有価証券報告書-第18期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 15:00
【資料】
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【項目】
68項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米国の金融緩和縮小による影響が懸念されるなか、新興国経済の先行き、原油価格の動向等についても不確実性が高まりました。日本経済は、消費税引上げ後の消費マインドの低下など、景気を下押しするリスクはあるものの、雇用・所得環境の改善等もあり、緩やかな回復基調を続けております。
他方、総務省が発表した最新の情報通信白書(※)によると、インターネット、携帯電話等の情報通信技術(ICT) は、多くの途上国においても急激に普及が進んでおります。2005年には全世界で10.2億人だった世界のインターネットユーザーは増加を続け、2014年時点で29.2億人に達しております。とりわけ、モバイルインターネットの基盤となるスマートフォンユーザーは、17.5億人に達するとされております。
このような環境下、当社グループは、成長戦略を一段と進めております。2014年3月には、世界各国でモバイルメッセージング及びVoIPサービスを展開するVIBER MEDIA LTD.(以下「Viber社」)を買収し、完全子会社化しました。Viber社が持つ幅広い顧客基盤は、当社グループのデジタル戦略を補完するとともに、インターネットサービス、インターネット金融サービスをグローバルに展開するためのプラットフォームを、より強固にすると考えております。また2014年10月には、米国最大級の会員制オンライン・キャッシュバック・サイトを展開するEbates Inc.(以下「Ebates社」)を買収し、完全子会社化しました。Ebates社の強固な小売店ネットワークと、当社グループの事業資産及びテクノロジーを統合することで、当社グループは、独創的かつ革新的なECプラットフォームを構築できると考えております。
このほか、インターネットサービスにおいては、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化や、『楽天スーパーSALE』に代表される大型セールイベントを実施し、『楽天市場』型のB to B to Cマーケットプレイスビジネスを世界各国において推進しました。また、インターネット金融においては、『楽天カード』の会員基盤が一層拡大する等、「楽天経済圏」の拡大・成長が順調に継続しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は598,565百万円(前連結会計年度比15.4%増)、営業利益は106,397百万円(前連結会計年度比17.9%増)、当期利益(親会社の所有者帰属)は70,614百万円(前連結会計年度比64.6%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
(自2014年1月1日
至2014年12月31日)
売上収益518,568598,56579,99715.4%
営業利益90,244106,39716,15317.9%
当期利益
(親会社の所有者帰属)
42,90070,61427,71464.6%

※出典:2014年 情報通信に関する現状報告(総務省)
各セグメントにおける業績は次のとおりです。
(インターネットサービス)
当連結会計年度のインターネットサービスセグメントは、主力サービスの『楽天市場』において、スマートデバイス向けサービスの強化、ビッグデータを活用したパーソナライズマーケティング、大型セールイベント『楽天スーパーSALE』等の各種施策を積極的に展開しました。こうした取組の結果、前連結会計年度の業績に大きく寄与した『楽天日本一セール』等の剥落にもかかわらず、当連結会計年度の国内EC流通総額は、前連結会計年度比13.7%増と高い成長を継続しました。トラベルサービスにおいては、レジャー向け販売、法人、レンタカー、インバウンドサービス等の需要が好調でした。
海外ECサービスについては、マーケットプレイス型サービスの展開に重点を置き、日本で奏功した各種ノウハウを横展開することで、流通総額の成長に寄与しております。また、2014年10月には、Ebates社を子会社化し、業容の拡大につながりました。
また、コンテンツサービスの領域においては、将来の利益成長に向けた戦略投資を継続する一方、固定費削減等にも取り組み、業績は改善基調にあります。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は362,751百万円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。セグメント利益は、将来成長分野への先行投資を継続しているものの、既存事業からの利益は順調に増加しており、58,806百万円となり、前連結会計年度で計上した減損損失の反動もあり、前連結会計年度比では23.9%増となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
(自2014年1月1日
至2014年12月31日)
セグメント売上収益315,228362,75147,52315.1%
セグメント損益47,45558,80611,35123.9%

(インターネット金融)
当連結会計年度のインターネット金融セグメントは、クレジットカード関連サービスにおいては、『楽天カード』会員の増加に伴い、ショッピング取扱高が前連結会計年度と比べ、大幅に増加しました。また、リボ残高が順調に積み上がったことで手数料収入等が増加し、顕著な利益成長が継続しております。証券サービスにおいては、収益の安定化につながる投資信託の残高が大幅に伸びており、加えて、為替取引サービスによる手数料収入も順調に推移しております。しかしながら、前連結会計年度と比べ、株式市況等の影響を受けております。一方、銀行サービスにおいては、ローン残高が順調に増加したことにより、収益及び利益が大幅に拡大しました。
この結果、インターネット金融セグメントにおける売上収益は236,520百万円(前連結会計年度比17.4%増)、セグメント利益は48,399百万円(前連結会計年度比9.6%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
(自2014年1月1日
至2014年12月31日)
セグメント売上収益201,494236,52035,02617.4%
セグメント損益44,17448,3994,2259.6%

(その他)
当連結会計年度のその他セグメントは、プロスポーツ関連において、スポンサー収入及び関連グッズ販売の成長に加え、主力選手の移籍に伴う譲渡金収入もあり、収益は堅調に推移しました。他方、2014年3月に連結子会社化したViber社においては、将来の成長に向けた戦略投資を行っております。
この結果、その他セグメントにおける売上収益は42,445百万円(前連結会計年度比18.7%増)、セグメント損失は639百万円(前連結会計年度比-%)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
(自2013年1月1日
至2013年12月31日)
(自2014年1月1日
至2014年12月31日)
セグメント売上収益35,74642,4456,69918.7%
セグメント損益3,762△639△4,401-%

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ44,627百万円増加し、428,635百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ16,112百万円増加し、246,411百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、111,860百万円の資金流入(前連結会計年度は1,485百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が148,572百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が177,383百万円、税引前当期利益を104,245百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、261,085百万円の資金流出(前連結会計年度は30,584百万円の資金流入)となりました。これは主に、子会社の取得による資金流出が174,469百万円、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が23,697百万円(有価証券の取得による資金流出が365,787百万円、売却及び償還による資金流入が342,090百万円)となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、189,512百万円の資金流入(前連結会計年度は75,252百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金によるネットの資金流入が169,043百万円(長期借入金による資金流入が251,860百万円、長期借入金の返済による資金流出が82,817百万円)、社債発行に伴う資金流入が29,828百万円となったことによるものです。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異
当連結会計年度(自 2014年1月1日 至 2014年12月31日)
①売上収益
当社グループが顧客による継続的なアクセスやショッピングを促す目的等で展開するポイントプログラムにおけるポイントに関する将来の負担について、日本基準では、ポイント引当金繰入額として販売費及び一般管理費に計上しておりますが、IFRSでは、そのうち、IFRIC第13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」の規定に該当するポイントは、付与時に売上収益から控除しております。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約35,684百万円減少しております。
当社グループにおける書籍等の販売等について、日本基準では売上高を計上し、関連する売上原価を総額表示しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が、当社グループが他の第三者の代理人の立場で行われるものと判断されるため、売上収益を純額表示しております。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約26,488百万円減少しております。
②営業利益
のれんは、日本基準では一定の期間に亘って規則的に償却されていますが、IFRSでは償却されず、減損テストの実施が求められています。この影響により、IFRSの営業利益は日本基準に比べ約14,202百万円増加しております。