有価証券報告書-第31期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けた休業要請や外出自粛の強まりを背景に、企業収益や雇用情勢の悪化、個人消費の落ち込みなど、厳しい状況で推移いたしました。
景気の先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善、デジタル改革やグリーン社会の実現などの新たな目標に向けた規制改革や投資によって持ち直すことが期待されています。しかし、依然として感染が再拡大するリスクや感染の動向が内外経済に与える影響について留意が必要な状況が続いております。
このような経済状況のもと、当社グループはテレワークや時差通勤、オンラインでの商談や顧客フォローなどを積極的に推進することで、従業員及び顧客等の安全確保を優先するとともに、主要事業の会員数の増加およびサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。
(財政状態)
(ⅰ)資産
当連結会計年度末における流動資産は41億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ6百万円減少しました。これは主に受取手形及び売掛金が73百万円が増加した一方、現金及び預金が25百万円、その他(流動資産)が58百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は56億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億21百万円増加しました。これは主にソフトウエアが5億91百万円、その他(無形固定資産)が91百万円、投資有価証券が1億21百万円増加したことなどよるものです。
この結果、総資産は97億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億15百万円増加しました。
(ⅱ)負債
当連結会計年度末における流動負債は16億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億44百万円増加しました。これは主に未払法人税等が1億46百万円、その他(流動負債)が2億21百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は1億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ16百万円減少しました。これは主に長期借入金が24百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は17億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億28百万円増加しました。
(ⅲ)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は79億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億87百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益8億43百万円が計上された一方、剰余金の配当4億4百万円が計上されたことなどによるものです。
この結果、自己資本比率は81.7%(前連結会計年度末は83.6%)となりました。
なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績は、売上高81億64百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益12億19百万円(同28.1%増)、経常利益12億37百万円(同28.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億43百万円(同27.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(ⅰ)アカウンティングサービス事業
アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する経理代行を中心とした会計サービスになります。同事業においては、コロナ禍の影響により訪問を伴う活動が制限された地域はあったものの、許容された地域においては積極的な営業活動を行うと共に、各生命保険会社が新入社員向けに定期的に行っている研修に参加するなどして営業機会の増強に努めました。併せて契約はオンラインで完結するようシステム開発を行い、対面に限らない営業手法を確立することで、より効率的な営業活動を実現させました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の会計サービス会員数は73,284名(前連結会計年度末比4,348名増)となりました。
この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は34億46百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は12億32百万円(同9.9%増)となりました。
(ⅱ)コンサルティング事業
コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービスの「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援等になります。
「エフアンドエムクラブ」については、地域金融機関等と新たな連携契約の締結を進めると共に、コロナ禍により定着したオンラインでの経営者向けセミナーを連携先地域金融機関と共に積極的に開催しました。特に持続化給付金の後継として「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の創設が発表されて以降は、同補助金に関する問い合わせが数多く発生し、営業機会の増強に繋がりました。また会員企業向けには訪問に依存したフォロー体制から、Webセミナーやオンラインでの面談に転換することで生産性を向上させ、新たにサービスラインナップに加えた、半年後の資金繰りを簡易的に把握することで資金ショートを未然に防ぐことができる「資金繰りCompass」の活用促進に注力しました。また、人事考課制度作成を自社で行える「はじめて人事考課」は、より使いやすく内容を見直すなどして、会員企業がサービスを定期的に、また自発的に利用できるサービス提供体制の構築を進めました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は6,746社(前連結会計年度末比367社増)となりました。
ISO及びプライバシーマークの認証取得支援については、食品事業者全般にわたって義務化が進められているHACCPや、ISO22000の需要への対応に、引き続き注力しました。
「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、令和元年度補正予算・令和二年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」として、5次締切までの申請支援を行いました。その結果、採択されたのは、単独で支援した92件と金融機関との連携によるものを合わせ、524件となりました。
また、令和二年度第3次補正予算では予算額を1兆1,485億円とした「事業再構築補助金」が創設されました。これは、中小企業等がポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、思い切った事業再構築へ挑戦することへの支援を目的としたもので、多くの中小企業が活用することを期待したものです。2021年度中に複数回の公募受付が予定されており、申請支援を進めています。
この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は29億72百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は10億54百万円(同7.4%増)となりました。
(ⅲ)ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。
士業向けコンサルティングは、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」等となります。
「経営革新等支援機関推進協議会」では、コロナ禍によって強まっている中小企業からの財務支援要請や補助金等の公的支援制度の活用に対応するための情報を収集したい税理士・公認会計士のニーズの高まりが営業機会の確保に繋がりました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,189件(前連結会計年度末比333件増)となりました。
企業・士業向けITソリューションの提供としては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売となります。「オフィスステーション」シリーズは、社会保険労務士や税理士向けの「オフィスステーション Pro」、マイナンバー管理ができる「オフィスステーション マイナンバー」、各種労務関連手続きを電子申請できる「オフィスステーション 労務」、同プロダクトの機能を一部制限し無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」、ペーパーレスで年末調整が完了する「オフィスステーション 年末調整」、各種情報端末からいつでも給与明細を閲覧できる「オフィスステーション 給与明細」、有給休暇の付与・取得・残日数管理を行える「オフィスステーション 有休管理」で構成されております。
2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)は労務手続きの電子申請が義務化されたことに加え、デジタル庁創設へ向けた動き、コロナ禍によりテレワークを考慮した新しい労働環境がニューノーマルになる中、人事・労務領域でも急速なデジタル化と管理ツールの見直しが求められています。当社が全国の人事・労務担当者1,000人を対象に実施した実態調査の結果、人事労務クラウドソフトの導入は直近1年間で急増している一方、複数の機能がまとめられたパッケージ型の場合はその約4割の機能が未使用で、回答者の半数以上が既存ソフト等との機能重複があると回答するなど、無駄が発生していることが明らかになりました。「オフィスステーション」シリーズは自社に合わせて必要な機能のみを選択して導入することができるアラカルト型であるため、そのような課題に対応することが可能です。こうした背景もあり、最新のデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社による『HRTechクラウド市場の実態と展望 2020年度版』では、労務管理クラウド出荷社数でシェアナンバーワンとなりました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、企業が13,300社(前連結会計年度末比8,514社増)、士業が1,794件(同400件増)となりました。
この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は14億51百万円(前年同期比51.8%増)、営業損失は3億38百万円(前連結会計年度は4億77百万円の営業損失)となりました。
(ⅳ)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億10百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は33百万円(同2.8%減)となりました。
(ⅴ)その他事業
その他事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。
パソコン教室の本部運営おいては、受講生にはシニア世代が多いことから、徹底した感染症対策を講じた上で開講しております。
この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は1億84百万円(前年同期比10.7%減)、営業利益は1億9百万円(同48.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当社グループの資本政策は、安定的・継続的な利益還元に努めると共に、収益性向上を図るため、企業価値向上につながる投資を行うことを基本方針としています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ25百万円減少(前年同期比0.7%減)し、35億6百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は17億8百万円(同188.2%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益12億33百万円、減価償却費5億26百万円などがあった一方、法人税等の支払2億63百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13億13百万円(同43.9%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億36百万円、無形固定資産の取得による支出10億66百万円、投資有価証券の取得による支出1億1百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は4億21百万円(同4.3%増)となりました。これは長期借入金の返済による支出50百万円、配当金の支払4億5百万円などがあったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため、主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが、事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。
[アカウンティングサービス事業]
主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は19.1万人(2019年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和2年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。いずれの生命保険会社においても年間を通して採用活動を行っており、随時新入社員向けの研修が実施されています。生命保険営業職員は個人事業主であり、個人で納税の手続きが必要であることについても、研修で詳細の説明を受けることになりますが、当社が確定申告やそのために必要な事柄についての研修を担当することで営業機会の確保に努めております。研修では当社で開発したアプリを活用して、確定申告についての理解を深めていただきますが、自分で対応するのが難しいと判断された方については、当社サービスをご利用いただけるよう導線を引いています。また、契約に関する一連の手続きはオンラインで完結できるようシステム開発を行い、対面に限らない営業手法を確立することで、より効率的な営業活動を実現させました。
2021年3月期においては各生命保険会社において、一定期間給与補償が行われたことで退職者が低減し、解約が抑制されたことで純増数を押し上げ、売上高の伸長に貢献しました。また各生命保険会社において、一定期間給与補償が行われたことで退職者が低減し、解約が抑制されたことが純増数を押し上げました。これらが売上高の伸長に貢献しています。
利益を押し上げた要因としては、コロナ禍の影響で訪問を伴う活動が一部制限されたことにより、当社の営業活動費が抑制されたこと、また生命保険営業職員の活動量も減少したことで当社が経理代行する帳票が少なくなり、処理費の低減につながったことなどが挙げられます。
加えて、AIの活用による処理工程の業務効率化を進めました。AI学習には相応の時間を要するため、現時点で劇的な費用圧縮には貢献しておりませんが、今後その効果は着実に現れるものと考えております。またAI処理の精度を向上させることにより、シェアードサービスやアウトソーシングを希望する企業の受け皿として機能し、新たな売上を創出していきます。
[コンサルティング事業]
主な収益は、エフアンドエムクラブの運営によるものです。売上拡大には、会員数の増大が必要であるため、新規会員企業獲得のための営業活動を強化すると共に、長くサービス利用を継続していただくための取り組みが重要であるとして、契約継続率に注目しております。同事業ではコロナ禍の影響により、特に上半期において連携先である地域金融機関が、軒並み企業訪問及び各種セミナー開催を自粛したことに伴い、営業機会の減少から契約獲得が進まなかったことに加え、事業の継続が困難となった企業を中心に解約が相次ぎました。下半期は一部の地方都市を除いては、弊社スタッフの同行訪問が再開できたことで営業機会を確保できたこと、また持続化給付金の後継として創設された「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」に関する問い合わせが数多く発生したことが提案のきっかけとなり、新規契約のペースは大幅に改善しました。これらにより、会員数が純増に転じたのは下半期となったことから、会費売上は計画を下回ることになり、売上を押し下げました。
一方で「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、申請数・採択数ともに過去最高を更新し、計画を大きく上回ったことが売上を押し上げました。
営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、活動実績を高く評価いただいていることから業務提携の締結ペースは上昇しており、業務提携済みの地域金融機関は1年間で48行庫増え、163行庫となりました。今後も開拓を進めると共に、良好な関係の元で営業活動を継続していきます。契約継続率については、コロナ禍により面談を始めとしたオンラインでのサービス提供が中小企業経営者にも受け入れられるようなったことに加え、企業の資金繰りを支援する「資金繰りCompass」などの新サービスの推進により、会員企業がサービスを定期的に、また自発的に利用できるサービス提供体制の構築を進めることで、改善を見込んでおります。
エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴う手数料の支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。「ものづくり補助金」に加え「事業再構築補助金」についても、申請を行いたい多くの企業の相談先が地域金融機関である現在の状況は、営業機会の増強につながります。2022年3月期は「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化と、各補助金の申請支援に関する紹介案件増加に伴い、手数料支払いは増える見込みです。また同セグメントにおいては、「ものづくり補助金」の公募要領の変更に伴い前期から繰り越された売上が計上されること、また同補助金については6次(2021年5月締切り)申請分から契約内容を変更したことで、当期で申請支援を行った企業からの売上は多くが当期で計上されるようになり、業績を押し上げる見通しです。
[ビジネスソリューション事業]
税理士・公認会計士事務所向けサービスである「経営革新等支援機関推進協議会」の会員獲得は、計画を上回って推移しました。「経営革新等支援機関」の認定制度は、2018年7月9日から更新制が導入されており、同認定が事業活動上必須といっても過言ではない税理士・公認会計士事務所にとっては、実績作りが絶対条件となります。「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」は関与先企業への提案もしやすいことから、そのノウハウを必要とする税理士・公認会計士のニーズの高まりが営業機会の確保に繋がりました。また、セミナーから提案までの一連の営業活動及び会員事務所向けのサービス提供は、原則すべてオンライン化することで生産性向上を実現しました。
「オフィスステーション」シリーズの拡販については、2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)は労務手続きの電子申請が義務化されたことに加え、デジタル庁創設へ向けた動き、コロナ禍によりテレワークを考慮した新しい労働環境がニューノーマルになる中、人事・労務領域でも急速なデジタル化と管理ツールの見直しをする企業が増えたことが追い風となりました。「オフィスステーション 労務」の一部機能を制限して無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」の拡販は、当初見込んでいた販売代理店経由での推進が、コロナ禍の影響で各社が自社製品の販売に注力するなどしたため計画を下回りましたが、有料プロダクトの拡販については「オフィスステーション 年末調整」を中心に、計画を上回って進捗しました。一方で、広告宣伝活動に関する費用を期中で増額したことが利益を押し下げました。それにより、前期と比べてマイナス幅は縮小したものの、2期連続の営業損失となっております。しかしながら、昨今の人事・労務領域におけるデジタル化の勢いは類例のないことであり、またとない大きなビジネスチャンスであるため、費用を投下することが今後の事業展開において不可欠であると考えました。今後も、費用は減額するものの継続して広告宣伝活動は行ってまいります。投下した費用の回収は翌期以降となりますが、他の2つのセグメントと異なり、システムを提供するサービスであるため、契約先に対する個別のフォロー工数がかからず、営業利益率の高いビジネスとなります。そのため、無料会員のマネタイズを進めつつ、ユーザー数を増やすことで面を取る戦略を引き続き展開してまいります。
「オフィスステーション」シリーズは利便性向上のため、機能追加や新しいプロダクトの開発を継続して行うことから、その減価償却費が売上原価率を押し下げる要因となりますが、開発計画については内容を十分精査することでコストコントロールを行います。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としています。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としております。当連結会計年度の自己資本比率は81.7%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しておりますが、新型コロナウイルスの影響により社会経済活動や事業環境の先行きは見通しづらい状況が続いているため、キャッシュ・フローの状況を注視しつつ財務規律を堅持してまいります。
経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材採用及び育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。
(単位:百万円)
当連結会計年度においては、EBITDAの増加がキャッシュ・インを押し上げたものの、「オフィスステーション」シリーズの開発を強化したことでキャッシュ・アウトを増加させました。ビジネスソリューション事業は2022年3月期にはまだ全社業績に大きく収益貢献するには至りませんが、同セグメント単体では営業黒字に転じる計画としております。コロナ禍も追い風のひとつとなり、人事・労務分野で急速にデジタル化が進んでいる状況の中、「オフィスステーション」シリーズの拡販は、成長力・収益力の両面から今後の成長エンジンと考えております。着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。その他のセグメントも含め、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品で運用しています。
株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長に応じた配当水準の向上に努めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けた休業要請や外出自粛の強まりを背景に、企業収益や雇用情勢の悪化、個人消費の落ち込みなど、厳しい状況で推移いたしました。
景気の先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善、デジタル改革やグリーン社会の実現などの新たな目標に向けた規制改革や投資によって持ち直すことが期待されています。しかし、依然として感染が再拡大するリスクや感染の動向が内外経済に与える影響について留意が必要な状況が続いております。
このような経済状況のもと、当社グループはテレワークや時差通勤、オンラインでの商談や顧客フォローなどを積極的に推進することで、従業員及び顧客等の安全確保を優先するとともに、主要事業の会員数の増加およびサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。
(財政状態)
(ⅰ)資産
当連結会計年度末における流動資産は41億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ6百万円減少しました。これは主に受取手形及び売掛金が73百万円が増加した一方、現金及び預金が25百万円、その他(流動資産)が58百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は56億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億21百万円増加しました。これは主にソフトウエアが5億91百万円、その他(無形固定資産)が91百万円、投資有価証券が1億21百万円増加したことなどよるものです。
この結果、総資産は97億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億15百万円増加しました。
(ⅱ)負債
当連結会計年度末における流動負債は16億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億44百万円増加しました。これは主に未払法人税等が1億46百万円、その他(流動負債)が2億21百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は1億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ16百万円減少しました。これは主に長期借入金が24百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は17億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億28百万円増加しました。
(ⅲ)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は79億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億87百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益8億43百万円が計上された一方、剰余金の配当4億4百万円が計上されたことなどによるものです。
この結果、自己資本比率は81.7%(前連結会計年度末は83.6%)となりました。
なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績は、売上高81億64百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益12億19百万円(同28.1%増)、経常利益12億37百万円(同28.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億43百万円(同27.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(ⅰ)アカウンティングサービス事業
アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する経理代行を中心とした会計サービスになります。同事業においては、コロナ禍の影響により訪問を伴う活動が制限された地域はあったものの、許容された地域においては積極的な営業活動を行うと共に、各生命保険会社が新入社員向けに定期的に行っている研修に参加するなどして営業機会の増強に努めました。併せて契約はオンラインで完結するようシステム開発を行い、対面に限らない営業手法を確立することで、より効率的な営業活動を実現させました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の会計サービス会員数は73,284名(前連結会計年度末比4,348名増)となりました。
この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は34億46百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は12億32百万円(同9.9%増)となりました。
(ⅱ)コンサルティング事業
コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービスの「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援等になります。
「エフアンドエムクラブ」については、地域金融機関等と新たな連携契約の締結を進めると共に、コロナ禍により定着したオンラインでの経営者向けセミナーを連携先地域金融機関と共に積極的に開催しました。特に持続化給付金の後継として「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の創設が発表されて以降は、同補助金に関する問い合わせが数多く発生し、営業機会の増強に繋がりました。また会員企業向けには訪問に依存したフォロー体制から、Webセミナーやオンラインでの面談に転換することで生産性を向上させ、新たにサービスラインナップに加えた、半年後の資金繰りを簡易的に把握することで資金ショートを未然に防ぐことができる「資金繰りCompass」の活用促進に注力しました。また、人事考課制度作成を自社で行える「はじめて人事考課」は、より使いやすく内容を見直すなどして、会員企業がサービスを定期的に、また自発的に利用できるサービス提供体制の構築を進めました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は6,746社(前連結会計年度末比367社増)となりました。
ISO及びプライバシーマークの認証取得支援については、食品事業者全般にわたって義務化が進められているHACCPや、ISO22000の需要への対応に、引き続き注力しました。
「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、令和元年度補正予算・令和二年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」として、5次締切までの申請支援を行いました。その結果、採択されたのは、単独で支援した92件と金融機関との連携によるものを合わせ、524件となりました。
また、令和二年度第3次補正予算では予算額を1兆1,485億円とした「事業再構築補助金」が創設されました。これは、中小企業等がポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、思い切った事業再構築へ挑戦することへの支援を目的としたもので、多くの中小企業が活用することを期待したものです。2021年度中に複数回の公募受付が予定されており、申請支援を進めています。
この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は29億72百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は10億54百万円(同7.4%増)となりました。
(ⅲ)ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。
士業向けコンサルティングは、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」等となります。
「経営革新等支援機関推進協議会」では、コロナ禍によって強まっている中小企業からの財務支援要請や補助金等の公的支援制度の活用に対応するための情報を収集したい税理士・公認会計士のニーズの高まりが営業機会の確保に繋がりました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,189件(前連結会計年度末比333件増)となりました。
企業・士業向けITソリューションの提供としては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売となります。「オフィスステーション」シリーズは、社会保険労務士や税理士向けの「オフィスステーション Pro」、マイナンバー管理ができる「オフィスステーション マイナンバー」、各種労務関連手続きを電子申請できる「オフィスステーション 労務」、同プロダクトの機能を一部制限し無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」、ペーパーレスで年末調整が完了する「オフィスステーション 年末調整」、各種情報端末からいつでも給与明細を閲覧できる「オフィスステーション 給与明細」、有給休暇の付与・取得・残日数管理を行える「オフィスステーション 有休管理」で構成されております。
2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)は労務手続きの電子申請が義務化されたことに加え、デジタル庁創設へ向けた動き、コロナ禍によりテレワークを考慮した新しい労働環境がニューノーマルになる中、人事・労務領域でも急速なデジタル化と管理ツールの見直しが求められています。当社が全国の人事・労務担当者1,000人を対象に実施した実態調査の結果、人事労務クラウドソフトの導入は直近1年間で急増している一方、複数の機能がまとめられたパッケージ型の場合はその約4割の機能が未使用で、回答者の半数以上が既存ソフト等との機能重複があると回答するなど、無駄が発生していることが明らかになりました。「オフィスステーション」シリーズは自社に合わせて必要な機能のみを選択して導入することができるアラカルト型であるため、そのような課題に対応することが可能です。こうした背景もあり、最新のデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社による『HRTechクラウド市場の実態と展望 2020年度版』では、労務管理クラウド出荷社数でシェアナンバーワンとなりました。その結果、当連結会計年度末(2021年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、企業が13,300社(前連結会計年度末比8,514社増)、士業が1,794件(同400件増)となりました。
この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は14億51百万円(前年同期比51.8%増)、営業損失は3億38百万円(前連結会計年度は4億77百万円の営業損失)となりました。
(ⅳ)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億10百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は33百万円(同2.8%減)となりました。
(ⅴ)その他事業
その他事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。
パソコン教室の本部運営おいては、受講生にはシニア世代が多いことから、徹底した感染症対策を講じた上で開講しております。
この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は1億84百万円(前年同期比10.7%減)、営業利益は1億9百万円(同48.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当社グループの資本政策は、安定的・継続的な利益還元に努めると共に、収益性向上を図るため、企業価値向上につながる投資を行うことを基本方針としています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ25百万円減少(前年同期比0.7%減)し、35億6百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は17億8百万円(同188.2%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益12億33百万円、減価償却費5億26百万円などがあった一方、法人税等の支払2億63百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13億13百万円(同43.9%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億36百万円、無形固定資産の取得による支出10億66百万円、投資有価証券の取得による支出1億1百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は4億21百万円(同4.3%増)となりました。これは長期借入金の返済による支出50百万円、配当金の支払4億5百万円などがあったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| アカウンティングサービス事業(千円) | 3,446,824 | 103.7 |
| コンサルティング事業(千円) | 2,972,054 | 100.2 |
| ビジネスソリューション事業(千円) | 1,451,053 | 151.8 |
| 不動産賃貸事業(千円) | 110,057 | 97.5 |
| 報告セグメント計(千円) | 7,979,989 | 108.5 |
| その他(千円) | 184,731 | 89.3 |
| 合計(千円) | 8,164,721 | 108.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため、主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが、事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。
[アカウンティングサービス事業]
主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は19.1万人(2019年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和2年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。いずれの生命保険会社においても年間を通して採用活動を行っており、随時新入社員向けの研修が実施されています。生命保険営業職員は個人事業主であり、個人で納税の手続きが必要であることについても、研修で詳細の説明を受けることになりますが、当社が確定申告やそのために必要な事柄についての研修を担当することで営業機会の確保に努めております。研修では当社で開発したアプリを活用して、確定申告についての理解を深めていただきますが、自分で対応するのが難しいと判断された方については、当社サービスをご利用いただけるよう導線を引いています。また、契約に関する一連の手続きはオンラインで完結できるようシステム開発を行い、対面に限らない営業手法を確立することで、より効率的な営業活動を実現させました。
2021年3月期においては各生命保険会社において、一定期間給与補償が行われたことで退職者が低減し、解約が抑制されたことで純増数を押し上げ、売上高の伸長に貢献しました。また各生命保険会社において、一定期間給与補償が行われたことで退職者が低減し、解約が抑制されたことが純増数を押し上げました。これらが売上高の伸長に貢献しています。
利益を押し上げた要因としては、コロナ禍の影響で訪問を伴う活動が一部制限されたことにより、当社の営業活動費が抑制されたこと、また生命保険営業職員の活動量も減少したことで当社が経理代行する帳票が少なくなり、処理費の低減につながったことなどが挙げられます。
加えて、AIの活用による処理工程の業務効率化を進めました。AI学習には相応の時間を要するため、現時点で劇的な費用圧縮には貢献しておりませんが、今後その効果は着実に現れるものと考えております。またAI処理の精度を向上させることにより、シェアードサービスやアウトソーシングを希望する企業の受け皿として機能し、新たな売上を創出していきます。
[コンサルティング事業]
主な収益は、エフアンドエムクラブの運営によるものです。売上拡大には、会員数の増大が必要であるため、新規会員企業獲得のための営業活動を強化すると共に、長くサービス利用を継続していただくための取り組みが重要であるとして、契約継続率に注目しております。同事業ではコロナ禍の影響により、特に上半期において連携先である地域金融機関が、軒並み企業訪問及び各種セミナー開催を自粛したことに伴い、営業機会の減少から契約獲得が進まなかったことに加え、事業の継続が困難となった企業を中心に解約が相次ぎました。下半期は一部の地方都市を除いては、弊社スタッフの同行訪問が再開できたことで営業機会を確保できたこと、また持続化給付金の後継として創設された「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」に関する問い合わせが数多く発生したことが提案のきっかけとなり、新規契約のペースは大幅に改善しました。これらにより、会員数が純増に転じたのは下半期となったことから、会費売上は計画を下回ることになり、売上を押し下げました。
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | ||||
| 期末会員数 | 増減数 | 期末会員数 | 増減数 | 期末会員数 | 増減数 | |
| エフアンドエムクラブ会員数 | 6,208 | 332 | 6,379 | 171 | 6,746 | 367 |
一方で「ものづくり補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、申請数・採択数ともに過去最高を更新し、計画を大きく上回ったことが売上を押し上げました。
営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、活動実績を高く評価いただいていることから業務提携の締結ペースは上昇しており、業務提携済みの地域金融機関は1年間で48行庫増え、163行庫となりました。今後も開拓を進めると共に、良好な関係の元で営業活動を継続していきます。契約継続率については、コロナ禍により面談を始めとしたオンラインでのサービス提供が中小企業経営者にも受け入れられるようなったことに加え、企業の資金繰りを支援する「資金繰りCompass」などの新サービスの推進により、会員企業がサービスを定期的に、また自発的に利用できるサービス提供体制の構築を進めることで、改善を見込んでおります。
エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴う手数料の支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。「ものづくり補助金」に加え「事業再構築補助金」についても、申請を行いたい多くの企業の相談先が地域金融機関である現在の状況は、営業機会の増強につながります。2022年3月期は「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化と、各補助金の申請支援に関する紹介案件増加に伴い、手数料支払いは増える見込みです。また同セグメントにおいては、「ものづくり補助金」の公募要領の変更に伴い前期から繰り越された売上が計上されること、また同補助金については6次(2021年5月締切り)申請分から契約内容を変更したことで、当期で申請支援を行った企業からの売上は多くが当期で計上されるようになり、業績を押し上げる見通しです。
[ビジネスソリューション事業]
税理士・公認会計士事務所向けサービスである「経営革新等支援機関推進協議会」の会員獲得は、計画を上回って推移しました。「経営革新等支援機関」の認定制度は、2018年7月9日から更新制が導入されており、同認定が事業活動上必須といっても過言ではない税理士・公認会計士事務所にとっては、実績作りが絶対条件となります。「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」は関与先企業への提案もしやすいことから、そのノウハウを必要とする税理士・公認会計士のニーズの高まりが営業機会の確保に繋がりました。また、セミナーから提案までの一連の営業活動及び会員事務所向けのサービス提供は、原則すべてオンライン化することで生産性向上を実現しました。
「オフィスステーション」シリーズの拡販については、2020年4月1日から大企業(資本金または出資金が1億円を超える法人など)は労務手続きの電子申請が義務化されたことに加え、デジタル庁創設へ向けた動き、コロナ禍によりテレワークを考慮した新しい労働環境がニューノーマルになる中、人事・労務領域でも急速なデジタル化と管理ツールの見直しをする企業が増えたことが追い風となりました。「オフィスステーション 労務」の一部機能を制限して無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」の拡販は、当初見込んでいた販売代理店経由での推進が、コロナ禍の影響で各社が自社製品の販売に注力するなどしたため計画を下回りましたが、有料プロダクトの拡販については「オフィスステーション 年末調整」を中心に、計画を上回って進捗しました。一方で、広告宣伝活動に関する費用を期中で増額したことが利益を押し下げました。それにより、前期と比べてマイナス幅は縮小したものの、2期連続の営業損失となっております。しかしながら、昨今の人事・労務領域におけるデジタル化の勢いは類例のないことであり、またとない大きなビジネスチャンスであるため、費用を投下することが今後の事業展開において不可欠であると考えました。今後も、費用は減額するものの継続して広告宣伝活動は行ってまいります。投下した費用の回収は翌期以降となりますが、他の2つのセグメントと異なり、システムを提供するサービスであるため、契約先に対する個別のフォロー工数がかからず、営業利益率の高いビジネスとなります。そのため、無料会員のマネタイズを進めつつ、ユーザー数を増やすことで面を取る戦略を引き続き展開してまいります。
「オフィスステーション」シリーズは利便性向上のため、機能追加や新しいプロダクトの開発を継続して行うことから、その減価償却費が売上原価率を押し下げる要因となりますが、開発計画については内容を十分精査することでコストコントロールを行います。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としています。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としております。当連結会計年度の自己資本比率は81.7%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しておりますが、新型コロナウイルスの影響により社会経済活動や事業環境の先行きは見通しづらい状況が続いているため、キャッシュ・フローの状況を注視しつつ財務規律を堅持してまいります。
経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材採用及び育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。
(単位:百万円)
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 593 | 1,708 | 1,115 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △912 | △1,313 | △400 |
| フリー・キャッシュ・フロー | △319 | 395 | 715 |
当連結会計年度においては、EBITDAの増加がキャッシュ・インを押し上げたものの、「オフィスステーション」シリーズの開発を強化したことでキャッシュ・アウトを増加させました。ビジネスソリューション事業は2022年3月期にはまだ全社業績に大きく収益貢献するには至りませんが、同セグメント単体では営業黒字に転じる計画としております。コロナ禍も追い風のひとつとなり、人事・労務分野で急速にデジタル化が進んでいる状況の中、「オフィスステーション」シリーズの拡販は、成長力・収益力の両面から今後の成長エンジンと考えております。着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。その他のセグメントも含め、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品で運用しています。
株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長に応じた配当水準の向上に努めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。