有価証券報告書-第37期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:15
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
わが国は、成熟した工業社会から急速に知識社会へシフトしつつあります。知識社会ではさまざまな分野ごとに知識専門家(プロフェッション)が要求され、活躍の場を広げています。プロフェッションprofessionとは英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパ社会では神に誓いを立てて従事する職業として、神父・医師・会計士・法律家・教師等の知識専門家を指していました。彼らは職業を通して社会や人々に対して責任を負うと同時に、厳しい倫理観が要請されました。欧米ではプロフェッションの養成を大学が担当してきましたが、日本では大学がアカデミズムに偏重し、実務を担うプロフェッションの養成を手がけてきませんでした。当社は公認会計士を養成するビジネスを始めて以来、大学に代わって、現代に求められる多くのプロフェッションの養成を担当してまいりました。当社は、プロフェッションの養成を経営理念として、拠点とメディアを通して顧客(大学生・社会人・法人企業)の幅広い支持を受け、教育サービス市場での一強となることを目指してまいります。ステークホルダーとしての顧客の支持基盤を有してこそ、「株主価値の増大」という株式会社に求められる最も基本的な命題も達せられると考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営指標は、安定的な売上成長と現金ベース売上高営業利益率の極大化を目標としております。当連結会計年度においては、個人教育事業において主力の公認会計士講座や建築士講座の申し込みが年間を通じて好調に推移したこと等により、グループ全体としての現金ベース売上高は増加いたしました。コスト面では、日本経済の良好な景気の影響を受けて当社の主要な費目である賃借料や教材・出版物に必要となる紙代など多くの費目において値上がり傾向にありコスト環境は厳しい状況が続きましたが、直営校各校の床面積の抜本的な見直し、業務効率化、コスト削減努力を継続的に実施しコストの増加の抑制に努めました。その結果、現金ベース営業利益率は前年同期比0.5ポイント上昇いたしました。今後も引き続き、現金ベース売上高営業利益率の向上に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「プロフェッションの養成」を経営理念として社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開しております。また、当社グループで学ぶ方々は、自己投資の結果として希望の業種・職種への就職・転職を望む方も少なくなく、当社グループの提供する人材派遣・紹介サービスも個人及び企業もへ浸透しつつあります。したがって、当社グループの中長期的な経営戦略は、教育ビジネスと人材ビジネスを強固に結びつけながら、双方のビジネスを拡大させていくことであります。これにより、毎期安定的な売上成長と売上高営業利益率の向上を実現し、株主価値を高める努力を継続してまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
(経営環境)
当社が行っている資格関連教育サービスは、日本経済の健全な発展を支えていくために必要不可欠なプロフェッショナル人材の育成であり毎年一定の需要が見込める比較的安定したものでありますが、当社の商品の顧客層は各特定の専門分野に絞られることに加え消費者ニーズも多様化しており、既存事業を展開していくだけでは売上を右肩上がりで成長させていくことが難しい状況にあります。
(対処すべき課題)
① 新型コロナウイルスの感染状況に応じた臨機応変な対応
当社では新型コロナウイルスの感染拡大の状況を受けて、受講生の皆さま、お取引先さま、従業員及び講師等関係者の皆さまの安全確保を最優先に、ライブ講義の中止、校舎の営業時間の短縮及び自習室等の一部サービスの休止、輪番及び時差勤務並びにリモートワークの導入による出勤機会の削減、テレビ会議の推進等の措置を講じております。その上で、WEBを利用した講義の配信や通学受講生への教材無料送付、テレビ会議システムを利用した学習相談の実施など、受講生の学習環境の維持に努めている他、集合・対面式の研修をeラーニングや通信型研修へ切り替える等、取引先さまへのサービスを可能な限り継続しております。今後も当面は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が続くことが予想されますが、状況に応じた適切な対応をとることで、社会の一員としての責務を果たすとともに事業への影響を出来る限り抑えるよう努めてまいります。
② 新規事業・講座の開発
(経営環境)に記載の通り、既存事業を展開していくだけでは売上を右肩上がりで成長させていくことが難しい状況にあります。そのような中で、当社グループが成長し更なる発展をしていくためには、新規事業・講座の開発に積極的に取り組むことで次世代の成長の芽を育てていく必要があると考えております。
③ コスト構造の抜本的な改革
様々なモノのコストが上昇傾向にあり、特に当社グループにおける主要なコストの一つである賃借料の上昇は大きな影響を及ぼしております。そのような状況において、一定の利益を確保するという観点からはコストの適切なコントロールの重要性が益々高まっております。賃借料を含め、当社グループにおける主要なコストの多くは短期的にコントロールすることが難しい固定費で構成されていますが、直営校各校の床面積や営業時間の最適化、ITを利用した業務効率化、効果的な販促活動及び経費の見直し等を随時行いコスト管理をこれまで以上に徹底し、環境の変化にも柔軟に対応できるコスト構造を構築してまいります。
以上のような施策を継続して実施することにより、早期に結果を出していくことが当社に求められている課題であると認識しております。