有価証券報告書-第41期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 9:56
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
我が国は製造業を中心として飛躍的な経済発展を遂げ、現代においては、高度な知識・情報技術を組み合わせてイノベーションを起こし分野ごとに最適化した商品・サービスを創出し複雑化・多様化したニーズに応えていくことで更なる経済発展を遂げようとしています。そのような経済発展の過程において、どの時代においても必ず社会から必要とされるのが“プロフェッション”と呼ばれる各分野において専門的な知識を有する方々です。必要とされる専門的な知識の内容はもちろん時代の変化に応じて変わってきますが、専門的な知識を有する“プロフェッション”の存在は過去も現在もそして将来においても必要不可欠なものです。TACは1980年の設立以来、その時々において世の中に必要とされる多くの“プロフェッション”を養成し世に輩出してまいりました。会計・税務分野からスタートし、今では法律分野、不動産分野、金融分野、公務員・労務分野、情報分野、医療分野、理系分野にまでその幅を拡げております。これからも時代の変化を見極めながら今の時代に必要とされる多様な“プロフェッション”を養成していくことで、社会の発展に貢献してまいりたいと考えています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営指標は、安定的な売上成長と現金ベース売上高営業利益率の極大化を目標としております。当連結会計年度はコロナ禍が明け、人々の生活もコロナ禍前の状態に回帰してきた一方で、学生の良好な就職状況や公務員離れの影響等もあり、個人教育事業や出版事業が低調に推移し、グループ全体としての現金ベース売上高は前年に比べ減少いたしました。コスト面では、拠点床面積の適正化や業務効率化によるコスト削減努力を継続して実施してまいりましたが、長く続く資源価格高騰の影響等で紙代、制作費、運送費など多くの費目で値上がりし、コスト環境も厳しい状況が続き、最終的に当連結会計年度においては営業赤字となりました。
今後は、既存事業における収益体質の強化、特に個人教育事業の早期回復を図るとともに、賃借料、講師料、教材制作等のための外注費などコスト構造のさらなる見直しを行い、現金ベース売上高営業利益の黒字転換を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「プロフェッションの養成」を経営理念として社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開しております。また、当社グループで学ぶ方々は、自己投資の結果として希望の業種・職種への就職・転職を望む方も少なくなく、当社グループの提供する人材派遣・紹介サービスも個人及び企業へ浸透しつつあります。したがって、当社グループの中長期的な経営戦略は、教育ビジネスと人材ビジネスを強固に結びつけながら、双方のビジネスを拡大させていくことであります。これにより、毎期安定的な売上成長と売上高営業利益率の向上を実現し、株主価値を高める努力を継続してまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
(経営環境)
当社が行っている資格関連教育サービスは、日本経済の健全な発展を支えていくために必要不可欠なプロフェッショナル人材の育成であり毎年一定の需要が見込める比較的安定したものであります。また、教材の開発や合格実績の蓄積などには相当の年数が必要となるほか講師の手配や受講生を収容するための教室の確保などには財務的な基盤も必要となることから、競合他社が比較的生まれにくい業界であると考えております。一方、近年はIT環境が飛躍的に進歩したことで様々な手段によって教育を提供する環境が整備され、それに伴い受講生・消費者側のニーズも多様化してきております。そのような経営環境の中において当社グループは、これまでに蓄積してきた合格するための教育ノウハウや合格実績に裏打ちされたTACブランドを生かし、個人教育事業、法人研修事業、出版事業及び人材事業の各事業においてビジネスを拡大させていくとともに、各事業ごとのシナジーを最大限発揮できるよう事業間の連携を図ってまいります。また、当社の主要な顧客層は大学生から社会人までと幅広いことにくわえ、資格や教育・研修の内容等によって合格や学習目的を達成するために必要となる提供すべきサービスも異なるため、常に最も適切なサービス提供が行えるよう努めてまいります。
(対処すべき課題)
① 既存事業の強化
既存事業における収益体質の強化を図るため、提案力及び営業力の強化、各事業が有するノウハウの有効活用、取引先との信頼関係等を通じた売上高の増加及び当社グループ内の人的資源の最適配置や積極的な事業部内外のコミュニケーション推進による業務効率化を図ることで強固な組織体制を構築し、一層の利益獲得に努めてまいります。
② 個人教育事業の早期回復
コロナ禍明け以降の受講生の学習ニーズには、教室へ通学して決まった日程のもとで講義を受講するスタイルとWEBを利用して自己の都合に合わせて学習を進めていくスタイルと二極化が進んでいる状況にあり、その変化のスピードはこれまでと比較し一層早まっております。当社ではいずれの受講スタイルでも最終的な合格という目標を達成できるような受講環境を整備しておりますが、当該受講環境であるインフラとしての拠点展開、カリキュラム開発やWEB環境の整備には一定程度の時間と資源を必要とするため短期的な業績とはリンクし難い一面があります。そのような中でも、受講生ニーズを始めとした社会状況の変化を早期に察知し物事の判断のスピード感を高めて事業運営を行っていくことで個人教育事業を早期に回復させていくことが喫緊の課題であると考えております。
③ 株価純資産倍率の改善
当社の直近事業年度末における株価純資産倍率(連結)は0.6倍であり、一般的に割安な株価水準とされる1倍を割っております。株価の変動要因は景気や金利等の外的要因及び業績や配当等の内的要因に大別されますが、当社が直接的にコントロール可能な内的要因に関して、個人教育事業の早期回復や新商品の開発等を通じた業績面での結果を残すことで、株価純資産倍率の早期改善に努めてまいりたいと考えております。
以上のような施策を継続して実施することにより、早期に結果を出していくことが当社に求められている課題であると認識しております。
(財務上の課題)
当社の借入契約の一部には財務制限条項が付されています。そのため、当該条項に抵触することのないよう管理してまいります。