有価証券報告書-第60期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/18 15:30
【資料】
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【項目】
168項目
3. 重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社は、当社グループが支配する企業です。支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、その投資先に対するパワーを通じてそれらの変動リターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。
子会社の財務諸表は、支配を獲得した日から支配を喪失する日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれています。
子会社の会計方針は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて変更しています。
子会社決算日が当社の決算日と異なる場合には、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく子会社の財務数値を用いています。
当社グループ内の債権債務残高及び取引高並びにグループ内取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社の非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別しています。非支配持分は、当初の企業結合日での持分額及び企業結合日からの非支配持分の変動から構成されています。当社グループの持分と子会社の非支配持分との間で持分の変動が生じる取引のうち、支配が継続する場合には、非支配持分の変動額と支払対価(又は受取対価)の差額は、直接資本として認識しており、のれん又は純損益として認識していません。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失を純損益で認識しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが支配又は共同支配に至らないものの、その財務及び経営方針等に対し、重要な影響力を有している企業です。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合には、当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。当社グループの保有する議決権が20%未満の場合であっても、他の企業の経営機関への参画等の諸要素を総合的に勘案し、重要な影響力を行使しうる場合には関連会社に含めています。
関連会社に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、重要な影響力を有するようになった日からその影響力を喪失する日まで、持分法を用いて会計処理しています。
関連会社の決算日が当社の決算日と異なる場合には、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく関連会社の財務数値を用いています。
③ 共同支配企業
共同支配企業とは、当社グループを含む複数の当事者が経済活動に対する契約上の合意された支配を共有し、その活動に関連する財務上及び営業上の戦略的な決定に際して、支配を共有する当事者全ての合意を必要とする企業をいいます。
共同支配企業に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、持分法を用いて会計処理しています。
なお、当社グループにとって重要な共同支配企業はありません。
(2) 企業結合
企業結合は、支配獲得日に取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定しています。取得対価が、被取得企業の識別可能な資産及び負債の公正価値を上回る場合には、超過額をのれんとして認識しています。反対に下回る場合には、超過額を利得として純損益で認識しています。取得関連費用は、発生時に費用として認識しています。
なお、当社グループは、非支配持分を公正価値、又は当社で認識した識別可能純資産に対する非支配持分の比例割合で測定するかについて、個々の企業結合取引ごとに選択しています。
共通支配下における企業結合、すなわち、企業結合の前後で結合企業又は結合事業の全てが同じ企業によって支配されている企業結合は、帳簿価額に基づき会計処理しています。
(3) 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は、各報告期間の末日の為替レートを用いて表示通貨である日本円に換算しています。在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートを用いて表示通貨である日本円に換算しています。
在外営業活動体における外貨建財務諸表を表示通貨に換算するに当たって生じた差額は、その他の包括利益として認識しています。在外営業活動体の累積換算差額は、在外営業活動体が処分された期間に純損益に振り替えられます。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
当社グループは、非デリバティブ金融資産を、その当初認識時に償却原価で測定する金融資産、公正価値で測定する金融資産の各区分に分類しています。償却原価で測定する金融資産のうち、営業債権及びその他の債権は、発生日に当初認識しており、それ以外の金融資産は、契約当事者となった取引日に当初認識しています。
金融資産は、金融資産からの便益を受領する権利が消滅した場合、権利を譲渡した場合、又は実質的に全てのリスクと経済価値が移転した場合に、認識を中止しています。
償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産は、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値にその取得に係る取引費用を加算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。
ただし、重大な金融要素を含まない営業債権は、当初認識時に取引価格で測定しています。
公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は、公正価値で測定する金融資産に分類しています。公正価値で測定する資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有されるものを除き、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に指定し、当該指定を継続的に適用しています。また、償却原価で測定する金融資産の要件を満たさない負債性金融商品は、次の条件がともに満たされる場合に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。それ以外の負債性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収及び金融資産の売却を目的とした事業モデルに基づき、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
当初認識後は、各報告期間の末日における公正価値で測定し、その変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の認識を中止した場合又は公正価値が著しく下落した場合には、過去に認識したその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えています。なお、資本性金融商品からの配当金は、金融収益として純損益で認識しています。
② 非デリバティブ金融負債
当社グループは、非デリバティブ金融負債をその当初認識時に償却原価で測定する金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の各区分に分類しています。
非デリバティブ金融負債のうち社債及び借入金等は、その発行日に当初認識しています。その他の金融負債は、契約当事者となった取引日に当初認識しています。
当社グループは、契約上の義務が免責、取消し又は失効した場合に、金融負債の認識を中止します。
償却原価で測定する金融負債は、当初認識時において公正価値から直接起因する取引費用を控除して測定しています。当初認識後は、実効金利法による償却原価で測定し、償却額は金融費用として純損益で認識しています。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識時において公正価値で測定しています。当初認識後は、公正価値で測定し、その変動は当期の純損益として認識しています。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、ヘッジ関係の開始時に、ヘッジ関係並びにヘッジを実行するに当たってのリスク管理目的及びヘッジされたリスクに係る戦略を文書化しています。当該文書は、ヘッジ手段、ヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、ヘッジ有効性の評価方法、非有効部分の発生原因の分析及びヘッジ比率の決定方法等を含んでいます。
当社グループは、ヘッジ指定以降、ヘッジ関係が将来に向けて有効であるかどうかを継続的に評価しています。
デリバティブは、公正価値で当初認識するとともに、当初認識以後も公正価値で測定し、その変動は次のとおり会計処理しています。
公正価値ヘッジ
ヘッジ手段の公正価値の変動は、純損益として認識しています。ヘッジされるリスクに起因するヘッジ対象の公正価値の変動は、ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、純損益として認識しています。
ヘッジ手段が消滅、売却、終了又は行使された場合、ヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合及びヘッジ指定を取り消した場合は、ヘッジ会計を将来に向けて中止しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ会計に関する要件を満たすヘッジは、ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動のうち、有効部分をその他の包括利益として認識し、その他の資本の構成要素に累積しています。その他の資本の構成要素に累積された金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えていますが、予定取引のヘッジがその後において、非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合は、ヘッジ対象である非金融資産の取得原価の測定に含めています。
ヘッジ手段が消滅、売却、終了又は行使された場合、ヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合及びヘッジ指定を取り消した場合は、ヘッジ会計を将来に向けて中止しています。予定取引の発生が見込まれない場合は、その他の包括利益に認識した金額を、直ちにその他の資本の構成要素から純損益に振り替えています。
在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資のヘッジから発生する換算差額は、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様の方法で会計処理しています。ヘッジ手段に係る利得及び損失のうち、有効部分をその他の包括利益として認識し、非有効部分を純損益として認識しています。
在外営業活動体の処分時には、従来その他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に累積された金額を純損益に振り替えています。
ヘッジ指定されていないデリバティブ
デリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。
(5) 有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、資産の解体及び除去費用並びに原状回復費用の当初見積額が含まれています。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、主に定額法で減価償却しています。主要な有形固定資産の見積耐用年数は次のとおりです。
建物及び構築物 :3~50年
機械及び装置 : 5年
工具、器具及び備品 :2~20年
なお、減価償却方法、残存価額及び見積耐用年数は各報告期間の末日に見直し、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
なお、土地及び建設仮勘定は償却していません。
(6) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは子会社の取得時に認識しています。
のれんは償却を行わず、少なくとも年に1回及びのれんを配分した資金生成単位(以下「CGU」という。)に減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しています。のれんは取得原価から減損損失累計額を控除して表示しています。
② 無形資産
無形資産の認識後の測定は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
耐用年数を確定できる無形資産は、当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、定額法で償却しています。
主な無形資産の見積耐用年数は次のとおりです。
ソフトウエア : 5年
顧客関連資産 :6~15年
商標権 : 10年
なお、耐用年数を確定できる無形資産の償却方法及び見積耐用年数は、各報告期間の末日に見直し、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない無形資産は、償却を行わず、毎期又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
③ 研究開発費
研究活動に関する支出は、発生時に純損益として認識しています。開発活動に関する支出は、信頼性をもって測定可能であり、製品又は工程が技術的及び商業的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ資産として認識しています。当社グループでは、主に共同利用型サービス及びアウトソーシングサービスで稼働するソフトウエアの開発を行っています。
無形資産として認識した開発費の測定は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。また、償却方法及び見積耐用年数については、② 無形資産に記載のとおりです。
(7) リース
当社グループは、契約時に、当該契約がリースであるか否か、又は当該契約にリースが含まれているか否かを判定しています。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースである又は当該契約にリースが含まれていると判断しています。
当社グループは、リースの開始日にリース負債と使用権資産を認識しています。
リース負債は、開始日において支払われていないリース料の現在価値で測定しています。現在価値の測定に使用する割引率は、リースの計算利子率が容易に算定できないため、当社グループの追加借入利子率を用いています。リース料は、実効金利法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しています。金利費用は金融費用として純損益で認識しています。
使用権資産の認識後の測定は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。取得原価は、リース負債の当初測定額に、当初直接コスト、前払リース料等を調整した額で測定しています。使用権資産は、リースの開始日から見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたり、定額法で減価償却しています。
なお、リース期間が12か月以内の短期リース及び原資産が少額であるリースは、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり、定額法で費用として認識しています。少額資産は、少額のIT機器及び少額の事務所備品等の資産で構成されています。
(8) 非金融資産の減損
当社グループは、各報告期間の末日に、繰延税金資産、従業員給付から生じる資産、契約資産を除く非金融資産の帳簿価額が減損している可能性を示す兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積もっています。個別の資産の回収可能価額を見積もることができない場合には、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小のCGUごとに回収可能価額を見積もっています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産は、少なくとも年に1回又は減損の兆候が存在する場合はその都度、回収可能価額の見積りを行っています。
資産又はCGUの回収可能価額は、処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いています。
資産又はCGUの回収可能価額が帳簿価額より低い場合には、当該資産又はCGUの帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失は直ちに純損益として認識しています。
のれん以外の資産は、各報告期間の末日に、過年度に認識した減損の戻入れの兆候の有無を判断しています。減損の戻入れの兆候が存在する場合には、当該資産又はCGUの回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が資産又はCGUの帳簿価額を超える場合に、減損損失を戻入れています。減損損失の戻入れ後の帳簿価額は、過年度に減損損失を認識しなかった場合に、戻入れが発生した時点まで償却又は減価償却を続けた場合の帳簿価額を上限としています。
(9) 従業員給付
従業員給付には、退職後給付及び短期従業員給付が含まれます。退職後給付は、確定給付制度又は確定拠出制度として支払われています。
① 確定給付制度
確定給付制度に関連する負債又は資産の純額は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額で認識しています。
確定給付制度債務の現在価値は、毎年、年金数理人が予測単位積増方式を用いて算定しています。この算定に用いる割引率は、将来の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日の優良社債の利回りに基づいています。
数理計算上の差異は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、当期の勤務費用及び過去勤務費用は純損益として認識し、純利息額は確定給付債務の純額に割引率を乗じた額を純損益として認識しています。
確定給付制度の変更があった場合、制度の変更及び清算に伴い生じた利得又は損失は、制度を変更又は清算した時点で、過去勤務費用及び清算損益として純損益で認識しています。
② 確定拠出制度
確定拠出制度への拠出は、拠出した時点で従業員給付費用として純損益で認識しています。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付は、割引計算は行わず、従業員が関連するサービスを提供した時点で従業員給付費用として純損益で認識しています。賞与及び有給休暇費用は、従業員による勤務の提供に応じて、当社グループの制度に基づいて支払われると見積もられる額を負債として認識しています。
(10) 株式に基づく報酬
① 持分決済型の株式に基づく報酬
当社グループは、役員に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度及び譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。ストック・オプションと譲渡制限付株式は、付与日における公正価値を見積もり、権利確定期間にわたり純損益として認識し、同額を資本の増加として認識しています。また、当社グループは、従業員に対する持分決済型の株式に基づく報酬制度として、信託型従業員持株インセンティブ・プランを導入しています。信託型従業員持株インセンティブ・プランは、付与日における公正価値を見積もり、権利確定期間にわたり純損益として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
② 現金決済型の株式に基づく報酬
当社グループは、従業員に対する現金決済型の株式に基づく報酬制度として、ファントム・ストック制度を導入しています。ファントム・ストック制度は、付与日において、発生した負債の公正価値を測定し、権利確定期間にわたり純損益として認識し、同額を負債の増加として認識しています。また、付与日以降も各報告期間の末日ごとに負債の公正価値を測定し、再測定による公正価値の変動を権利確定期間にわたり純損益として認識し、同額を負債の増加又は減少として認識しています。
(11) 収益
① 収益の認識方法
当社グループは、下記の5ステップアプローチにより収益を認識しています。(IFRS第9号「金融商品」に基づく利息及び配当収益等やIFRS第16号「リース」に基づく受取リース料を除く。)
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
顧客との契約における履行義務の識別
当社グループは、コンサルティングサービス、開発・製品販売、運用サービス、商品販売に関わる顧客との契約から収益を認識しています。これらの契約から当社グループは、別個の約束された財又はサービスを特定し、それらの履行義務に対応して収益を配分しています。
当社グループは、約束された財又はサービスが別個のものである場合、すなわち、財又はサービスを顧客に移転するという約束が契約の中の他の約束と区分して識別可能であり、かつ、顧客がその財又はサービスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができる場合、区分して会計処理しています。
顧客との契約における履行義務の識別の単位は、当社グループが内部管理目的で利用するプロジェクトの単位と概ね一致します。
取引価格の算定
当社グループは、取引価格を算定するに当たり、受注金額を基礎として、変動対価、変動対価の見積りの制限、契約における重大な金融要素の存在、現金以外の対価及び顧客に支払われる対価からの影響を考慮しています。
取引の対価は、履行義務を充足してから概ね2~3か月以内に受領しており、重大な金融要素は含んでいません。
製品・サービスの種類ごとの収益の認識・測定方法
(a)コンサルティングサービス
コンサルティングサービスの主な内容は経営・事業戦略及び組織改革等の立案・実行を支援する経営コンサルティングのほか、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングです。
上記に係る収益は、プロジェクトの取引価格及びプロジェクトの進捗度に基づき測定し、進捗度は、原則としてプロジェクトごとの見積総原価に対する各報告期間の末日までの実際発生原価の割合に基づき算定しています。
(b)開発・製品販売
開発・製品販売のうち、開発の主な内容は、システム開発(設計・開発・テスト工程を含む一連の工程)及びシステム保守(機能追加・機能改善・システム維持管理等)です。また、製品販売の主な内容は、当社グループが独自に開発したパッケージソフトの販売です。
開発に係る収益は、プロジェクトの取引価格及びプロジェクトの進捗度に基づき測定し、進捗度は、原則としてプロジェクトごとの見積総原価に対する各報告期間の末日までの実際発生原価の割合に基づき算定しています。製品販売に係る収益は、支配が顧客に移転したときに認識しており、原則として顧客の納品確認に基づき一時点で認識しています。
(c)運用サービス
運用サービスの主な内容は、アウトソーシングサービス(顧客からの委託によるシステムの運用処理、ハウジングサービス、サーバ・PC・ネットワーク等インフラの管理等)、共同利用型サービス及び情報提供サービスです。
上記に係る収益は、サービスの提供が完了し、請求可能となった時点で認識しています。
(d)商品販売
商品販売の主な内容は、ハードウエア(サーバ、ストレージ等)の販売及びソフトウエアの販売です。
上記に係る収益は、支配が顧客に移転したときに認識しており、原則として顧客の納品確認に基づき一時点で認識しています。
② 契約資産及び契約負債
契約資産は、顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件付きの権利です。契約負債は顧客に財又はサービスを移転する義務のうち、顧客から対価を受け取っている又は対価の支払期限が到来しているものです。
(12) 法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されます。これらは、企業結合から生じる税金及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しています。
① 当期税金
当期税金は、期末日において施行又は実質的に施行されている税率を使用した、当連結会計年度の課税所得に対する納税見込額に、過年度の納税調整額を加えたものです。
② 繰延税金
繰延税金資産及び負債は、会計上の資産及び負債の帳簿価額と税務上の金額との一時差異及び期末日における税務上の繰越欠損金に基づいて算定されています。
なお、次に係る一時差異に対しては繰延税金を認識しません。
・企業結合取引並びに取引時に同額の将来加算一時差異及び将来減算一時差異が生じる取引を除く、会計上の利益と課税所得のどちらにも影響を与えない資産及び負債の当初認識において生じる一時差異
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
子会社、関連会社及び共同支配に対する投資に係る一時差異は、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合は、繰延税金負債を認識していません。
繰延税金資産及び負債は、期末日において施行又は実質的に施行されている法律に基づき、一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と負債を相殺する法的強制力のある権利が存在し、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税企業体に課されている場合に、相殺しています。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異に対して利用できる課税所得が発生すると見込まれる範囲内で認識しています。また、税務上の便益が受けられない可能性が高くなった繰延税金資産は減額しています。