有価証券報告書-第40期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 12:35
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは最新の情報技術(IT)を駆使し、お客様にご満足頂ける最適なITソリューションを提供することを基本方針とし、この方針に沿った継続的な努力により社業の拡大・発展を期します。また、最適なITソリューションの提供を通じ、社会に貢献することを会社の使命といたします。
経営のモットー
「愛と夢のある企業」を目指します。合理性に裏打ちされた厳しさは当然必要ですが、ともすれば合理性に偏重しがちなソフトウェア開発が仕事の中心であればこそ、その経営には愛と夢が必要と考えます。
経営スローガン:「チェンジ・チャレンジ・スピード」
激変する業務環境、根底から変わりつつある業務構造に合わせ、私たち自身の意識、スキル、業務プロセスを変えてまいります。若いメンバーからなる組織のまとまりを活かし、スピードを大事にしながら、大胆な発想の下、変化に果敢に挑戦し続けます。また、こうした姿勢があってはじめて同じような状況におかれているお客様の変革を支えることができるものと確信しております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
イ.顧客構成
当社グループの顧客構成はクレジット・証券・保険・銀行・投資顧問等の金融分野につきましては各顧客企業からの直接受注が多く、通信・流通・官公庁等の非金融分野についてはメーカー系大手ベンダーからの受注が多いという特徴があります。当社グループでは、開発方法における当社グループの裁量の余地を広げ、より合理化効果を発揮しやすいというメリットがあるため、直接受注の顧客シェアの増大に努めております。
ロ.業務内容
ソフトウェア開発事業
当社グループでは業務に特化した専門性を高めることで、高い非価格競争力を身につけるとともに、コンサルティング業務や上流工程における設計等の高付加価値業務への一層のシフトを図っていく方針であります。
加えて、コスト面での優位性がこれまで以上に重要になりつつあることを踏まえ、価格競争力の面でも優位となるニアショア等の優秀な開発力を活かした開発体制を更に強化してまいります。
また、顧客のSIベンダーへの期待はコスト面のみならず、スピード、専門性、ビジネスへの利用上の価値などを重視した総合的なサービスに変わりつつあります。当社ではITサービス業者としての専門性を活かし、ITシステムの保守・運用までをも含めたトータルサービスを提供し、顧客のニーズに対し、柔軟な体制で対応して参ります。特に最近ではクラウドを使う事を前提としたシステム開発案件が増加傾向にあり、この様なトレンドに柔軟に対応するべく、既に体制を構築しておりますが、更にその強化を図って参ります。
一方では、お客様のビジネス上の現実的な課題を解決したいとするソリューションニーズは一層強まっております。当社グループではSIビジネスとは別に、売上・収益が要員数に依存しない安定収益業務(ストック型ビジネス)を拡大させる方針です。
デジタルサイネージ事業
ストック型ビジネス拡充の一環として、子会社を通じ、デジタルサイネージ事業、それに付随・関連した映像・音響ソリューションなどを展開しております。
(3)当社グループを取り巻く環境
国内のIT投資は、穏やかな景気回復基調を受け、金融業界を中心に再構築や新規事業開始に伴う新規案件といった大規模開発が継続してまいりました。企業のIT投資については、景気動向に左右されることは避けられないものの、企業の将来的な業務展開の鍵を握ることも多く、インターネットに代表されるネットワーク化の社会への浸透によるEC(電子商取引)やFinTech、クラウドコンピューティング、AI、CASE、IoTの活用など新たな技術への需要は多く、これらの新技術を活用したデジタルトランスフォーメーションが進み、産業のみならず社会全般が大きく変革しつつあります。このような状況の中で、先進的な情報通信技術を戦略的に活用し、産業構造の転換、経済の発展、さらには国民生活の向上へと結び付けていくことが社会的急務となってきており、情報化推進の担い手である情報サービス産業が果たす役割はますます大きくなっております。
情報サービス産業が提供しているサービスは近年更に重要性を増し、かつその内容が大きく変化してきています。現在の情報システムは、定型業務の効率化という従来からの目的だけでなく、経営課題を解決するツールとして導入されていることからも明らかです。すなわち、情報サービス産業は顧客の経営課題を解決し、ひいては顧客のビジネスを攻守にわたり牽引する重要な役割を担っております。
また、情報サービス産業の顧客は広く全産業にわたり、解決すべき課題もまた多岐にわたります。顧客の経営課題を左右するのは経営環境の変化であり、それは情報技術の変化に加えて、法制度の変化、更にはセキュリティ意識の高揚、株主重視経営、M&Aの増加といったマーケット・社会環境の変化の影響です。これらの要因から、多くの顧客に共通する経営課題として、経営効率の向上・コンプライアンス・リスクマネジメント強化・マーケット変化への対応が挙げられ、このような課題の解決には広範囲の業務見直しが必要であり、当社グループとして総力を挙げて、デジタルトランスフォーメーションに取り組み、情報システムを活用した提案を行って行く必要があります。
(4)経営戦略の現状と見通し
ソフトウェア開発事業については、当社グループでは業務に特化した専門性の高い会社群によってグループを構成することにより、高い非価格競争力を身につけております。また、コンサルティング業務や上流工程における設計等の高付加価値業務への一層のシフトを図るために、それらの業務に特化した専門性の高いコンサルティング系のグループ会社が体制強化を含め、強化・推進しております。更に、コスト面での優位性を担保するために、価格競争力の面でも優位となるニアショア拠点を開発致しました。
顧客のSIベンダーに対する、スピード、専門性、ビジネスへの利用上の価値などを重視した総合的なサービスについては、SI/受託開発業務を専門とする会社群、組込み関連のソリューションを提供する会社群等のITサービス業者としての専門性を活かし、ITシステムの保守・運用までをも含めたトータルサービスを提供し、顧客のニーズに対し、柔軟な体制で対応しております。また、クラウドを使う事を前提としたシステム案件に対応するための組織・体制作りも既に行っており、これらは今後も益々推進して参ります。
お客様のビジネス上の現実的な課題を解決したいとするソリューションニーズについては、当社グループではSIビジネスとは別に、売上・収益が要員数に依存しない安定収益業務(ストック型ビジネス)を拡大させる方針でおり、「Fleekdrive」・「Fleekform」と言ったクラウドサービスや「いまイルモ」等のIoTサービス、自動車教習所向けの各種ソリューションサービスなど、強化・拡大を進めており、M&Aなどの積極的な活用により、ストック型ビジネスの強化・拡充を推進して参ります。
デジタルサイネージ事業については、子会社を通じてデジタルサイネージ事業、それに付随・関連した映像・音響ソリューションなどを展開しており、何れもストック型ビジネス拡充の一環として推進して行きますが、経営基盤の強化として事業の見直しは常に行っており、中長期的には事業の再編も視野に入れて今後取り組んで参ります。
(5)経営者の問題意識と今後の方針について
米中貿易摩擦の影響などの世界経済でのマイナス要因があったものの、世界経済全体の回復基調に乗って、緩やかな回復を続けました。この様な環境の中、国内IT需要は、IoTやAI、CASEなどのデジタルトランスフォーメーション投資を中心に総じて堅調に推移し、今後数年間は安定して増大すると予想しております。当社としては、その需要を確実に捉えるため、積極的な営業展開と更なる事業基盤の強化が重要な課題であると認識しております。
具体的には、SI/受託開発業務については、人材確保を目的に開発パートナーを開拓し、開発体制を更に強化推進し、専門特化戦略の継続推進及びニアショア開発の活用による競争力強化を行います。グループ経営戦略の一つであるストック型ビジネスについては、クラウドビジネス等の顧客基盤の拡充や、M&Aの手法を用いた連結子会社の拡充などに努める必要があると認識しております。各々につき既に具体的に着手しておりますが、今後についても更に強力に推進していく方針です。
(6)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、ストック型ビジネスの強化・拡充などの戦略施策を推進中であり、当社グループによるクラウドビジネス、見守り支援ビジネス等の推進のみでなく、優れた技術・製品を有する他社との業務提携やM&Aなども積極的に行うことにより、事業基盤の一層の強化に努める必要があると認識しております。
主業務である、SI/受託開発業務の人的リソースは、引き続き減少傾向にあり、今後、安定的な成長を続けるためには、要員増強努力に加え、日本国内における地方の企業と連携したニアショアの活用が重要になると考えており、提携を含め、積極的に連携先の構築を推進していきます。また、SI/受託開発に携わるシステムエンジニアの教育において、プログラミングなどの製造工程のノウハウだけでなく、プロジェクトを安定的に運営するために、より上流寄りのプロジェクト管理ノウハウを更に強化していくと同時に、世界標準の技術をいち早く取り込むため、グローバルに通用する人材の育成を強化する必要があると認識しております。更に、IoTの普及に伴い今後重要になるエッジコンピューティングに向けた人材育成も必要と認識しており、それらの体制構築を行っていきます。
IT業界においては、技術革新が常に行われており、それに伴い、新たなマーケットの創出も行われています。当社グループも「FinTech」、「CASE」、「IoT」、「CloudComputing」、「AI」等の新しい分野に向けて積極的に投資を行い、デジタルトランスフォーメーションに向けてグループを上げて取り組んでまいります。
SI/受託開発業務の大型化に伴い、より高度なプロジェクト管理が必要になってきています。今後も大型プロジェクトの受託に備え、プロジェクトマネジメント力を更に強化し、適切なプロジェクトの運営を行う事が必要であると認識しています。
コーポレートガバナンスの強化が継続的な成長には必要不可欠だと認識しており、経営の透明性と効率性を高め、企業価値の向上につなげるために、ガバナンス体制の強化を行っていきます。