有価証券報告書-第16期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/26 10:03
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79項目

対処すべき課題

当社の属するモバイル業界においては、ビジネス環境は常に進化し続けています。これは、既存サービスが成熟あるいは飽和を迎えると同時に、他社に先駆けて斬新なサービスを創出するチャンスでもあります。このような環境において、当社は収益力の維持・向上を図るため、魅力的なサービスの企画提案とその提供、新たな成長機会の追求、そして事業全体の効率化のさらなる推進を図るとともに、当社の最も重要なリソースである人材の育成・強化に努めます。その具体的取り組みとして、以下の四点を課題に掲げております。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①損益分岐点管理、その達成のための中期戦略
当社の経営成績は、当事業年度においては、第3四半期を除き、四半期営業利益を計上し、通期としては前事業年度に続き、当期純利益を計上いたしました。しかしながら、会社法第461条第2項の計算による分配可能額は大きなマイナスとなっており、これを解消するために、収益力を向上させることが必要であります。
当社としては、一定の利益を確保できるよう、事業管理方式を見直し、事業ごとの損益分岐点を見極め、それに見合った経費統制を含む案件管理・進捗管理を実施してまいります。顧客との関係や事業構造上、短期間で成果を上げることが困難なものについては、期限を定めて実現を図る所存です。
②既存顧客への提案営業力の強化
当社は、社会的に重要なインフラを提供する顧客を抱えており、非常にユニークな立ち位置にあることを認識しております。これら既存顧客に対し、市場環境や、技術革新、新たなユーザーニーズを踏まえた提案を重ね、より深耕し受注を受けること、またはパートナー企業と連携した共同事業の企画展開を図ることで、他社が容易に真似できない付加価値の高いサービスの実現を目指します。特にクロスメディア事業においては、インフラ構築からサービスの提供へと市場の関心が移行しており、魅力的な提案を行うことが今後の当社の成長のカギであると考えております。
③新規顧客からの案件獲得
既存顧客については、3月に受注・売上が集中する傾向があり、また、当社が提案を行いつつシステムの完成を図る案件プロセス上の特性により、利益率が低くなるケースがあります。
当社は安定した受注・売上と高い利益率を獲得する観点から、既存顧客への提案と開発を通じて得た資産とノウハウを新規顧客に展開していくことを、最重要の課題として取り組んでまいります。
④工程管理・工数管理の徹底を通した品質・納期管理による収益性向上
提案営業により獲得した案件において、安定した利益を生み出すためには、技術力・品質管理スキルの向上が必須となります。特に当事業年度においては、モニタリング事業において、計画外の追加開発費や補修費が発生し、全社損益を悪化させました。また、クロスメディア事業を中心に運用案件が増加しており、システムの安定性を向上させることが非常に重要になっております。そこで、営業、生産、運用および品質管理に関して各担当者が身に付けるべき技術力、およびそのプロセスを標準化するとともに、工数管理・工程(進捗)管理の徹底、効率的なテスト・出荷前検査・運用マニュアルの整備などの実施を通して収益性を向上させ、さらに人材の強化に努めてまいります。
濫用的買収に対する買収防衛策について
当社株式に対する大量買付が行われた際に、大量買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断すること、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために不当な買収に対する交渉を行うこと等を可能とすることで、当社グループの企業価値及び株主共同の利益に反する大量買付を抑止するための枠組みが必要不可欠であると判断し、当社取締役会は「濫用的買収に対する買収防衛策」(以下「本プラン」といいます)を立案のうえ、平成19年6月21日開催の第9期定時株主総会に提出、承認されました。
本プランは、平成21年6月25日開催の第11期定時株主総会、平成23年6月22日開催の第13期定時株主総会、平成25年6月26日開催の第15期定時株主総会において、それぞれ、更新が承認されました。
(a) 本プランの概要
ア 本プランの発動に係る手続の設定
本プランは、当社の株券等に対する20%以上の買付もしくはこれに類似する行為又はその提案(以下「買付等」といいます)が行われる場合に、買付等を行う者(以下「買付者等」といいます)に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当該買付等についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者等との交渉等を行っていくための手続を定めています。
イ 買付者等に対する情報提供の要求
買付等を行う買付者等は、当社取締役会が別途認めた場合を除き、当該買付等の実行に先立ち、当社に対して、次の各号に定める情報(以下「本必要情報」といいます)及び当該買付者等が買付等に際して本プランに定める手続を遵守する旨の誓約文言等を記載した書面(以下「買付説明書」と総称します)を当社の定める書式により提出していただきます。
当社取締役会は、買付説明書を受領した場合、速やかにこれをビーマップ企業価値検討委員会に提供するものとします。ビーマップ企業価値検討委員会は、これを受けて当該買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、買付者等に対し、適宜回答期限を定めた上、自ら又は当社取締役会等を通じて本必要情報を追加的に提出するよう求めることがあります。この場合、買付者等においては、当該期限までに、本必要情報を追加的に提供していただきます。
a買付者等及びそのグループ(主要な株主又は出資者及び重要な子会社・関連会社を含み、買付者等がファンド又はその出資に係る事業体である場合は主要な組合員、出資者(直接・間接を問わない)その他の構成員並びに業務執行組合員及び投資に関する助言を継続的に行っている者を含みます)の概要(具体的名称、資本構成、出資割合、財務内容並びに役員の氏名及び略歴、反社会的勢力(テロ関連組織を含む。以下同)との関連性の有無を含む)。
b反社会的勢力に対する対処方針。
c買付等の目的、方法及び内容(買付等の対価の価額・種類、買付等の時期、関連する取引の仕組み、買付等の方法の適法性、買付等の実現可能性に関する情報等を含みます。買付等の完了後に当社株式が上場廃止となる見込みがある場合にはその旨及びその理由を含みます。なお、買付等の方法の適法性については資格を有する弁護士による意見書の提出も必要とします)。
d買付等に際しての第三者との間における意思連絡(当社に対して重要提案行為等(金融商品取引法第27条の26第1項に定義される重要提案行為等をいう)を行うことに関する意思連絡を含む。以下同じ)の有無及び意思連絡が存する場合にはその具体的な態様及び内容。
e買付等の価額の算定根拠及びその算定経緯(算定の前提となる事実・仮定、算定方法、算定に用いた数値情報並びに買付等に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジーの内容、そのうち少数株主に対して分配されるシナジーの額及びその算定根拠を含みます)。
f買付等の資金の裏付け(当該資金の提供者(実質的提供者を含む)の具体的名称、調達方法、資金提供が実行されるための条件及び資金提供後の誓約事項の有無及び内容並びに関連する具体的取引の内容を含む)。
g買付等の完了後に意図されている当社及び当社グループの経営方針、事業計画、財務計画、資金計画、投資計画、資本政策及び配当政策等(買付等完了後における当社資産(当社業務に関連する知的財産権を含む)の売却、担保提供その他の処分に関する計画を含む)その他買付等の完了後における当社及び当社グループの取引先・顧客、当社従業員及び当社グループの役員・従業員、その他の当社に係る利害関係者の処遇方針。
hその他当社取締役会又はビーマップ企業価値検討委員会が合理的に必要と判断し、不備のない適式な買付説明書を当社取締役会が受領した日から原則として10営業日以内に書面により買付者等に対し要求した情報。
ウ 新株予約権無償割当ての利用
買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が害されるおそれがある時など、所定の要件を充足する場合には、当社は、買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます)を、その時点の全ての株主に対して、保有株式1株につき1個の割合で、無償で割当てることがあります。
エ 取締役会の恣意的判断を排するためのビーマップ企業価値評価委員会の利用
本プランにおいては、本新株予約権の無償割当ての実施、不実施又は取得等の判断について、当社取締役会の恣意的判断を排するため、ビーマップ企業価値評価委員会規則に従い、当社経営陣から独立性の高い有識者から構成されるビーマップ企業価値評価委員会の判断を経るとともに、株主の皆様に適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしています。なお、当初の独立委員会は、社外の有識者3名により構成される予定であります。
<ビーマップ企業価値評価委員(予定)>福井達也氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー 弁護士)
伊藤幸司氏(株式会社アイフリークモバイル 代表取締役)
吉田博高氏(株式会社虎の穴 代表取締役社長)
オ 本新株予約権の行使及び当社による本新株予約権の取得
本プランに従って本新株予約権の無償割当てがなされ、買付者等以外の株主の皆様により本新株予約権が行使された場合、又は当社による新株予約権の取得と引換えに、買付者等以外の株主の皆様に対して当社株式が交付された場合、買付者等以外の株主の皆様が保有する当社株式全体の価値の総額は理論的に変わりませんが、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合は約50%まで希釈化される可能性があります。
(b) 本プランの合理性
ア 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
イ 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、上記にて記載したとおり、当社株式に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
ウ 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任決議がなされることにより導入されます。また、本プランには、有効期間を約2年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。その意味で、本プランの存続の適否には、株主の皆様のご意向が反映されることとなっております。
エ 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外有識者等から構成されるビーマップ企業価値検討委員会により行われることとされています。これにより当社取締役会の恣意的行動を厳格に監視いたします。また、その判断の概要については株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
オ 合理的な客観的要件の設定
本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
カ 第三者専門家の意見の取得
ビーマップ企業価値検討委員会は、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができることとされています。これにより、ビーマップ企業価値検討委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっています。
キ デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買い付けた者が、自己の指名する取締役を株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社においては取締役の期差任期制は採用されないため、本プランは、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
⑤会社の支配に関する基本方針
(a)基本方針の内容
当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社取締役会の賛同を得ずに行われる買収であっても、当社資産の効率的な活用につながり、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、何ら否定されるべきではないと考えます。また、会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主の皆様のご意思に基づいて行われるべきものであると考えます。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買収者の提示した条件が対象会社の適正な本源的価値を十分に反映しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
当社としては、株主様とともに企業価値・株主利益の向上に全力で取り組むことを第一に考え、買収者から当社株式の大量取得の提案を受けた際には、大量買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断すること、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために不当な買収に対する交渉を行うこと等を可能とすることで、当社の企業価値及び株主共同の利益に反する大量買付を抑止するための枠組みが必要不可欠であると判断し、当社取締役会は濫用的買収に対する買収防衛策を導入することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。
(b)基本方針を実現するための取組み
当社が導入した買収防衛策は、いわゆる「事前警告型」といわれる防衛策であります。当社株式に対する大規模買付行為への対応方針としては、当社株式に対して、大規模買付行為を行おうとする特定株主グループが、20%を超える当社株式等を保有する際に、「大規模買付ルール」の遵守を要請するものであります。
当社取締役会が設定する大規模買付ルールとは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものであります。よって、大規模買付者が当該ルールを遵守する限りは、原則として当社取締役会は、新株予約権の発行等の対抗措置をとらないルールとなっております。
(c)上記の取組みに対する当社取締役の判断及びその理由
当社の大規模買付ルールは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入されたものであります。
当社取締役会から独立した組織として「ビーマップ企業価値検討委員会」を設置し、対抗措置の発動・不発動の判断時には取締役会の恣意的な判断を排除する仕組みとなっていること、本ルールの有効期間は2年であり、その継続については株主の皆様のご承認をいただくこととなっていること等その内容において公正性・客観性が担保される工夫がなされている点において、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。