有価証券報告書-第30期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 9:53
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中で、消費税増税や相次ぐ自然災害等による一時的な消費の停滞がありながらも、緩やかな回復基調で推移しておりました。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国内外の経済活動への影響や金融資本市場の変動等への懸念から、極めて先行き不透明な状況となっております。当面の間、企業の業況判断は厳しい状態が続くものと思われますが、当社グループの経営成績等に大きな影響は出ておりません。
このような経済状況のもと、当社グループはストック型ビジネスの基盤をより強固にすべく、前期に引き続き主要事業の会員数の増加に努めるとともに、サービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。
(財政状態)
(ⅰ)資産
当連結会計年度末における流動資産は41億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億30百万円減少しました。これは主に受取手形及び売掛金が1億17百万円、その他(流動資産)が81百万円増加した一方、現金及び預金が7億24百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は47億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億38百万円増加しました。これは主にソフトウエアが3億87百万円、投資有価証券が71百万円、繰延税金資産が52百万円増加したことなどよるものです。
この結果、総資産は89億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ8百万円増加しました。
(ⅱ)負債
当連結会計年度末における流動負債は13億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億45百万円減少しました。これは主に未払法人税等が1億96百万円、その他(流動負債)が67百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は1億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ36百万円減少しました。これは主に長期借入金が50百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は14億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億82百万円減少しました。
(ⅲ)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は74億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億90百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益6億64百万円が計上された一方、剰余金の配当3億60百万円が計上されたことなどによるものです。
この結果、自己資本比率は83.6%(前連結会計年度末は80.4%)となりました。
なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績は、売上高75億63百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益9億51百万円(同32.2%減)、経常利益9億66百万円(同31.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益6億64百万円(同34.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(ⅰ)アカウンティングサービス事業
アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する経理代行を中心とした会計サービスになります。
同事業では前期から引き続き既存チャネルを深耕し、会員数の安定的な増加に注力すると共に、アプリ利用促進に伴うサービス提供体制の構築を進めました。
その結果、当連結会計年度末(2020年3月31日)の会計サービス会員数は68,936名(前連結会計年度末比2,577名増)となりました。
この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は33億22百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は11億21百万円(同16.4%増)となりました。
(ⅱ)コンサルティング事業
コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービスの「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援等になります。
「エフアンドエムクラブ」については、地域金融機関等と新たな連携契約の締結を進めると共に、既に連携済みの金融機関とは共催セミナー及び行員向けの勉強会や営業研修の開催、営業同行などを通じて関係強化に注力することで、営業機会の増強に努めました。また会員企業向けには、働き方改革関連法の施行に伴い対処が必要な事柄について解説した動画を、会員専用サイトにコンテンツとして追加するなどして、提供サービスの拡充に努めました。
その結果、当連結会計年度末(2020年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は6,379社(前連結会計年度末比171社増)となりました。
ISO及びプライバシーマークの認証取得支援については、食品事業者全般にわたって義務化が進められているHACCPの需要への対応に、引き続き注力しました。
「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」として、1次公募と2次公募を合わせて573件の申請支援を行いました。その結果、採択されたのは、単独で支援した165件と金融機関との連携によるものを合わせ、計数百件に上りました。
また3年分として3,600億円が計上された令和元年度補正予算の中小企業生産性革命推進事業における「ものづくり補助金」については、5次締め切り(2021年2月申請)までが確定しており、申請支援を進めています。
この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は29億64百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は9億81百万円(同1.7%減)となりました。
(ⅲ)ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業向けITソリューションの提供等になります。
士業向けコンサルティングとしては、ワンストップ・ファイナンシャルショップを目指す税理士・公認会計士のボランタリーチェーン「TaxHouse」、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」、社会保険労務士事務所の経営を支援する「SR STATION」となります。
「経営革新等支援機関推進協議会」では各地で定期的な勉強会を継続開催すると共に、会員事務所が顧問先企業に対する最適な資金調達の支援や、事業承継・M&Aに関わる多岐にわたる支援事項を総合管理できるコンサルティングシステムを活用して、従来の会計業務以外の分野での事業活動を支援しました。
その結果、当連結会計年度末(2020年3月31日)の「TaxHouse」の加盟事務所数は364件(前連結会計年度末比3件減)、「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は856件(同227件増)、「SR STATION」の加盟事務所数は179件(同14件減)となりました。
企業向けITソリューションの提供としては、年末調整・労働保険・社会保険などの人事業務を時短できるクラウド型労務・人事管理システム「オフィスステーション」シリーズの販売となります。「オフィスステーション」シリーズは、社会保険労務士や税理士等の士業と企業の双方で利用が可能となるマイナンバー管理システム「オフィスステーション マイナンバー」、各種労務関連手続きを電子申請できるシステム「オフィスステーション 労務」、ペーパーレスで年末調整が完了する「オフィスステーション 年末調整」、各種情報端末でいつでも給与明細を閲覧できる「オフィスステーション Web給与明細」、有休の付与・取得・残日数管理を行える「オフィスステーション 有休管理」で構成されております。
労務手続きを巡っては、電子申請義務化を定めた厚生労働省令が公布され、2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)における社会保険・労働保険に関する一部手続きの電子申請が義務化されたため、対象となる企業においては電子申請が可能なシステムの情報収集やトライアル利用が進んでおります。
それらの動きに合わせ、第2四半期では「オフィスステーション」シリーズの認知度向上を目的に、俳優の菅田将暉さんと山中崇さんを起用した広告宣伝活動を行いました。テレビCM制作、民放キー局での放映、主要駅構内・電車・タクシーでの交通広告、ゴルフ場での広告、ビジネス雑誌への広告掲載、ならびに積極的なWebマーケティング活動などを幅広く行ったことにより、成果は一定程度得られたと考えております。これら一連の活動において発生した費用のほぼ全額が、これまで主だった広告宣伝活動を行っていなかった前連結会計年度と比較して増額となり、利益を押し下げる要因となりました。
また、商品の性質上、成約までにはトライアル利用期間を含むこと、さらに他社製品や国が提供しているオンライン申請窓口の「e-Gov」との比較検討等が行われることが多く、売上への貢献に相応の時間を要しています。
機能拡充としては、ユーザーのスムーズなデータ連携実現のため、freee株式会社が運営する「人事労務freee」とのAPIによるサービス連携機能を新たにリリースしました。引き続きHR領域のシステムベンダーとのAPI連携を重ねることでユーザビリティ向上に努め、「オフィスステーション」シリーズの販路拡大を推進いたします。
その結果、当連結会計年度末(2020年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、企業が4,786件(前連結会計年度末比1,988件増)、士業が1,394件(同346件増)となりました。
この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は9億55百万円(前年同期比39.5%増)、営業損失は4億77百万円(前年同期は90百万円の営業利益)となりました。
(ⅳ)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億12百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は33百万円(同1.8%減)となりました。
(ⅴ)その他事業
その他事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。
パソコン教室の本部運営及びFC指導事業においては、受講生に対する積極的なカウンセリングによる継続率の向上に努めました。
この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は2億6百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は74百万円(同42.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当社グループの資本政策は、安定的・継続的な利益還元に努めると共に、収益性向上を図るため、企業価値向上につながる投資を行うことを基本方針としています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億24百万円減少(前年同期比17.0%減)し、35億32百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は5億93百万円(同60.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益9億62百万円、減価償却費3億91百万円などがあった一方、法人税等の支払5億28百万円、売上債権の増加1億22百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は9億12百万円(同215.4%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億44百万円、無形固定資産の取得による支出6億62百万円、投資有価証券の取得による支出1億円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は4億4百万円(同10.1%増)となりました。これは長期借入金の返済による支出50百万円、配当金の支払3億60百万円などがあったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
アカウンティングサービス事業(千円)3,322,641103.3
コンサルティング事業(千円)2,964,904102.3
ビジネスソリューション事業(千円)955,674139.5
不動産賃貸事業(千円)112,92099.0
報告セグメント計(千円)7,356,140106.4
その他(千円)206,922100.3
合計(千円)7,563,063106.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。
[アカウンティングサービス事業]
主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は18.9万人(2018年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和元年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。また、昨今政府が働き方改革の一環として副業を推進していることを受け、シェアリングエコノミーサービス提供者が急激に増加しており、2030年度には11兆円を超える市場規模になると予測されています。その中には確定申告に慣れていない人が少なくないことから、関連業界が啓発のためのイベントを開くなど支援に取り組んでいることは、同事業においては追い風のひとつとなっております。当社グループでも提供している、スマートフォンで帳簿付けが行える会計アプリは数多く存在していますが、活用にあたっては、手間がかかることや入力内容の間違いに気付きにくいこと、また一定程度の税務知識が必要であるなどの課題があります。同事業で提供している会計サービス「カルク」は、必要経費の領収書・レシート、売上に関する書類を封筒に入れて送り、計算結果や書類の提出状況を後日アプリで確認できるサービスです。そのため、前述の課題を解消することが可能であり、マーケットの拡大に伴う需要の増加は充分に期待できるものと考えております。営業活動においては、これまでの対面型に加えてWebマーケティングを推進し、一部のセミナー等は専用のアプリを用いて行うなどして、契約までの導線を新たに確保し、一定の成果をあげております。
費用の圧縮については、AIの活用による主に処理工程における業務効率化を進めました。AI学習には相応の時間を要するため、現時点で劇的な費用圧縮には貢献しておりませんが、顧客増に比例した処理量の増大に対処する人員増加のペースを緩やかにしていることが、売上原価率ならびに営業利益率の改善に貢献していると考えております。
[コンサルティング事業]
主な収益はエフアンドエムクラブの運営によるものです。売上拡大のためには、新規会員企業獲得のための営業活動を強化すると共に、長くサービス利用を継続していただくための取り組みが必要となるため、契約継続率に注目しております。同事業の売上高は前期を上回ったものの、エフアンドエムクラブ会員の増加ペースは鈍化いたしました。
2018年3月期2019年3月期2020年3月期
期末会員数増減数期末会員数増減数期末会員数増減数
エフアンドエムクラブ会員数5,8762926,2083326,379171

その要因は、会員の新規獲得が進まなかったことと、契約継続率が計画を下回ったことになります。新規獲得が進まなかった背景は、ビジネスソリューション事業における「オフィスステーション」シリーズの販売強化のため、期中に人員を一時的に異動させたことで営業人員が減少したことになります。営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、先義後利を指針に据えた活動は高く評価をいただいており、業務提携済みの地域金融機関は1年間で33行庫増え115行庫となりました。今後も開拓を進めると共に、良好な関係の元で営業活動を継続いたします。契約継続率が計画を下回った要因については、対面のニーズに対応しようとしたことによる面談頻度のコントロール不足、コンサルタント各人の習熟度に依存したフォロー活動が充分な顧客満足に至らなかったことなどであると考えております。今後はコロナ禍によって一気に進んだオンライン面談の普及を足掛かりに、対面による面談以外の複数の接触機会を設けていきます。また、会員企業への支援について、企業ごとの課題解消のためのロードマップをより踏み込んで検討すること、支援にあたって提供するサービスの種類や方法、進捗状況の見える化を進めることなどにより、契約継続率の改善に努めます。
エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴うフィーの支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として打ち出されている、給付金をはじめとした様々な支援の活用について、多くの相談がパートナーである地域金融機関に寄せられている現在の状況は営業機会の増強につながります。2021年3月期は主に下半期に向けた「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化に伴い、手数料支払いは増える見込みです。また同セグメントにおいては、令和元年度補正予算分「ものづくり補助金」の公募要領が変更になったことに伴い、関連する売上の一部が翌期に繰り越されることが利益を押し下げることになります。その一方で、通年公募になったことでより多くの企業の支援を行える見込みであり、この影響は一時的なものであると認識しております。
[ビジネスソリューション事業]
税理士・公認会計士事務所向けサービスである「経営革新等支援機関推進協議会」の会員獲得が計画を下回ったことが、同事業の売上を押し下げました。「経営革新等支援機関」の認定制度は、2018年7月9日から更新制が導入されたことで、同認定が事業活動上必須と言っても過言ではない税理士・公認会計士事務所にとっては、実績作りが絶対条件となります。「経営革新等支援機関推進協議会」では、実務に役立つノウハウやツールを提供しているため、このような背景を追い風に営業活動を進めました。ただ、税理士・公認会計士事務所においては、中小企業経営の実務支援はこれまでの業務に追加される取り組みとなるため、時間の確保や対応できる事務所職員の育成などが課題となり、会員獲得を計画通り進めることができませんでした。これについては、財務・事業承継・M&Aの継続的な支援が可能になるコンサルティングシステムの積極活用を推進することで契約へのハードルを下げ、営業活動を強化してまいります。
「オフィスステーション」シリーズの拡販については計画通り進めることができましたが、広告宣伝活動に関する費用を期中で増額したことにより利益を大きく押し下げました。当連結会計年度は、同事業での利益貢献は無いものとして計画しておりましたが、費用の増額によりそのマイナス幅が大きくなり、全社の経営成績に多大な影響を与えることとなりました。しかしながら、行政手続きに関するSaaSビジネスにおいて法改正が行われることは、またとない大きなビジネスチャンスであるため、この時期に費用をかけて認知度を一気に上げることが、その後の事業展開において不可欠であると考えました。今後も、費用は減額するものの継続して広告宣伝活動は行ってまいります。投下した費用の回収は先となりますが、他の2つのセグメントでのビジネスと違い、提供するものがサービスではなくシステムであるため、契約先に対する個別のフォロー工数がかからず営業利益率の高いビジネスとなります。そのため、まずはユーザー数を増やすことで面を取る戦略を展開してまいります。
「オフィスステーション」シリーズは利便性向上のため、機能追加や新しいプロダクトの開発を継続して行うことから、減価償却費が増額となり売上原価率を押し下げる要因となりますが、開発計画については内容を十分精査することでコストコントロールを行います。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としています。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としておりますが、当連結会計年度の自己資本比率は83.6%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しております。
経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。
(単位:百万円)
2019年3月期2020年3月期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー1,489593△896
投資活動によるキャッシュ・フロー△289△912△623
フリー・キャッシュ・フロー1,199△319△1,519

当連結会計年度においては、ビジネスソリューション事業において「オフィスステーション」シリーズの拡販における活動の一環として、認知度向上を目的に広告宣伝活動を行いました。当年度で取り組んだ背景には、2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)において社会保険・労働保険に関する一部手続きの電子申請義務化という法改正があります。テレビCM、交通広告、雑誌への広告掲載、Webマーケティング活動などを行いましたが、これまでは主だった広告宣伝活動を行っていなかったため、これらの活動において発生した費用のほぼ全額が前年度と比較して増額となり、営業キャッシュ・フローを大きく押し下げました。また、「オフィスステーション」シリーズの開発を強化したことで固定資産の取得が進み、投資活動による支出を増加させました。収益貢献開始は2022年3月期以降になりますが、成長力・収益力の両面から今後の成長エンジンと考えており、政府のデジタル・ガバメント実行計画の推進に合わせ、着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。引き続き、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品で運用しています。
株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長に応じた配当水準の向上に努めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、特に下記の会計方針が、当社グループの重要な判断に影響を及ぼすと考えております。
[繰延税金資産]
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の金額を算定するに当たっては、将来の利益計画を慎重に検討したうえで将来の回収可能見込額を算定し、繰延税金資産との差額を評価性引当額として認識しております。
[固定資産の減損処理]
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

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