有価証券報告書-第17期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/26 15:29
【資料】
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるIT業界では、「クラウドコンピューティング」や、スマートフォンをはじめとする「モバイル端末」の利活用が進展し、新しい形態でのITサービス活用が急速に広がってまいりました。また、当社グループでは4年前からクラウド分野へ重点投資を継続しており、製品・サービスを適時に市場に投入してまいりました。
その結果、グループウェアのクラウド版「サイボウズ Office(以下、Office)」の売上高が前年比約3倍、同じくクラウド版の「Garoon」が同4倍の伸びとなりました。一方、パッケージ版の製品ではクラウドへの移行が売上に下押し圧力となる状況ではありましたが売上高(OfficeとGaroonの合計)は微増となりました。
このようにクラウド投資の成果が見え始めたことを受け、当社グループのクラウドビジネスを一層強固なものとし同事業を加速させるため、売上高経常利益率を一時的に低下させてでもクラウド事業への先行投資を優先させることを決断いたしました。
上記方針の下、当社グループは、クラウド事業の拡大およびグループウェア製品の機能強化に向け以下のような取り組みを行ってまいりました。
1.エコシステム推進への取り組み
自社開発のクラウド基盤「cybozu.com」で稼動するソフトウェアを中心に、販売パートナーやアプリ開発パートナーをはじめ、SI、ITコンサルティング、教育・支援などを行う多様なパートナーとの連携を進める取り組みを行ってまいりました。こうした外部との共存共栄を目指した「生態系(エコシステム)」を発展させることに注力いたしました。
そうした活動のひとつとして、業務アプリ構築クラウド「kintone」を他のシステムと連携させるためのAPIの強化や、JavaScriptなどによるカスタマイズ機能の拡充を実施いたしました。また、多様なパートナー・プログラムの提供を開始いたしました。販売パートナー向けのプログラムはもちろんのこと、アプリ開発を行うパートナー向けのプログラムも充実させてまいりました。加えて「kintone」につきましては、基本機能のみを使いたいお客様には低価格で、カスタマイズやシステム連携のニーズに対してはそれに応えられる機能を、それぞれご提供できるよう取り組みを進めてまいりました。今年4月には価格プランを刷新する予定です。
2.継続的な機能改善への取り組み
本年度も各製品の大幅な機能改善・強化を継続して行ってまいりました。当社の主力製品である「サイボウズ Office」は、多くのお客様の声とともに進化を続け「サイボウズ Office 10」を公開いたしました。また、特に当連結会計年度において注力した大規模組織での活用とモバイル環境への対応では、以下のような機能改
善を実施いたしました。
・クラウド版「Garoon」に、エンタープライズ要求に応えるモバイル端末管理機能を拡張いたしました。
・組織内のExcel資産の有効活用を想定し、Excelファイルをクラウドアプリに自動変換する機能を「kintone」
に搭載いたしました。
・「kintone」に新機能「ゲストスペース」を搭載。社内の情報を隔離しながら社外の人と安全な情報共有が
可能になりました。
・クラウド版「Garoon」をアップデートし、社内ソーシャル機能や「kintone」連携を強化いたしました。
・無料グループウェア「サイボウズLive」でスマートフォン対応を重視し大幅な改良を実施いたしました。
・iPhoneアプリ「サイボウズ KUNAI」をバージョンアップ。UIを刷新いたしました。
・スマートフォン用アプリ「kintone モバイル」を提供開始。「kintone」と連携したモバイルアプリ開発用
の技術情報も公開いたしました。
3.信頼性の強化への取り組み
当連結会計年度において最も注力した活動のひとつが、製品及びサービス、そして当社グループ自身への信頼を高めることでした。そして「cybozu.com」を中心とするクラウドシステムの信頼性強化には重点を置いて取り組みを進め、セキュアな環境の実現、セキュリティ向上に対して継続して取り組んでまいりました。
そうした活動のひとつとして、当連結会計年度において当社グループは国内商用クラウド初(当社調べ)の脆弱性発見コンテスト「cybozu.com Security Challenge」を開催いたしました。セキュリティ専門家をはじめとする多くの外部識者の方々にご参加いただき、多数の報告をいただきましたが、外部から即侵入されるような深刻な脆弱性は検出されませんでした。
こうした取り組みを進める中、当社のクラウドサービスは「第6回クラウドランキング」(日経コンピュータとITproの共催)のベストサービスに選出されました。また「日経BPガバメントテクノロジー」誌(発行:株式会社日経BP)が発表した「第4回自治体ITシステム満足度調査」グループウェアソフト部門で第1位を獲得いたしました。 上記活動を通じて、当社グループの製品・サービスは利用者層を順調に拡大してまいりました。
「cybozu.com」をご契約いただいたお客様が平成23年11月の提供開始から2年足らずで5,000社を「kintone」はご契約社数が1,000社を突破しました。また「cybozu.com」を中心とした自社カンファレンスにおいては約1,100名のお客様にご来場いただきました。中小企業だけではなく大企業の契約も増え、約100社の東証一部上場企業でご利用いただいております。
このような状況下において、当連結会計年度の連結業績については「cybozu.com」上で提供するクラウド製品の売上が増加したことに加えパッケージ製品への下押し圧力の影響が少なかったことから、売上が計画を上回って推移し、連結売上高は5,197百万円となりました。利益項目につきましては、前連結会計年度に引き続き積極的な開発投資や広告宣伝投資を行ったため、利益率は前連結会計年度に比べ低下し、営業利益が288百万円、経常利益は264百万円となりました。
特別損益項目に関しましては、投資有価証券売却益82百万円の特別利益及び寄付金24百万円の特別損失を計上したこと等から、当期純利益は188百万円となりました。
なお、当社は平成24年12月期に決算期を1月31日から12月31日に変更しております。平成25年12月期は比較対象期間が異なることから、業績に関する前期比増減の説明を省略させていただいております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より170百万円増加し、2,271百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は、797百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益313百万円を計上したこと、売上の増加による複数年間含む年間サービス契約に対する前受金が増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、61百万円の収入となりました。これは有価証券の売却等に
よるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は、726百万円の支出となりました。これは自己株式の取得によ
る支出があったことや、剰余金の配当を実施したことによるものです。