有価証券報告書-第57期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 15:08
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社の経営理念は、『我が社は、「ありがとうの心」と「武士の精神」をもって社業を推進し、お客様と社会の安全・安心の確保のために最善を尽くす。』であります。これに基づく経営指針として、社徳の確立を基本精神に、お客様に対して最高の商品・サービスをご提供することを最優先とし、併せて社員にとって働きがいのある会社の実現に努めるとともに、収益を拡大すること、警備業を中核としつつ新たな分野における商品・サービスを幅広くご提供すること、社会の発展に貢献するサービスの展開と商品の開発を行うことを定めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、収益性の向上のためセキュリティ事業を中心とした事業の拡大及び業務全般にわたる合理化・効率化の推進を重要な課題として位置付けており、現状では経営指標として「連結売上高経常利益率」を重視しております。また、株主資本の最適活用を図る経営指標としては、「ROE(連結自己資本当期純利益率)」を重視し、中期的には、両指標とも10%以上を想定しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに対応すべく、警備ビジネスモデルの変革を推進し、「強靭な綜合安全安心サービス業」を目指し、お客様と社会の安全・安心ニーズへの対応能力の強化、デジタル化とデータ活用、社員が活躍できる環境の構築、サステナビリティへの取組強化を行ってまいります。
(4)経営環境及び会社の対処すべき課題
当社グループは、日本の警備業におけるリーディングカンパニーとして、社会の安全・安心の確保に貢献するとともに、法令を順守し、社徳のある会社を目指して、より一層の企業価値向上に取り組んでまいります。また、リスクが多様化する社会の中で、安全・安心に係る社会インフラの一翼を担う企業として、既存の業務領域における融合強化・新たな業務領域の拡大を図ることにより警備ビジネスモデルの変革を推進し、拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。
ア 資源等価格高騰、部品等供給不足、金融市場等の変動への対応
「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」が策定されたものの、円安・原油等原材料価格の高騰、賃上げ等生産コスト上昇が今後も見込まれる中、パートナーシップ構築宣言企業として、取引先との共存共栄を引き続き目指すとともに、取引先を含めたマルチステークホルダーに配意した取組みを行ってまいります。また、サプライチェーンを巡る課題となっている半導体等部品の供給不足については、当社が使用する機器の調達への影響を最小限にするため、需給予測に基づいた適正な在庫管理、調達先の拡大、リユースの推進などを進め対応してまいります。
イ 新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に係る国の基本的対処方針、自治体による事業者向けガイドライン等に基づき、感染症拡大防止及び事業継続に適切に取り組んでいくとともに、お客様と社会の新たな安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。
ウ お客様と社会の多様な安全・安心ニーズへの対応
新型コロナウイルスへの感染リスクや、地政学的リスクを踏まえて国際的に対策強化が求められる重要インフラ・サプライチェーン等へのサイバー攻撃リスクの増加、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者を狙った身近な犯罪や事故の増加、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化等社会を取り巻くリスクは多様化しており、更には今般成立した経済安全保障推進法への対応を含め、安全・安心に関するニーズに的確に最高の品質で応えていくことが重要であると認識しております。
当社グループではこれらのニーズに対して、警備業務・ファシリティマネジメント業務等で培った社内外インフラを強化しつつ、サイバーセキュリティ対策、お客様個々人の安全・安心を見守るサービス、BCPソリューション等の自然災害リスクに対応するサービス、各種アウトソースニーズへの対応、建物設備やインフラに対する包括的な管理サービス等、多様なサービス機能を組み合わせた新たなソリューションを、外部とのアライアンスも活用しながら拡充してまいります。
エ 事業領域の拡大
当社グループでは、リスクの多様化を背景とするお客様の安全・安心に関する様々なニーズにお応えするとともに、企業活動などを多方面からサポートするため、介護事業や施設管理・工事等に係る事業などセキュリティ事業とシナジー効果の見込める新規事業・サービスにも積極的に取り組んでまいりました。今後もこのような観点から事業領域の拡大を加速させてまいります。
オ デジタル化とデータ活用(DX)
デジタル技術の進展等、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中、お客様とのコミュニケーション強化やデータ活用による新たなサービスの創造、社内のフロント部門やバックオフィス部門におけるオペレーションの効率化・省人化による生産性向上や新たな付加価値創出に注力してまいります。
カ 社員が活躍できる環境の構築
当社グループは、セキュリティ事業、綜合管理・防災事業、介護等高齢者生活支援事業の各事業を牽引する多様な人材の採用や、多様な働き方の提供、資格取得支援等による能力開発、有給休暇の取得推進など個々の働き手が持てる能力を最大限に発揮できる制度、環境を整備することにより、働き手のエンゲージメントを高めながら、グループ内の働き方改革を一層推進してまいります。
キ サステナビリティへの取り組み強化
当社グループは、ガバナンスの強化によって、持続的な成長の実現と、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、CSR活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、環境問題が人類共通の課題であるとの認識のもと、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境対策としてのCO2排出量削減(GX)への取り組みとして、電動車両の導入と、EV充電設備の販売、設置工事や保守メンテナンスを通じて、EV充電設備の普及に貢献してまいります。また、生態系の保全への取り組みとして、当社グループでは8社が「認定鳥獣捕獲等事業者」の認定を受けており、ALSOK千葉株式会社では、2020年7月より食肉加工施設を開設し、ジビエ肉の販売を行っております。循環型社会形成を促進する取り組みとして、2022年4月より「社会貢献型災害備蓄品利用サービス」の提供を開始しました。本サービスは、お客様に災害備蓄品を定額でご利用いただけるサービスであり、未使用の災害備蓄品については、賞味期限の半年前に回収し、各種福祉施設等に寄贈することで、社会問題となっているフードロス削減に貢献してまいります。当社は、環境課題を多様化するリスクのひとつとしてとらえ、その課題解決に取り組んでまいります。
ク 海外事業の展開
当社グループは、海外でも高まる安全・安心ニーズに対し、日本で培ったノウハウをもとに、国ごとに最適な商品・サービスをご提供し、お客様の海外事業をサポートするべく、積極的な展開を図ってまいります。