四半期報告書-第29期第3四半期(平成30年9月1日-平成30年11月30日)

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2019/01/11 10:06
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 連結経営成績に関する定性的情報
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、政府による経済対策及び金融政策等の影響もあり、雇用情勢
の改善等緩やかな回復基調が続く一方で、米国の政策動向に伴う影響や、中国・新興国経済の成長鈍化懸念並びに中東・東アジアの地政学的リスク等、世界景気の減速懸念が広がり先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
このような環境の中、当社グループは「人の能力をプロデュースすることにより社会に貢献する」ことを理念と
して掲げ、事業を運営してまいりました。当社グループのネットワークする、クリエイター、医師、ITエンジニ
ア、弁護士、会計士、建築士、ファッションデザイナー、シェフ、プロフェッサー等、専門的な能力を有するプロ
フェッショナルへのニーズは旺盛で、事業が堅調に推移するとともに、今後の成長に繋がる取り組みを積極的に推
進してまいりました。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高においては前年同期実績を上回り、順調に推移いたしました。一方で、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益については、グループ拠点の移転統合による一時的な費用及び、新規事業投資の影響により前年同期実績を下回りましたが、期初に掲げた計画通りに進捗いたしました。
売上高は、クリエイティブ分野(日本)を中心に好調に推移いたしました。2017年6月29日付「孫会社の異動に
関するお知らせ」にて公表いたしました、孫会社であるCREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.が当社連結子会
社から持分法適用関連会社に異動したことによるマイナス要因を吸収し、順調に拡大しております。
利益面においては、クリエイティブ分野(日本)において、制作スタジオを核としたプロデュース事業及び人材派遣等のエージェンシー事業がともに伸長する等、2018年10月に実施した東京エリアのグループ拠点の移転統合にかかる費用並びに、新たに設立や子会社化した新規事業への投資を含め、計画通りに推移いたしました。
これらの結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高22,084百万円(前年同期比108.8%)、営業利益1,392百万円(前年同期比93.7%)、経常利益1,391百万円(前年同期比93.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益811百万円(前年同期比93.4%)となりました。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第4 経理の状況1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照下さい。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は次のとおりであります。
① クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)は、グループの中核となる当社が、映像、ゲーム、Web・モバイル、広告・出版
等のクリエイティブ領域で活躍するクリエイターを対象としたプロデュース、エージェンシー、ライツマネジメ
ント事業を展開しております。
映像・TV・映像技術関連分野においては、制作スタジオを中心にTV番組の企画・制作力を強化し、バラエティ、情報、ドキュメンタリー等地上波、BS番組の需要増に対応するとともに、動画配信サービスへの取り組みを積極的に推進しております。また、TVディレクターの育成講座の開催や日本全国の放送局をネットワーク化する等、当社独自のサービス拡充を通じて、TV番組をはじめとした動画制作スタッフ数は順調に増加しております。
連結子会社である株式会社プロフェッショナルメディアと共同開発した映像業界の求人情報サイト「映像しご
と.com」(2017年8月開設)からの採用も着実に伸長しております。
YouTube「オンラインクリエイターズ」の運用においては、YouTuberによりアップロードされた動画の再生回
数が堅調に推移している他、企業やTV番組のYouTubeチャンネルの運用受託が増加しております。また、戦略的パートナーである東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市幸区、取締役社長:錦織 弘信)が保有するAI(人工知能)「RECAIUS™(リカイアス)」の音声合成技術を活用して、YouTuberに代わって外国語チャンネルの運営を行ない、国内のYouTuberの新たな収益につなげる取り組み等で、チャンネル数の拡大を図っております。さらに、同技術を活用して海外人気YouTubeチャンネル「WatchMojo.com」と共同で、3つのサブチャンネル「Unveiled」「MojoPlays」「MsMojo」の日本語版チャンネルを2018年10月に開設し、共同運営を開始いたしました。
ゲーム分野においては、制作スタジオでの制作受託案件や、韓国の現地法人CREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.
など海外と連携した共同開発、IPを活用した自社開発や他社コンテンツとコラボレーションしたイベントの開催
を行なっております。さらに制作スタジオでは、コンシューマー、アミューズメント、ソーシャルゲーム分野の
受託開発や運営を進めながら、制作スタジオを核として、「クリエイティブ・アカデミー」や「TECH STADIUM」
といった業界未経験者のための無料育成機関を立ち上げ、人手不足と言われるゲーム業界のニーズに着実に対応
しております。
2018年7月4日に、シリコンスタジオ株式会社から新設分割によりコンテンツ事業の一部を継承し、株式取得
により連結子会社化した株式会社クレイテックワークスは、ゲームコンテンツ開発における高い技術力を有して
おり、当社の持つクリエイティブ・ノウハウとの融合を進めております。
さらに、世界的な広がりを見せているeスポーツなどのイベント事業への取り組みも強化しております。2018年8月には社会人限定の格闘ゲーム大会「〈激突空間〉企業対抗格ゲートーナメント2018夏」を主催した他、アニメやゲームなどの人気コンテンツとのコラボレーションイベント「アトラクションフェスタ」を首都圏各所で開催し、知財流通とイベント運営という新たな収益モデルを模索しております。
VR(Virtual Reality:仮想現実)への取り組みに関しては、連結子会社株式会社VR JapanとIDEALENS社のVRゴ
ーグルを活用した「VR遠隔医療教育通信システム」などのコンテンツ配信システムの開発及び、企業の教育研修やアミューズメント施設をはじめ、ホテルや観光施設、イベントや展示会など、ビジネス領域においてハードからコンテンツまで一貫したソリューションの提供を進め、実績を積み重ねております。
Web分野においては、Web業界、広告業界及び出版業界に特化した業界最大級の求人情報サイト「Webist(ウ
ェビスト)」によりWebクリエイターの採用とネットワークを強化し、エージェンシー事業が伸長している他、拡張したWebスタジオにおいて、官公庁等の大規模Webサイトの制作案件が増加し、当社独自の採用、育成による
アカウントプロデューサー社員を中心に対応しております。また、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)領域の求人情報サイト「Symbiorise(シンビオライズ)」を開設してデータ分析者を企業に紹介する等、デジタルマーケティング分野のサービスも拡充しております。
出版分野では、Amazon Kindleを始めとした複数の電子書店に対し当社が取次を行なう電子書籍取次事業にお
いて、配信数、ダウンロード数が順調に増加しております。さらに、中国での映像コンテンツの需要拡大を捉
え、日本の原作を紹介し、現地で映像化する権利を仲介する海外版権エージェントが伸長しております。
建築分野では、一級建築士を紹介するエージェント事業が堅調に成長している他、特徴的な賃貸物件をプロデュースする「CREATIVE RESIDENCEⓇ」の新シリーズ 屋内ガレージ付きの戸建賃貸「STAPLE HOUSE」を開始し、オーナーからの引き合いが増加しております。
新たな分野への取り組みとして、ドローン(無人飛行機)事業の収益化に取り組んでいる他、演劇役者や落語家、歌手、マジシャン等の舞台や空間上で行なわれる芸術家のための「舞台芸術エージェンシー」事業を開始し、積極的な営業活動を展開しております。
当第3四半期連結累計期間における売上高は、前年同期を上回り順調に推移いたしました。利益面では、既存
事業部門における需要増に伴う人員増強に加え、新規エージェンシー事業の立ち上げ及び、2018年7月に株式会
社クレイテックワークスを子会社化したことにより販売管理費が増加した一方で、制作スタジオにて利益率の高
い制作受託案件が増加したこと及び、人材派遣等のエージェンシー事業の伸長等により、2018年10月のグループ拠点の移転統合にかかる費用を吸収し、前年同期を上回り過去最高の業績となりました。
これらの結果、クリエイティブ分野(日本)は売上高16,339百万円(前年同期比116.0%)、セグメント利益(営業利益)840百万円(前年同期比102.4%)となりました。
② クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)は、連結子会社CREEK & RIVER KOREA Co.,Ltd.が、ライツマネジメント事業を中
心に展開しております。
2018年5月より当社と共同で、韓国の人気スマートフォン(スマホ)ゲームを日本で配信する「日韓ゲーム共同パブリッシング事業」を開始し、ライツマネジメント事業の立ち上げを図っております。2018年8月23日より3D学園バトルロマンスRPG「フリージング エクステンション」を当社と共同で配信開始をした他、RPG「ファイブキングダム―偽りの王国―」を株式会社リイカ(本社:東京都新宿区、代表取締役:永谷俊介)と共同で配信し、様々なキャンペーン施策によるプロモーションを行ない、ダウンロード件数の伸長とともにファンへの認知を拡大しております。
当第3四半期連結累計期間における売上高及びセグメント利益は、2017年6月29日付「孫会社の異動に関する
お知らせ」にて公表いたしました通り、CREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co.,Ltd.が当社連結子会社から持分法適
用関連会社に異動したことに伴い、現時点では前年同期を下回っておりますが、今後に繋がる取り組みが本格的
にスタートいたしました。
これらの結果、クリエイティブ分野(韓国)は売上高25百万円(前年同期比2.6%)、セグメント損失(営業損失)11百万円(前年同期はセグメント利益4百万円)となりました。
③ 医療分野
医療分野は、連結子会社株式会社メディカル・プリンシプル社が、「民間医局」のブランドのもと、ドクター・エージェンシーを中心とした事業展開をしております。
医療機関や自治体、医師や看護師の多様なニーズに応えるべく、医師の紹介事業を中心に、医学生・研修医を
対象とした「レジナビフェア」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、医師の転職・求人・募集情報サイト
「MediGate(メディゲート)」、医師を対象に提供する教育プログラム「民間医局アカデミー」等のサービスを
展開しております。全国16拠点の体制により、医療機関・医師に対するきめ細やかなサービスを提供しております。
また、2018年8月には、帝京大学大学院公衆衛生学研究科(所在地:東京都板橋区 理事長:冲永佳史)と、公衆衛生分野における教育及び人材育成、キャリア支援を目的とした包括連携に関する協定書を締結し、労働者
の健康保持やメンタルヘルス、過重労働の問題など、労働安全衛生に精通した優秀な人材を企業へ紹介するサー
ビスを開始いたしました。
全国各地での慢性的な医師不足、地域的偏在を背景に、医師へのニーズは引き続き高く、当第3四半期連結累計期間における売上高及びセグメント利益は前年同期を上回り、概ね計画通りに推移いたしました。
これらの結果、医療分野は売上高3,063百万円(前年同期比104.6%)、セグメント利益(営業利益)600百万円(前年同期比103.2%)となりました。
④ 会計・法曹分野
会計・法曹分野は、連結子会社ジャスネットコミュニケーションズ株式会社及び連結子会社株式会社C&Rリ
ーガル・エージェンシー社が、会計士や弁護士を対象としたエージェンシー事業を中心に展開しております。
各種関連団体との関係強化、クライアント企業・事務所との共同セミナーの積極的な開催等を通じ、業界内に
おける認知度向上を図り、エージェンシー事業のさらなる拡大に努めております。
また、これまでに培ってきたネットワークを活かし、会計事務所やその顧問先の事業承継ニーズに対応すべ
く、「事業承継・M&A支援サービス」を本格的に開始した他、多様な会計分野の働き方に対応するために、在宅で活躍する会計人材の紹介事業を行なう等、サービスの拡充を図っております。法曹領域では、世界中の弁護士を繋ぐSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)プラットフォーム「JURISTERRA(ジュリステラ)」に、「RECAIUS™(リカイアス)」の音声認識技術を活用した「音声書き起こしエディタ」の機能を追加する等、本格稼働に向けた開発を進めております。
会計・法曹分野における専門的な能力を有するプロフェッショナルへのニーズは堅調で、当第3四半期連結累
計期間における売上高は前年同期を上回ったものの、積極的に人員増強を進めたことや今後に向けて広告宣伝費を戦略的に投下したこと等により、セグメント利益は前年同期を下回る結果となりました。
これらの結果、会計・法曹分野は売上高1,438百万円(前年同期比105.4%)、セグメント利益(営業利益)79百万円(前年同期比66.3%)となりました。
⑤ その他の事業
IT分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社株式会社リーディング・エッジ社では、ロボット・AI等、市場ニーズに合わせ、プログラム言語Pythonに精通した4,000名以上のエンジニア等のネットワークを構築し、IT技術者の採用や育成、紹介に取り組んでおります。
ファッション分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社株式会社インター・ベルにおいては、不採算案
件の見直し等事業基盤の再構築を進めるとともに、強みである独自教育プログラムにより、販売員の育成を強化
しております。
人材メディア事業を展開する連結子会社株式会社プロフェッショナルメディアにおいては、広告・Web業界専
門の求人サイト「広告転職.com」と、2018年7月に全面リニューアルした広告・Web領域の派遣求人サイト「ク
リエイティブ派遣.com」を中心としたメディア事業の収益基盤が整い、映像分野やファッション分野等へ同様の
ビジネスモデルを展開し、収益の多様化を図っております。
連結子会社株式会社VR Japanは、IDEALENS社の一体型VRゴーグルの国内での拡販を図るため、当社と共同でマーケティング活動を行なっております。建設業界向けの「VR安全衛生教育サービス」を積極的に推進する等、事業基盤の拡充を図っております。
AIを用いたシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行なう連結子会社株式会社Idrasysは、碩網資訊
股份有限公司(本社:台湾新北市、代表取締役:邱 仁鈿、英文名称 Intumit Inc.)が開発したAIプラットフォ
ーム(インテリジェントロボット)「SmartRobot™」の日本における事業展開を行なっております。
「SmartRobot™」を活用した自動応答システムである「チャットボット」を中心に国内での販売活動を強化し、そこから得た情報によりAIを用いた日本向けシステムの研究や開発を進めております。
データ分析サービス事業を展開する連結子会社エコノミックインデックス株式会社は、独自開発した潜在キー
ワードやトピックを解析し、改善策を提案するデータ解析サービス「Strategy Finder(ストラテジー ファイン
ダー)」の収益化に取り組むとともに、データ解析結果に基づくWebマーケティングに関するソリューションサ
ービスを提供しております。
当第3四半期連結累計期間における売上高は、IT分野におけるエージェンシー事業が伸長したこと等により前
年同期を大きく上回る一方で、利益面ではAI等の新たな市場への取り組みを強化したこと等に伴う先行投資によ
り前年同期を下回りましたが、概ね計画通りに推移いたしました。
これらの結果、その他の事業は売上高1,216百万円(前年同期比130.4%)、セグメント損失(営業損失)107百万円(前年同期はセグメント損失39百万円)となりました。
(2) 連結財政状態に関する定性的情報
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末より834百万円増加し9,912百万円となりました。これは、主として現金及び預金の増加等によるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の固定資産は、前連結会計年度末より1,383百万円増加し4,156百万円となりました。これは主として、事務所移転に伴う有形固定資産の取得や敷金及び保証金の計上等によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末より1,339百万円増加し5,570百万円となりました。これは、主として、事務所移転費用計上による未払金の増加や短期借入金が増加したこと等によるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の固定負債は、前連結会計年度末より825百万円増加し1,404百万円となりました。これは、主として、事務所移転関連資金の調達により長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末より52百万円増加し7,095百万円となりました。これは、主として配当の支払により利益剰余金が減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。