有価証券報告書-第17期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 15:36
【資料】
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【項目】
78項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、欧州債務問題、新興国経済成長の鈍化等が、景気の下振れリスクとなる一方、日本経済は、金融緩和政策等を受けた株価の上昇等を背景に、消費者マインドの持ち直しや企業の業況判断が改善する等、景気回復傾向が強まりました。
このような環境下、当社グループは、急速に利用人口が拡大しているスマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化、ビッグデータを活用したマーケティング、『楽天スーパーSALE』に代表される大型セールイベントの実施を中心に、B to B to Cマーケットプレイス『楽天市場』型のビジネスモデルを世界各国において推進しました。また、取引先への物流代行サービスである『楽天スーパーロジスティクス』等を通じた、物流サービスの強化にも注力しております。インターネット金融については、インターネットサービスとのシナジーが顕著である『楽天カード』を中心に、会員基盤の強化を積極的に行い、事業を拡大しました。国内株式市場の活性化も金融サービスの収益増加に大きく寄与しております。さらには、今後の成長戦略の柱の一つと位置づけるデジタルコンテンツサービスの強化を企図し、電子書籍サービスやビデオストリーミングサービスを国内外で積極的に展開しております。これらの施策等を通じて、「楽天経済圏」の拡大・成長が順調に継続しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は518,568百万円(前連結会計年度比29.5%増)、営業利益は90,244百万円(前連結会計年度比80.3%増)、当期利益(親会社の所有者帰属)は42,900百万円(前連結会計年度比109.4%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2012年1月1日
至2012年12月31日)
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
売上収益400,444518,568118,12429.5%
営業利益50,05590,24440,18980.3%
当期利益
(親会社の所有者帰属)
20,48942,90022,411109.4%

各セグメントにおける業績は次のとおりです。
(インターネットサービス)
当連結会計年度のインターネットサービスセグメントは、主力サービスの『楽天市場』において、スマートデバイス向けサービスの強化、ビッグデータを活用したパーソナライズマーケティング、大型セールイベント『楽天スーパーSALE』、東北楽天ゴールデンイーグルス初の日本シリーズ優勝を記念したセールの開催等の各種施策を積極的に展開しました。なお、『楽天スーパーロジスティクス』等を通じた、B to B to Cマーケットプレイス型ビジネスモデルに適合した物流サービスの拡充にも注力しております。こうした取組の結果、ユニーク購入者数及び注文件数は堅調に推移し、国内EC流通総額は前連結会計年度比19.8%増となり、引き続き高い成長が継続しております。トラベルサービスにおいては、レジャー向け販売、レンタカー、インバウンドサービス(外国語サイトからの予約サービス)等の需要が好調だった結果、予約流通総額が前連結会計年度比 15.2%増となりました。
海外事業については、マーケットプレイス型サービスに重点を置くと共に、ポイントプログラム、『楽天スーパーSALE』等の日本で奏功している各種戦略ノウハウを横展開した結果、同サービスの流通総額が成長し、業容の拡大に貢献しております。
また、デジタルコンテンツサービスの強化に向けて、電子書籍サービスの『kobo』やビデオストリーミングサービスの新製品及び新サービスの提供を行いました。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は315,228百万円(前連結会計年度比16.6%増)となりました。セグメント利益は、将来成長分野への先行投資を継続しているものの、既存事業からの利益は順調に増加しており、47,455百万円となりました。前連結会計年度比では、前連結会計年度で計上した減損の反動もあり、87.5%増となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2012年1月1日
至2012年12月31日)
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
セグメント売上収益270,255315,22844,97316.6%
セグメント損益25,30547,45522,15087.5%

(インターネット金融)
当連結会計年度のインターネット金融セグメントは、クレジットカード関連サービスにおいては、『楽天カード』会員の増加に伴いショッピング取扱高が前連結会計年度比42.0%増となりました。リボ残高も順調に積み上がったことにより手数料収入等が増加し、顕著な利益成長が継続しております。証券サービスにおいては、金融市場の活性化を背景に、国内株式売買代金が前連結会計年度比で236.9%増加する等、売上収益及び利益が大幅に増加しました。銀行サービスにおいては、ローン残高が堅調に増加したことにより、貸出金利息収益が増加しました。
この結果、インターネット金融セグメントにおける売上収益は201,494百万円(前連結会計年度比59.2%増)、セグメント利益は44,174百万円(前連結会計年度比117.8%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2012年1月1日
至2012年12月31日)
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
セグメント売上収益126,562201,49474,93259.2%
セグメント損益20,28444,17423,890117.8%

(その他)
当連結会計年度のその他セグメントは、通信サービスにおいては、経営効率化に加え、クラウドサービスや『楽天でんわ』等のスマートフォン向け通話サービスが好調だったことにより、営業利益は堅調に推移しております。プロスポーツ関連においては、球団創設以来初の日本シリーズ優勝が寄与し、観客動員数が過去最高を記録するとともに、関連グッズの売上が好調でした。
この結果、その他セグメントにおける売上収益は35,746百万円(前連結会計年度比7.4%増)、セグメント利益は3,762百万円(前連結会計年度比33.2%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2012年1月1日
至2012年12月31日)
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
セグメント売上収益33,27135,7462,4757.4%
セグメント損益2,8253,76293733.2%

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ113,894百万円増加し、384,008百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,485百万円の資金流入(前年同期は104,687百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が141,895百万円、金融市場の活性化に伴い証券事業の金融資産及び同負債が変動したことによるネットの資金流出が83,368百万円(金融資産増加による資金流出が603,284百万円、金融負債増加による資金流入が519,916百万円)、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が50,149百万円、銀行事業のコールローンの増加による資金流出が32,000百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が150,429百万円、税引前当期利益による資金流入が88,610百万円、非資金項目である減価償却費及び償却費を26,086百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、30,584百万円の資金流入(前年同期は67,440百万円の資金流入)となりました。これは主に、子会社の取得による資金流出が30,198百万円、ソフトウェア等の無形資産の取得による資金流出が22,412百万円となった一方で、銀行事業の有価証券の売却及び償還等によるネットの資金流入が100,666百万円(有価証券の取得による資金流出が150,512百万円、有価証券の売却及び償還による資金流入が251,178百万円)となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、75,252百万円の資金流入(前年同期は56,820百万円の資金流出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が66,966百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が63,210百万円、短期借入金の純増による資金流入が62,305百万円、コマーシャル・ペーパーの増加による資金流入が23,000百万円となったことによるものです。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異
当連結会計年度(自 2013年1月1日 至 2013年12月31日)
①売上収益
当社グループが顧客による継続的なアクセスやショッピングを促す目的等で展開するポイントプログラムにおけるポイントに関する将来の負担について、日本基準では、ポイント引当金繰入額として販売費及び一般管理費に計上しておりますが、IFRSでは、そのうち、IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」の規定に該当するポイントは、付与時に売上収益から控除しております。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約28,157百万円減少しております。
当社グループにおける書籍等の一部の販売について、日本基準では売上高を計上し、関連する売上原価を総額表示しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が、当社グループが他の第三者の代理人の立場で行われるものと判断されるため、売上収益を純額表示しております。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約24,131百万円減少しております。
②営業利益
のれんは、日本基準では一定の期間に亘って規則的に償却されていますが、IFRSでは償却されず、減損テストの実施が求められています。この影響により、IFRSの営業利益は日本基準に比べ約8,514百万円増加しております。