有価証券報告書-第24期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/07/27 11:30
【資料】
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【項目】
132項目
8 金融リスク管理
(1)資本管理及び財務上のリスク管理方針
当企業グループの資本管理は、財務の健全性を堅持するため、事業のリスクに見合った適正な資本水準、並びに負債・資本構成を維持することを基本方針としております。当企業グループが管理対象としている、有利子負債(社債及び借入金)から現金及び現金同等物を控除した純額、及び資本(親会社の所有者に帰属する持分)の残高は次のとおりであります。
前期末
(2021年3月31日)
当期末
(2022年3月31日)
百万円百万円
有利子負債(社債及び借入金)1,394,1373,364,860
現金及び現金同等物(802,702)(2,499,370)
純額591,435865,490
資本(親会社の所有者に帰属する持分)562,116924,603

なお、当企業グループの国内子会社は金融商品取引法、銀行法及び保険業法等によって定められる資本規制の対象となっており、一定水準以上の資本規制比率を維持しております。
当企業グループの国内子会社が適用を受ける重要な資本規制は以下のとおりです。
1.株式会社SBI証券は金融商品取引法によって定められる水準の自己資本規制比率を保つ必要があり、金融庁は、自己資本規制比率が120%を下回る場合は、業務方法の変更等を命ずることができます。
2.株式会社新生銀行は銀行法によって定められる水準の自己資本規制比率を保つ必要があり、金融庁は、自己資本規制比率が4%を下回る場合は、業務改善計画の提出や業務改善命令、業務停止命令を含む早期是正措置を発動することができます。
3.SBI生命保険株式会社、SBI損害保険株式会社及び当企業グループの少額短期保険業を運営する会社は保険業法によって定められる水準のソルベンシー・マージン比率を保つ必要があり、金融庁は、ソルベンシー・マージン比率が200%を下回る場合は、経営の健全性を確保するための合理的と認められる改善計画の提出及びその実行を命ずることができます。
また、大韓民国に本社を置く株式会社SBI貯蓄銀行は貯蓄銀行法や大株主適格性基準によって定められた自己資本比率を満たす必要があり、韓国金融委員会は所定の自己資本比率を満たしていない場合は、警告や業務停止等を命ずることができます。
当企業グループは、投資事業、ファンド運営事業、証券事業、銀行事業、貸付事業、保険事業等、広範な金融関連事業を営んでおり、特定企業や分野へリスクが過度に集中することのないよう、分散を図っております。これらの事業を行うために必要となる資金は、市場環境や長短のバランスを考慮して、銀行借入による間接金融、社債やエクイティファイナンス等の直接金融、証券金融会社との取引、及び顧客預金の受入等により調達しております。
また、当企業グループが行っているデリバティブ取引は、為替予約取引、通貨オプション、金利スワップ取引、株価指数先物取引、証拠金取引等であります。為替予約取引、通貨オプション及び金利スワップ取引については、顧客への商品・サービス提供およびそのヘッジ目的の取引を中心に行っており、株価指数先物取引については、日計りを中心とする短期取引であります。なお、これらの取引の規模や保有リスク額について上限を設けております。
当企業グループは、財務の健全性及び業務の適切性を確保するため、当企業グループ各社における各種リスクを把握・分析し、適切な方法で統合的なリスク管理に努めることをリスク管理の基本方針としております。
なお、当企業グループは、金融商品に係るリスクとしては主に以下のリスクを負っております。
・信用リスク
・市場リスク
・流動性リスク
(2)金融商品から生じるそれぞれのリスク
当企業グループが保有する金融資産は、主として投資関連資産、証券業関連資産及び融資関連資産であります。
投資関連資産には、営業投資有価証券、その他の投資有価証券、及び持分法で会計処理されている投資等が含まれ、これらは主に、株式、投資事業組合等への出資金であり、純投資目的及び政策投資目的で保有しております。これらはそれぞれ発行体の信用リスク及び市場価格の変動リスクに晒されているほか、非上場株式については流動性が乏しく、また、外貨建投資資産については為替リスクに晒されております。
証券業関連資産には、預託金、信用取引資産、トレーディング資産、約定見返勘定、短期差入保証金等が含まれ、これらは当企業グループが行っている証券事業の顧客、証券金融会社、取引金融機関に対する信用リスク及び金利の変動リスクに晒されております。また、トレーディング資産については、発行体の信用リスク及び市場価格の変動リスクにも晒されております。なお、上記のトレーディング資産、約定見返勘定、短期差入保証金は連結財政状態計算書上、その他の証券業関連資産に含めて表示されております。
融資関連資産には、営業貸付金等が含まれ、これらは主に、法人向けローン及び不動産ノンリコースローン、プロジェクトファイナンス、個人向け住宅ローン・無担保ローン等の債権であります。これらはそれぞれ、顧客や事業の信用リスクに晒されており、経済環境等の状況の変化により、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があるほか、金利の変動リスクに晒されております。なお、上記の融資関連資産は連結財政状態計算書上、営業債権及びその他の債権に含めて表示されております。
当企業グループの金融負債は、主として借入金、社債、顧客預金及び証券業関連負債であります。
借入金は、取引金融機関の当企業グループに対する取引姿勢の変化等により、社債は市場環境の変化や、格付会社による当企業グループの信用格付の引下げ等により、資金調達が制約される流動性リスクに晒されております。
顧客預金は銀行事業における重要な資金調達手段であり、預金の流出等により必要な資金確保が困難になる等の流動性リスクに晒されております。
証券業関連負債には、信用取引負債、有価証券担保借入金、顧客からの預り金、受入保証金、約定見返勘定等が含まれ、当企業グループが行っている証券事業において、証券金融会社の取引方針や顧客の投資スタンスの変化等により、調達環境は変動することがありますが、基本的には、証券業関連資産と紐付いた管理を行うことで、当該リスクは軽減されるものであります。なお、上記の約定見返勘定は連結財政状態計算書上、その他の証券業関連負債に含めて表示されております。
ヘッジ手段の為替予約および通貨オプション取引については、外貨建債権債務の決済及び外貨建有価証券の売買取引に係る短期的な為替レートの変動リスクを回避する目的で利用しております。また、金利スワップ取引については、借入および運用金利の将来の金利市場における利率変動リスクを回避する目的で利用しております。
株価指数先物取引については投資事業の一環として取り組んでおり、価格変動リスクに晒されております。
為替予約取引、通貨オプション取引及び金利スワップ取引は、取引の相手方が信用度の高い国内の金融機関であること、株価指数先物取引は公的な市場における取引であることから、取引先の債務不履行による信用リスクは僅少と認識しております。
(3)金融商品に係るリスク管理体制
当社はリスクを把握し、適切に評価して管理するため、取締役会が定めるリスク管理規程及び関係会社管理規程に従い、リスク管理に関する責任者としてリスク管理担当役員を定めるとともに、リスク管理部門を設置しております。同部門において、当企業グループのリスクの状況を定期的又は随時把握し、リスク管理に努めております。
(4)信用リスク管理
(a)信用リスク管理実務
① 償却原価で測定される金融資産、FVTOCIで測定する負債性金融資産、リース債権、特定のローン・コミットメント及び金融保証契約に関する信用リスク
信用リスクとは、当企業グループが信用供与を行っている取引先が債務を履行できなくなり当企業グループが財務的損失を被ることとなるリスクのことです。償却原価で測定される金融資産、FVTOCIで測定する負債性金融資産、リース債権、特定のローン・コミットメント及び金融保証契約についての信用リスク管理実務は以下のとおりとなります。
当企業グループは、当初認識以降の信用リスクの変動及び水準に基づき、債権を以下のように3ステージに区分し、信用損失引当金を認識しております。
・報告日時点で「信用リスクが低い」場合、又は信用リスクが低くないが当初認識以降「信用リスクが著しく増大」していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を信用損失引当金として認識しております。
・「信用減損」していないが当初認識以降「信用リスクが著しく増大」した場合には、全期間の予想信用損失を信用損失引当金として認識しております。
・「信用減損」している場合、全期間の予想信用損失を信用損失引当金として認識しております。
信用リスクの評価は、当該金融商品に係る債務不履行となるリスクの変化に基づいて判定しており、金融商品の内部又は外部の信用格付け、期日経過の情報など過大なコストや労力をかけずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を用いております。具体的には「投資適格」に該当する外部信用格付けの場合、又は国際的に通用する低い信用リスクの定義に相当する内部信用格付けの場合には、「信用リスクが低い」と判定します。また、「信用リスクが低い」状態からの悪化又は当初認識時に信用リスクは低くはなかったが、当初認識以降、信用格付けの低下や一定の期日経過が生じた場合に「信用リスクの著しい増大」と判定します。具体的には、信用格付けが「投資適格」相当から「投機適格」相当へ下落することや「延滞期間の一定程度の経過」などが該当します。さらに見積将来キャッシュ・フローに悪影響を与える事象が発生している場合には「信用減損」していると判定しており、金融資産が「信用減損」している証拠には、以下が含まれます。
・発行者または債務者の重大な財政的困難
・契約違反(債務不履行又は期日経過事象など)
・借手に対する融資者が、借手の財政上の困難に関連した経済上または契約上の理由により、そうでなければ当該融資者が考慮しないであろう譲歩を借手に与えたこと
・借手が破産または他の財務上の再編を行う可能性が高くなったこと
・当該金融資産についての活発な市場が財政上の困難により消滅したこと
・各国の規制当局で不良と判断される要件に合致すること
債務不履行には、報告日時点で延滞期間を90日以上経過した場合のほか、債務者に一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った場合、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる場合、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している場合及び法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないが実質的に経営破綻に陥っている場合などが該当します。
これらを前提に、予想信用損失は、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての入手可能で合理的かつ裏付け可能な情報に基づき、偏りがなく確率加重された予想損失金額として、貨幣の時間価値を反映して測定しています。具体的には、商品種類や信用格付け、担保価値など共通の信用リスク特性に基づいてグルーピングを行ったうえで、前述の各ステージの金融資産について、将来12ヶ月または全期間において債務不履行となる確率(PD)、債務不履行時の損失率(LGD)及び債務不履行時のエクスポージャー(EAD)をインプットとし、グルーピング単位毎に予想信用損失を測定しております。また、一部の重要な金融資産の予想信用損失はディスカウントキャッシュ・フロー法(DCF法)を用いて個別に測定しており、信用減損金融資産は、別途損失率を測定して適用しております。
当企業グループでは、予想信用損失を測定するに当たり、将来予測の考慮として、実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルと複数の経済予測シナリオ(ベース、アップサイド、ダウンサイド)を用いて将来の債務不履行確率を推計し、これらを確率加重することで予想信用損失に反映しております。
また、ある金融資産を回収する合理的な予想を有していない場合には、当該金融資産の総額での帳簿価額を直接償却しており、このような金融資産には、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者に対する債権及び法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないが、実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権等が含まれます。ただし、これら直接償却された金融資産に関しては外部への売却により回収が行われる場合があります。
② その他の金融資産に関する信用リスク
その他の金融資産に関する信用リスクとは、主に投資に関する事業から生じる信用リスクであり、投融資先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少又は消失し、当企業グループが損失を被るリスクのことです。なお、信用リスクには海外投融資先の属する国の外貨事情や政治・経済情勢等の変化により損失を被るカントリーリスクを含んでおります。
当企業グループの信用リスクの管理方針は以下のとおりであります。
1.投融資先の状況を的確に把握し、信用リスクの計量化を行う。
2.自己資本とリスク量のバランスを定期的なモニタリングにより適切に管理する。
3.海外への投融資にあたっては、国内拠点、海外拠点及び現地の提携企業と連携して固有のリスクを把握し、対応状況を定期的にモニタリングする。
4.信用リスクのうち、投資リスクを管理対象とする重要なリスクと位置づけ、営業投資有価証券勘定等のリスク量の増減に関する要因分析を行う。
当企業グループは、上記のリスク管理方針に沿って事業を営んでおり、また、事業の一環として、法人及び個人の顧客向けに信用供与を行っている子会社においては、個別に定めた基本規程等に従い、適宜モニタリングを行っております。
(b)予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報及び定性的情報
信用損失引当金の増減は次のとおりであります。
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失合計
信用リスクが著しく増大営業債権等
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円百万円
前期首(2020年4月1日)23,1365,54020,106448,786
連結範囲の変動--(120)-(120)
組成又は購入した金融商品による変動35,2335,742-240,977
認識の中止が行われた金融商品による変動(24,768)(5,144)(11,579)-(41,491)
区分変更(3,047)1,30018,190-16,443
直接償却(556)(198)(1,336)-(2,090)
在外営業活動体の換算差額2,7176531,352-4,722
前期末(2021年3月31日)32,7157,89326,613667,227
組成又は購入した金融商品による変動121,474--7121,481
認識の中止が行われた金融商品による変動(29,280)(5,060)(11,266)-(45,606)
区分変更
全期間の予想信用損失への振替(14,118)25,199(345)-10,736
信用減損金融資産への振替(2,279)(1,244)25,087-21,564
12ヶ月の予想信用損失への振替665(1,722)(57)-(1,114)
直接償却(903)(264)(2,756)-(3,923)
モデル/リスク変数の変更(38,930)(4,683)614(2)(43,001)
在外営業活動体の換算差額1,509714825-3,048
当期末(2022年3月31日)70,85320,83338,71511130,412

前期の信用損失引当金の主な増減は、正常債権の残高が増加したことに伴う引当金の増加によるものです。当期の「組成又は購入した金融商品による変動」の「12ヶ月の予想信用損失」の主たる増加要因は、当期中の企業結合による総額での帳簿価額の増加であります。
当期末の購入又は組成した信用減損金融資産に係る当初認識時の割引前の予想信用損失の合計額は151百万円となります。
ローン・コミットメントの未実行残高に対する前期末及び当期末の信用損失引当金は、それぞれ558百万円及び1,166百万円であります。当期末の金融保証契約に対する信用損失引当金は、3,500百万円であります。
また、前期及び当期において直接償却した金融資産のうち、履行強制活動の対象としている未回収残高は、それぞれ2,181百万円及び8,821百万円であります。
(c)信用リスク・エクスポージャー
「営業債権及びその他の債権」に含まれている銀行業における業種別の貸出状況は以下の通りです。
当期末
(2022年3月31日)
百万円
製造業265,378
農業,林業1,413
漁業374
鉱業,採石業,砂利採取業435
建設業49,911
電気・ガス・熱供給・水道業400,014
情報通信業60,619
運輸業,郵便業187,443
卸売業,小売業223,671
金融業,保険業637,472
不動産業772,125
各種サービス業469,741
地方公共団体52,389
個人その他4,955,762
合計8,076,747

当企業グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは次のとおりであります。
前期末(2021年3月31日)
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失合計
信用リスクが著しく増大営業債権等
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円百万円
現金及び現金同等物802,702---802,702
営業債権及びその他の債権
個人与信(注)3
GroupA112,6606129-112,795
GroupB314,34719,3111,635-335,293
GroupC以下26,14622,53715,254-63,937
法人与信(外部格付)(注)3
GroupA121,032---121,032
GroupB79,4115,4871,712-86,610
GroupC以下90---90
法人与信
延滞情報なし185,11222,4046,489-214,005
延滞1回以上-6863,610-4,296
その他290,1002,35112,3578,257313,065
信用損失引当金(32,715)(7,893)(26,613)(6)(67,227)
合計1,096,18364,88914,5738,2511,183,896
証券業関連資産3,895,809-812-3,896,621
その他の金融資産54,979--3,73658,715
その他の投資有価証券(外部格付)
BBB以上39,588---39,588
BBB未満302---302
合計39,890---39,890

当期末(2022年3月31日)
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失減損の要求が適用されない金融商品合計
信用リスクが著しく増大営業
債権等
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円百万円百万円
現金及び現金同等物2,499,370----2,499,370
営業債権及びその他の債権
銀行業(国内)(注)1
正常先
法人与信3,122,1808,16536-346,2713,476,652
個人与信5,167----5,167
その他(注)22,638,78827,9332--2,666,723
その他要注意先
法人与信54,70514,408--43,541112,654
個人与信------
その他(注)23,39612,184---15,580
信用減損先
法人与信5,25883126,934--33,023
個人与信------
その他(注)21,528450104,253--106,231
その他(債務者区分なし)296,125---124,731420,856
銀行業(国外)
個人与信(注)3
GroupA87,119113415--87,647
GroupB392,71229,2302,686--424,628
GroupC以下46,75959,68321,241--127,683
法人与信(外部格付)(注)3
GroupA136,637-564--137,201
GroupB105,4918,2331,243--114,967
GroupC以下138----138
法人与信
延滞情報なし299,69135,3508,217--343,258
延滞1回以上-5812,323--2,904
その他(債務者区分なし)-1,435---1,435
その他426,2751,49913,82211,657-453,253
信用損失引当金(70,800)(20,677)(38,924)(11)-(130,412)
合計7,551,169179,418142,81211,646514,5438,399,588
証券業関連資産3,746,937-759-159,6213,907,317
その他の金融資産268,516---203,091471,607
その他の投資有価証券
(外部格付)
BBB以上334,569----334,569
BBB未満60----60
格付けなし263,466---478,685742,151
合計598,095---478,6851,076,780

(注)1.銀行業(国内)における正常先、その他要注意先及び信用減損先の区分については以下の通りであります。
・正常先:業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段問題がないと認められる債務者。
・その他要注意先:金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息の支払が事実上延滞しているなど履行状況に問題のある債務者、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者。
・信用減損先:「8.金融リスク管理(4)信用リスク管理(a)信用リスク管理実務」に記載しております。
2.個人向けの一部金融資産について、期日経過の情報のみを使用して信用リスクが当初認識以降に著しく増大したのかどうかを評価しております。
当該金融資産について期日経過の状況は以下の通りです。
30日内経過31-60日経過61-90日経過90日超経過期日経過
債権合計
未経過合計
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
居住用不動産向け9,5214991961,32711,5431,101,4161,112,959
適格リボルビング32,0665,2344,30218,51460,116487,561547,677
その他50,6664,2481,12818,87774,9191,052,9791,127,898

3.銀行業(国外)における個人与信及び法人与信の区分については以下の通りであります。
・GroupA:信用リスクが低い金融資産であり、外部格付けの場合には「投資適格」に該当いたします。
・GroupB:信用リスクが低くはないが高くもない金融資産であり、外部格付けの場合にはBBB未満CCC以上に該当いたします。
・GroupC以下:信用リスクが高いもしくは極めて高い状態の金融資産であり、外部格付けの場合にはCCC未満に該当いたします。
上記「営業債権及びその他の債権」の金額は、保険の付保や担保の取得により回収が見込まれる金額を含んでおります。受け入れている担保は主に、中小の不動産業者や個人等に対し行うローンにおいて担保として受け入れる不動産等で構成されております。担保設定時の評価額は市場価値及び独立した第三者による算定額に基づいており、当該評価額が債権を保全するに足るよう債権額を決定しておりますが、不動産市場等の市況悪化により担保価値が充分でなくなる可能性があります。また担保として保有する資産を担保権の実行等によって当企業グループが保有することとなった場合、当該資産を可及的速やかに売却、競売等を行い、債権の回収を行います。
なお、前期末及び当期末の信用減損している金融資産に対する信用損失引当金は、保証として保有している担保及び他の信用補完により、それぞれ15,287百万円及び35,767百万円軽減しております。
また、当企業グループではレポ取引契約、有価証券貸借取引契約、デリバティブ取引契約などにより金融資産の差し入れを受けております。当期末において差し入れを受けた担保資産は、849,512百万円であります。これらの担保資産は売却、貸付又は再担保設定されており、当企業グループはこれら担保資産に関し返還する義務を負っています。
ローン・コミットメントのうち、未実行残高に対する信用リスク・エクスポージャーは次のとおりであります。
前期末(2021年3月31日)
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失合計
信用リスクが著しく増大
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円
ローン・コミットメントの未実行残高48,4693,055351,527

当期末(2022年3月31日)
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失合計
信用リスクが著しく増大
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円
ローン・コミットメントの未実行残高
銀行業(国内)1,793,2542,849121,796,114
銀行業(国外)94,3554,470-98,825
その他29,91271929,938

金融保証契約に対する信用リスク・エクスポージャーは次のとおりであります。
12ヶ月の予想信用損失全期間の予想信用損失合計
信用リスクが著しく増大
信用減損
なし
信用減損
あり
百万円百万円百万円百万円
金融保証契約754,6602,579466757,705

(5)市場リスク管理
市場リスクとは、金利、株価、為替等の変動により当企業グループが損失を被るリスクのことです。
当企業グループの市場リスクの管理方針は以下のとおりであります。
1.資産の通貨・タームを把握し、市場リスクの計量化を行う。
2.自己資本とリスク量のバランスを定期的なモニタリングにより適切に管理する。
3.運用規程を定めない投機目的でのデリバティブ取引は行わない。
① 株価リスク
当企業グループは投資ポートフォリオから生じる株価リスクに晒されており、前期末及び当期末に保有する「営業投資有価証券」及び「その他の投資有価証券」について、市場価格が10%上昇した場合、連結損益計算書の「税引前利益」は、それぞれ18,726百万円、14,212百万円の増加となります。
② 為替リスク
当企業グループは、グループ企業の各機能通貨以外の通貨(以下、「外貨」)建て資産・負債について、主に、USドル(USD)の為替リスクに晒されております。当企業グループの主な為替リスクに対するエクスポージャー(純額)は次のとおりであります。
前期末
(2021年3月31日)
当期末
(2022年3月31日)
百万円百万円
USD(149,111)(923,336)

為替感応度分析
当企業グループの前期末及び当期末に保有する外貨建貨幣性金融商品について、USドルが機能通貨に対して1%増価した場合の連結損益計算書の税引前利益に与える影響は、次のとおりであります。なお、その他の変動要因は一定であることを前提としております。
前期末
(2021年3月31日)
当期末
(2022年3月31日)
百万円百万円
税引前利益(1,491)(9,233)

③ 金利リスク
当企業グループは、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されています。金利の変動は、ヘッジ取引を行っているものを除き、金融資産については、主に銀行預金や、金融サービス事業の子会社が保有する金銭信託、コールローン、法人及び個人向け融資に係る債権等から発生する金利収益に、金融負債については主に外部金融機関からの借入金、社債及び顧客預金等から発生する金利費用にそれぞれ影響を及ぼします。
当企業グループの前期末及び当期末に保有する金融商品について、金利が100bp上昇した場合、連結損益計算書の税引前利益は、それぞれ1,240百万円の増加及び1,599百万円の増加となります。
なお、金利変動の影響を受ける金融商品を対象としており、為替変動の影響等その他の要因は一定であることを前提としております。
(6)流動性リスク管理
流動性リスクとは、当企業グループが財務内容の悪化等により必要な資金が確保できない場合や、通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク及び市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクのことです。
当企業グループの流動性リスクの管理方針は以下のとおりであります。
1.銀行借入極度、社債発行登録、増資等、各種資金調達手段を確保する。
2.当企業グループの資金需要に関する情報収集に努め、資金繰りの状況を的確に把握する。
3.流動性リスクのうち資金繰りリスクを、管理対象とする重要なリスクと位置づけ、上記流動性リスクの管理方針1及び2につき、資金繰り主管部署より報告を受ける。
流動性リスクは現金又は他の金融資産を引き渡すことで決済される金融負債により生じます。当企業グループの金融負債の期日別残高は次のとおりであります。
前期末(2021年3月31日)
帳簿価額契約上の金額1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
社債及び借入金1,394,1371,420,043887,928170,552117,27751,750112,81179,725
営業債務及びその他の債務189,729190,267160,5255,77619,8051,2367042,221
証券業関連負債3,521,8023,521,8083,521,808-----
顧客預金1,042,1321,065,190636,196141,631286,698543122-

当期末(2022年3月31日)
帳簿価額契約上の金額1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
社債及び借入金3,364,8603,424,2291,733,292465,661567,223228,745142,718286,590
営業債務及びその他の債務487,846488,543413,91428,8716,3314,0622,28033,085
証券業関連負債3,676,3323,676,3403,676,340-----
顧客預金7,673,3247,712,1966,531,250458,021389,554157,83761,211114,323

また、当企業グループは国内外の有力金融機関と当座貸越契約等のコミットメント契約を締結することにより、効率的に運転資金を調達し、流動性リスクの軽減を図っております。
各期末におけるコミットメント契約の総額及び実行済残高は次のとおりであります。
前期末
(2021年3月31日)
当期末
(2022年3月31日)
百万円百万円
コミットメント契約総額482,697641,093
期末実行済残高133,727228,183
未実行残高348,970412,910