と組み合わせて活用し、コンバージョンにコミットするソリューションを提供していきます。その結果、一人ひとりに最適な提案をする「1:1」のマーケティングを実現し、利用頻度の増加を目指します。加えて、オフラインへの進出を新たなチャンスと捉え、オフライン上の利用者の生活も便利にする取り組みを進めています。「PayPay」によるオフライン決済のデータを活用することで、「認知」から「購買」までを一気通貫で可視化することにより、販促市場でのシェア拡大に取り組んでいます。
4. 優先的に対処すべき課題
3.(2)の経営戦略を実行するにあたり、当社グループでは、常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上のため、個人情報の保護を筆頭にセキュリティの強化を最優先に取り組んでいます。横断的なマルチビッグデータの利活用を進める上で、最も大切な基本姿勢は利用者の方のプライバシーを尊重することと考えています。プライバシーポリシーを策定した上で、日本国の法令に基づいて運用しています。
なお、当社の連結子会社であるLINE(株)の国内向けユーザーの日本国外での個人情報の取扱い等に関して、当社は2021年3月に、当社グループにおけるデータの取り扱いをセキュリティ観点およびガバナンス観点から外部有識者にて検証・評価する特別委員会「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」を設置し、同委員会を技術的知見から支援するため、サイバーセキュリティ分野における外部の専門家で構成される技術検証部会を設置いたしました。
デジタルプラットフォーム事業者の社会的責務を果たすため、今後もお客さまや有識者および監督官庁等のご意見・ご指摘と真摯に向き合い、 透明性を高め安心してご利用いただける環境作りのため、継続的な改善を行っていきます。
また、インターネットは生活やビジネスに欠かせないインフラであり、その中で当社グループの担う公共的な責任も増しているため、突発的な事故や自然災害等に対する施設面・業務面でのリスクマネジメントの徹底に努めています。特に、当社グループはコーポレートガバナンスを「中長期的な企業価値の増大」を図るために必要不可欠な機能と位置付けています。少数株主を含む全株主の利益に適う経営が実現できるようガバナンス体制の強化に努めてまいります。また、企業の社会的責任を果たすための取り組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築および運用についても、さらに強化していきます。
加えて、当社グループの価値創造の源泉である人財のパフォーマンス最大化も重要な課題です。そのため、仕事に対する社員の意識や仕事の質のスタンダードを向上させていく仕組み・制度の整備を進めています。当社グループ企業のヤフー㈱は「健康経営優良法人2020(ホワイト500)」に2017年より4年連続で認定を受けています。働く社員の心身のコンディションを最高の状態にすることがパフォーマンスの最大化につながると考え、全ての社員が心身ともに最高の状態で仕事に向き合えるような環境整備にも継続して取り組んでいます。
1. 経営の基本方針
当社グループは、情報技術の力で全ての人に無限の可能性を提供する「UPDATE THE WORLD」をミッションに掲げ、『人類は、「自由自在」になれる』というビジョンの実現を目指しています。
情報技術の発展により、人々はインターネットを介してあらゆる知識・情報の取得と、世界中に向けた情報発信が可能になりました。今後も人々は情報技術の活用によって様々な制約から解放されるとともに、新たな未来を創っていくと当社グループは考えます。
常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上に努め、人々や社会の課題を解決することに貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。
2. 目標とする経営指標
当社グループは主要財務指標として、全社の売上収益、調整後EBITDA(注1)を重視しています。これらの指標を設定した理由としては以下の通りです。
売上収益:すべての利益の源泉となるものであり、成長性及び収益性、並びに事業規模も表すことができる指標として採用しました。 調整後EBITDA:減価償却費及び償却費、並びに減損損失及び企業結合に伴う再測定損益などの一過性の損益などの非現金収益及び費用を除外することにより、経常的な収益性を把握できる指標であることから当該指標を採用しました。
サービス毎の指標として、コマース事業ではeコマース取扱高、クレジットカード取扱高、「PayPay」決済回数等を設定しています。メディア事業では広告関連売上収益、月間ログインユーザーID数、スマートフォンログインユーザー利用時間等を指標としています。
(注1)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±EBITDA調整項目
※EBITDA調整項目:営業収益・費用の内、非経常かつ非現金の取引損益(固定資産除却損、減損損失、株式報酬費用、段階取得差損益、その他現金の流出が未確定な取引(一時的な引当金等)等)
なお、調整後EBITDAは、IFRSにおいて定義された財務指標ではありませんが、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として当該指標を採用しています。そのため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。
3. 中長期的な会社の経営戦略
(1)経営環境
近年、情報技術が発達し社会のあらゆる領域でオンラインとオフラインの境目は急速に失われています。インターネットの可能性が飛躍的に広がる中で、期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、かつてない大きな変革期を迎えています。オンラインとオフラインの融合により、ビッグデータの価値が加速度的に高まっています。日本政府が提唱する「Society5.0」にあるとおり、データを用いて経済発展と社会課題の解決を両立するサービスや事業を創り出す企業が求められています。
さらに世界中でキャッシュレスやIoT、ビッグデータ等、インターネットを介し、革新的で高い利便性を持つサービスが次々と生み出され、生活の新しいスタンダードになりつつあります。加えて、海外のIT企業が日本に進出し、その存在感は年々高まっています。他方、国内でもベンチャー企業が次々と現れており、激しい競争が続くインターネット市場では今後もめまぐるしい環境変化が予想されます。
当社グループの展開する事業はコマース事業とメディア事業に大別されます。コマース事業では、経済産業省の調査によると、2019年のBtoC-EC市場規模は19.0兆円、物販系分野におけるEC化率は、6.76%となりました。日本のEC化率は年々右肩上がりに上昇しており、さらなる上昇余地があると考えられます。特に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請を契機にeコマースの利用が拡大し、日本のEC化率がさらに上昇することが予想されます。今後の拡大が期待されるキャッシュレス決済の領域に関しては、経済産業省のキャッシュレス・ビジョン「支払い方改革宣言」において、日本のキャッシュレス決済比率は約2割と海外に比べて低い水準にあることから、2025年にキャッシュレス決済比率を4割にまで引き上げることを目標としています。このようにコマース事業の市場は拡大するとともに、ビッグデータやテクノロジーの活用、モバイルペイメントといった決済手段により、オンラインとオフラインの融合が進むことが予想されます。
また、当社グループが創業期から事業を展開しているメディア事業では、㈱電通の発表によると、2020年における日本の総広告費は通年で6兆1,594億円となりました。そのうちインターネット広告費は、テレビメディア広告費を上回り、初めて2兆円を超える2兆2,290億円となりました。そこから「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、1兆7,567億円と成長を続けています。広告種別では、検索広告とディスプレイ広告の2種で全体の約7割を超え、ビデオ(動画)広告は前年から伸長し全体の約2割を占めました。
(2)経営戦略
当社グループは創業以来、「ユーザーファースト」を信念としてサービスを展開してきました。規模や組織が変化したいまも、サービスの利便性をさらに高め、人々の生活を豊かにしていきたいという想いは変わりません。その実現にはユーザーへのより多角的かつ深い理解が不可欠との考えから、「データの蓄積・活用を通じて利用者を最も理解する存在」、ひいては「日本の利用者を最も理解する国産プラットフォーマー」となるべく取り組んでいます。日本に住む人々を最も理解し、最高の体験を提供することで社会課題を解決し、未来を創り出すための中核となるのが「横断的なマルチビッグデータの利活用」です。2018年度から「第三の創業期」と位置付け、マルチビッグデータを活かした事業モデルを展開する「データドリブンカンパニー」への変革を目指し、積極的に成長投資を行ってきました。
当社グループは、コマースとメディアという異なる事業において、eコマース、メディア、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供する、世界的にもユニークな企業グループです。当社グループの提供する多様なサービスから得られる豊富なデータは、当社グループならではのサービスを創り出すための重要な競争優位性となります。各サービスから得られるデータを横断的に活用することで、利用者一人ひとりに最適化されたサービスを提供し、さらに質の高い利用者体験の提供を目指します。
その実現に向けた施策の1つが、ソフトバンク㈱との連携強化です。従来からeコマースやモバイルペイメント事業等の分野で事業連携を進めてきましたが、2019年6月に当社グループはソフトバンク㈱の連結子会社になりました。世界的にも類を見ない規模の「情報通信グループ」として、両者の多様なサービス群と国内最大級の顧客基盤、およびそこから得られる膨大な量と種類のマルチビッグデータを活用し、さらなる成長と企業価値の向上を目指します。
さらに、この取り組みを強力に推進し日本・アジアを代表する企業グループになるべく、当社グループは2021年3月1日にLINE㈱との経営統合を完了しました。当社グループはLINE㈱との統合により、サービスを提供する国と地域は230にまで広がりました。またLINEのアジア主要国と地域における1億6700万人の利用者基盤を活かし、各事業でのシナジー創出に向け取り組み、当社グループにしか創れない未来を力強く創造していきます。
また、このように多様なサービス・グループ会社を展開する経営を進めることは、安定的な収益創出にもつながります。新型コロナウイルスの感染拡大など有事の際でも収益源やビジネスモデルが多様性に富むことで影響を分散化できるため、経営基盤の安定に寄与すると考えています。
これらの競争優位性や強みを活かし、利用者のニーズに合致したより質の高いサービスから、新たな利用者体験を創り出していきます。こうした取り組みを通じ、2023年度に売上収益2兆円、調整後EBITDA3,900億円の達成を中期目標として掲げています。
豊富なデータ量と多様性あふれるデータ資産を持ち合わせた国内最大級のデータ所有者として、その能力を最大限に引き出し、日本全体の価値を向上させる企業を目指します。
(3)主要セグメントの基本方針
コマース事業
コマース事業では、eコマース関連サービスや会員向けサービス、決済金融関連サービス等を提供しています。ソフトバンク㈱、PayPay㈱、㈱ZOZO等との連携が奏功し、ショッピング事業取扱高は6年連続で前年度比20%以上の高い成長率を維持しています。2019年度にサービスを開始したプレミアムなオンラインショッピングモールである「PayPayモール」では実店舗の在庫をオンライン上で購入できる「X(クロス)ショッピング」を開始しており、約140兆円規模のオフライン消費市場でのシェア獲得を目指します。加えて、LINE㈱との統合による短期的な取り組みとして、各社のロイヤリティプログラムを統合し、ヤフー、PayPay、LINEの3つの起点を活用させることで、サービス間のクロスユースを促し、経済圏を一層拡大していきます。中・長期的な取り組みとして、LINEのコミュニケーション機能を活用した「ソーシャルコマース」を展開していきます。その実現のための施策の一つが、NAVER Corporationの知見を活かした「Smart Store Project」の展開です。この取り組みを通じ、企業のECサイト構築から売上最大化までを支援するサービスを2021年度に開始する予定です。今後も2020年3月に発表したヤマトホールディングス㈱との物流・配送の強化に関する業務提携による物流サービスの改善、ロイヤリティプログラムの強化、及びソーシャルコマース等の我々の強みやグループ全体のアセットを活かした便利でお得なサービスを展開することにより、eコマース取扱高の持続的な成長を実現してまいります。
また、決済事業に関しては「PayPay」と「LINE Pay」の国内のQR・バーコード決済事業について2022年4月を目標に「PayPay」に統合すべく協議を開始しています。今後もPayPay㈱、LINE㈱との連携により、「PayPay」「LINE Pay」を起点とする決済を中心としたオフライン上での生活における様々なデータの蓄積と残高拡大により、O2O(Online to Offline / 送客)ビジネスや金融サービス等、多様な収益事業へと成長させてまいります。
メディア事業
メディア事業では、日常に欠かせない多様なメディアサービスを提供することで多くの利用者を集め、広告により収益を上げています。特に新型コロナウイルスの感染拡大のような有事の際には、求められている情報やサービスを適切かつ迅速に提供することが重要です。我々が創業以来掲げてきた「ユーザーファースト」の理念に基づき、必要とされるサービスを適切なタイミングで提供することがメディアとしての信頼性を高め、結果として中長期的なユーザー数の拡大、ひいては広告売上収益の拡大につながると考えています。
サービス利用に関する重要指標である月間ログインユーザーID数は当期末時点で5,200万人と順調に拡大を続けており、2020年度の第三者機関による国内トータルデジタルリーチにおいてYahoo! JAPANが1位となりました。またLINE㈱との統合により、競合他社にはないユニークなアセットが拡充されました。今後はNAVER CorporationのAI技術やLINE㈱のアセットを活用しながら、認知から興味・関心といった「新規顧客獲得のためのファネル」に加えて、購入からCRMの「優良顧客化のためのファネル」まで一気通貫で支援する、新たなマーケティングソリューションを実現していきます。さらに、蓄積されたデータをPayPay、LINE公式アカウント等と組み合わせて活用し、コンバージョンにコミットするソリューションを提供していきます。その結果、一人ひとりに最適な提案をする「1:1」のマーケティングを実現し、利用頻度の増加を目指します。加えて、オフラインへの進出を新たなチャンスと捉え、オフライン上の利用者の生活も便利にする取り組みを進めています。「PayPay」によるオフライン決済のデータを活用することで、「認知」から「購買」までを一気通貫で可視化することにより、販促市場でのシェア拡大に取り組んでいます。
4. 優先的に対処すべき課題
3.(2)の経営戦略を実行するにあたり、当社グループでは、常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上のため、個人情報の保護を筆頭にセキュリティの強化を最優先に取り組んでいます。横断的なマルチビッグデータの利活用を進める上で、最も大切な基本姿勢は利用者の方のプライバシーを尊重することと考えています。プライバシーポリシーを策定した上で、日本国の法令に基づいて運用しています。
なお、当社の連結子会社であるLINE(株)の国内向けユーザーの日本国外での個人情報の取扱い等に関して、当社は2021年3月に、当社グループにおけるデータの取り扱いをセキュリティ観点およびガバナンス観点から外部有識者にて検証・評価する特別委員会「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」を設置し、同委員会を技術的知見から支援するため、サイバーセキュリティ分野における外部の専門家で構成される技術検証部会を設置いたしました。
デジタルプラットフォーム事業者の社会的責務を果たすため、今後もお客さまや有識者および監督官庁等のご意見・ご指摘と真摯に向き合い、 透明性を高め安心してご利用いただける環境作りのため、継続的な改善を行っていきます。
また、インターネットは生活やビジネスに欠かせないインフラであり、その中で当社グループの担う公共的な責任も増しているため、突発的な事故や自然災害等に対する施設面・業務面でのリスクマネジメントの徹底に努めています。特に、当社グループはコーポレートガバナンスを「中長期的な企業価値の増大」を図るために必要不可欠な機能と位置付けています。少数株主を含む全株主の利益に適う経営が実現できるようガバナンス体制の強化に努めてまいります。また、企業の社会的責任を果たすための取り組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築および運用についても、さらに強化していきます。
加えて、当社グループの価値創造の源泉である人財のパフォーマンス最大化も重要な課題です。そのため、仕事に対する社員の意識や仕事の質のスタンダードを向上させていく仕組み・制度の整備を進めています。当社グループ企業のヤフー㈱は「健康経営優良法人2020(ホワイト500)」に2017年より4年連続で認定を受けています。働く社員の心身のコンディションを最高の状態にすることがパフォーマンスの最大化につながると考え、全ての社員が心身ともに最高の状態で仕事に向き合えるような環境整備にも継続して取り組んでいます。