有価証券報告書-第61期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/15 11:14
【資料】
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【項目】
166項目
文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは、コーポレート・ステートメントである「Dream up the future. 未来創発」を掲げ、「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」、「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」ことを使命としています。さらに、「夢と可能性に満ち、豊かさを実感する、活力ある社会」、「人々の英知がつながり、環境にやさしい持続可能な社会」、「強くてしなやかな、安全で安心に満ちた社会」を当社グループが創発する社会とし、これらを企業理念の中に位置づけています。当社は、1965年に国内・民間初の総合シンクタンクとして誕生したルーツを持ち、創業時における設立趣意書で「産業経済の振興と一般社会への奉仕」を目的に掲げました。経済価値と社会価値の一体的な追求は、創業時から50年以上にわたり当社グループにおいて培われてきました。
今後、社会課題はますます複雑化し、産業構造の流動化、技術の進化とコモディティ化、価値観・働き方の多様化など、企業を取り巻く経済環境も大きく変化していくことが予想されます。そのような事業環境下において当社グループは、未来のありたい姿を洞察し、それをデジタル技術で実現するというユニークな強みを有しています。当社グループは、このような複雑で予測できない環境変化のうねりの中でこそ、自社の強みを活かし真価を最大限発揮することができるものと自負しています。
2023年4月に発表した「NRI Group Vision 2030」(以下「V2030」という。)においては、ビジョン・ステートメントを「Envision the value, Empower the Change(まだ見ぬ価値をともに描き、変革にさらなる力を)」とし、当社グループが2030年に目指す姿を「経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」としました。このV2030では、「持続可能な未来社会づくり」と「NRIグループの成長戦略実現」を一体的に追求する上で、2030年に向けて重点的に取り組むテーマとして「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の3層で計8つのマテリアリティを特定し、当社グループのサステナビリティ基本方針に位置づけました。これらのマテリアリティは、当社グループの2030年に目指す姿及び成長戦略の実現を確かなものにする重要な要素です。
●マテリアリティ:2030年に向けて重点的に取り組むテーマ
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●創出する価値:「持続可能な未来社会づくり」を実現
マテリアリティ2030年に目指す姿(目標)
デジタル社会資本の充実を通じた活力ある未来社会の共創優れた人的資本・知的資本と、そこから価値を生み出すためのデジタル社会資本が充実し、あらゆるひとが豊かに暮らす、活力ある社会の実現に貢献している。
社会資源の有効活用を通じた最適社会の共創ビジネスプラットフォームの共同利用、データによるリアル空間の可視化や予測等を通じて、社会資源 (人材・公共財・知的財産等を含む) の有効活用や自然資源の循環等、スマートな社会の実現に貢献している。
社会インフラの高度化を通じた安全安心社会の共創社会インフラやデータが、災害やサイバーリスクに強く高度で安定稼働するIT基盤によって守られ、あらゆるひとが安心して様々なデジタルサービスを享受できる、強くてしなやかな社会の実現に貢献している。

●価値を生み出す資本:「人的資本」及び「知的資本」が価値共創を支える
マテリアリティ2030年に目指す姿(目標)
多様なプロフェッショナルの挑戦・成長による人的資本の拡充高い専門性や多様な価値観を持つ人材が集い、プロフェッショナルとして自律的に挑戦・成長し続ける場を生み出し、価値創出につながっている。
卓越したビジネスモデルへの進化を続ける知的資本の創出・蓄積高い競争力の源となり進化し続ける優れた知的資本 (ビジネスモデル・ブランド・ケイパビリティ) を創出・蓄積し、価値創出につながっている。

●経営基盤(ESG):NRIらしいESGを、サプライチェーンへ拡張
マテリアリティ2030年に目指す姿(目標)
ビジネスパートナーとの協働による地球環境への貢献再生可能エネルギーのさらなる高度利用を進めるとともに、Scope3を視野にビジネスパートナーと協働しながら、自然資本への配慮と持続可能な地球環境づくりに貢献している。
ステークホルダーとの関係強化による社会的責任の遂行ステークホルダー (ビジネスパートナー、従業員、社会など) との良好な関係を形成し、健全な雇用・労使関係、人権への配慮等、サプライチェーン全体で社会的責任を遂行している。
戦略的なリスクコントロールを実現するガバナンスの高度化グループ・グローバル全体で長期視点のリスクコントロールを実現するため、戦略に応じたリスクテイクも含む、バランスの取れたガバナンスに取り組んでいる。

●事業戦略上のマテリアリティの位置づけ
0102010_002.jpg(2) 経営戦略
<中期経営計画>AI・デジタル技術の急速な進化・浸透は、産業・企業に対し大きな影響を与えています。AI・デジタル技術の活用は、企業のビジネスプロセスやオペレーションの生産性向上に留まらず、データの活用やパーソナライズの深化によりサービスや商品の価値自体の向上にも寄与することが見込まれています。そのため、企業は従来の業種業態の枠を超えてデータやIT資産を共有するなどにより、新たなビジネス領域の創出に取り組むことが見込まれます。一方で、リスクマネジメントの高度化も求められています。サイバーセキュリティ対策の強化や地政学リスクへの対応に加え、レガシーIT資産を持ち続けることもリスクであり、モダナイゼーションの対応が急務となっています。
このような事業環境のもと、当社グループはV2030の実現に向け、2026年4月に「NRIグループ中期経営計画(2026-2028)」(以下「中計2028」という。)を策定しました。中計2028では、AIによるビジネス変革、データセキュリティサービスの拡充、社会共創サービスの拡大の3つの領域を成長領域と定め、顧客との価値共創を通じて、当社グループの持続的成長と持続可能な未来社会づくりを目指します。
中計2028の最終年度(2029年3月期)の目標は、売上収益9,500億円、営業利益2,000億円、営業利益率21.1%です。またROEは25%水準の維持を目標とします。なお、2027年3月期の連結業績見通しは、売上収益8,500億円、営業利益1,750億円、営業利益率20.6%を見込んでいます。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、持続的な株主価値の向上に努めています。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
<経営環境の認識>昨今、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。AI等の新技術活用により、企業のビジネスモデルは大きく変革する段階へと移行してきており、また、各企業におけるレガシーIT資産のモダナイゼーションへの対応も急務です。他方、サイバー攻撃や地政学リスク、各種規制・国際ルールの変化など、企業が抱える経営課題も日々複雑化しており、これらの不確実な環境変化への対応力強化が求められています。このような背景から、産業界全体のIT投資やコンサルティング需要は、中長期にわたって増加する見通しです。
このような環境を踏まえ、中計2028においては、積極的な投資を通じて当社グループ独自の強みを磨き上げることで更なる事業成長を追求し、V2030の達成を目指します。
<中計2028の概要>中計2028では次の3つの事業成長を柱と位置づけ、推進していきます。
① AIによるビジネス変革
AI活用による影響はあらゆる産業に波及しており、従来型システムや人間の仕事の置き換えが進むとされています。単純かつノンクリティカルな領域はAIに置き換わる一方、当社が注力する複雑かつミッションクリティカルな領域においては、その精度や安定性の課題から、AIへの置き換えは容易ではありません。この領域に対し、当社は戦略コンサルティングの提案力、AIインテグレーション力、大規模かつ複雑なシステムの構築力といった強みを活かし、事業基盤の拡大を目指します。具体的には、戦略コンサルティングを起点として、顧客のAI変革を包括的に支援するサービスや、当社の金融ビジネスプラットフォームにAIを組み込んだ高付加価値ソリューションサービスを展開します。また、これらの活動を加速化するために、国内外のAIテック企業との共創モデルの拡張を進めていきます。
② デジタルセキュリティサービスの拡充
サイバーリスクの高まる時代においても、お客様のビジネスを安全安心に推進できるIT基盤の整備を実現していきます。そのため、金融領域で培ってきた知見を活用したセキュリティ関連のコンサルティングサービスの強化や、セキュリティに特化したAIモデルを組み込んだデジタルトラスト基盤の開発、また、グローバルでのセキュリティ支援ニーズへの対応に向けた海外でのサポート力の強化を進めます。加えて、それらの取組みを支える人的資本を拡充するため、採用の強化やアップスキリングによるケイパビリティの拡大に取り組みます。
③ 社会共創サービスの拡大
シンクタンク機能を併せ持つコンサルティング部門と、ソリューション部門が協働し、当社が持つ知的資産を活用した共同利用型サービスを拡大することで、社会全体の投資コストを低減するとともに、デジタル社会への変革をリードしていきます。金融ITソリューション部門では、業態横断型のビジネスプラットフォームのラインナップ拡充や、新たに金融領域に参入する事業者向けサービスの開発に取り組みます。また、ソーシャルDX事業では先行する金融業向けサービスから、国税や年金などの公共領域への展開など、国民生活全体に対してもサービス領域を拡げ、事業拡大を図っていきます。
中計2028では、これらの3つの領域を中心とした事業成長の追求と同時に、当社グループ自身の変革も進めます。当社独自のAI駆動型開発モデルの展開による生産革新、AI・セキュリティなど成長領域における人材開発の加速化、また収益安定化を企図したビジネスモデルの多様化を進めていきます。このように当社グループの自己変革を加速することで、「顧客・社会の変革をリードする存在」になることを目指します。
<海外事業の概況>V2030において成長ストーリーとして海外事業の拡大を掲げていますが、当年度は、豪州のコンサルティング事業及びマネージドサービス事業、北米のクラウドコンサルティング事業を中心に業績が悪化しました。当社グループとしては、拠点整理や組織統合、人員削減等の事業構造改革や、ビジネスモデル転換の取組みを進めてきましたが、事業計画の実現可能性について精査及び検証を重ね、中計2028を策定した結果、事業計画との乖離が生じることとなり、当年度末の決算において減損損失を計上しました。減損計上に至った要因としては、豪州においては、買収子会社間の事業融合及び注力すべき業種・サービスの選択が不十分であったことにより、経営資源の分散を招いたこと等が挙げられます。また、北米については、クラウドコンサルティング事業において、主に人材派遣型の案件で中止や延期が増加したこと等が要因となりました。
中計2028においては、規模拡大を志向せず、AI時代に安定成長が見込まれる事業領域で収益を確保することを目標としました。そのため、金融ITソリューション部門及びIT基盤サービス部門の有する知見を活用し、事業基盤を再構築する時期と位置付けています。安定成長の期待できる事業領域に集中するために、豪州では、顧客業種を絞り込んだ上で、コンサルティングからITソリューションまで一貫した高付加価値サービスの提供を強化します。北米ではネットワーク事業にセキュリティを組み込み、サービスの高付加価値化を図ります。また、クラウドコンサルティング事業ではベンダーリレーションを強化し、当社グループが提供可能な製品・サービスのフルライン化と、ターゲットとする中堅企業顧客の深耕を推進します。
加えて、海外事業の経営管理を高度化するために、部門横断での事業開発とマネジメント体制の見直しを行います。具体的には、ビジネス部門管掌役員に情報を集約し判断を迅速化するとともに、本社機構における海外子会社に関する経営情報やリスク情報のレポートラインを強化し、事業管理及び報告体制を複線化することでリスク管理機能を強化し、事業基盤の再構築を進めます。

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