訂正有価証券報告書-第21期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/04/03 16:50
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93項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度は、前期から引き続き“Connect”をキーワードに掲げ、クラウドサービス成長のための投資とエコシステムの拡大・強化に努めてまいりました。地域、領域、業界など様々な背景を持ったパートナー同士を、それぞれの特色を活かしてネットワーク化し、当社グループ関連ビジネスの最大化を図ってまいりました。
また、働き方変革に対する社会的関心は今まで以上に高まり、当社グループのビジョンや事業活動にも多くの共感が集まりました。平成29年8月に当社は創立20周年を迎え、働き方改革を問い直すアニメ「アリキリ」や日本経済新聞に働き方に関する啓蒙広告を発表し、大きな反響をいただきました。働き方改革が一般的となった今、「100人いれば100通りの働き方」をポリシーとして働き方改革に取り組んできた企業として、より一層、チームワークあふれる社会を創る活動に力を入れてまいりました。
1.主な製品・サービスの経過及び成果
平成22年からクラウド分野への重点投資を継続しており、適時に製品・サービスを市場に投入してまいりました。その結果、平成23年に提供を開始して以来、「cybozu.com」は有料契約社数は20,000社を超え、契約ユーザーライセンス数も80万人を超え、連結売上高の59%を占めるまでに成長しました。また、パートナーの数も平成28年度末時点から30社以上増加して303社となりました。
○業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」
「kintone」は、業務改善に役立つクラウドサービスとして大規模な広告展開を行い認知度が向上してまいりました。また、セールスパートナーによる取り扱いが増加するとともにスタンダードコースの販売が好調となったことにより、導入社数は8,000社を超え、売上高も連結ベースで前年同期比56%増加となりました。
「kintone」は、幅広いニーズに対応可能なサービスですが、パートナーの強みを活かした多種多様な連携サービスを充実させることにより、さらに活用の幅が拡大し、1万人超の大規模利用の情報ポータルとして採用いただいたことや、神奈川県三浦市農業協同組合と連携し、農業のIT化推進の一端を担うなど、多様な分野で活用されるようになりました。
また、「kintone」の利用が拡大する中、「kintone」ユーザーのアプリ開発スキル向上のため、業務改善に必要な基礎知識・アプリ構築スキルの保有を証明する「kintone認定資格制度」を開設しました。自らのスキルがどの程度なのか、そのレベルを「見える化」することで、さらなるアプリ開発スキルの向上、ひいては業務改善の大きな成果をあげることを目的としています。
○中小企業向けグループウェア「サイボウズ Office」
平成9年にリリースされた「サイボウズ Office」シリーズは、今年で20周年を迎え、使いやすさと利用用途の分かりやすさなどが支持され導入社数は56,000社を突破いたしました。その結果、平成29年度は前年に引き続き2年連続過去最高の売上高を記録いたしました。
○中堅・大規模組織向けグループウェア「Garoon」
「Garoon」は、エンタープライズ向け製品としての認知が広まり、多くの案件を創出し、平成29年度末時点でパッケージ製品とクラウドサービスを合わせて導入社数4,400社、ユーザー数は200万名を突破いたしました。平成29年4月より全国の地方自治体を相互に接続するLGWAN(総合行政ネットワーク)を経由して利用できる「サイボウズ ガルーン for LGWAN」を提供開始しました。これにより、今後さらに地方自治体で導入の加速を目指します。
○無料グループウェア「サイボウズLive」
「サイボウズLive」は、平成22年10月に正式提供を開始し、平成29年8月には、総登録ユーザー数が200万人を突破し、多種多様なチームの情報共有プラットフォームとして一定の支持をいただくクラウドサービスに成長いたしました。しかしながら、システムの老朽化などにより、今後も安定的にサービスを継続するには、抜本的な作り直しなど大きな投資が必要となり、限りあるリソースを有料版クラウドサービスに注力すべきと判断し、平成31年4月15日をもってサービスを終了することを決断いたしました。
サービス終了に伴い、ご利用中の皆様には多大なご迷惑をおかけすることを深くお詫びするとともに、今後もサイボウズの企業理念である「チームワークあふれる社会を創る」ため、誠心誠意尽力して参ります。
○信頼性強化への取り組み
より多くのユーザーに、より長く安心してご利用いただくために、製品・サービス及び当社グループ自体への信頼を高める取り組みに注力いたしました。特に「cybozu.com」の信頼性強化に重点を置いて取り組みを進め、セキュリティ向上に対して継続的な投資を行ってまいりました。平成29年1月より、社内で行うセキュリティ施策に対する支援を専門に行うチームとして、セキュリティ室を新設し、子会社を含め更なるセキュリティ施策を実施しました。
また、今年で4年目を迎えた「脆弱性報奨金制度」では、延べ250名以上のバグハンターの皆様からの報告により、年を追うごとに製品が堅牢な状態に改善され、これらの対策をしていくことでさらなるセキュリティ向上につながりました。「脆弱性報奨金制度」を活用して寄せられる外部の協力者からの情報は、当社グループが持つセキュリティに関する情報と技術的に補完関係にあることが多く、品質の向上に大いに役立ちました。
○市場からの評価
こうした取り組みの結果、当社グループのグループウェア(サイボウズ Office、Garoon)は株式会社ノークリサーチ「2017年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」グループウェア部門において、11年連続シェアNo.1を獲得いたしました。
「日経BPガバメントテクノロジー」誌(発行:株式会社日経BP)が平成29年秋号で発表した「自治体ITシステム満足度調査 2017-2018 グループウエア部門」においては、「性能・機能」「信頼性」「運用性」の各項目で高い評価をいただき第1位を獲得しました。また、「日経コンピュータ」誌(発行:株式会社日経BP)が平成29年2月2日号で発表した「パートナー満足度調査 2017グループウエア部門」においては、「製品」「マーケティング」「価格競争力」の各項目で高い評価をいただき、2年連続第1位を獲得いたしました。
2. グローバル展開における体制強化
本格的に始動してから4年を迎える米国子会社 Kintone Corporationでは、引き続き現地での人材採用活動を積極的に行い、組織としての体制強化に努めました。平成29年度末時点において従業員が27名に増加し、今後もアメリカでの販売基盤の構築のため、様々な施策にチャレンジしてまいります。
また、アメリカで展開するクラウドサービス「kintone.com」の運用基盤に他社IaaSを採用することを決定しました。日本とアメリカの運用基盤を切り離すことで、アメリカでの開発スピードが向上し攻めの事業展開が可能となりました。
中国市場においては、平成29年度末時点における導入実績が840社、34,000ユーザーを突破いたしました。平成29年7月には、自社イベント「Cybozu Days Shanghai 2017」を上海で初開催し、定員500名を上回る皆様にご来場いただきました。
東南アジア市場においては、平成27年にアジアに特化したパートナープログラム「Cybozu Asia Partnership Program」を制定以降、徐々に「kintone」の販路を広げ、タイ、ベトナム、シンガポール、フィリピン、ミャンマーで各国の現地パートナーと提携しております。その結果、東南アジア全体で200社以上に「kintone」を中心とした製品・サービスの導入が進みました。
さらに、平成29年9月には、台湾の営業拠点として台湾事務所を開設いたしました。すでに台湾では現地拠点をもつ日系企業30社以上にサイボウズ製品をご利用いただいており、今後は日系企業に加え台湾企業への販売活動も強化してまいります。
今後も各地域に特化した体制を用意してグローバル展開を加速させてまいります。
3. チームワークあふれる社会を創るための取り組み
当社は「チームワークあふれる社会を創る」をミッションとしております。社会の様々なチームのチームワーク向上のため、製品・サービスの普及だけでなく、チームワークに関する当社グループのノウハウを活かした取り組みにも注力するため、平成29年11月に「チームワーク総研」を設立しました。サイボウズ流のチームワークや働き方改革のメソッドを、講演、企業研修、組織コンサルティングサービスとして提供してまいります。
また、平成29年1月からは当社での仕事を複(副)業とする方を募集する「複業採用」を開始しました。これは、「100人いれば100通りの人事制度」という方針のもと、当社が10年来重ねてきた働き方多様化の取り組みの上に実現したものであり、この取り組みが評価され、人事・人材開発・労務管理などの分野におけるイノベーター表彰制度「HRアワード」(主催:日本の人事部)企業人事部門にて最優秀賞を受賞いたしました。
このような状況下において、当連結会計年度の連結業績につきましては、自社クラウド基盤「cybozu.com」上で提供するクラウドサービスの売上が引き続き積み上がり、連結売上高は9,502百万円(前期比18.2%増)となりました。このうち、クラウド関連事業の売上高は5,649百万円(前期比39.5%増)※となっております。利益項目につきましては、前連結会計年度に比べ従業員数の増加による人件費の増加や外注費の増加等により、営業利益が802百万円、経常利益は821百万円となりました。また、法人税等計上後の親会社株主に帰属する当期純利益は414百万円となりました。
当社グループの報告セグメントは「ソフトウェアの開発・販売」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
※クラウド関連事業の売上高につきましては、日本と海外で集計方法が異なることなどから、会計上の売上高とは一致しておりません。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より497百万円減少し、1,850百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は、726百万円の収入となりました。これは売上債権の増加によ る影響があったものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、823百万円の支出となりました。これは固定資産の取得に よる支出があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は、404百万円の支出となりました。これは剰余金の配当を実施したことによるものです。